■最新液晶ディスプレイ ピックアップ■
D2342P-PN | |
液晶サイズ | 23型 |
パネル方式 | TN方式 |
表示解像度 | 1,920×1,080ドット |
アスペクト比 | 16:9 |
画素ピッチ | 0.265×0.265mm |
表面処理 | ノングレア |
バックライト方式 | ホワイトLED |
応答速度 | 5ms |
コントラスト比 | 1,000:1(ダイナミックコントラスト時 500万:1) |
視野角 | 2D時:上下160度/左右 3D時:上下12度/左右80度 |
輝度 | 250cd/平方m |
表示色 | 約1,670万色 |
走査周波数 | 水平:30kHz~83kHz 垂直:56~75Hz(VGA、DVI-D) 56Hz~61Hz(HDMI) |
チルト角度 | 下5度、上15度 |
高さ調節 | なし |
スイベル | なし |
ピボット機能 | なし |
入力端子 | DVI-D(HDCP対応)×1 HDMI 1.4a×1 ミニD-Sub 15ピン×1 |
出力端子 | ヘッドフォン出力×1 |
スピーカー | なし |
VESAマウント | 対応(75×75mm) |
電源 | 内蔵 |
消費電力 | 標準39W |
付属品 | DVI-Dケーブル ミニD-Sub15ピンケーブル 電源ケーブル 3Dグラス(標準タイプ、クリップオンタイプ) ユーティリティディスク TriDef 3Dディスク |
本体サイズ | 546.4×179.3×407.3mm(幅×奥行き×高さ) |
重量 | 3.5kg |
LGエレクトロニクスは、偏光方式の3D表示に対応した液晶ディスプレイ「D2342P-PN」を発売した。NVIDIAの3D Visionをベースとしたアクティブシャッター方式を採用する製品と比べ、3D表示時の解像度や視野角などの点で劣る部分はあるが、3D表示にかかるコストは圧倒的に有利となっており、手軽に3Dを楽しみたいと考えている人にとって、大きな魅力がある。オープン価格で、実売価格は3万円前後だ。
●本体デザインD2342P-PNの本体デザインは、特に目立つ装飾などはほとんど見られず、最近発売されたのLG製液晶ディスプレイと同様、かなり落ち着いた印象を受ける。本体はプラスチックの素材感が強い。一方、液晶ベゼル部やスタンド部は光沢処理が施されているため、それほど安っぽい感じはしないが、その反面、若干外光の反射や映り込みが気になることがある。
本体サイズは、546.4×179.3×407.3mm(幅×奥行き×高さ)。ベゼル部は十分に狭額で、23型ワイド液晶ディスプレイとしてほぼ一般的なサイズとなっている。本体重量は3.5kgと軽い。
液晶パネル面のチルト角は、下5度から上15度の間で調節可能。高さ調節やスイベル機構は備わっていない。電源ボタンや入力切り替え、OSD操作用のボタンは、液晶下部ベゼル右側に集められている。
●液晶パネル1,920×1,080ドット表示対応の、23型ワイド液晶を採用。パネルの方式はTN方式で、バックライトには白色LEDを採用。パネル表面は非光沢処理が施されている。また、3D表示用の偏光パネルも取り付けられている。画面に近付くと偏光パネルによる水平方向の縞がわずかに見て取れるが、50cm以上離れた通常の使用距離ではほぼ気にならない。
2D表示時の視野角は、上下160度/左右170度だが、TN方式のパネルらしく、上下に視点を移動すると色合いの変化などが感じられ、数値ほど視野角は広くない。また、3D表示時の視野角は、水平80度、垂直12度と極端に狭くなる。この点も、偏光方式の3D液晶ディスプレイの宿命だが、実際に3D表示を試してみても、左右の視野角はまずまず広いが、上下方向はかなり狭く、3D表示時はピンポイントな位置取りが必要だと感じた。
コントラスト比は、標準では1,000:1だが、ダイナミックコントラスト有効時には500万:1となる。応答速度は5msと、TN方式の液晶パネルとしては標準的。バックライト輝度は250cd/平方m。
●接続端子映像入力端子は、DVI-D(HDCP対応)×1系統、HDMI 1.4a×1系統、ミニD-Sub15ピン×1系統の3系統を用意。本体にはスピーカが内蔵されておらず、音声入力端子も用意されていないが、HDMI入力時の音声を出力するヘッドフォン出力が用意され、本体のボタンで音量調節が可能となっている。ただ、ヘッドフォン出力は、本体背面の映像入力端子の横に配置されているため、使いづらく感じる。できれば、本体側面などに配置してもらいたかった。
●OSDOSDメニューは、明るさやコントラスト、色合い調節など、基本的なものは一通り網羅されているが、項目数はそれほど多くなく、かなり簡略化されている印象だ。3D表示に対応していることもあり、3D表示の設定項目が用意されている点は他のディスプレイと異なる部分。サイドバイサイドやトップアンドボトム、インターレースなど、入力映像に応じて切り替えが可能だ。
ボタンが横に並んでいるため、OSDの操作は少々戸惑うことがある。ただ、ボタン部に操作ガイドが表示されるため、慣れればそれほど不満は感じないだろう。
●画質LGエレクトロニクス製の液晶ディスプレイでは、過去に赤の発色がやや弱く、全体的に表示画像の色合いが淡く感じられるものが存在したが、D2342P-PNも同様に、表示画像の色合いが淡く感じられる。プリセットで用意されている色温度をWARMにしてもその印象は変わらなかった。ただ、ユーザーモードで赤を多少強調させてやれば、比較的満足できる発色を実現できたため、購入後に発色が淡いと感じた場合には、色合い調節を行なった方がいいだろう。
応答速度は5msと、TN方式の液晶パネルとしては特に高速な部類ではないが、映像コンテンツやゲーム画像などでも残像はほとんど感じられず、常にクリアな映像が楽しめた。また、表示遅延に関しても大きなものではなく、筆者が試した限りでは、比較的シビアなコントロールが要求されるゲームでも違和感を感じることなくプレイ可能であった。
3D表示に関しては、HDMI端子にPlayStation 3を接続してBlu-ray 3Dソフトを再生してみた。偏光方式のため、解像度が落ちてしまうという印象は受けてしまうものの、アクティブシャッター方式よりもかなり明るい映像が楽しめる点は好印象だった。
付属の偏光メガネは、普通のメガネタイプのものと、メガネに取り付けて利用するクリップオンタイプの2種類が標準添付されている。普段からメガネを利用している人にとって、通常の偏光メガネは使いづらいため、クリップオンタイプが標準添付されている点は非常に嬉しい。
PC接続時の3D表示は、付属ソフト「TriDef 3D」を利用する。TriDef 3Dには、静止画や動画、DVDの2D-3D変換機能と、ゲームの3D表示機能が用意されている。静止画や動画、DVDの2D-3D変換機能はソフトウェアによるもので、DVD再生ソフトなどに用意されている2D-3D変換機能とほぼ同等のものと考えていい。違和感なく3D表示を楽しめる場合もあるが、コンテンツによりその差は大きいので、過度な期待は禁物。それでも、手軽に3D映像を楽しむという意味では、利用価値は高い。
それに対し、ゲームの3D表示機能については、NVIDIAの3D Vision同様、奥行きなど違和感なく3D表示が楽しめる。また、対応ゲーム数が400以上と充実している点と、インストールされているゲームを自動的に見つけ出し、最適な設定が自動的に反映される点も嬉しい。ただし、3D表示時に解像度が低く制限され、3D表示時の解像感が大きく低下してしまう。また、ゲームの3D表示機能は、今回手元で試したゲームはDirectX 9でしか動作しなかったが、ソフトの製品情報によるとタイトルによってはDirectX 10以降でも対応できる。
【お詫びと訂正】初出時に、ゲームの3DはDirectX 9のみの対応としておりましたが、タイトルによってはDirectX 10以降でも対応できるので、表現を改めさせて頂きました。
D2342P-PNは、単体で発売されている3D対応液晶ディスプレイとして比較的安価でありながら、偏光メガネや3D表示用のソフトなど、3D表示を楽しむために必要なものが全て添付しており、アクティブシャッター式よりトータルコストを安価に抑えられる。
また、2D表示字の偏光パネルの影響は小さく、クオリティは十分満足できるレベルだ。表示映像の発色が若干淡い点や、3D表示時の視野角の狭さや解像感が失われてしまう点など気にな点もあるが、アクティブシャッター方式のようなハードウェアの制限や高コストといった問題がないことを考えると、手軽に3D表示を楽しみたいと考えている人にとって、非常に魅力的な製品と言える。
(2011年 5月 13日)