買い物山脈

水拭きもできる20万円のECOVACS製ロボット掃除機を購入。毎日うっすら汚れる床から解放

製品名
DEEBOT X1 OMNI
購入価格
19万8,000円
購入時期
2022年4月20日
使用期間
約3カ月
「買い物山脈」は、編集部員やライター氏などが実際に購入したもの、使ってみたものについて、語るコーナーです
Ecovacs「DEEBOT X1 OMNI」

 PC Watchの読者諸兄はロボット掃除機に興味があるだろうか? 弊誌編集長を務める筆者は2カ月ほど前まで、「興味はあるが、後一押しが足りず、踏ん切りがつかない」という状況だった。そういった中、筆者がロボット掃除機を買うに至ったのは、部内会議での営業部長の次の一言によるものだった。

 「今後の参考までに、PC Watchでロボット掃除機のレビューをやったら受けるかを知りたいんですよねぇ。若杉さん自腹レビューしてみません?」。

 インプレスWatchシリーズには「家電 Watch」もあり、そこでは各社のロボット掃除機のレビュー記事も多数掲載されている。一方、当然のように(?)、PC Watchではロボット掃除機をレビューしたことはない。だが、多くの人が自宅でPCを使って仕事をするようになった今、直接PCと関係しなくとも、自宅環境をより良くすることへの関心が高まっていると感じる。筆者もその1人だ。

 と言うことで、営業部長にあおられた(?)1週間後にはECOVACSの最上位ロボット掃除機「DEEBOT X1 OMNI」をAmazonで注文していた。購入価格は19万8千円だ。4月20日に購入し、3カ月ほどたったわけだが、毎日ピカピカに磨かれた床の上を歩きながら「あぁ、これが高QoLってやつなのかぁ」と分かったような分かってないようなことを独り口走っている。

 と言うことで、この製品が何ができるのか、どういう点が良くて、不満点は何かなどを語っていく。

毎日うっすら汚れていた床からの解放

 ロボット掃除機を買う前まで、筆者の掃除頻度は週に1度だった。週末にスティック型のサイクロン式掃除機で各部屋を掃除して回っていた。一人暮らしでペットもいないので、週に1度しか掃除をしなくても、部屋はさほど汚れない。少なくとも目につくほどの汚れは出ない、……と思っていた。

それまで使っていたスティック型のサイクロン式掃除機

 ただ、例外となるのが、脱衣所周りと寝室だ。脱衣所では風呂上がりに髪を乾かすので、どうしたって抜け毛が散らかる。寝室も、頭を枕につけて寝転がるので、毛が抜けやすくなり、それが床にも落ちる。と言っても、1カ所に何十本も落ちているわけでもないので、1週間ためても、そこまで気になることはなかった。いや、「週末には掃除するから」と、見て見ぬふりをしていたのかもしれない。

 だが、ロボット掃除機を導入して分かったのが、「掃除の頻度はゴミの量で決めるべきではない」ということと、「床は自分が思っている以上に汚れている」ということだ。

 まず、掃除の頻度はゴミの量で決めるべきではない、についてだが、確かにゴミの量からすると、掃除は1週間に1回でも、不衛生という程ではないと思う。だが、逆に言うと、1週間の内、6日はうっすら床が汚れているのだ。週6日、うっすら汚れた床の上で生活しているのと、週7日ピカピカの床の上で生活するのとでは、雲泥の差がある。毎日どこを見ても、抜け毛やホコリなどが見当たらないのは、相当気持ちいい。

 そして、床は自分が思っている以上に汚れている、について。現在、筆者は毎日吸引掃除を行なった後に、水拭きも行なっているが、それでも水拭きしたモップから排出される水は毎回濁っている。毎日掃除をしていてすら、床にはホコリだけでなく皮脂汚れなどが付着しているのだ。いわんや、6日放置された床をやだ。

 つまり、ロボット掃除機導入の効果は、週1回2回の掃除の手間が省けるというよりも、放っておいても毎日床がきれいになっていることにあるのだと気付いた次第だ。ホテルで部屋に帰ると、シーツや布団が洗い立てのものに交換されているのと似た感覚を自宅で味わえるのだ。

 では実際の使い方や、機能面などについて解説していく。

DEEBOT X1 OMNIを使うための準備

 まずは、箱から取り出して設置するわけだが、最初の感想は「でけぇ」。掃除機本体は、直径約36cmでロボット掃除機として一般的なサイズ。ただ、充電やゴミの収集、そして給水などを行なうステーションが巨大だ。実測で45×30×57cmほど。サイズ感としてはファンヒーターくらいある。

梱包時はこんな感じ
巨大なステーション
DEEBOT X1 OMNI本体
そのほかの主な同梱物は、メインブラシ、ダストバッグ、水拭き用モップ、ステーション用電源ケーブルなど

 特にその高さに驚くが、ステーション内部の容積の半分ほどは、清水タンクと汚水タンクが占めている。もし、このタンクを小さくしたら、ステーションの高さは半分くらいまで縮められるかもしれないが、給水排水を毎日しなくてはならなくなるだろうから、この大きさは仕方ない。

 ちなみに、ステーションの左右については、壁などがあっても普段の利用に問題はなさそうだが、マニュアルにはそれぞれ50cm程空けるように記されている。これはステーション周囲でWi-Fi電波が不要に反射したりするのを防ぐためのようだ。実際、最初部屋の隅近くに置いていた時は、Wi-Fiルーターから見通せしがいい場所にあるにも関わらず、ステーションで充電中の本体の位置を検出できなくなることがあった。

 設置したら、清水タンクに水を入れ、掃除機本体にゴミをかき取るサイドブラシを取り付け、ステーション内にダストバッグを取り付ける。物理的な作業はこれくらいだが、スマホアプリの初期設定をやらないと使えない点がロボット掃除機っぽいところだ。

清水タンク(右)と汚水タンク(左)
清水タンクには水を入れておき、ステーションのふたを開けて、設置
メインブラシを2カ所に取り付け
ステーション内にダストバッグを取り付ける

 アプリ設定の大まかな流れは、アプリのインストール、ロボット(モデル名)の追加、自宅Wi-Fiへの接続で、さほど難しくはない。スマートスピーカーなどIoT機器を自宅のネットワークに登録したことがある人なら、アプリの画面を見ながら操作すれば、スムーズにできるだろう。

上部のカバーを外すと主電源(赤)スイッチがある

 ただし、家の中を隅々まで移動するという性質上、電波が届きにくい5GHzのアクセスポイントには登録できない。2.4GHzと5GHzをハンドオーバーできる混合ネットワークでなら使えるのだが、基本的に2.4GHzで利用すると思った方がいい。なお、初回接続時は、新ファームウェアのダウンロードが発生した。

 本製品は音声コマンドにも対応していて、「OK Yiko(オーケーイコ)」の掛け声でいろんな命令を出せる。アプリでもまず「OK Yiko クイックマッピング」と指示するよう促される。ただ、ここはスキップ可能で、筆者はスキップしたので試していないが、この時点では英語音声しか対応しておらず、日本語音声は別途ダウンロードが必要なので、日本語での命令はできないのではと思う。

 音声でのクイックマッピング指示をスキップしても、クイックマッピング自体は必ず行なう必要があるので、アプリの指示に従って、クイックマッピングを実施しよう。個体差があるかもしれないが、筆者が買ったものは、開封時で6割ほど充電されていた状態だったので、そのままクイックマッピングを実施した。ただし、マニュアルにはマッピング前に完全充電するよう書かれている。

 クイックマッピングは家の間取りを検出する機能。内蔵の測距センサーなどを使い、ロボットが自走しながら、家具や壁などの位置を把握していく。

 3LDKの筆者宅では、ものの5分程度でクイックマッピングが終了した。壁の位置を検出するだけではなく、それを元に、どの区画が部屋なのかまで自動的に判別する。ただ、筆者宅の場合、1つの部屋が、置いてある家具が間仕切りのように見えるためか、2つの部屋があると認識され、リビングルームとその隣の書斎は、引き戸を開けていて仕切り部分が少ないためか、1つの部屋と認識されていた。

Ecovacsアプリ
まずはクイックマッピングで家の地図を作らせる
クイックマッピング途中の様子
完成した我が家の地図。一部部屋の認識がおかしいものの、広さやまどりはほぼ完璧に把握できている

 と言っても、かなり認識精度は高いと感じた。本棚やベッドなど巨大な家具がある場所を除いては、壁の位置、大きさはほぼ完璧に検出している。脱衣所については、2cm程の段差があって、ロボットが登れないのだが、そこに部屋があることは正確に把握しており、軽い感動を覚えた。

 そもそも隣接した廊下とキッチンを2つのエリアと見なすか、1つのエリアと見なすかは、同じ部屋でも使う人ごとに意見が変わってくるだろう。DEEBOT X1 OMNIのクイックマッピングは、空間認識という意味ではほぼ完璧だと言っていい。

 なお、部屋の認識については、「マップ管理」で部屋(エリア)の分割や結合、ラベル付けといった修正ができる。毎回全ての部屋を一括して掃除するのであれば、部屋の認識を修正する必要はない。ただ、どれか1つの部屋だけを掃除したい局面が想定されるなら、それに応じて部屋を分けて管理しよう。また、部屋の名前は、居間、書斎、寝室、廊下など細かく変更もできる。音声コマンドで指示するなら、自分にとって分かりやすいラベルを付けておくといいだろう。

 また、マップは3つまで登録できるので、戸建てなどの場合は、階ごとにクイックマッピングを行ない、異なるマップとして管理する。

DEEBOT X1 OMNIの清掃能力

 クイックマッピングが完了し、バッテリもまだ行けそうだったので、そのまま清掃を実行してみた。アプリを起動していると、リアルタイムでOMNIの位置と移動経路を見ることができる。壁やテーブルの脚など、障害物近辺ではぐるぐるとしたややランダムっぽい軌跡を描くが、開けたところでは等間隔に走行している。

 清掃は45分ほどで終了した。清掃が終わると自動でステーションに戻り、本体内のゴミをステーションに吸い上げ、充電を開始する。

清掃途中の様子。白い線がDEEBOT X1 OMNIの軌跡
45分ほどかけて4部屋とキッチンを清掃完了

 この時は「自動」モードで、クリーニング設定は「標準」で実行した。自動では、全ての部屋を掃除する。また、標準設定では、清掃回数は1回、吸引力は標準、水量は中となっている。これ以外に、清掃回数は、2回、吸引力は静音と最大、水量は低と高を選べる。クリーニング設定で、「カスタマイズ」を選ぶと、マップ上の部屋ごとに上記の内容を指定できる。

 OMNIは、ECOVACS史上最強という5,000paの最大吸引力がある。脱衣所を除き、全ての部屋がフローリングということもあり、筆者の場合は、清掃回数は1回、吸引力は標準で十分だと感じた。ただ、これは毎日自動運転させてることによるものが大きいようだ。

初回掃除後のダストバッグの中。思った以上にホコリや毛を掃除できている

 ただ、実験で粉末を床にまいて掃除させてみたところ、2回掃除させてもまだ残っており、3回でようやく目に見えるゴミはなくなった。これでも完全ではなく、目に見えない粉末がまだ残っているようで、手で床を触ると若干ザラザラしていた。

 このテストでは、あえて吸引が難しい廊下の隅で行なっており、その意味では、隅も吸引についてはかなり健闘しているというか、思った以上に掃除してくれていると感じた。ただ、前述の通り一発ではきれいにならないので、毎日の清掃が基本となるだろう。

このように壁際に粉末をまいてみた
標準吸引力で1回清掃した後。掃除が難しい隅だけでなく、床面にもそこそこ粉末が残っている
2回清掃後。だいぶきれいになったが隅はまだ汚れが目立つ
3回清掃後。見た目には粉末は除去された。ただし、指で触るとまだざらついていた
DEEBOT X1 OMNIでの吸引テスト

 もう1つ標準吸引力で不足するとしたら、カーペットなどの上だろう。これについては、「スマート清掃」の画面で「カーペット清掃・吸引力自動強化」をオンにしておくと、カーペットを検知すると、自動的に最大の吸引力で作動するようになる。

 筆者宅のカーペットは、どれも毛が短いこともあってか、カーペット清掃・吸引力自動強化オンの1回清掃だけで、髪の毛が残っていたりすることはない。ただ、脱衣所については、床が畳のような素材で、毛が絡まりやすいこともあり、1回の清掃では髪の毛を取り切れないことがあったので、カスタマイズ設定を利用し、脱衣所だけは一度に2回清掃するようにしている。

 騒音はうるさくない。それまで使っていたスティック型クリーナーよりはるかに静音だ。数値までは計測できていないのだが、ドライヤーの一番静かなモードと同じか、それより静かかもしれない。現在、寝ている間と起きている間の1日2回自動運転させているが、動作音が気になったことはない。

DEEBOT X1 OMNIの自動走行能力

 実は、筆者が長らくロボット掃除機の導入に踏ん切りがつかなかったのは、室内に2カ所、高さが1cm近くあるモールをはわしてあり、これをロボットが超えてくれない可能性を恐れてだった。

リビングに2カ所はわしてあるケーブル用のモール。高さが1cmほどある

 筆者がOMNIを購入した時点では、まだ発売された直後と言うこともあって、Webにもあまり製品情報がなかったのだが、旧モデルの情報などを見ていても1cmほどなら大丈夫そうということで、購入したのだが、結果としては杞憂だった。このモールが山なりな形状をしていることもあると思うが、OMNIはこの段差を苦もなく超えてくれる。

 ただ、2.5cmほどの垂直な段差がある脱衣所入り口については、自力で登ることはできなかった。降りる方については、車輪のある部分が、下に空間があると下がる機構になっているので、全く問題なく降りられる。と言うことで、脱衣所だけはOMNIを連れて行ってやって、掃除させているが、ステーションには自動で帰還できる。

普段はメインの車輪はこれくらい内部に収納されているが
下に何もないと3~4cmくらい下がるダンパー構造になっている
これにより、2.5cm程の高さの垂直の段差はさすがに乗り越えられなかったが、降りるのは問題ない
DEEBOT X1 OMNIの段差走行

 走行については、壁や家具のギリギリまで近寄るが、本体自体がぶつかることは少ない。「AIVI 3D」と呼ばれる120万画素、148.3度の超広角レンズの高性能HDRカメラなどを駆使して、きれいに障害物を避けてくれる。ただ、椅子など可動する家具の場所が変わっていた場合、軽くコツンとぶつかることもある。と言っても、本体正面は押すと引っ込むダンパー構造になっており、ぶつかっても本体や家具を傷つけることはまずなさそうだ。

内蔵された各種センサーで障害物や床の有無などを判別
DEEBOT X1 OMNIの障害物回避

 暗いところも得意としているようで、スケジュール設定で夜中に1回、寝室以外を清掃させているが、その清掃履歴を見ても、毎回きちんと隅々まで清掃している。

 ロボット掃除機のいい点は、自動でやってくれる事以外に、テーブルの下など従来の掃除機ではノズルを突っ込みにくい場所にも入れる点だ。これまで筆者は、居間のテーブルの下の掃除はおざなりになっていたし、ソファの下に至っては全く掃除していなかった。しかし、うちのソファは下が15cmくらい空いているので、OMNIはそこにもすいすいと入っていって掃除してくれる。

 障害物回避については、公式サイトによると「18種の物体を識別できます」とされているが、具体的に何を認識するのかは分からない。足元にある物の代表格は各種ケーブル類だろう。これについては、識別能力はあまり高くない。筆者の場合、過去電源ケーブルやLANケーブルが巻き込まれた。DEEBOTが入れるところにケーブルを垂らさない、あるいはケーブルがあるところは進入禁止エリアに設定するといった運用面での工夫が必要となる。

このような細めのケーブルは結構巻き込んでしまう
ケーブルを垂らさないようにするか、巻き込まれないようにする、あるいはケーブル近辺はアプリで侵入禁止にするといった工夫がいる

 また、数回ほど、数cmの玄関の段差から落ちて走行不能になっていたことがあった。ただ、いずれの場合も電気を消している夜間の定期清掃時に発生した。本来、この製品はある程度明るい場所で使うようマニュアルに記載されている。階段から落ちて壊したりしないよう、戸建てで2階より上を掃除させるのは、明かりがついている時に行なった方が良さそうだ。

モップの洗浄/乾燥まで自動化された水拭き機能

 水拭き機能についても、非常に満足している。あらかじめしっかり比較しようと思っていなかったので、導入前の状態をきっちり記録してないためかなり感覚的な話になってしまうのだが、毎日水拭き掃除までやるようになった結果、はだしで歩いた時、以前より床がさらさらするようになった。

 それまで拭き掃除は数カ月に1度くらいしかしてなかったので、おそらく、目に見えにくい皮脂汚れなどがフローリングにたまっていたのではないかと推測している。実際、DEEBOT X1 OMNIを買ってからは毎日掃除をしているにも関わらず、水拭き掃除後、モップを自動洗浄した後の汚水タンクを見ると、水は濁っているし、底に皮脂汚れっぽいものが沈殿している。つまり毎日新しい汚れが発生しているということだ。

1回の水拭き清掃の後の汚水タンク。毎日掃除していても、水はこれくらい濁る。つまり新しい汚れがついているということ

 先に紹介した粉末の清掃試験について、水拭きモードでも行なってみた。結果として、見た目で粉末がなくなるまでは、吸引掃除と同じ3回を要したが、拭き掃除が加わったことで、3回目の後に床を触るとザラザラはなかった。きっちり拭き掃除の効果が出ているようだ。

水拭きモードで1回清掃した後。吸引掃除同様、まだ床面にそこそこ粉末が残っている
2回清掃後。こちらも隅はまだ汚れが目立つ
3回清掃後。こちらは指で触っても汚れは残っていなかった
DEEBOT X1 OMNIでの吸引テスト(モップがけモード)

 水拭き掃除のやり方は、同梱の2つのモップを本体底面に取り付けるだけ。これで濡らされたモップが回転しながら床磨きをしてくれる。モップ中心の軸部分には磁石が入っているので、サクッと取り付けられるし、引っ張るとすぐ外せる。最初は本体を裏返してからモップを取り付けていたが、すぐにひっくり返さないでも手探りで取り付けられるようになった。水拭き掃除時も、通常の吸引も行なわれる。

水拭き清掃の際は、モップも2つ取り付ける

 水拭き時は、清水タンクに入れた水を使ってモップを濡らすのだが、清掃後はモップの洗浄と乾燥も自動で行なわれる。乾燥にかかる時間は2~3時間程度。乾燥中も静かで、筆者のシェーバーの洗浄/乾燥機能よりも静音で驚いた。静音と言うより、無音に近いレベルだ。それでいて、完全に乾燥できており、部屋干ししたような嫌な臭いは一切しない。

 モップ洗浄後の水は汚水タンクにためられる。マニュアルによると、汚水タンクは利用後毎回洗浄するよう記載されているが、清水タンクから減る水も、汚水タンクにたまる水もタンク容量の7分の1程度なので、ぶっちゃけると横着して1週間に1度しか排水、洗浄していない。それでも、汚水タンクから臭いが出るようなことはない。

 かしこいのが、水拭きモード時はじゅうたんやカーペットの上には上がらないようになっている。本体底面にカーペット検知センサーがあるのだ。最初はちょっとした段差などを検知してカーペットと判断しているのかと思ったが、きちんと素材を認識している。というのも、1つの部屋にカーペットより厚手のエラストマー素材ヨガマットを敷いていたのだが、この上は水拭きされる。一方、厚さ1~2mmくらいしかないが起毛生地のチェアマットの上には侵入してこないのだ。

 ただ、じゅうたん/カーペットも掃除したいのであれば、モップパッドを取り外す必要がある。筆者が吸引掃除と水拭き掃除を毎日やっているのはこのため。床だけなら、1日1回水拭きをしていればきれいさが保たれるが、これだとじゅうたん/カーペットが放置される。

 1日1度、モップパッドを取り付け、取り外しするのは1分もかからない作業だが、気持ち的には、じゅうたんに上がると、モップパッドが本体内に持ち上がるなどの機能で、この辺りも手間いらずになってくれればなと思った。

 もう1つ水拭き掃除でやや気になるのは、たまに水滴がまき散らされる点。大体1畳分くらいを移動する度に、直径1cm程度の水滴が数個床にまき散らされている。吸水口から漏れているようだ。なんとなく構造上か固有の不具合のような気もしているが、量はわずかですぐに乾燥するレベルなので、まぁいいかと思っている。

水拭き掃除していると、たまに1cmくらいの大きさの水滴がまき散らされる

 ちなみに、製品を買った時はまだなかった(と思う)が、最近になって水拭き時に使うDEEBOT X1 OMNI対応専用洗剤が発売されていることに気付いた。価格は4,000円で、容量1Lだ。清水タンクを水で満タンにしてキャップ2杯(20ml)分を入れ、タンクのふたをして振って混ぜるだけ。筆者宅だとこの1Lで約1年分の量という計算になる。

 洗浄効果などは特に記載がないが、フローリングなどで使える中性洗剤だ。油分などが落ちやすくなるのかなと勝手に想像している。芳香剤も入っていて、いい香りがするが、タンクに入れるとかなり希釈されるので、清掃後に部屋がいいにおいで満たされるということはない。

DEEBOT X1 OMNI対応専用洗剤

ほとんどメンテナンスいらずで利用可能

 掃除機というと、もう1つ気になるのが日々のメンテナンスだ。これまで使っていたスティック型サイクロン掃除機は、紙パックなどが不要で、ゴミがたまったらダストボックスを取り外し、底蓋を開けてゴミ袋などにごっそり入れてしまう方式だ。その点は経済的なのだが、フィルター部分にかなりのホコリがたまる。

 フィルターのふたを回転させると、フィルターにこびりついたホコリを落とせるようになっているが、これでは頑固なホコリは取り切れないので、いつもつまようじで数十あるフィルターの隙間のホコリをこそぎ落とすになるのが面倒だった。

 これと比べて、DEEBOT X1 OMNIはメンテナンスが非常に楽だ。まず、本体のダストボックスからは、掃除の度にステーション内のダストバッグへとゴミが吸い上げられるので、毎回空になる。

ダストボックス。正面の空いているところからゴミが吸い込まれる
裏面。清掃完了後、左側のドアからステーションのダストバッグへゴミを吸い上げる

 もちろん、本体ダストボックスのフィルターにはホコリがたまっていくので、週1回の掃除が必要とされているが、見た目に反して水洗いできるので、洗浄が楽なのだ。ちなみに筆者は1カ月に1回の清掃でいいと勘違いしてたのだが、特にフィルターに相当量のホコリが付着していたので、マメに掃除しよう。

1カ月清掃しなかったダストボックス。ステーションに吸い上げきれなかったホコリなどが付着している
開けるとこんな感じ
フィルターも目詰まりしてしまった

 ステーション内のダストバッグは、筆者宅の場合2カ月に1度程度の交換で良さそうだ。この交換も楽で、ダストバッグ先端のフックを持ち上げると密閉される仕組みになっており、ゴミやホコリをまき散らかさずにゴミ袋などに捨てられる。装着も瞬時に終わる。

 このほかも汚水タンクを除き、大方のメンテナンスは月に1~2回程度で十分だ。ダストバッグ以外に、ブラシとフィルターは消耗品となっているが、交換頻度は3~6カ月に1度となっている。逆にこれくらいの頻度だと忘れてしまいそうだが、しっかりアプリが利用時間を監視していて、適宜通知してくれる。

 2カ月ほど使ってみて、メンテナンスはほとんど手がかからないというのが率直な感想だ。

3カ月近く使ってみて

 と言うことで、筆者にとっての初ロボット掃除機となるDEEBOT X1 OMNIは、20万円という価格だけを見ると高いが、機能面、性能面では非常に満足しているし、価格性能比の観点で言えば、高すぎると言うわけではないと思う。また、発売から3カ月がたった今では15万円以下に値下がりしている。

 なお、これはDEEBOT X1 OMNIに限った話ではないが、ロボット掃除機を導入したら、従来型の掃除機がいらなくなるのかというと、そうではない。ロボット掃除機が入りにくい場所、たとえば筆者宅だとトイレの床掃除には使えない。また、実験でやったように、何かをどさっとこぼしてしまった時も、ロボット掃除機より従来型掃除機の方が確実に使いやすい。

 本製品の最大の特長は水拭きもできる点なので、和室メインの家でも使いにくく、そういう場合は水拭き機能がない下位モデルで十分と思う。だが、フローリングメインの家であれば、放っておいても毎日床がピカピカでさらさらになっているというのは、非常に気持ちのいいものなので、導入をお勧めしたい製品だ。