勝又 楓Presents ガールズ ガジェ活♪

配信するならきっと欲しくなるSteinbergのレコーディング全部セット(前編)

~ゲストにAVライターの藤本氏をお迎え

動画にてご覧ください

若杉: ガジェ活も今回で4回目。これまではPCを取り上げてきましたが、今回はガジェットよりです。楓ちゃんは、いわゆるタレントさんだけど、メインのお仕事はMCなんですよね。

: そうなんです。PC Watchでもナレーション的なお仕事もさせてもらってますが、ラジオのパーソナリティとか、イベントの司会なんかもやらせてもらってます。

若杉: まれに自宅でボイス録りしたりもするんですよね。

: はい、自宅ではあまりないですが、ごくまれにありますね。

若杉: というか、うちが以前、急遽そんなお願いをしたんですけどね(笑)。で、その時は取り急ぎiPhoneで録音してもらったんですが、やっぱり業務用機材に比べると音質に不満が出ますよね。

: そうですね。あと仕事の音源を自宅で作成することはなくても、しゃべる仕事をしているので、ボイスサンプルっていう音楽で言うデモ音源みたいなものを作ったりはしたいなーって前から思っていたんです。あと、大学時代にアカペラサークルに入ってたこともあって、音響編集なんかもできたら楽しいだろうなって思ってます。

若杉: なるほど。ということで、今回はそんな楓ちゃんにぴったりのガジェットを用意しました! Steinbergのレコーディング全部セット「UR22mkII Recording Pack」です。これから、この製品の使い方を楓ちゃんに学んでもらいたいと思いますが、今回はこの方面に詳しいライターの藤本健さんに来ていただきました。

藤本: よろしくお願いします。

UR22mkII Recording Packってどんな製品?

若杉: 今回のUR22mkII Recording Packは、藤本さんに勧めていただいたものなんですよね。

藤本: そうですね、ポピュラーであることと、予算がインターフェイス、マイク、ソフトなどを含めて2~4万円くらいということだったので、3万円前後で買えるこちらをピックアップしました。

若杉: 今回はヤマハさんから製品をお借りしたんですが、楓ちゃんは気に入ったら、自腹でこれを買うつもりなんですよね。

: そうなんです。

藤本: UR22mkII Recording Packには、パッケージからも分かるとおり、オーディオインターフェイス、マイク、ヘッドフォン、ソフトがセットになっています。

: 4つ入りなんですね。

藤本: PCとこれがあれば、ナレーションやアカペラを録ったりもできます。それ以上のこともできるので、オーバースペックかもしれませんが、この値段なので、お買い得です。

若杉: 似たような製品はいくつかありますが、なぜ、UR22mkII Recording Pack」がお勧めなのか、ざっくり教えてもらえますか。

藤本: まず、メインとなるオーディオインターフェイスが「UR22mkII」というもので、今一番売れている製品です。単体で買うと1万5千円くらいです。楓さんは、オーディオインターフェイスって何か知ってます?

オーディオ-インターフェイスとなる「UR22mkII」

: まったく知らないです。

藤本: 基本的にはPCがあればそれで録音できるし、iPhoneでもできます。でも、音質の問題があります。ナレーションというお仕事でやるなら、スタジオの設備とiPhoneとでは、聞いた瞬間にわかる差があります。実は、プロ用の録音機材も、ものによってはお手軽な値段で買えるんですが、それを使うために必要となるのがオーディオインターフェイスです。これがあれば、PCに業務用のマイクなんかをつなげられるようになります。モニタースピーカーも置けば、ちょっとしたレコーディング環境ができあがります。ものによっては8chや16chといった多チャンネルのものもあるけど、普通は2つあればステレオで録れて十分で、UR22mkIIは、2入力2出力に対応しています。

 使い方ですが、まずはオーディオインターフェイス本体をUSBでPCにつなぎます。

: つなぐだけでいんですか?

藤本: ドライバのインストールは必要だけど、ACアダプタはなくても、USBバスパワーで動くので、つなぐだけで使えます。

若杉: ちなみに、今回のデモ用のPCはWindowsだけど、この製品は楓ちゃんが持ってるMacでも動きます。

: よかった、よかった。

藤本: そしてマイクですが、今回の配信ではダイナミックマイクを使っているけど、この製品にはコンデンサマイクが付属します。その違いって知ってます?

: いえ、全然。

付属のコンデンサマイク

藤本: お仕事では普段、手持ち型のマイクを使います?

: 司会の現場ではそうですね。

若杉: ラジオの収録だと、たぶん見た目がゴツイのが置かれてますよね。

藤本: ラジオの収録だと、たぶんAKGかなんかだと思うんですが、普通コンデンサマイクを使います。この配信は2本のダイナミックマイクを使ってるけど、コンデンサマイクなら1本で、3人の声がきれいに録れます。

 このダイナミックマイクは指向性があるので、マイクの向きで声の入り方が全然変わるけど、コンデンサマイクなら、3人の真ん中に置いておくだけで、きれいに録れます。

: 集音性が高いということですか?

藤本: 集音性も高くて、ささやき声でもきれいに録れるのが特徴です。ただ、衝撃に弱いので、扱いは大切に。一口にコンデンサマイクと言ってもピンキリで、高いやつだと30~40万円くらい、安いもので2~3万円くらいなんですが、この製品にはそんなコンデンサマイクが1つついていると。さらに、そのマイクをつなぐオーディイオケーブルも入ってます。

 ケーブルはUR22mkII本体とマイクに差し込むだけですが、コンデンサマイクは48Vのファンタム電源が必要なんですね。UR22mkIIにはその電源も備えているので、背面のスイッチを押すと、電源が入ります。

若杉: 電源をオンにすると、本体前面の「+48V」の電源LEDが点きますね。

藤本: そうです。そして、マイクにも電源LEDがあって、オンになると青く光ります。

 あとは、業務用クラスのヘッドフォンもついてきます。

付属のヘッドフォン

藤本: ただ、この製品には1つ足りないものがあって、マイクを置くためのスタンドが入ってないんです。今回は若杉さんに1つ用意してもらったものを使います。これいくらでしたっけ?

若杉: 多分2,000円しないくらいだったと思います。

: マイクスタンドの形にマイクが対応しているんですか?

藤本: マイク用のネジの大きさが規格で決まっているので、大丈夫です。

ソフトは音声用の「WaveLab」と音楽用の「Cubase」が付属

藤本: で、ハードは揃ったわけですが、もちろん録音にはソフトが必要です。ソフトにもいろんな種類があって、かつ声を録るのと、音楽を作るのとでもソフトが変わってきます。

 たとえば、やろうと思えば、声を録音するソフトでアカペラの録音もできます。でも、ちゃんとやるとなると、リードボーカルにコーラスを重ねたり、あるいは録音時にクリックを流したり、そして歌ったものを聞きながらさらに重ねていくとなるとマルチトラックに対応する音楽作成ソフトが必要です。

 で、このRecording Packのいいところは、その両方のソフトが付属しているんです。音楽用は「Cubase」がついてます。

若杉: 定番ですね。

藤本: 今国内シェアはトップだと思います。MCなど音声用には「WaveLab」というソフトがついています。両方、「LE」とか「AI」がつく簡易版なんですが、普通の人にとっては、これでも十分すぎる機能が搭載されています。これだけついてこの値段はなかなかお買い得だなと。

若杉: ソフトはプロのミュージシャンが業務で使っているレベルのものですよね。

藤本: そうですね、プロの人が問題なくレコーディングに使っていたりします。製品版との大きな違いの1つとしては、トラック数が少ない点ですね。

若杉: たしか24トラック(Pro版は無制限)までだったと思います。

藤本: それだけ使えれば、普通は十分です。

実際に録音

藤本: では、まずWaveLabで音を録りつつ、iPhoneとどれくらい違うのかを聞き比べてみたいと思います。

 WaveLabを起動したら、録音状態にします。これで、録音のレベルチェックをします。マイク入力が適切なのを確認したら録音しますが、今回はコンデンサマイクと同じ場所にiPhoneを置いて、両方で同時に録音してみます。

若杉: では、まずiPhoneにヘッドフォンをつないで聞いてもらい、次にコンデンサマイクを使ってWaveLabで録音したものをUR22mkII経由で訊いてもらいましょう。

: 全然違いますね(笑)。音の聞きやすさとか、拾ってる感じが全然違いますね。

藤本: このコンデンサマイクは口径が大きいけど、iPhoneのはすごく小さいので変わってきますね。

 でも、これがこの製品の実力かというと、そんなことはありません。今はまだ素材を用意しただけの状態です。WaveLabの波形を見てもらうと、音量が小さいんですね。この音量を上げてやるともっと良い音で聞こえてくるんです。

 やり方はいろいろあるんですが、一番便利なのは「ノーマライズ」で、ボタンを押すと波形が大きくなります。

若杉: 1クリックだけの作業ですね。

録音した直後の波形
ノーマライズをかけたところ

藤本: これでもう1度聞いてもらいましょう。

: 大きくなりました!

藤本: こんな感じで音量調整できるのは、当たり前ではあるんですが、CDの音質が16bit/44.1kHzなのに対し、WaveLabは24bit/96kHzなどで録音可能なので、波形を調整して音量をがっと上げても、音質が落ちないんです。

 あとは、実際なら、最初と最後の余分なところはカットしたり、あるいはフェードイン/フェードアウトなんかもワンタッチでできます。

 もう1つ試してみましょう。今は、頭の位置を固定して話してもらったので、比較的均一な音量で録れてます。次はマイクからの距離を大きく変えながら話してみてもらいます。

 これをそのままの状態で聞くと、もちろんマイクからの距離が遠いと、波形が小さく、音量も小さいですよね。これをそのままノーマライズすると、全体的に均一に大きくなるだけです。これを均一にすることもできます。

: へー。

藤本: そこで使うのが、コンプレッサーというものです。画面右にエフェクトというラックがあるので、ここでSteinbergのDynamic Compressorを選びます。コンプレッサーとは「圧縮」という意味なんですが、何を圧縮しているかというと、出過ぎている音を抑えて、足りない部分を持ち上げて圧縮することで、音量を均一化するんです。今回は、小さいところはそのままで、音量の大きいところを全部下げてみます。

 この状態でファイルの書き出しをすると、全体的に波形は小さくなってるけど、ある程度均一化されてます。この状態でさっきのノーマライズをかけると、まだ多少は音量差は残ってるけど、最初より均一になってると思います。

: あ、そうですね。

藤本: 今のは単純なデモですが、設定次第で、マイクから離れてもまったく音量を変えなくすることもできます。

 今回紹介したのはWaveLabのたくさんある機能の中のごくごく一部ですが、面白さはわかってもらえたかと思います。

若杉: 勝又さんの場合だと、自宅でボイスサンプルを作るとして、マイクの距離はあんまり変わらないと思うけど、声の大きさは変わるかもしれないので、コンプレッサーを軽くかけて、ノーマライズだけすれば、そこそこ良い音量レベルで録音できるということですね。

藤本: そうです。あるいは、そのボイスサンプルを渡す相手がプロなら、素材に何もしないで渡して、処理はその人に任せるというのもありです。

 もう少し、きれいな音源が欲しいと言われる場合は、今のような処理だけをしておけば、それをWAVにでもMP3にでも書き出せるので、それを渡せば大丈夫です。

若杉: とは言え、ナレーションとか声を録音する状況って、一般の人にはあまりないと思います。でも、最近はネットで配信をする人が増えてきました。たとえば、ゲームをやりつつ、そのBGMや効果音と一緒に、「あ、やられた!」なんて自分のしゃべりも重ねて配信している人もいますね。そういう時にも、ある程度良いマイクを使わないと、聞いている人が不快になることもあり、視聴者が離れる原因にもなりかねません。

 ので、ある程度本格的に配信をやるなら、UR22mkII Recording Packのような機材を揃えるべきだと思いますね。

藤本: それについて補足すると、UR22mkIIは、ループバック機能を持っているので、PCで鳴らしているゲームの音だったり、歌ってみたならカラオケのBGMを配信と一緒に、自分の声も流せるんです。これがPCだけだと、ゲームの音やBGMは配信に載らないんので、ミキサーを用意してと、面倒になるんですが、UR22mkIIなら、これ1つでループバックができるんです。ので、配信にもうってつけですね。

(後編に続く)

Amazon.co.jpで購入

勝又 楓

MC・タレント。平成5年生まれ。静岡県出身。 学生時代の朗読経験とミスコン出場の経験を経て、MC・タレントとして活動中。 最近の夢は、スマートフォンを2台持ちすること。

プロフィールサイト

藤本 健