石井英男のデジタル探検隊
明治神宮球場にテントを張って家族でキャンプ
~NECとレノボのタブレットが活躍した「TOKYO HOME TOWN! 2015」体験記
(2015/9/8 06:00)
NECレノボ・ジャパングループは、ここ数年、海の家の運営やダンスミュージックイベントのメインスポンサー契約など、若者に対する同社のプレゼンスを高める施策を積極的に行なっている。その一環として、東京ヤクルトスワローズが開催する親子向けイベント「スタジアムキャンプ」をサポートしている。NECレノボ・ジャパングループ(以下NECレノボ)のサポートは、1家族に2台ずつタブレットを貸し出し、さまざまな場面で活用してもらおうというものだ。
NECレノボが、スタジアムキャンプのサポートを開始したのは去年(2014年)からだが、今年(2015年)は、テントの張り方やご飯の炊き方などの動画をあらかじめタブレットに入れておいてマニュアル代わりに使ったり、Google SkyMapを活用して夜に天体観測を行なうなど、より充実した内容となっている。筆者もスタジアムキャンプ2015に参加し、スタジアムでのテント泊を含む、全てのプログラムを体験したので、その様子をレポートする。
東日本大震災以降、「防災」と「家族の絆」を意識
このスタジアムキャンプは、東京ヤクルトスワローズ(以下ヤクルト)が「東京が故郷になる」をテーマに2007年から開催しているもので、今回で5回目となる。2011年の東日本大震災以降、「防災」と「家族の絆」も強く意識したプログラムが組まれており、NECレノボもそうした意義に共感して、サポートを決めたのだという。
今回の「スタジアムキャンプ ~TOKYO HOME TOWN! 2015」(以下スタジアムキャンプ2015)は、8月13日から8月14日という日程で開催された。場所は、ヤクルトのホームスタジアムである明治神宮野球場であり、参加資格は1組6名までの親子であり(未就学児童は参加不可)、抽選で約60組の家族が選ばれた。競争率は10倍程度と非常に人気があるイベントであり、去年も応募したが外れて、今年再チャレンジして当選したという家族もいた。参加者のほとんどが熱心なヤクルトファンであり、関東以外から参加している家族も多かった。
1日目の集合時間は13時であり、参加者は受付を済ませると、内野席2Fに荷物を置き、グラウンドに集合した。開会式では、株式会社ヤクルト球団の鳥居義道氏がまず開会宣言を行ない、続いてNECパーソナルコンピュータの浅井裕介氏が、災害時にはタブレットが役に立つと説明した。参加者は受付時に、レノボの「YOGA Tablet 2」とNECの「LaVie Tab S」を1家族につき1台ずつ、合計2台貸し出された。
浅井氏は、そのタブレットを使って、キャンプ中の写真や動画を撮影したり、この後に家族で挑戦するアウトドアでのご飯の炊き方やテントの張り方の解説の動画を見ることができるので、存分に活用して欲しいと語った。その後、今回のキャンプの隊長を務める、株式会社ヒーロー代表である新保孝三氏が、キャンプならではの不自由さを楽しんで欲しいと挨拶した。ヒーローは、手ぶらでバーベキューなどの事業を行なっている会社であり、毎年、スタジアムキャンプの運営を支えている。
ヤクルトOBのギャオス内藤さんと宇佐美さんによるキャッチボール教室が開催
スタジアムキャンプの参加者は約60家族だが、10~12家族ずつ、1丁目から5丁目までのチームに分けられた。各チームをまとめるチームリーダーが紹介された後、登場したのはヤクルトOBのギャオス内藤さんと宇佐美さんだ。もちろん、ヤクルトファンの参加者は大きな歓声で2人を迎え、子供たちも大喜びであった。ギャオス内藤さんと宇佐美さんは、親子キャッチボール教室のコーチとして招かれており、まず、ギャオス内藤さんが正しいボールの握り方や足の踏み込み方、腕の振り下ろし方など、ボール投げの基本を解説した。
1日目は天候が不安定で時折小雨がぱらつくような天気だったので、予定を変更して、先に全員での記念撮影が行なわれ、その後、親子でのキャッチボールが始まった。ギャオス内藤さんと宇佐美さんは、キャッチボールをしている親子の間を回って、アドバイスをしていた。
キャッチボールの後は、ギャオス内藤さんと宇佐美さんのノックを受ける練習が始まった。元プロ野球選手にノックしてもらうというのは、貴重な経験であろう。少年野球をやっている子だと思われるが、見事な守備と返球を見せる子もいた。子どもがノックを受けている様子を貸し出されたタブレットで撮影している親も多かった。
ベンチや記者室、記者席など、普段立入禁止の場所に入れる
スタジアムキャンプは、ヤクルトが主催しているので、普段は関係者以外立入禁止の場所に入れることも魅力だ。プロ野球選手や監督たちが座るベンチはもちろん、スポーツ新聞などの記者が座って速報記事を書く、記者席や記者室も開放されており、ちょっとした社会科見学のようであった。記者室は、エアコンが効いており、休憩所としても使われていた。記者室には、NECやレノボの最新PCが並んだタッチ&トライコーナーも設けられていたほか、貸し出したタブレットの充電場所ともなっていた。また、2日目の午後には、「THE学」と題したタブレットの活用講座が行なわれたのだが、記者室はその受付場所にもなっていた。
チーム対抗ストラックアウト大会で盛り上がる
ノック練習の後は、チーム対抗のストラックアウト大会が行なわれた。小さい子は手前のラインから、大きい子は後ろのラインからボールを順番に的に向かって投げていく。優勝は5チーム中唯一全部抜きを実現した3丁目チームであり、3丁目チームに属する家族は、望遠カメラのスーパーカラービジョン映像をバックに家族写真を撮影してもらうという栄誉を得た。
ジップロックでご飯が炊ける!? キャンプ場でも便利なジップロックご飯
一通り身体を動かすプログラムが終了したら、次は夕食の準備だ。いったん球場の外に出て、ヒーローのスタッフからご飯の炊き方のレクチャーを受ける。アウトドアでご飯を炊くなら飯ごうなどを使うのがメジャーだが、今回はなんとジップロックでご飯を炊くという。ジップロックご飯の炊き方は簡単で、まず、ジップロックに米1合と水(ミネラルウォーター)を入れ、チャックを閉じる。次に大鍋でお湯を沸かし、米と水が入ったジップロックを中に入れて20分ほどゆでる。20分経ったら、ジップロックを取り出して、チャックを開けて数分蒸らせばOKだ。この炊き方のポイントは、鍋で沸かすお湯は、綺麗な水である必要はないということだ。鍋のお湯が直接お米に触れることはないので、川の水をそのまま使っても問題ない。
また、翌日の朝食は1分パスタを作る予定になっていたが、その準備も合わせて行なった。こちらの準備も簡単で、人数分のパスタを大きめのジップロックに入れて、水を適量入れれば完了だ。
外野席上段で豪華なバーベキューに舌鼓!
ご飯が炊けたら、コンロのスタンドを畳んで、スタンドと炊けたご飯を持って、再び野球場に入る。外野席上段には、ホワイトガソリンを燃料として使うコンロがぐるりと設置されており、テーブルも準備されていた。人数分のバーベキューの具材が配布されたが、牛肉はステーキのような厚さで、豚肉も大きく、なかなか豪華であった。各自、肉や野菜を焼いて、塩や胡椒、醤油で味付けをし、先ほどジップロックで炊いたご飯と一緒に皿に盛り付ければ、豪華なディナーの出来上がりだ。外野席スタンドも開放されており、家族が集まって夕食を食べている姿は、とても楽しそうであった。
筆者もジップロックご飯とバーベキューをいただいたが、バーベキューもご飯もとても美味しかった。ジップロックご飯は、袋に入れたまま、塩やふりかけなどをかけて食べることもできるので、無駄な荷物を減らしたいアウトドアには最適だ。
1日目のメインイベント、家族が協力してのテント張り
夕食が終わったら、再びグラウンドに荷物を持って移動を開始した。1日目のメインイベントとも言える、グラウンドでのテント張りだ。これまでテントを張った経験がないという参加者が多かったが、ヒーローのスタッフがスーパーカラービジョンを使って、丁寧にテントの張り方を解説してくれたので、どの家族も無事にテントを張ることができた。
前述したように、貸し出されたタブレットの中には、ジップロックご飯の炊き方やテントの張り方の動画が入っており、分かりづらかったところはタブレットを見ながらテントを張っている家族もいた。自分達のテントだということが分かるように、テントの入口には、家族で書いた表札が貼られた。なお、通常はテントの固定にペグを使うが、グラウンドにペグは打てないので、ウォーターウェイトを使ってテントを固定した。
テント張りが完了したら、1人につき3本ずつ500mLのミネラルウォーターが配られた。ミネラルウォーターに名前のタグを付けて、冷やすためにどぶづけの中に入れた。
恐怖の肝試しとお風呂タイム、天体観測は雲が多くて残念
テントを張り終えたら、お風呂の時間だ。各チーム毎に順番にお風呂に入るのだが、野球場の中にお風呂があるとは思ってなかった。お風呂は秘密の場所にあり、プロ野球選手も使っているとのことだ。お風呂と並行して、スタジアムの通路を使った肝試し大会が行なわれた。キャンプ参加者と関係者以外はいないスタジアムの夜の通路は、はっきりいってかなり不気味だ。ちゃんとメイクをしたお化け役の役者が何人も配置されており、あちこちから悲鳴が聞こえていたが、最後まで進むと「勇気のしるし」を手に入れることができる。この勇気のしるしを持っていると、後でいいことがあるのだ。
最後は、消灯式と天体観測だ。再び浅井氏が登場し、タブレットにインストールされているGoogle SkyMapの使い方を説明した。ナイターの照明が付いていると、グラウンド上はかなり明るいのだが、照明を消すとあたりは闇に包まれる。晴れていれば、カシオペア座流星群の流星も見られたかもしれないのだが、残念ながら雲が多く、雲の切れ間からいくつかの星が見える程度であった。寝る前に、貸し出されたタブレットを記者室に持って行き、ACアダプタに接続して充電するようにアナウンスされており、各自、タブレットの充電を行なっていた。
2日目の朝、マスコットキャラクターの「つば九郎」も登場
2日目の朝が来た。筆者も、報道陣用に用意されたテントに泊まったのだが、今年は去年に比べるとかなり気温が下がっていたとのことで、思ったよりも快適であった。早朝に多少雨が降ったが、起きる頃には止んでいた。
起床時間は午前6時だが、時間になっても寝ている家族もいた。そこに登場したのが、ヤクルトのマスコットキャラクター「つば九郎」だ。まだ寝ている家族のテントを覗き込んだり、中に倒れ込んだりして、強引に起こして回っていた。当然、つば九郎は子供たちに大人気で、後をついて回っていた。
全員起床したら、つば九郎と一緒のラジオ体操が始まった。ラジオ体操が終わると、子供たちがつば九郎を取り囲んで、タブレットで写真を撮影していた。
朝食は1分ゆでるだけの1分パスタ
ラジオ体操が終わったら、再び外野席上段に移動して朝食の準備だ。朝食はパスタをゆでるのだが、一晩水につけたパスタは水を吸って生麺のように柔らかくなっており、通常なら10分程度ゆでる必要があるパスタも、わずか1分ゆでるだけで食べられる。燃料を節約できるので、こちらもアウトドア向きの調理法だ。パスタをゆでたら、ミートソース(こちらは作るのではなく既に調理済みのものが配られた)をかけて食べる。サラダ代わりに、新鮮なトマトとキュウリも配られ、1日目の夕食と同様に外野席の思い思いの場所に座って、朝食をとった。1分パスタは、アルデンテからはほど遠く、給食にでてきたソフト麺のような食感であったが、十分美味しかった。
テントを片付けて、為替を遊びながら学ぶ
朝食が終わったら、テントの片付け作業だ。まず、テントを固定していたウォーターウェイトを外して、指定された置き場所まで運ぶ。次に、テントの床に敷いていたウレタンシートを畳んで返却する。テントの畳み方もスタッフがスーパーカラービジョンを使って丁寧に説明してくれたので、テントを畳むのが初めてという家族も元通りに収納用バッグにしまうことができた。
次に行なわれたのが「遊んで学ぼう」というプログラムだ。これは遊びながら為替に詳しくなろうというもので、まず円高と円安について、ホワイトボードを使って説明が行なわれた。その後、1家族につき1万燕札が10枚ずつ、合計10万燕が配られた。もちろん、本物のお金ではなく、このイベントのために作られたお金だが、なかなか凝ったデザインで、本来はプログラム終了後は回収する予定だったが、記念に欲しいという参加者も多く、希望者は持って帰ることができた。
このプログラムも、各チームでの対抗戦となった。ルールは簡単で、グラウンドの外野に、為替レートが書かれた紙が入った封筒がばらまかれているので、その封筒を子供たちが走って取ってくる。各チームには両替所が設けられており、燕をドルに換えることができる。1回に両替できる燕は、最低1万燕、最高5万燕と決められており、為替レートが悪いからといって、お金を全く両替しないということはできない。
また、両替のチャンスは3回までで、その3回で10万燕を全て両替しないといけない。両替によって得たドルの額を競うゲームなのだ。要するに、1ドル=80燕のような燕高の時に多く両替し、1ドル=130燕といった円安の時には両替を少なくすればいいのだが、封筒を開けられるのは両替所で両替をする時だけなので、なかなか難しい。
両替が終わったら、チームリーダーがチームが得たドルを全て集めて、平均を算出する。その平均で順位が決まるのだが、ストラックアウト大会に続き、両替ゲームも3丁目チームが優勝した。3丁目チームには、賞品として1家族に1台、ヤクルト特製双眼鏡がプレゼントされた。
昼食を食べて解散式
最後にまた全員で記念撮影を行ない、その後、希望者には同日夜に行なわれるヤクルトスワローズ v.s. 阪神タイガース戦の試合チケットが配布された。グラウンドでのイベントはこれで終わりで、参加者は荷物を内野席2Fまで運び、野球場外でヒーローが調理したカレーを受け取り、昼食をとった。カレーは食べ終わった後の容器を持って行けば、お代わりし放題で、3杯も4杯も食べている人もいた。
昼食後、解散式が行なわれた。まず、鳥居氏が「キャンプ楽しかった人?」と訊いたところ、ほぼ全員が手を挙げた。続いて抽選会が始まった。1日目の夜の肝試しをクリアして、勇気のしるしをゲットした家族のみが抽選の対象となったのだが、賞品はメロンやバザールでござーるぬいぐるみ、レノボとNECのタブレットが1台ずつなど、なかなか豪華であった。最後に、隊長である新保氏が締めの挨拶を行ない、今後もキャンプやアウトドアに関心を持って欲しいと語った。
NECレノボが主催したタブレット活用講座「THE学」にも多くの家族が参加
野球場でのプログラムはこれで終了だが、追加プログラムとしてNECレノボが主催する「THE学」が行なわれた。このプログラムは、希望者のみ参加というものだが、過半数の家族が参加していた。THE学は、野球場から歩いて10分程度の「聖徳記念絵画館」の中で開催された。
THE学の受付開始時間まで1時間程度の時間があったが、その間、スタッフ数名は必死に、参加者に貸し出していたタブレットで撮影された写真や動画のデータをUSBメモリにコピーする作業を行なっていた。THE学の終わりにUSBメモリを手渡せるように、この作業はTHE学に参加される家族が優先されていた(THE学に参加されなかった家族へは後日USBメモリが郵送される)。タブレットは1家族に2台貸し出されていたため、USBメモリも1家族に2本ずつとなる。
THE学の会場内には、「LAVIE Hybrid ZEROの重さ当てクイズコーナー」、「RealSense体験コーナー」、「記念写真撮影コーナー」の3つのタッチ&トライコーナーが用意されており、子供たちにも好評であった。
THE学のメインイベントは、タブレットを活用して自分の居場所が分からなくなってしまった怪我人を救助するというもので、チームリーダーの1人であるエビちゃんが怪我人役を演じていた。怪我人と救助に向かった司会者、会場内は、互いにGoogleハングアウトのビデオチャット機能で繋がれており、怪我人からの情報を元に、GoogleマップやGoogleを活用して怪我人の場所を推測し、救助者に伝えていく。怪我人からの情報が断片的で、最初はなかなか居場所が分からなかったが、なんとか怪我人の位置を特定し、無事に怪我人を助け出すことができた。浅井氏は、災害時に携帯の音声通話が繋がりづらくなった場合でも、データ通信は利用できることが多いことを解説し、その場合、こうしたビデオチャットなどでコミュニケーションが取れる可能性があると語った。
THE学の参加者には、お土産として自分達がタブレットを使って撮影した写真や動画のデータが入ったUSBメモリが2本渡され、27時間近くに及ぶ全プログラムが終了した。参加者に話をきいてみたところ、「普段はなかなかできない経験ができ、子どもとの夏休みのいい思い出になった」と満足した様子であった。
スタジアムキャンプは、競争率約10倍という人気のイベントであるが、来年以降も開催される予定である。熱心なヤクルトファンはもちろんのこと、明治神宮野球場の裏側を見てみたいという家族は、是非来年応募してみてはいかがだろうか。