石井英男のデジタル探検隊
超小型BLEロボットコアデバイスの第4世代モデル「bCore4」が登場!
~ミニ四駆や有線リモコン付き模型などを簡単に無線化できるロボットの素
2022年6月14日 06:23
本連載も久しぶりの更新となるが、面白そうなデバイスを見付けたので、早速入手して試してみた。そのデバイスとは、Vagabond Workこと山本隆司氏が開発した超小型Bleutooth LE(BLE)ロボットコアデバイス「bCore4」である。山本氏は、2015年からbCoreシリーズを開発してきたが、ここで紹介するbCore4はその第4世代となる製品であり、これまでの経験を元に、さらに使いやすく便利なデバイスへと進化している。
第4世代モデルの進化点
bCoreシリーズとは簡単に言えば、サーボモーターや模型用モーター、LEDをBLE経由でスマートフォンなどから操作可能にする超小型デバイスだ。技適取得のBLEモジュールを搭載しているので、日本国内での利用も問題はない。iOS/Android/Windows対応の操作用アプリが無償でダウンロードできるほか、仕様も公開されているので独自アプリの開発も可能という、魅力的なデバイスである。
bCoreを使えば、元々有線リモコンで操作していた玩具や模型、ミニ四駆などを簡単に無線操縦対応に進化させられるほか、本来は動かないプラモデルにサーボモーターなどを組み込み、可動させることなどもできる。さらに、bCoreにあわせて一から筐体を設計したロボットを作ったり、アイデア次第でさまざまな活用が可能だ。いわば、ドラえもんのひみつ道具「ロボットのもとー!」みたいなデバイスであり、小学生の夏休み工作にもおすすめだ。
bCore4は現在、kibidangoでクラウドファンディングが行なわれている。クラウドファンディングは6月16日までだが、すでに目標額の3倍を超えているだけでなく、サポーターへの発送も開始されている。クラウドファンディングでは、資金が貯まってから量産開始予定としていたが、量産でトラブルが生じて、発送が予定より1年以上遅れるということもよくありがちだが(筆者も何度かそういう目にあっている)、bCore4は、すでに2次生産品の222個がすでに完成済みで、順次発送を行なっているので、そうした心配はない。
実は、本連載でも過去に一度bCoreシリーズを取り上げている。2016年8月の記事で、そのときのbCoreのバージョンは1.10である。bCore 1.10は2015年7月に誕生した初代bCoreのマイナーチェンジバージョンであり、基板の部品がむき出しで、サーボモーターやLED、電源などを接続するコネクタもやや特殊な1.25mmピッチのものが使われていた。
2016年12月に登場したbCore2では、取り扱いを簡単にするため、一般的に使われている2.54mmピッチのピンヘッダにコネクタが変更されたほか、制御できるLEDの数が4個(bCore 1.0/1.1では1個)に増えた。
その後、ミニ四駆向け派生モデルのbCoreMXの登場を経て、2019年9月には樹脂外装が付き、LED電流の駆動力が強化されたbCore3が登場。今回登場した最新モデルbCore4は、bCore3からさらに小型化されただけでなく、モーターの駆動能力が1.5Aから2A(瞬間最大2.5A)に強化、LEDの駆動能力も最大40mA(4ポート合計40mA)までアップされた。さらに、BLEモジュールも新型になり、より省電力で電波感度が向上している。
bCore4でできること
bCore4で制御できるデバイスは以下の通りだ。
- 模型用モーター×2(回転速度や方向を制御できる)
- 小型サーボモーター×4(保持位置を制御できる)
- LED×4(点灯/消灯を切り換えられる)
また、利用可能な電源が幅広いこともうれしい。電源入力電圧は1.8V~5.5Vなので、アルカリ乾電池2~3本直列、ニッケル水素電池2~4本直列、リチウムポリマー/リチウムフェライト1セルなどが利用できる。電源電圧をスマートフォンなどから確認できる機能もある。
bCore4のサイズは29.6×13.2×3.0mm(ピンヘッダ等含まず)と非常にコンパクトだ。このサイズなら、プラモデルや模型などにも楽に組み込めるだろう。
タミヤの「ツイストクローラー工作セット」をBLEロボット化してみた
前回のレビューでは当時小学生だった娘と息子に適当に工作させたものをbCoreで制御してみたが、今回は、タミヤから発売されている「ツイストクローラー工作セット(2chリモコン)」をbCore4によってBLEデバイス化することにした。ツイストクローラー工作セットには、もともと有線の2chリモコンボックスが付属しており、有線で操ることができるのだが、有線リモコンでは線が邪魔になりやすい。bCore4でBLEロボット化すれば、線に煩わされずに自由に操縦できるわけだ。
まず、説明書通りにツイストクローラー工作セットを組み立てる。パーツが結構多いので、割と時間がかかるが、ゆっくりやれば小学生でも十分組み立てはできるだろう。完成したら、動作を確認する。
ツイストクローラーは、その名の通り、両側にある5角形のクローラーがシーソーのようにツイスト可動する仕組みになっており、通常の車輪では乗り越えられないような大きな段差も楽に乗り越えられることが特徴だ。災害時に瓦礫の中で活躍するレスキューロボットでも似たようなものがあるが、ガンガン障害物を走破していく様子はなかなか楽しい。
付属の2chリモコンボックスでは、左右のモーターの正転と逆転の操作ができるので、左右のクローラーを同時に逆方向に動かすことで、その場での急速旋回(超信地旋回)なども可能だ。
工作キットへのbCore4の組み込みは簡単
ツイストクローラーの動作を確認できたら、早速bCore4を組み込んでみる。もともと、ツイストクローラーの本体側には電池が搭載されておらず、リモコンボックス側から電源が供給される仕組みになっているが、bCore4を搭載するなら電池も一緒に搭載する必要がある。ここでは、単4電池が3本はいる電池ボックス(スイッチ付き)を用意した。2.54mmピッチのコネクタ付き電池ボックスが販売されているので、それを使えばそのままbCore4の電源ピンに差し込むことができる。
配線はbCore4のモーター出力とツイストクローラーに搭載されている2つの模型用モーターを接続するだけで完了するのだが、モーターの回転方向(極性)には注意する必要がある。仮に接続して、スマートフォンから操作してみて、正しいか確認するのが確実だ。今回のツイストクローラーも、モーターが左右対称に搭載されているため、前進時のモーターの回転方向が逆になることに気をつけたい。
なお、モーターの極性が逆で思った方向と逆に回ってしまう場合は、アプリの下の『Mot1/2』を3回連続タップすると設定モード画面が開くので、そこでFlipをオンにしてやると、操作と回転方向が逆になるのではんだ付けをし直す必要はない。
モーターとの接続には、2.54mmピッチのコネクタ付きケーブルが必要になる。モーターをつなぐ場合は2ピンでいいのだが、手元に4ピンケーブルがあったので、それを流用することにした。極性が正しいことを確認したら、ハンダ付けなどをして線が外れないよう固定し、ビニールテープなどで絶縁する。
bCore4と電池ボックスのツイストクローラーへの固定だが、ここでは手軽に両面テープとマジックテープ(面ファスナー)を使うことにした。両面テープでbCore4を電池ボックスに固定し、さらに電池ボックスをマジックテープでツイストクローラーの前側に取り付けた。
PlayStation 4の純正コントローラからも操縦可能
ツイストクローラー本体の組み立てには数時間かかったのだが、bCore4の組み込みは10分もかからなかった。次は、スマートフォン用アプリの準備だ。アプリの使い方もとても簡単で、bCoreの電源を入れた状態でアプリを起動すると、自動的にbCoreの検索が行なわれ、bCoreのIDが表示される。その見つかったbCoreのIDをタップするだけでペアリングが完了し、操縦できるようになる。
操縦も直感的で、画面に表示されるスライダーを上下に動かすことで、モーターを操ることができる。ツイストクローラーに付属の2chリモコンボックスでは、正転と逆転の操作しかできず、速度の調整はできなかったが、bCore4を使えばモーターの回転数を制御することもできるので、ツイストクローラーをゆっくり進ませるといった操縦も可能だ。
さらに、最近のアプリバージョンアップにより、PlayStation 4の純正コントローラで操縦することも可能になった。iPhoneとPlayStation 4の純正コントローラのペアリングを行なった状態でbDriver2を起動すると、自動的に純正コントローラからの操作が優先になる。
bCore4によりBLEロボット化されたツイストクローラーだが、操作可能な範囲も広がり邪魔なケーブルに煩わされることもなくなったので、より快適に操縦できるようになった。
AppleWatchからの操作も可能に
さらに5月29日には、Apple Watch用アプリ「bDriverW」がリリースされ、スマートフォンと同様にApple Watchから操縦ができるようになった。筆者はApple Watchを持っていないので、残念ながら実際に試すことはできなかったが、腕時計でロボットを操縦できるというのは、往年のロボットアニメファンには魅力的であろう。
最初に紹介したように、bCore4は現在クラウドファンディング受付中である。終了まではあと数日しかないが、誰にでも簡単に使える面白いデバイスであり、アイデア次第でいろんなことができる。興味を持った人は是非サポーターになってみてはいかがだろうか。