日本エイサー 「ICONIA TAB A500」
~安価なAndroid 3.0タブレット



日本エイサー「ICONIA TAB A500」

7月上旬~中旬 発売
価格:39,800円



 日本エイサーは、同社初のAndroid 3.0タブレット「ICONIA TAB A500」を発表した。基本的な仕様は、既に登場済みの他社製Android 3.0タブレットとほぼ同等だが、独自アプリを搭載することにより差別化を図るとともに、価格が39,800円とかなり安価に抑えられている点が大きな特徴だ。今回、いち早く評価機を試用する機会を得たので、スペック面の詳細や独自アプリなどを紹介していこう。

●スペックは他のAndroid 3.0タブレットとほぼ同等

 ではまず、ICONIA TAB A500のスペック面から確認していこう。OSは冒頭で紹介したとおり、Android 3.0を採用。プロセッサはNVIDIAのTegra 2 1GHzで、メモリは1GB。搭載液晶パネルは、1,280×800ドット表示対応の10.1型ワイドだ。先に登場したモトローラの「XOOM Wi-Fi TBi11M」とほぼ同等で、Android 3.0タブレットの標準的なスペックとなっている。内蔵ストレージは16GBと、XOOMやOptimus Padの半分に留まる。

 本体サイズは、260×177×13.3mm(幅×奥行き×高さ)。ほぼ同スペックのXOOMと比較すると、幅が11mm、奥行きが10mm、高さが0.4mm大きい。高さに関しては、XOOMと横に並べてもほぼ違いがわからない程度ではあるが、重ねてみると幅と奥行きがひとまわり大きいことがよくわかる。重量は、公称765g、実測では754gであった。XOOMの実測696gに対し58gほど重くなっているが、本体が一回り大きいこともあり、手にするとそれほど重さの違いは感じなかった。

 無線機能は、IEEE 802.11b/g/n対応の無線LANとBluetooth 2.1+EDRのみとなっており、3Gは非搭載。センサー類は、照度センサー、加速度センサー、ジャイロセンサー、電子コンパス、GPSを搭載する。また、タッチパネルは静電容量方式で、10点マルチタッチに対応している。

 カメラ機能は、本体裏面に約500万画素のメインカメラと、液晶面の左側に約200万画素のWebカメラを搭載。裏面のメインカメラにはLEDフラッシュも用意されている。メインカメラでは、静止画の撮影はもちろん、720pのHD動画も撮影可能。

 側面のポートおよびボタン類は、左側面に電源ボタンとヘッドフォン端子、Micro HDMI出力が、上部にボリュームボタンと画面回転ロックスイッチ、microSDカードスロットが、右側面にフルサイズのUSB 2.0コネクタとMicro USB Bコネクタ、電源コネクタがそれぞれ配置されている。

 上部のmicroSDカードスロットはカバーで覆われている。そして、このmicroSDカードスロットは、出荷時から利用可能となっている。実際に試用機に手持ちのmicroSDカードを取り付けて試してみたところ、問題なく認識し、利用可能であった。先発Android 3.0タブレットのXOOMにもmicroSDカードスロットが用意されているが、現時点でまだ利用不可能。それに対しICONIA TAB A500では、microSDカードスロットが標準で利用できるため、内蔵ストレージが16GBと少なくても、大きな問題はないと言っていいだろう。

 また、USB 2.0コネクタはUSBホスト端子で、USBメモリなどを利用可能となっている。こちらも、USBメモリを差してみたところ、問題なく利用できた。また、USBキーボードも同様に利用可能だった。Android 3.1では、USBマウスやUSBコントローラなど、利用可能なUSB周辺機器が増えているため、標準のUSBホストコネクタを備えている点は大きな利点となるはずだ。

 細かなところでは、ボリュームボタンの動作が、本体の向きに合わせて切り替わるようになっている点が好印象だった。例えば、横向きで利用している場合には、左がマイナス、右がプラスになるが、縦にすると上がプラスで下がマイナスに切り替わる。XOOMなど他のAndroidタブレットでは、ボリュームボタンの動作が固定で、本体の向きが変わると直感的に操作できない場合があるが、その点を改良しているのは嬉しい配慮だ。

モトローラのXOOM(左)との比較。幅・奥行きともにICONIA TAB A500が一回り大きい重ねてみると、XOOM(手前)とのサイズの違いがよくわかる高さは、ICONIA TAB A500がXOOMより0.4mm厚いが、横に並べてもほとんど差は感じられない
本体重量は、実測で754gと、XOOMより若干重い左側面。上部と下部が若干細くなっていることがわかる上部側面。microSDカードスロットを被うフタなどが見える。左右側面部はそれほど細くなっていない
右側面。側面のみカラーがブラックとなっている下部側面。中央に見える端子は、オプションのクレードルを接続するための専用端子だ裏面。中央にacerロゴが見えるが、デザインはシンプル。シルバーメタリックのヘアライン仕上げとなっている
裏面には、約500万画素のメインカメラを配置。上部にLEDフラッシュも搭載液晶パネル左側に、約200万画素のWebカメラを配置裏面下部の左右隅にステレオスピーカーを搭載している
左側面には、電源ボタン、ヘッドホン端子、Micro HDMI出力を用意充電中は、電源ボタンがオレンジ色に光る上部には、ボリュームボタンと、画面回転ロックスイッチを用意
上部のmicroSDカードスロットは、標準で動作するようになっている右側面には、フルサイズのUSB 2.0コネクタとMicro USB Bコネクタ、電源コネクタを用意USB 2.0コネクタはホスト端子で、USBメモリなどのUSB周辺機器を接続し利用できる
microSDカード、USBメモリとも、このように問題なく認識する付属のACアダプタは小型でかさばらないACアダプタのコネクタ部はユニバーサル仕様となっている
micro USBケーブルも付属しているオプションのクレードル。赤外線リモコンが付属し、メディア再生コントロールが可能背面のスタンドを利用し、2段階に角度を調節できる
スタンドを倒した状態クレードルには、電源端子とヘッドフォン出力端子が用意されているクレードルに本体を装着したところ

●独自アプリを多数用意

 ICONIA TAB A500は、ハード面こそ他のAndroid 3.0タブレットとほぼ同等だが、他の製品にはない特徴がある。それは、独自アプリが多数プリインストールされているという点だ。

 まず、「ICONIA MEDIA2U」だ。こちらは、音楽や動画のネット配信サービスにアクセスするためのアプリで、映画の予告編やアーティストのプロモーションビデオ、インタビュー動画などをストリーミング形式で楽しめる。実際に試用機で試したところでは、まだ発売前のためか再生できないコンテンツも多数存在したが、無料で楽しめるものもあり、コンテンツが充実すればかなり楽しめそうな印象だった。今後、エイサーユーザー向けに動画コンテンツを配信するスペシャルサイトを用意するようなので、活用の幅も広がるはずだ。

 次に、「clear.fi」。これは、ホームネットワークにつながっているPCや映像機器などに保存されている音楽や映像、電子書籍などのコンテンツを視聴したり共有したりするためのアプリだ。DLNAに準拠しており、DLNA準拠の機器と接続し、コンテンツを共有できる。実際に筆者の自宅LANに接続し試してみたところ、Windows Home Serverに保存してある写真や音楽、動画などのコンテンツにアクセスでき、簡単に再生できた。音楽や映像などのコンテンツを、ホームネットワーク上のサーバーやDLNA対応NASなどで管理している場合には、かなり便利に活用できるだろう。

 ソーシャルネットワークアプリ「ACER SocialJogger」もある。TwitterとFacebookの両方に対応するし、、双方を同じタイムラインで閲覧、リンクや写真などを抜き出して表示することも可能だ。画面右に表示されるジョグダイヤル風のUIで操作する点がおもしろい。

 電子書籍閲覧アプリ「LumiRead」も用意。英語やドイツ語などの電子書籍をダウンロードし閲覧できたが、日本語の電子書籍には対応していない。ただし、PDF形式のファイルにも対応するので、自炊したPDFファイルの閲覧などには利用できそうだ。

 さらに、日本語入力アプリとしてSimejiをプリインストールしているが、こちらは当初の間本製品限定で提供されるバージョンで、Android 3.0に最適化されている。

 こういったアプリが提供する機能は、独自のものでなくても実現可能だ。XOOMのような素の状態のタブレットは、自分でいろいろ試したいという人にとって魅力がある。ただ、一般ユーザーの多くは、購入時点で必要なアプリがインストールされ、すぐに利用できるという点に魅力を感じるはずだ。欲を言えば、独自アプリの日本語メニュー表示対応を増やしてもらいたいが、そのあたりは今後徐々に改良されることを期待したい。

標準のホーム画面。オリジナルアプリのアイコンが並んでいるICONIA MEDIA2Uでは、映画の予告編や音楽のプロモーションビデオ、アーティストのインタビュー動画などをストリーミングで楽しめるclear.fiでは、ホームネットワークに接続されている各種機器との間でメディアファイルの共有が可能
DLNA対応機器に保存されている静止画や動画、音楽ファイルなどを、ネットワーク経由で参照・再生できるSocialJoggerでは、TwitterとFacebookのタイムラインを閲覧可能。画面右のジョグダイヤル風のUIで操作する電子書籍閲覧アプリのLumiRead。電子書籍の管理や閲覧が行なえる
標準では、英語やドイツ語などの電子書籍のダウンロードに対応英語の電子書籍だけでなく、PDFファイルの表示も可能なので、自炊ファイルの閲覧にも利用可能だ日本語入力アプリとしてSimejiがプリインストールされている
Tegra 2に最適化されたゲームソフトも数本プリインストールされている

●約7.5時間のバッテリ駆動を確認

 ICONIA TAB A500には、容量24.1Whのリチウムポリマーバッテリーが内蔵され、HDビデオ再生時で約8時間のバッテリー駆動が可能とされている。そこで、実際にHD動画を用意して連続再生させ、バッテリ駆動時間を検証してみた。利用した動画ファイルは、解像度が1,920×1,080ドット、ビットレートが3MbpsのH.264ファイル(Baseline Profile)。バックライト輝度を最低に設定すると共に、無線LANとGPSをオン、Bluetoothをオフに設定してこの動画ファイルを連続再生させたところ、約7時間25分でシャットダウンとなった。同じ条件で測定したXOOMでは約10時間20分だった。XOOMより3時間ほど短いが、それでも1日は十分バッテリが持つと考えていいだろう。

 動作の快適度は、ハードウェアスペックがほぼ同等ということもあり、XOOMと比べて全く遜色がなかった。基本的に動作はスムーズで、アプリの起動でも待たされるという印象はほとんどない。もちろん、Flash Playerに対応しているので、Youtubeやニコニコ動画などの閲覧も全く問題ない。ちなみに、H.264形式のHD動画に関しては、やはりBaseline Profileのもののみが再生可能のようだ。標準搭載の動画再生アプリでは、Main ProfileやHigh ProfileのHD動画を再生させようとしても、再生不可能と表示され再生できなかった。このあたりは、他のAndroid 3.0タブレットと同等と考えていい。

 最後に、ベンチマークテストの結果を紹介しておこう。利用したベンチマークソフトはQuadrant Professional Editionで、比較としてXOOMとOptimus Padの結果を加えてある。結果を見ると、XOOMに対して若干結果が上回っているが、Optimus Padとの比較ではほぼ同等レベルだ。プロセッサやメモリなどのスペックがほぼ同等ということもあり、この結果は当然と言っていいだろう。

Quadrant Professional Edition総合
Quadrant Professional Edition詳細

●コストパフォーマンスに優れるAndroid 3.0タブレット

 ICONIA TAB A500は、先に発売されたOptimus PadやXOOMなどとほぼ同等のスペックを実現し、使用感もほぼ同等でありながら、microSDカードスロットが標準で利用できるようになっていたり、USB 2.0ホストポートが用意され、USBメモリやキーボードなどのUSB周辺機器をそのまま接続して利用できる点、オリジナルアプリがプリインストールされ、購入直後からさまざまな用途に活用できるようになっている点など、先行製品に対する優位点が見受けられる。

 しかも、それでいて価格が39,800円と、かなり安価になっている点は大きな魅力だ。サイズは若干大きく重量も重いが、価格を考えると十分に満足できるはず。とにかく、コストパフォーマンスに優れるAndroid 3.0タブレットとしてオススメしたい製品だ。

バックナンバー

(2011年 6月 15日)

[Text by 平澤 寿康]