Android 3.0搭載のスレート端末「Optimus Pad」



品名 LG ElectronicsのOptimus Pad(L-06C)
購入価格 79,800円
購入日 3月31日
使用期間 約1週間

「買い物山脈」は、編集部員やライター氏などが実際に購入したもの、使ってみたものについて、語るコーナーです。

 NTTドコモは3月31日、LG Electronics製のスレート型タブレットデバイスとなる「Optimus Pad(L-06C)」の販売を開始した。Optimus Padは、2月にスペインで行なわれたMWC(Mobile World Congress)で発表された製品で、Googleの携帯機器向けOS最新版となる“Honeycomb”(ハニカム、開発コードネーム)こと、Android 3.0を搭載している。

 本レポートでは、筆者が実際に購入したOptimus Padを利用して、Android 3.0の新機能やOptimus Padの使い勝手、さらには従来機種とのベンチマークによる性能比較などについて触れていきたい。

●Android 3.0を搭載した製品として、日本で一番最初に販売開始されたOptimus Pad

 Optimus Padは、いわゆるスレート型のタブレット端末で、OSとしてGoogleのAndroid 3.0を採用している。こうしたスレート型タブレット端末は、古くはMicrosoftがWindows OSで何度かチャレンジしてきたのだが、企業の特定用途向けの製品を除くと、ことごとく失敗してきた。しかし、2010年Appleが、iOSを採用したiPadを投入すると、大きな話題となり、一定の成功を収めた。

 スマートフォン市場でAndroidを採用している携帯端末メーカーも、iPadのこうした成功を横目に見るだけでなく、実際に対抗製品をリリースしている。その代表例は、韓国のSamsung ElectronicsがリリースしたGALAXY Tabだろう。日本では昨年(2010年)末からNTTドコモ SC-01Cとして販売が開始されたGALAXY Tabだが、実のところスレート型タブレットという側面と、スマートフォンという側面の両方を持っていた。というのも、本製品はタブレットでありながら、音声通話をすることが可能になっていたからだ。

【お詫びと訂正】 初出時にGALAXY Tabは単体で通話不可能としておりましたが、実際には可能です。お詫びして訂正させて頂きます。

MotorolaのXOOM、KDDI(au)から4月に販売開始される予定

 もう1つの要因はOSにもある。GALAXY Tabは、OSとしてAndroid 2.2(Foryo)を採用しているのだが、もともとAndroid 2.2はスマートフォン向けのOSとして開発された経緯もあり、解像度が高いタブレットなどを意識して作られていない。この点も、スレート型タブレットとスマートフォンの間を埋める製品の色を強くしている。

 そうした意味で、Androidベースのタブレットとして本命視されていたのは、開発コードネームHoneycombで知られるAndroid 3.0だった。1月に米国で開催されたInternational CESでは、MotorolaのXOOM(ズーム)やASUSのEee Padシリーズなどが発表され、2月にスペインで行なわれたMWCでは今回の主役であるOptimus Pad、SamusngのGALAXY Tab 10.1などが発表された。

 今回取り上げるOptimus Padは、そうしたAndroid 3.0対応タブレットとしては、日本で一番最初に販売が開始された製品となる。


【表1】Optimus Pad、XOOM、GALAXY Tab、iPad2の各スペック

Optimus Pad(L-06C) XOOM Wi-Fi(Tbi11M) GALAXY Tab(SC-01C) iPad2
プロセッサ NVIDIA Tegra 250/1GHz NVIDIA Tegra 250/1GHz Samsung S5PC110/1GHz Apple A5/1GHz
内蔵ストレージ 32GB 32GB 16GB 16/32/64GB
外部ストレージ - microSDHC(最大32GB) microSDHC(最大32GB) -
ディスプレイ 8.9型(1,280×768ドット) 10.1型(1,280×800ドット) 7型(1,024×600ドット) 9.7型(1,024×768ドット)
ネットワーク 3G HSPA+/GSM - HSDPA/GSM HSDPA/GSM(3Gモデルのみ)
無線LAN IEEE 802.11b/g/n IEEE 802.11b/g/n IEEE 802.11b/g/n IEEE 802.11a/b/g/n
Bluetooth Bluetooth 3.0 Bluetooth 2.1+EDR Bluetooth 3.0 Bluetooth 2.1+EDR
内蔵カメラ リア500万画素×2フロント120万画素 リア500万画素/フロント200万画素 リア320万画素/フロント130万画素 リア720p/フロントVGA
バッテリ 6,400mAh 未公表 未公表 25Wh
OS Android 3.0 Android 3.0 Android 2.2 iOS 4.3
サイズ(幅×奥行き×高さ) 194.4×243×12.8mm 167×249×12.9mm 120×190×12.1mm 185.7×241.2×8.8mm
重量 625g 約700g 384g 613g(3Gモデル)

●販売価格は8万円弱で、2年間の継続利用で実質負担金は33,600円

 今回筆者が購入したOptimus Padは、NTTドコモからL-06Cの型番で販売されている端末になる。購入はヨドバシカメラで、価格は本体価格81,375円だが、spモードとパケット割引に加入することで、1,050円引かれ、さらに溜まっていたドコモポイントを500円分利用すると79,800円となった。なお、NTTドコモは今年の春モデルから端末代金を購入時に割り引く方式から、月々の料金から割り引く形になっており、ヨドバシカメラで新規契約した場合、月々ドコモに支払う料金から1,925円を最大24カ月割り引いてくれる形になっているため、それを24カ月利用したと仮定すると、実質の端末代金は33,600円という計算になる。なお、代金などは販売店によっても異なるので、実際にどうした価格になるかは販売店に確認して欲しい。

 多くの人が気になる本体サイズだが、本製品は8.9型と、主流である10型クラスのパネルよりはやや小さなパネルを採用していることもあり、タブレットとしてコンパクトなサイズになっている。実際、筆者の手元にあったGALAXY TabとiPad(第1世代3G)と比較してみると、もちろんGALAXY Tabよりは大きいが、iPadと比較すると、縦のサイズはほぼ同じだが、横幅が小さくなっていることがわかる。このため、実際手にしてみると視覚的には割とコンパクトに見える。ただし、重量はそれなりにある。実際に計測してみると625gで、iPad(3G)の707g(なおiPad2のカタログスペック値は613g)よりは若干軽いものの、GALAXY Tabの384gに比べると持ったときにちょっと重いなぁと感じるのは事実だ。

下からiPad(第1世代、3G)、Optimus Pad、GALAXY Tab Optimus Padの実測値は625g
GALAXY Tabの実測値は384g iPad(第1世代、3G)は707g

 ハードウェアのデザインだが、非常にシンプルだ。前面にはカメラと照度センサーがある程度で、他にスイッチなどは見当たらない。従来のAndroidでは3つ(ホーム、戻る、メニュー)ないしは4つ(ホーム、戻る、メニュー、検索)のハードウェアスイッチがあったのだが、本製品ではそうしたハードウェアスイッチは前面にはまったく見当たらないのだ。本製品のOSであるAndroid 3.0ではこれらのスイッチはソフトウェア化されており、本製品では左下にソフトウェアスイッチとして表示されている。また、本体の側面には電源スイッチ、イヤフォンジャック、MicroUSB端子、miniHDMI端子、ボリュームスイッチなどのハードウェアスイッチが用意されている。なお、USIMカードなどは、裏面に用意されているカバーを取り外したところに挿入することができる。

 内部のハードウェアだが、プロセッサにはNVIDIAのTegra 250/1GHzを搭載している。Tegra 250は、デュアルコアのARMプロセッサとNVIDIAのGeForceを1チップにしたSoCで、処理能力の高さで知られる製品だ。メモリはRAMが1GB、内蔵ストレージが32GBとなっており、一般的な用途には十分な(むしろ十分すぎる)スペックと言えるだろう。やや、惜しいのは、外部ストレージ、つまりmisroSDなどのスロットが用意されていないことだ。内蔵ストレージがいっぱいになってもmisroSDスロットなどがあれば、そちらに待避させたりという使い方ができるだけに残念だ。

 ユニークな機能という意味では、MicroUSB→USB A端子変換アダプタが付属しており、外部のUSB機器が利用できることだ。ただし、現時点では対応しているデバイスはキーボードぐらいで、他のUSB機器は利用できないようだった。実際、USBメモリを接続してみたのだが、OS側では特に何も認識しないようだったので、使うことはできないようだ。

 本製品では充電はUSB端子からはできない。充電するには付属のACアダプタを利用して行なう必要がある。本製品のバッテリーは6,400mAhの容量になっているが、これをフル充電するのに出力が5.2V/2Aの出力のACアダプタを利用しても、カタログスペックで5時間で、筆者の実測では4時間かかった。PCなどのUSB端子の場合、定格の出力は5V/0.5Aになるため、仮に充電できたとしてもさらに4倍近くかかる計算になるのでフル充電までに16時間もかかる計算になる。そう考えるとUSB充電は現実的ではないから省かれたのだと考えることができるだろう(それでもUSBで充電できた方が便利だとは思うのだが)。

 カメラは本製品の最も特徴的な部分の1つで、背面には2つのカメラが用意されており、3Dカメラとして利用することが可能だ。3Dで撮影するには、付属のアプリケーションである“3Dビデオカメラ”というアプリケーションを利用して撮影する必要がある。ただ、この3Dビデオカメラというアプリケーションは動画専用で、静止画を撮影することはできないというのはやや残念だ。確かに3Dで動画を撮れるというのは大きなメリットと言えるが、静止画が撮りたいと思えるシーンも少なくないはずだ。なお、静止画を撮影する場合には、Android 3.0標準のカメラアプリを利用して撮影することになる。

Optimus Padの裏面。裏面と、SIMカードを挿入するための裏蓋がある Optimus Padの上面。マイク(左)とボリュームスイッチ(右が用意されている) Optimus Padの底面。左からHDMI端子(Mini)とMicroUSB端子が用意されている。金色の端子は、別売りオプションのドッキングステーションに接続する際に利用する
300万画素のカメラが2つとLEDフラッシュが用意されている。2つのカメラを活用して付属アプリケーションで3D動画を撮影することができる SIMカードスロット。USIMカードスロットの左に謎な目隠し蓋がある。 Optimus Padの左側面。左からACアダプタ接続端子、ヘッドフォン端子、スピーカー(ステレオ、左)、電源スイッチ
Optimus Padの右側面。スピーカー(ステレオ、右)とアラームなど用のシステムスピーカー ACアダプタは専用の端子になっており、出力も5.2V/2A。MicroUSB端子からの充電はできない
Android 3.0標準のカメラアプリでは静止画の撮影ができるが、3D静止画は撮影できない 付属の3Dビデオカメラアプリケーションを利用すると、3D動画の撮影が可能。ただし、3D静止画は撮影することができない。なお、撮影した動画は、PCにおいて3D Vision+PowerDVD 10などの3D動画再生環境で3D再生が可能だった
化粧箱、本体にあわせてコンパクトなサイズになっている 内容物は割とシンプルで、本体、簡易マニュアル、ACアダプタ、MicroUSBケーブル、MicroUSB-USB A端子アダプタ
MicroUSB-USB A端子変換アダプタを接続したところ。キーボードを接続して利用することができる

●新しいタブレット向けのユーザーインターフェイスを採用したAndroid 3.0

 すでに述べたように本製品の最大の特徴は、Android 3.0を搭載しているタブレットとして、日本市場で発売された最初の製品というところにある。

 では、そのAndroid 3.0とは具体的にどのようなものなのだろうか。表2は、2.0以降のAndroid各バージョンの機能の違いを筆者が表にしたものだ。

【表2】Androidの各バージョン
バージョン 2.1 2.2 2.3 3.0
コードネーム Eclair Froyo Gingerbread Honeycomb
スマートフォン対応 -
タブレット対応 - - -
テザリング対応 -
マルチコア対応 - - -
PCとの接続 USBマスストレージ USBマスストレージ USBマスストレージ MTP
2D/3D描画の改良 - - -
タブレットUIへの対応 - - -

 Android 3.0の最大の特徴は、ユーザーインターフェイスが一新されたことだ。従来のAndroidのユーザーインターフェイスは、端末を縦にして縦長画面で使うことの多いスマートフォンに最適化されていたこともあり、縦方向の使い方を意識した仕様になっていた。具体的には、上部に端末の状態(アンテナや時計など)やアプリケーションからの通知アイコンを表示するステータスバーがあり、ここをドラッグして下に引っ張ると通知内容の詳細が表示するようになっていた。また、アプリケーションの呼び出しなどは、画面の下部に用意されているアプリケーションドロワーを利用して行なう仕組みになっている。

 これに対して、Android 3.0ではタブレット専用ということもあり、ユーザーインタフェースが本体を横位置にして横長の画面状態で利用することを前提にしている。従来との大きな違いは、

(1)ステータスバーが左下に表示されるようになり、通知アイコンをクリックすると通知内容が小さなウインドウで表示されるようになった
(2)従来は中央下にあったアプリケーションを起動するためのメニューボタンが右上に移動になった
(3)ホーム、戻る、メニューのハードウェアボタンがなくなり、Windowsで言うところのスタートボタンの位置に移動になった

 など、大きな違いがある。このため、Android 3.0タブレットでは、前面にハードウェアボタンがなくなり、すべて前出のソフトウェアボタンで操作するように変更されている。また、従来のAndroid 2.xまでではホームボタンの長押しで表示されていたタスクの切替メニューは、専用のボタンとしてホームボタンの隣に新設された。

 これらの改良などにより、Android 3.0のUIの使い勝手は非常に良好だ。例えば、Android 3.0ではタスク切り替えのボタンを押して直近の4つ(縦表示の時は6つ)までのタスクがグラフィカルに表示され選択するだけで瞬時に切り替わるが、Android 2.3ではメニューボタンを長押しすると直近に起動した8つのアプリケーションのアイコンが表示され、それを選択するとアプリケーションが切り替わるようになっていた。Android 3.0では軽快にアプリケーションが切り替わっていく印象だが、Android 2.3ではボタンの長押しという作業が必要なこともあってか、やや時間がかかる印象だ。

【動画】Android 3.0のアプリケーション切替画面

 このほかにもAndroid 3.0ではいくつかの大きな改善がある。例えばPCとの接続性の改善だ。Android 2.3までは、Android端末をPCにUSBケーブルを利用して接続すると、内蔵ストレージないしはSDカードがUSBのマスストレージとしてPCからはソフトウェア的に見える仕組みになっていた。この場合、通常のUSBストレージとしてPCから見えるので扱いは用意であったが、Android端末側では一時的にストレージがOSから切り離される(つまりは見えなくなる)ため、音楽再生をしているとそれが途切れたりしてしまうなど、使い勝手はあまり良くなかったのだ。

 これに対してAndroid 3.0ではMTP(Media Transfer Protocol)に対応しており、Windows PCからはデジタルカメラなどと同じようにポータブルデバイスとして見えるようになっている。Android OS側でストレージは見えたままになるため、音楽アプリケーションがエラーを出して終了したりすることはなくなる。また、Windows Media Playerの同期機能を利用して、音楽を転送することも可能になるなどのメリットもある。ただし、AppleのMac OS XはMTPに対応していないため、別途ソフトウェアが必要になる。

 この他にも、地味な改良はいくつかあり、例えばYouTubeアプリケーションやメディアファイルを表示する“ギャラリー”、AndroidマーケットなどはAndroid 3.0の高解像度に対応した新しいUIに対応した最新版になっているなど、いくつかの改善が行なわれているものもある。また、GoogleマップやGmailクライアント、ブラウザといったAndroid標準のアプリケーションにも改善が加えられており、より使いやすくなっているのが特徴的だ。

 ただし、従来バージョンのAndroid向けに作られたアプリケーションの中には、高解像度のディスプレイを意識していないものもあり、そうしたアプリケーションは画面が小さく表示されるなどの状態になってしまうものもあった。また、高解像度には対応しているものでも、必要以上に入力のウインドウが大きくなってしまったりなど、解像度での使用を意識していないアプリケーションが少なくないのは事実だ。もっともこうした現象は、AppleのiOSがiPadに対応した時にも起きた現象で、アプリケーション側の対応を待つ必要がある。しばらくは混乱が続くだろうが、時間が解決してくれるだろう。

新しいAndroid 3.0のユーザーインターフェイス。通知バーは左下に移動した。右下の3つのボタンは戻る(一番左)、メニュー(左から2番目)、タスクスイッチ(左から3番目)というソフトウェアスイッチ Android 2.3(Google Nexus S)のインターフェイス画面。Android 3.0に比べると、ステータスバーの位置とアプリケーションドロワーの位置が異なっている Android 3.0では新しいメールの通知などは左下に通知される。アイコンをクリックすると、小さなウインドウが開きそこに詳細が表示される
新しいタスクスイッチの機能を利用すると、切り替え可能なタスクがグラフィックで表示される。横表示の時は4つ、縦表示の時は6つ アプリケーションドロワーの画面もすべてのアプリケーションだけでなく、マイアプリというタブが加わり、自分でインストールしたアプリケーションを素早く選択できるようになっている ウィジットの設定画面、ホーム画面は標準で5つ用意されており、高解像度と相まって、すべて使い切るのは難しそうだ
Androidマーケットの画面。従来バージョンに比べてグラフィックスが増えた Optimus Padに付属している日本語入力環境のiWnn IME。QWERTY配列のソフトウェアキーボードで、膝の上などにOptimus Padをおくと、両手で入力しやすい 新しいYouTubeのアプリケーション。高解像度にあわせて、動画などがグラフィカルに表示される
GoogleマップのAndroid 3.0版。右上のボタンに“行き先”ボタンが追加され、それを押すと行き先の検索を手軽に行なうことができる
新しいAndroid 3.0のWebブラウザ。従来のバージョンと同じように、Flashにも対応しており、Flashの動画の再生も可能 新しいMTPの機能を利用してUSBケーブルでファイルをPCからOptimus Padへコピーしているところ。コピー中だけこのように端末が利用できないようになる

●CPUパワーは強力だが、グラフィックス周りの性能はGALAXY Tabと変わらないか、下回る結果に

 それでは、ベンチマークプログラムなどを利用して本製品の性能を調べていこう。今回、比較対象として用意したのは、Samsung Electronics社製のGALAXY Tab(NTTドコモ SC-01C)だ。個体は筆者が個人的に購入したもので、一般に販売されているものだ。なお、SC-01Cは一度バージョンアップが行なわれており、テストした個体にはすでにそのパッチが当てられた状態(ベースバンドバージョンSC01COMKB1)となっている。Optimus Padは購入した状態そのままの状態でテストしている。

【表3】Optimus Pad(L-06C)とGALAXY Tab(SC-01C)のスペック

Optimus Pad(L-06C) GALAXY Tab(SC-01C)
プロセッサ 製品名 NVIDIA Tegra 250/1GHz Samsung S5PC110/1GHz
プロセッサコア Cortex-A9 Cortex-A8
コア数 2 1
内蔵GPU ULP GeForce PowerVR SGX540
RAM 1GB 512MB
ディスプレイ解像度 1,280×768ドット 1,024×600ドット
OS Android 3.0.1 Android 2.2

 今回ベンチマークに利用したのは、Androidマーケットなどで提供されているQuadrant Professional Edition、An3D Bench、Benchmark Piという3つのソフトウェアと、Adobe FlashのベンチマークとしてWeb上で提供されているGUIMark2を利用した。また、動画の再生テストとして、フルHD(1,920×1,080ドット)のMPEG-4 AVCの動画を複数用意し、再生できるかどうかをテストした。なお、厳密に言えば、解像度もそろえてやるべきだが、今回は内蔵のディスプレイを利用してテストした。テストによっては解像度で有利不利な場合もあることはお断りしておく。

【グラフ1】Quadrant Professional Edition総合スコア
【グラフ2】Quadrant Professional Edition詳細スコア
【グラフ3】Benchmark Pi
【グラフ4】An3D Bench Total Score
【グラフ5】An3D Benchのスコア詳細
【グラフ6】GUIMark 2

 Androidユーザーの間では標準的に利用されているベンチマークプログラムであるAurora SoftworksのQuadrantだが、今回は、コマーシャルでも利用可能なProfessional Editionを利用してテストした。なお、総合結果は、Standard Editionでも計測することができるので、興味があるユーザーはAndroidマーケットからダウンロードしてテストしてみるといいだろう。総合結果はグラフ1の通りで、Optimus PadはGALAXY Tabの倍近い数字を残している。

 各項目(グラフ2)を見ていくと、Optimus Padの項目ではGALAXY Tabに比べて圧倒的なのはCPUの結果で、Optimus Padが5,650であるのに対して、GALAXY Tabは1,426と、実に4倍近いスコアになっている。Optimus Padに搭載されているCPUのTegra250/1GHzはデュアルコアであるのに対して、GALAXY TabのプロセッサであるSamsung Electronics S5PC110/1GHzはシングルコア。また、同じARMコアのプロセッサでも前者はCortex A9ベース、後者はCortex A8ベースと世代も違っている。そうした差がでたと考えることができるだろう。

 メモリやI/O周りのテストでも、Optimus Padの方がGALAXY Tabよりも良い結果を出していることは、搭載されているプロセッサであるTegra 250がGALAXY TabのS5PC110に比べて新しい世代の製品であり、性能が向上していることが確認できると言えるだろう。同じような傾向はグラフ3のBenchmark Pi(CPUに演算をさせて処理時間を計測するテスト、数値が小さい方が高速)でも見とれる。

 しかし、Quadrantの2D/3Dというグラフィックスの結果を見ると、Tegra250を搭載したOptimus Padの方が低い結果であることがわかる。この傾向はQuadrantだけでなく、OpenGLを利用したベンチマークテストであるAn3D Benchも同様で、トータルのスコア(グラフ4)こそOptimus PadがGALAXY Tabを上回ったものの、いくつかの項目(グラフ5)ではGALAXY Tabの方が上回っている。

 さらにこの傾向は、Flashを利用したベンチマーク(GUIMark2、グラフ6)でも確認できた。GUIMark2はWeb上に公開されているFlashのデータにアクセスし処理をさせるタイプのベンチマークテストで、Flashのハードウェアデコードがどれだけ効いているかを確認することができる。しかし、今回5項目中で2項目で、Optimus PadはGALAXY Tabに負けるという結果になっている。

 もう1つ不可解な結果となったのは、動画再生だ。今回1,920×1,080ドットの動画をMPEG-4 AVCにエンコードしたものを再生させてみた。それぞれHigh Profile、Main Profile、Baseline Profileと、それぞれ左から負荷が高くなるプロファイルでエンコードし、それぞれのプロファイルで4Mbpsと2Mbpsのプロファイルの動画を用意して、再生した(再生はいずれの環境でも標準のプレーヤー)。結果は以下の通りだ。

【表4】動画の再生結果

ビットレート Optimus Pad(L-06C) GALAXY Tab(SC-01C)
High Profile Level 4.1 4Mbps コマ落ち、音ズレ
2Mbps コマ落ち、音ズレ
Main Profile Level 4.1 4Mbps コマ落ち、音ズレ
2Mbps コマ落ち、音ズレ
Baseline Profile Level 4.1 4Mbps
2Mbps

 結果から言えば、GALAXY Tabではすべての動画を再生することができたのに対して、Optimus PadではBaseline Profileの動画しか再生することができず、High、Mainに関してはコマ落ちと音ズレが発生し、見るに堪えないという結果になった。Androidマーケットで公開されているほかソフトウェアでも試したが、同じ結果だった。

●グラフィックス周りの最適化には課題が残るが、UIなどは良くできており操作性は良好

 このように、本製品はGALAXY Tabと比べて、CPUに関しては大幅に上回っているが、グラフィックス周りに関しては同等か、動画再生の結果を見てわかるように明らかに下回っている、というのが現時点での正しい評価になるだろう。

 1つの可能性としては、Tegra250/1GHzに内蔵されているGeForce GPUが、S5PC110に内蔵されているPowerVR SGX540に比べて遅いということだろう。しかし、筆者の手元にはなかったのでテストはしていないのだが、Android 2.3ベースのTegra250を搭載したスマートフォンなどの結果を見る限り、GALAXY Tabなどに比べて遅いという結果は今まで目にしたことはなく、そうした可能性は低いと考えるのが正しい。

 となると、Android 3.0ないしはディスプレイドライバのどちらか、あるいは両方の最適化が済んでおらず、それが理由で性能が発揮されていないと考えるのが正しいのではないだろうか。NVIDIAによれば、Tegra250の内蔵GPUは、MPEG-4 AVCのハードウェアデコードにも標準で対応しており、本来の性能を発揮できていればMPEG-4 AVC High Profileの動画再生だって楽々こなせるはずだ。もちろん、今あるベンチマークテストは、従来のAndroid 2.xに最適化されているので、アプリケーション側の問題である可能性も否定できないが、Flashのテスト(GUIMark2)でも本来の性能を発揮できていないということを考え合わせれば、やはりうまく性能を発揮できていないと考える方が妥当だと思う。特に、Android 3.0ではグラフィックス周りの改良が加えられ、アーキテクチャも大きく変わっており、そのあたりの最適化がまだまだ十分ではないのかもしれない。このあたりは、新しいOSにつきものの問題だと言っていいだろう。

 ただ、これらの部分は今後ベンダー側のファームウェアのバージョンアップで十分対応可能だ。そうした意味では、将来のバージョンアップに期待したい。特に動画再生の環境が、GALAXY Tabに比べて後退しているのは残念で、早急に改善を望みたい。ただ、現時点でもタスクの切替などの動作は、Android 2.xベースの端末より改善されており、決して今の状況で動作の体感に影響が出るというわけではないことは付け加えておきたい。

 以上のように、正直今後のバージョンアップに期待という結果にはなったが、ハードウェアとしての本製品は非常によくできていると思う。HD動画に関しては現時点ではかなり厳しいが、SD動画の再生に関してはこなすことができているため、DLNAサーバーに接続できるユーティリティを利用してPCにある動画の再生プレーヤーとして利用したり、YouTubeを視聴するのに利用したりという使い方は可能になっている。また、Flashに対応しているため、ニコニコ動画などFlash対応コンテンツをブラウザでそのまま見ることができるなども大きなメリットで、横になりながらコンテンツを見たりなどの用途に重宝している。

 そうした用途に使い、かつ将来のファームウェアのバージョンアップ(現時点ではあるのかどうかも含めてまったく情報はないが)に期待して本製品を購入するというのはありだろう。

(2011年 4月 7日)

[Text by 笠原 一輝]