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ディスプレイがくるりんぱ!新モデル「VAIO T」はかつてないタッチ操作&AI向きな2in1になる

VAIO T

 VAIOノートの新モデル「VAIO T」が9月10日に発表された。同社フラグシップの「VAIO SX14-R」をベースに、ディスプレイ部をフリップ可能にした2in1ノートだ。

 しかし2in1だからといって、「ただのタブレットとしても使えるノートPC」で終わってはいない。独自のフリップ機構により、かつてないほどの「タッチ操作向き」かつ「AI向き」なデバイスになっているのだ。どんな使い方ができるのか、発売前に実機をお借りできたので紹介しよう。

 なお、VAIO Tは個人向けのモデル名で、法人向けはVAIO T work(ベースはVAIO Pro PK-R)となる。個人向けは9月18日より受注開始し、9月30日以降に順次配送される。個人向けカスタマイズモデルの直販価格は37万4,000円から。ノジマでは9月22日より店頭販売される。

ノートPCスタイルのままディスプレイが180度回転

通常のノートPCモードの「VAIO T」

 「VAIO T」は、ベースとなっているモデルがSX14-Rということもあり、同社ノートPCラインナップの中では上位に位置付けられる。主な違いはディスプレイ・天板周りだ。

 天板の中央にまっすぐ1本の溝が見え、明らかに「何かある」ことを予感させるデザイン。しかしながら、VAIOノートらしいリフトアップヒンジは健在で、ディスプレイを開くといつも通りのノートPCだ。

天板中央に1本の溝

 一見フツーのノートPCスタイル。ディスプレイ開度は約145度で、タブレットにはなりそうにない雰囲気ではある。が、実は先ほど天板に見えていた溝付近を軸に、ディスプレイ部が180度回転する構造になっている。キーボード側に向いていたディスプレイが「くるりんぱ」して対面側に向く(ビューモード)、というわけだ。

ディスプレイを最大まで開いたところ
少し力を入れると溝付近を軸にディスプレイ部が回転する
180度回転させると「ビューモード」に

 この独特の機構は、実は「VAIO Fit」(2013年発売)や「VAIO Z」(2015年発売)でも採用されていた方式。完全にゼロからの新規開発というわけではないものの、細部の構造や使い勝手はよりブラッシュアップされている。

 かつてのフリップ構造では、ディスプレイ下部(フレーム)に設けられていたロックスイッチを解除することでディスプレイを回転させることができた。新しいVAIO Tではロックスイッチを省略している。代わりにマグネットの力で固定し、少し力を入れることでロック解除できる仕組みだ。

4隅に見える四角い部分がマグネット。絶妙な接着力で過剰に力を入れることなく固定を解除できる

 このマグネットが絶妙な強度に設定されているのか、ディスプレイの上端をつまんで開くときに不意に固定が解除されてしまうようなことはない。ディスプレイを180度回転させた状態もマグネットで固定されるが、そこからタブレットモードにするべく天板を閉じるときもやはり固定が解除されることはない。

回転させた後、閉じれば「タブレットモード」に

 かといって、ディスプレイを回転させたいと思ったときに過剰に力を込める必要もなく、数回繰り返してコツをつかむとノートPCモードとビューモードをスムーズに切り替えられる。ただし、閉じかけた状態でディスプレイを回転させるときはキーボードに干渉しやすいので注意が必要だ。90度以上開いた状態で回転させるべきだろう。

閉じかけた状態でディスプレイを回転させようとするとキーボードに干渉するので注意

独自フリップ機構がタッチ操作、タブレットモードの使用機会を拡大

 VAIO Tのバリエーションモデルすべてが、独自のフリップ機構と、タッチ対応の13.3型ディスプレイを備える。この組み合わせにより、従来の一般的な2in1ノートPC以上にタブレット(ビュー)モードやタッチ操作の使いどころが多い。そして、今のAI時代だからこそ、その強みがより生きるデバイスにもなっている。メリットや活用例をいくつか紹介しよう。

ひっくり返さずに安心してタブレットモード

 VAIO Tをタブレットモードに切り替えるときは、モニターを開いて180度回転させ、再び元の位置に戻す(閉じる)という手順になる。本体をひっくり返さずに済むわけだが、それによる副次的なメリットは見逃せない。

 一番大きいのは、キーボードが底面側に来ないことによる安心感だ。2in1デバイスの多くはタブレットモードにする際、ディスプレイ部を360度開き、本体ごとひっくり返して使うことになるため、キーボードがデスク面と接することになる。

VAIO Tではキーボードは常に上向きで、底面に来ることはない

 そうなってもキーが押されないようクリアランスが設けられていたり、押されたとしても大きな問題にならない耐久性は備えていると思われる。けれども、なんとなく不安感があったのではないだろうか。

 VAIO Tならそういった心配は無用だ。キーボード面は通常のノートPCのように常に上向き。むしろタブレットモードではディスプレイ部がキーボードをカバーしてくれる。本体を持ち上げるときにキーを押して傷めることもないし、スタンドなどにもセットしやすい。

遠慮せずに底面を指で支えて持ち上げられる

画面を相手に向けながらキーボード・マウス操作OK

 プレゼンなどでディスプレイを180度開き、フラットにした状態で対面の相手に見せる、というのは通常のノートPCだとよくあるシチュエーションだ。ただ、お互いに浅い角度から画面を見ることになるため視認性はどうしても損なわれる。

ディスプレイをすばやく回転させて相手側に向けられる

 対してVAIO Tなら、相手に見せたい場面ですばやく画面を回転させてビューモードにでき、相手にとって見やすい角度に調整するのがたやすい。そして、その状態でキーボードが普通に使える、というのもポイントだ。

 自分側からは本体画面こそ見えないものの、キーボードはいつも通りタイプできるし、トラックパッドも反応する。スライドをページ送りする程度の操作なら画面が見えなくても問題ないだろう。

ディスプレイを相手側に向けた状態でもキーボードとトラックパッドは使用可

 もしキータイプやマウス操作が必要になりそうなら、モバイルモニターや会議室の据え置きモニターと組み合わせると良い。本体画面は対面に向け、自分は外部モニターに出力したデスクトップを見て操作する形だ。

 通常とはモニターの扱いが逆転することになるが、相手側の見やすさを優先したいとか、相手にデモを操作してもらって製品の使い勝手を試してもらう、といったようなシチュエーションではそういうスタイルも有効だろう。

タッチ操作が実用的な本体+外部のマルチモニター環境

 たとえば普段からノートPC画面と外部ディスプレイのマルチモニターで作業したい、という人は多いはず。腰を落ち着けて作業するとなれば、外付けのキーボード・マウスも使いたくなる。

 しかしその場合、通常のノートPCだと画面手前にある(使わない)キーボードとタッチパッドの奥行き分がやっかいだ。本体をすぐ近くに置けず、画面が遠いため視認性を確保しにくい。あるいはデスクの奥行きが足りなくなったりもする。せっかくのタッチパネルを生かせず、手が届きにくいので結局キーボードとマウスだけで操作する、みたいなことになっていないだろうか。

通常はこのように奥行きが必要になり、デスクスペースに余裕がなくなるうえにタッチパネルに手が届きにくい

 VAIO Tの場合は、画面を180度回転させてビューモードにすれば、その前には何もないのでいくらでも画面を手元に寄せられる。ディスプレイの角度調整も片手で容易に行なえるので、距離に応じたちょうどいい角度を探るのも楽々だ。

ビューモードにすれば奥行きの問題はあっさり解決。なお、テントモードには対応しない(山型に置いても画面が回転しない)

 一般的な2in1でも、山型のテントモードにすれば似た使い方はもちろんできる。が、角度調整は「本体を軽く持ち上げながら両手を使って」ということになりがち。すばやく最適なポジションにセットでき、ある意味モバイルモニターチックなスタイルになるVAIO Tの使い勝手の良さが光る。

スタンドやトレイなどにセットして縦置きで使うもよし

AIエージェントの「タッチ&ボイス」操作が当たり前に

 以上の活用シーンを踏まえて、VAIO Tならではの強みが最も生きるのが、「タッチ&ボイス」操作の組み合わせだ。

 ChatGPTやClaudeなどでAIエージェントを活用することが珍しくない昨今。そうした中、キーボードを使ってタイプする比率はだんだん少なくなってきていることを実感するところだ。

 最初のプロンプトこそキーボードで入力するとしても、そのあとはせいぜい選択肢をクリックするか、AIエージェントの作業内容に対して補足的にタイプして指示するくらい。複雑な作業をAIエージェントに任せてしまえば、数十分、数時間にわたって自律的に動いてもらえる。

 AIが働いている間、ユーザーはほかの作業をするとしても、全体的なタイプ量は減少している。キーボードの出番が多くないのなら、VAIO Tの画面を先ほどのように180度回転させて手元に近づけるか、タブレットモードにしておいてもいいはず。AIエージェントの選択肢を選ぶのはタップ操作で、文字入力は音声で代替してしまうのだ。

AIツールで選択肢が現れたときはタッチ操作で

 特にVAIO Tの場合、ビューモードやタブレットモードにしてタッチしやすい距離感で使えるだけでなく、音声入力における強みもあり、タッチ&ボイスという組み合わせの実用レベルがより高いのがポイントだ。

 まず前提として、Windows 11ではいつの間にかほとんどのアプリで音声入力が可能になっている。AIツールだとプロンプト入力欄に音声入力用のボタンを設けていたりもするが、それがないアプリであっても、テキスト入力できる箇所で「Windows+H」キーを押せば、汎用的に使える音声入力機能が立ち上がるのだ。

「Windows+H」キーでWindows 11の汎用音声入力機能が立ち上がる

 デスクトップアプリはもちろん、Webアプリでも、CLI(ターミナル)でAIツールを使う場合でも、Windows+Hキーですぐさま音声入力を開始。プロンプトを送信するEnterキーも「次の行」と発言すれば入力できるので、AIと会話する感覚で作業を進められる。

AIツール上で音声入力

 また、ご存じの通りVAIOシリーズのマイクは「AI ノイズキャンセリング」機能を備えている。周囲のノイズを低減し、Web会議などで相手にくっきりとした音声を届けられるわけだが、会議ツールだけでなくほかのアプリへ文字入力するときもこの機能は有効だ。

 つまり、自分の周りが騒がしくても音声認識精度を高めながら文字入力可能。ということで、まさに今のAIエージェント向きの機能・性能を備えた2in1ノートPCといえるのではないだろうか。

「AI ノイズキャンセリング」機能で周囲のノイズを低減し、音声認識の精度を高められる

 ただし、ビューモードやタブレットモードでは「標準モード」のノイズキャンセリングに固定されることに注意。ノートPCモードなら正面のユーザーの声にフォーカスする「プライベート」や「プライバシー」のモードにして、誤認識をさらに減らせることが期待できる。

SX14-R譲りの性能・装備だが、重量はややアップ

VAIO T 試用機スペック
OSWindows 11 Pro 64ビット
CPUCore Ultra X7 358H
(16コア16スレッド、最大4.8GHz、Processor Base Power 25W)
GPUIntel Arc B390 GPU (CPU内蔵)
メモリ64GB (LPDDR5X)
ストレージ1TB NVMe M.2 SSD
ディスプレイ13.3型 (2,560×1,600ドット、60Hz、タッチ対応)
インターフェイスUSB4 (Thunderbolt 4) 2基、USB 3.2 Gen 1 2基、HDMI出力、ヘッドセット端子
通信機能Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4、有線LAN (1000BASE-T)
カメラ921万画素
サウンドステレオスピーカー
セキュリティWindows Hello顔認証
同梱品ACアダプタ (最大65W)
サイズ約312×224.6×14.6~19.6mm
重量約1.253kg~
カラー勝色

 VAIO Tのスペックをひと通り紹介しておこう。今回の試用機は最上位構成となる「勝色特別仕様」相当で、CPUはIntel Core Ultra X7 358H(16コア16スレッド、最大4.8GHz、Processor Base Power 25W)、GPUはCPU内蔵のIntel Arc B390、メモリ64GB、ストレージ1TBという装備。

 ディスプレイは先述の通りタッチ対応の13.3型WQXGA(2,560×1,600ドット、60Hz、光沢)で、全バリエーションで共通となる。筐体の縦横幅はSX14-Rに近いが、2in1の構造上の都合によるものか、ベゼルはやや広めでそのぶん13.3型という画面サイズになっているようだ。

高解像度、光沢ありで、鮮やかにグラフィック表示する13.3型タッチ対応ディスプレイ

 ワイヤレスネットワークはWi-Fi 7、インターフェイスはUSB4(Thunderbolt 4)ポートとUSBポートが2基ずつに、有線LANポート(1GbE)とHDMI出力を備える。Thunderbolt 4が両サイドにあるのは、配線時のレイアウトの自由度を高めるSX14-R譲りのうれしい部分だ。

左側面にUSB4(Thunderbolt 4)ポートとUSBポート
右側面にはThunderbolt 4ポート、有線LAN、HDMI出力、USBポート、ヘッドセット端子
Windows Hello顔認証対応のWebカメラ(921万画素)。指紋認証は非搭載

 天面は金属1枚板のキーボード面と同様のツヤのある素材としており、全体に統一感のあるデザイン(皮脂がより目立ちやすくなったのは少し気になるかもしれない)。筐体サイズは約312×224.6×14.6~19.6mmで、SX14-Rの13.9~18.9mmより厚みは大きくなっているものの、極端に分厚くなっているわけではない。

天板中央の溝はそれ自体がデザインの1要素になっている
キーボード面は剛性感のある金属1枚板

 スペックシート上の重量は約1.253kg以上(個人向けモデル、法人向けは約1.299kg以上)。分厚く、重くなりがちな2in1モデルではあるものの、一定の可搬性は確保している。

 キーボードは隠し刻印となっていて、バックライトオンでキートップの文字が浮かび上がることと、標準で大容量バッテリが搭載されているのは、勝色特別仕様ならではだ。

勝色特別仕様のキーボードは隠し刻印になっている
バックライトをオンにするとキートップの文字が浮かび上がる仕掛け

ほかとはひと味違う2in1、ハードワーカーのヘルスケアもサポート

 フラグシップモデルの一角として、PCパフォーマンスの高さはいうまでもない。そこにほかの2in1にはないビューモード、タブレットモードの使い勝手の良さが加わり、AIエージェント活用にもつながるユニークな価値をも生み出している。

 重量が1.2kg超ということで、持ち運ぶことの多いユーザーは留意が必要ではあるものの、そこがさほど気にならないならVAIO Tを選ばない手はないだろう。

 なお、今回はアプリリリース前ということで試すことはできなかったが、内蔵Webカメラを使用して非接触でユーザーの心拍などを測定し、ヘルスチェックが可能な「VAIO ウェルネスケア」にも対応する。デスクワークが長時間に及ぶビジネスユーザーに最適な1台であることは間違いない。