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安さと多コアでRyzenに対抗。「Core Ultra 200S Plus」の実力検証
2026年3月23日 22:00
Intelの新たなデスクトップ向けCPU「Core Ultra 200S Plus」シリーズの販売が3月26日にスタートする。
発売に先立ち、同シリーズから「Core Ultra 7 270K Plus」と「Core Ultra 5 250K Plus」をテストする機会が得られたので、コストパフォーマンスが注目される新CPUの実力をベンチマークテストで確かめてみた。
「Arrow Lake-S Refresh」こと、Core Ultra 200S Plusシリーズ
IntelのCore Ultra 200S Plusは、従来のデスクトップ向けCPUであるCore Ultra 200Sの改良版で、開発コードネームもArrow Lake-S Refresh(従来モデルはArrow Lake-S)とされている。CPUソケットは引き続きLGA1851を採用しており、既存のIntel 800 シリーズ・チップセット搭載マザーボードが利用できる。
Core Ultra 200S Plusでは、同価格帯の従来モデルよりCPUコア数を増強したほか、CPUコアとメモリコントローラ間を接続するD2D(Die-to-Die)や、NGU(Next Generation Uncore)といったCPU内部接続の動作クロックが向上、メモリコントローラの対応メモリクロックもDDR5-6400からDDR5-7200に引き上げた。
上位モデルのCore Ultra 7 270K Plusは8基のPコアと16基のEコアを備える24コアCPUで、下位モデルのCore Ultra 5 250K Plusは6基のPコアと12基のEコアを備える18コアCPU。推奨価格がそれぞれ299ドルと199ドルとかなり安価に設定されており、コストパフォーマンスに注目が集まっている。
| 【表1】Core Ultra 200S Plusシリーズの主なスペック | |||
|---|---|---|---|
| モデル名 | Core Ultra 7 270K Plus | Core Ultra 5 250K Plus | Core Ultra 7 265K |
| 開発コードネーム | Arrow Lake-S Refresh | Arrow Lake-S Refresh | Arrow Lake-S |
| 製造プロセス(CPU) | TSMC N3B | TSMC N3B | TSMC N3B |
| Pコア数 | 8 | 6 | 8 |
| Eコア数 | 16 | 12 | 12 |
| CPUスレッド数 | 24 | 18 | 20 |
| L2キャッシュ | 40MB | 30MB | 36MB |
| L3キャッシュ | 36MB | 30MB | 30MB |
| 最大ブーストクロック (Pコア/Eコア) | 5.5GHz/4.7GHz | 5.3GHz/4.6GHz | 5.5GHz/4.6GHz |
| ベースクロック (Pコア/Eコア) | 3.7GHz/3.2GHz | 4.2GHz/3.3GHz | 3.9GHz/3.3GHz |
| NGU クロック | 3.0GHz | 3.0GHz | 2.6GHz |
| D2D クロック | 3.0GHz | 3.0GHz | 2.1GHz |
| iGPU | Intel Graphics | Intel Graphics | Intel Graphics |
| iGPUコア数 | 4 | 4 | 4 |
| 最大GPUクロック | 2.0GHz | 1.9GHz | 2.0GHz |
| NPU | Intel AI Boost | Intel AI Boost | Intel AI Boost |
| NPUピーク性能 | 13TOPS | 13TOPS | 13TOPS |
| 対応メモリ | DDR5-7200/2ch | DDR5-7200/2ch | DDR5-6400/2ch |
| PCIe 5.0/PCIe 4.0 | 20レーン/4レーン | 20レーン/4レーン | 20レーン/4レーン |
| PBP | 125W | 125W | 125W |
| MTP | 250W | 159W | 250W |
| TjMax | 105℃ | 105℃ | 105℃ |
| 対応ソケット | LGA1851 | LGA1851 | LGA1851 |
| 推奨小売価格 | 299ドル | 199ドル | 299ドル(2025/05) |
Core Ultra 200S Plusでは新機軸として「Intel Binary Optimization Tool」が導入された。これはバイナリ変換レイヤーを用いることで、ほかのCPU向けに最適化された一部のゲームでパフォーマンスを改善する技術で、APO(Application Optimization)のユーティリティに追加する形で実装されている。
現在のところBinary Optimization Toolが利用できるのはCore Ultra 200S PlusシリーズのCPUのみで、従来のCore Ultra 200Sシリーズでの対応については、実装の可否を含めて検討中としている。
テスト環境とベンチマーク結果
CPU自体の強化と新機軸の導入でゲームのパフォーマンスを引き上げたCore Ultra 200S Plus。今回のテストでは比較対象として、従来モデルの「Core Ultra 7 265K」と、AMDのゲーミングCPU「Ryzen 7 9800X3D」を用意した。
Core Ultra 200S PlusおよびCore Ultra 7 265Kを搭載するマザーボードには、MSIのZ890チップセットを搭載するLGA1851対応マザーボード「MAG Z890 TOMAHAWK WIFI」を用意。Core Ultra 200S Plus対応BIOSの「7E32v1AB1」を導入してテストを実行する。
また、Intel環境のメモリに関しては、JEDEC規格のDDR5-6400動作に対応するCrucialのCUDIMM「CT2K16G64C52CU5」(16GB×2)を使用する。Core Ultra 200S PlusがサポートするDDR5-7200には届かないが、新旧Core Ultraでオーバークロック機能を利用することなく製品仕様内で利用可能であるため、Core Ultra 200S Plusで強化されたD2DやNGUの恩恵を確認するには好適なメモリだ。
各CPUのテスト環境は以下の通り。電力や温度などのリミット設定は各CPUの定格値をそのまま使用しており、Ryzen 9800X3Dには仕様上の最大対応メモリクロックであるDDR5-5600動作のスタンダードメモリを組み合わせた。
なお、Core Ultra 200S Plusに関しては、基本的に新機能のIntel Binary Optimization Toolを有効化している。
| 【表2】テスト環境 | ||||
|---|---|---|---|---|
| CPU | Core Ultra 7 270K Plus | Core Ultra 5 250K Plus | Core Ultra 7 265K | Ryzen 7 9800X3D |
| コア数/スレッド数 | 8P+16E/24T | 6P+12E/18T | 8P+12E/20T | 8C/16T |
| L2キャッシュ | 40MB | 30MB | 36MB | 8MB |
| L3キャッシュ | 36MB | 30MB | 30MB | 96MB |
| D2D クロック | 3,000MHz | 3,000MHz | 2,100MHz | ─ |
| NGU クロック | 3,000MHz | 3,000MHz | 2,600MHz | FCLK=2,000MHz |
| Ring/LLC クロック | 4,000MHz | 3,900MHz | 3,800MHz | ─ |
| CPU電力リミット | PL1=PL2=250W | PL1=PL2=159W | PL1=PL2=250W | PPT=162W |
| CPU電流リミット | IccMAX=347A | IccMAX=242A | IccMAX=347A | TDC=120A、EDC=180A |
| CPU温度リミット | 105℃ | 105℃ | 105℃ | 95℃ |
| メモリコントローラ | 1,600MHz/Gear2 | UCLK=2,800MHz | ||
| メモリ | 16GB×2 DDR5-6400 CUDIMM | 16GB×2 DDR5-5600 | ||
| メモリプロファイル | SPD(JEDEC) | SPD(JEDEC) | ||
| メモリタイミング/電圧 | 52-51-51-102/1.1V | 46-45-45-89/1.1V | ||
| マザーボード | MSI MAG Z890 TOMAHAWK WIFI | ASUS ROG STRIX X870-F GAMING WIFI | ||
| BIOS | 7E32v1AB0 | v2102 | ||
| CPUファームウェア | 0x121 | 0x121 | 0x121 | AGESA 1.3.0.0a |
| ビデオカード | GeForce RTX 5090 Founders Edition | |||
| GPUドライバ | GRD 595.79(32.0.15.9579)、Resizable BAR=有効 | |||
| システム用SSD | Samsung 970 EVO PLUS 500GB(NVMe SSD/PCIe 3.0 x4) | |||
| アプリケーション用SSD | CFD CSSD-M2B2TPG3VNF 2TB(NVMe SSD/PCIe 4.0 x4) | |||
| CPUクーラー | Fractal Design Celsius S36 Blackout(ファンスピード=100%) | |||
| 電源 | 玄人志向 KRPW-PA1200W/92+(1,200W/80PLUS Platinum) | |||
| OS | Windows 11 Pro 25H2(build 26200.8037) | |||
| OS設定 | 電源モード「バランス」、電源プラン「バランス」、VBS/HVCI「有効」 | |||
| Binary Optimization Tool | 有効 | 有効 | 非対応 | 非対応 |
| テスト用ディスプレイ | 4K/2160p(3,840×2,160ドット)、120Hz | |||
| 計測 | HWiNFO64 Pro v8.44、ラトックシステム RS-BTWATTCH2 | |||
| 室温 | 約25℃ | |||
Cinebench 2026
Cinebench 2026では、CPUのマルチスレッド性能を計測する「Multiple Threads」と、SMT対応CPUのシングルコア性能を計測する「Single Core」、そしてシングルスレッド性能を計測する「Single Thread」を実行した。最低実行時間は標準の10分。
なお、Core Ultra 200S PlusおよびCore Ultra 7 265KはSMT非対応であるため、Single Coreテストは実行できていない。
Multiple Threadsでは、Core Ultra 7 270K Plusが最高スコアとなる「9,562」を記録。Core Ultra 5 250K Plusを約34%、Core Ultra 7 265Kを約24%、Ryzen 7 9800X3Dを約76%上回った。
Single Threadでも、Core Ultra 7 270K Plusが最高スコアとなる「573」を記録しており、Core Ultra 5 250K Plusを約4%、Core Ultra 7 265Kを約8%、Ryzen 7 9800X3Dを約10%上回った。
興味深いのは、CPUコアの最大ブーストクロックでCore Ultra 7 265K(5.5GHz)を下回るCore Ultra 5 250K(5.3GHz)の方が、Single Threadのスコアは約4%高い点だ。Cinebench 2026は比較的メモリアクセス性能が反映されやすいテストなので、CPUコアとメモリコントローラ間を接続するD2Dのクロック向上が影響した可能性が考えられる。
Cinebench 2024
Cinebench 2024では、CPUのマルチスレッド性能を計測する「Multi Core」と、シングルスレッド性能を計測する「Single Core」を実行した。最低実行時間は標準の10分。
Multi Coreでは、Core Ultra 7 270K Plusが最高スコアとなる「2,369」を記録。Core Ultra 5 250K Plusを約34%、Core Ultra 7 265Kを約23%、Ryzen 7 9800X3Dを約80%上回った。
Single CoreでもCore Ultra 7 270K Plusが最高スコアとなる「139」を記録しており、Core Ultra 5 250K Plusを約5%、Core Ultra 7 265Kを約3%、Ryzen 7 9800X3Dを約6%上回った。
Cinebench 2024もある程度メモリアクセス性能がスコアに反映されるテストではあるが、ここでのCore Ultra 5 250K Plusは、Core Ultra 7 265Kを約1%下回った。CPUのクロック差に比べればスコア差の方が小さいので、CPUコア以外の強化が効いているようではあるが、必ず大きな恩恵が得られるというものでもないようだ。
3DMark「CPU Profile」
CPU性能をスレッド数ごとに計測する3DMarkのベンチマークテスト「CPU Profile」では、Core Ultra 7 265Kのスコアを基準に指数化したグラフを作成した。
8基のPコアと16基のEコアを備えるCore Ultra 7 270K Plusは、最大スレッドでCore Ultra 7 265Kを約14%上回り、CPUコア数の優位性が機能しない16スレッド以下のテストでもCore Ultra 7 265Kを0.2~3%上回った。
Core Ultra 5 250K Plusは、Core Ultra 7 265Kを4~13%下回っているが、Ryzen 7 9800X3Dに対しては8スレッド以外の条件では優位に立っており、特に16スレッド以上では38~46%も高いスコアを記録してみせた。
Blender Benchmark
Blender Benchmarkでは、CPUテストを実行して3つのシーンでレンダリング速度(Samples per Minutes)を計測した。
マルチスレッド性能が問われるこのテストで最高のパフォーマンスを発揮したのはCore Ultra 7 270K Plusで、Core Ultra 5 250K Plusを約38~45%、Core Ultra 7 265Kを約25~36%、Ryzen 7 9800X3Dを約68~73%上回った。
やねうら王
将棋ソフトの「やねうら王」では、ベンチマーク機能を利用してマルチスレッドテストとシングルスレッドテストを実行した。やねうら王の実行ファイルはAVX2版で、テスト時間は約180秒。
マルチスレッドテストで全体ベストを記録したCore Ultra 7 270K Plusの処理速度は「17,572kNPS」で、Core Ultra 5 250K Plusを約40%、Core Ultra 7 265Kを約23%、Ryzen 7 9800X3Dを約56%上回った。
シングルスレッドテストでの全体ベストは「1,202kNPS」を記録したRyzen 7 9800X3Dで、次点のCore Ultra 7 270K PlusはRyzen 7 9800X3Dを約10%下回っている。また、Core Ultra 7 270K Plusは、Core Ultra 5 250K Plusを約4%、Core Ultra 7 265Kを約5%上回った。
Adobe Camera Raw「RAW現像」
Adobe Camera Rawにて、デジタルカメラで撮影した2,400万画素のRAWファイル100枚をJPEGファイルに現像するのに掛かった時間を測定。処理速度として1分間当たりの処理枚数(fpm)を算出して比較する。
なお、計測はGPUを極力使わない場合(CPU処理)と、GPUを最大限に活用した場合(CPU+GPU処理)の2パターンで行なった。
CPU処理での全体ベストはCore Ultra 7 270Kが記録した「187.27fpm」で、Core Ultra 5 250K Plusを約7%、Core Ultra 7 265Kを約2%、Ryzen 7 9800X3Dを約18%上回った。
GPUを最大限に活用したCPU+GPU処理時のCore Ultra 7 270Kは「444.44fpm」を記録。Core Ultra 5 250K Plusを約12%、Core Ultra 7 265Kを約7%、Ryzen 7 9800X3Dを約19%上回った。
HandBrake
HandBrakeでは、約60秒の2160p60(4K60p)動画をH.264、H.265、AV1の各形式でエンコード。1秒間あたりの処理フレーム数(fps)を比較した。
Core Ultra 7 270K Plusはすべての形式で全体ベストを獲得しており、Core Ultra 5 250K Plusを約7~25%、Core Ultra 7 265Kを約4~26%、Ryzen 7 9800X3Dを約9~33%上回った。
PCMark 10 Extended
PCMark 10標準のテストの中でもっとも詳細な「PCMark 10 Extended」を実行した結果が以下のグラフ。
総合スコアでベストを獲得したのは「17,140」を記録したRyzen 7 9800X3Dで、次点のCore Ultra 7 270K PlusはRyzen 7 9800X3Dを約3%下回り、Core Ultra 5 250K PlusとCore Ultra 7 265Kを約1%上回った。
ただ、サブスコアを確認してみると、Core Ultra 7 270K PlusはGaming以外の項目ではRyzen 7 9800X3Dと同等かそれ以上のスコアを記録している。PCMark 10のGamingテストは、コア数の多いCPUと相性の悪い3DMarkのFire Strikeを利用しており、実際にCore Ultra 7 270K PlusのGamingスコアが不自然に低いことが見て取れる。一部テストとの相性の悪さが結果に影響している点を踏まえて参考にしてもらいたい。
UL Procyon「Office Productivity Benchmark」
Microsoft Officeを使ってパフォーマンスの計測を行なうUL Procyon「Office Productivity Benchmark」を実行した結果が以下のグラフ。
総合スコアで全体ベストを獲得したのは「8,318」を記録したRyzen 7 9800X3Dで、次点のCore Ultra 7 270K PlusはRyzen 7 9800X3Dを約0.5%だけ下回り、Core Ultra 5 250K Plusを約4%、Core Ultra 7 265Kを約1%上回った。
UL Procyon「Photo Editing Benchmark」
Adobeの画像編集系ソフト(Photoshop、Lightroom Classic)を使ってパフォーマンスの計測を行なうUL Procyon「Photo Editing Benchmark」を実行した結果が以下のグラフ。
総合スコアで全体ベストを獲得したのは「10,953」を記録したRyzen 7 9800X3Dで、次点のCore Ultra 7 270K PlusはRyzen 7 9800X3Dを約16%下回り、Core Ultra 5 250K Plusを約2%、Core Ultra 7 265Kを約6%上回った。
CPUコア間のレイテンシ
MicroBenchXの「CoherencyLatency」でCPUコア間のレイテンシを計測した結果が以下のマトリックス表だ。
今回のテスト環境において、Intel製CPUのCPUコア間通信に影響するRing/LLCクロックは、Core Ultra 7 270K Plusが4,000MHz、Core Ultra 5 250K Plusが3,900MHzとなっており、Core Ultra 7 265Kの3,800MHzより若干高速化している。
その効果もあってか、EコアモジュールやPコアを跨いだ際のレイテンシについては、Core Ultra 7 265KよりCore Ultra 200S Plusの方が僅かに小さくなってはいるのだが、クロックの差が小さいことからも想像できるように劇的な変化があるわけではないようだ。
AIDA64 Cache & Memory Benchmark「メインメモリ性能」
AIDA64 Cache & Memory Benchmarkで、メインメモリの帯域幅とレイテンシを計測した結果が以下のグラフ。
今回は、Core Ultra 200S PlusとCore Ultra 7 265Kが同じDDR5-6400メモリを搭載しているため、メモリ帯域幅自体はほぼ同等といっても良い程度の速度を記録。Core Ultra 7 270K Plusのメモリ帯域幅はリード96.0GB/s、ライト84.6GB/s、コピー84.9GB/sだった。
メモリ帯域幅に有意な差がみられなかった一方で、メモリレイテンシに関してはCore Ultra 7 270K PlusはCore Ultra 7 265Kより約3%小さく、Core Ultra 5 250K PlusはCore Ultra 7 265Kより約5%小さい。
これは恐らくD2Dクロックの向上によるもので、Core Ultra 7 265Kでは標準で2,100MHzだったD2Dクロックが、Core Ultra 200S Plusでは900MHzも高い3,000MHzに向上したことで、メモリレイテンシが削減されたものと考えられる。
AIDA64 Cache & Memory Benchmark「キャッシュ性能」
AIDA64 Cache & Memory Benchmarkで、CPUが備えるキャッシュメモリの帯域幅とレイテンシを計測した結果が以下のグラフ。
Intel製CPUのキャッシュメモリの帯域幅は、基本的にはコア数が最多のCore Ultra 7 270K Plusが大きい。計測誤差の大きいテストでもあるので、一部コア数の差を逆転している結果もあるが、Core Ultra 200S Plusがキャッシュメモリの帯域幅を大きく改善したという様子はみられない。
キャッシュメモリのレイテンシに関しては、Intel製CPUのL0~L2キャッシュがほぼ横並びである一方で、L3キャッシュはCore Ultra 200S PlusシリーズがCore Ultra 7 265Kよりやや小さくなっている。
Core Ultra 200S PlusはL3キャッシュの速度に影響するRing/LLCクロックがCore Ultra 7 265Kより若干高くなっているので、それが影響しているのだろう。
3DMark「Speed Way」
3DMarkのDirectX 12 Ultimateテスト「Speed Way」を実行した結果が以下のグラフ。
最高スコアはRyzen 7 9800X3Dの「14,179」だが、Intel製CPUが14,050~14,096という僅差で横並びになっており、CPUの差がスコアに現れていないといえる結果だ。
3DMark「Steel Nomad」
3DMarkのDirectX 12テスト「Steel Nomad」では、GPU負荷の高い通常版Steel Nomadと、より軽量なSteel Nomad Lightを実行した。
通常版のSteel Nomadでは、各CPUのスコアが14,201~14,312の範囲で横並びとなっており、Speed Wayと同じくCPU性能の差がスコアに反映されていないといえる結果だ。
低負荷版のSteel Nomad Lightでは、「54,821」を記録したRyzen 7 9800X3Dが全体ベストを獲得。次点のCore Ultra 7 270K Plusのスコアは「45,869」で、Ryzen 7 9800X3Dを約16%下回り、Core Ultra 5 250K Plusを約4%、Core Ultra 7 265Kを約6%上回った。
3DMark「Port Royal」
3DMarkのDXR(DirectX Raytracing)テスト「Port Royal」を実行した結果が以下のグラフ。
全体ベストを獲得したのは「37,805」を記録したRyzen 7 9800X3Dで、Intel製CPUはRyzen 7 9800X3Dを12%ほど下回る33,300前後のスコアで横並びとなっている。
3DMark「Solar Bay」
3DMarkの軽量レイトレーシングテスト「Solar Bay」では、Vulkan 1.1を用いる通常版Solar Bayと、DirectX 12を用いる高負荷版Solar Bay Extremeを実行した。
Core Ultra 7 270K Plusは、通常版のSolar Bayで「255,861」、高負荷版のSolar Bay Extremeで「51,661」を記録。ほかのCPUもほぼ同等といえるスコアを記録しており、CPUの性能差がスコアに反映されていないといえる結果が得られた。
ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク
ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマークでは、グラフィックプリセットを「最高品質」に設定して、フルHD/1080p、WQHD/1440p、4K/2160pの3画面解像度でスコアと平均フレームレートを計測した。なお、超解像は無効にしている。
また、ファイナルファンタジーXIVはCore Ultra 200S Plusで導入されたBinary Optimization Tool(Binary最適化)の対象タイトルなので、Core Ultra 200S PlusではBinary最適化を無効にした場合のパフォーマンスも計測してみた。
ここでは、3D V-Cacheを搭載するRyzen 7 9800X3Dが頭一つ抜けたスコアで全体ベストを獲得。次点のCore Ultra 7 270K Plusは、Ryzen 7 9800X3Dを約10~23%下回り、Core Ultra 5 250K Plusを約6~15%、Core Ultra 7 265Kを14~29%上回った。
Binary最適化の効果については、Core Ultra 7 270K Plusは無効時のスコアを約3~11%上回り、Core Ultra 5 250K Plusも無効時を約2~7%上回っている。AMDの3D V-Cacheほど劇的なものではないが、Binary最適化有効時のCore Ultra 5 250K PlusがCore Ultra 7 265Kを明確に上回っていることからも分かるように、一部のゲームでは確かにパフォーマンスを改善することができるようだ。
Forza Horizon 5
Forza Horizon 5では、グラフィックプリセット「エクストリーム」でゲーム内ベンチマークモードを実行し、フルHD/1080p、WQHD/1440p、4K/2160pで平均フレームレートを計測。また、フルHD/1080pでグラフィックプリセットを「中」に落とした高fps設定でも計測を行なった。
すべての条件で全体ベストを獲得したのはRyzen 7 9800X3Dで、次点のCore Ultra 7 270K PlusはRyzen 7 9800X3Dを約4~23%下回った。
Intel製CPUはもっとも高負荷な4K/2160pで横並びのフレームレートを記録しているが、WQHD/1440p以下の条件ではCore Ultra 7 270K Plusが、Core Ultra 5 250K Plusを約2~6%、Core Ultra 7 265Kを約3~10%上回っている。
VALORANT
VALORANTでは、グラフィック設定を可能な限り高く設定し、フルHD/1080p、WQHD/1440p、4K/2160pで平均フレームレートを計測した。なお、計測は射撃場の高CPU負荷シーンで行なった。
CPUボトルネックが顕著に生じるこの条件では、平均610fps弱を記録したRyzen 7 9800X3Dが傑出したパフォーマンスを発揮。次点のCore Ultra 7 270K Plusは、Core Ultra 5 250K Plusを約3~9%、Core Ultra 7 265Kを約15~17%上回った。
フォートナイト
フォートナイトでは、NaniteおよびLumenを無効にした上でグラフィックプリセットを「最高」に設定し、フルHD/1080p、WQHD/1440p、4K/2160pで平均フレームレートを計測。また、フルHD/1080pでグラフィックプリセットを「中」に落とした高fps設定での計測も行なった。テスト時のグラフィックスAPIはDirectX 12。
すべての条件で全体ベストを獲得したのはRyzen 7 9800X3Dで、Core Ultra 7 270K PlusはRyzen 7 9800X3Dを約3~32%下回った。
Intel製CPUは4K/2160pでほぼ横並びとなっているが、WQHD/1440p以下の条件ではCore Ultra 7 270K Plusが、Core Ultra 5 250K Plusを約5~7%、Core Ultra 7 265Kを約8~9%上回っている。
エーペックスレジェンズ
エーペックスレジェンズでは、グラフィック設定を可能な限り高く設定し、フルHD/1080p、WQHD/1440p、4K/2160pで平均フレームレートを計測した。グラフィックスAPIはDirectX 12で、上限フレームレートは300fps。
エーペックスレジェンズではCore Ultra 7 270K Plusをはじめ、すべてのCPUが上限フレームレートである300fpsをほぼ維持しており、CPU性能の差が反映されない結果となった。
サイバーパンク2077
サイバーパンク2077では、グラフィックプリセット「レイトレーシング: オーバードライブ」でゲーム内ベンチマークモードを実行し、フルHD/1080p、WQHD/1440p、4K/2160pで平均フレームレートを計測。また、フルHD/1080pでグラフィックプリセットを「中」に落とした高fps設定でも計測を行なった。
なお、すべての条件で超解像を「DLSS(バランス)」、フレーム生成を「オフ」に設定している。
すべての条件で全体ベストを獲得したのはRyzen 7 9800X3Dで、次点のCore Ultra 7 270K PlusはRyzen 7 9800X3Dを約2~21%下回り、Core Ultra 5 250K Plusを約1~14%、Core Ultra 7 265Kを約4~9%上回った。
アサシン クリード シャドウズ
アサシン クリード シャドウズでは、グラフィックプリセット「最高」でゲーム内ベンチマークモードを実行し、フルHD/1080p、WQHD/1440p、4K/2160pで平均フレームレートを計測。また、フルHD/1080pでグラフィックプリセットを「中」に落とした高fps設定でも計測を行なった。
なお、すべての条件で超解像を「DLSS(50%)」、フレーム生成を「オフ」、レイトレーシングを「全体的に拡散+反射」に設定している。
すべての条件で全体ベストを獲得したのはRyzen 7 9800X3Dで、Core Ultra 7 270K PlusはRyzen 7 9800X3Dを約7~8%下回っている。
Intel製CPUでもっとも高いフレームレートを記録したのはCore Ultra 7 265Kで、Core Ultra 7 270K Plusは高fps設定で同じ平均フレームレートを記録しているものの、グラフィックプリセット「最高」ではCore Ultra 7 265Kを約2~3%下回り、Core Ultra 5 250K Plusを約3~4%上回った。
モンスターハンターワイルズ
モンスターハンターワイルズでは、グラフィックプリセットを「ウルトラ」に設定して、フルHD/1080p、WQHD/1440p、4K/2160pで平均フレームレートを計測。また、フルHD/1080pでグラフィックプリセットを「中」に落とした高fps設定でも計測を行なった。
なお、すべての条件で超解像を「DLSS」、フレーム生成を「オフ」に設定している。
すべての条件で全体ベストを獲得したのはRyzen 7 9800X3Dで、Core Ultra 7 270K PlusはRyzen 7 9800X3Dを約3~16%下回った。
Intel製CPUは4K/2160pでほぼ横並びとなっているが、WQHD/1440p以下の条件ではCore Ultra 7 270K Plusが、Core Ultra 5 250K Plusを約4~5%、Core Ultra 7 265Kを約5%上回っている。
Microsoft Flight Simulator 2024
Microsoft Flight Simulator 2024では、グラフィックプリセットを「ウルトラ」に設定して、フルHD/1080p、WQHD/1440p、4K/2160pで平均フレームレートを計測。また、フルHD/1080pでグラフィックプリセットを「ミドル」に落とした高fps設定でも計測を行なった。
なお、すべての条件で超解像を「DLSS(DLAA)」、フレーム生成を「オフ」に設定している。
すべての条件で全体ベストを獲得したのはRyzen 7 9800X3Dで、Core Ultra 7 270K PlusはRyzen 7 9800X3Dを約16~25%下回った。
Intel製CPUに注目すると、Core Ultra 7 270K PlusとCore Ultra 5 250K Plusがほぼ同等の平均フレームレートを記録しており、Core Ultra 7 265Kを約2~3%上回っている。
システムの消費電力
ラトックシステムのワットチェッカー「RS-BTWATTCH2」を使用してシステム全体の消費電力を計測。アイドル時の最小消費電力と、ベンチマーク実行中の平均消費電力と最大消費電力を比較したものが以下のグラフだ。
Core Ultra 7 270K Plusのアイドル時最小電力は75.8Wで、Core Ultra 5 250K Plusの76.7W、Core Ultra 7 265Kの78.6Wとほぼ横並びの電力を記録。これは97.0Wを記録したRyzen 7 9800X3Dより20Wほど低い電力であり、LGA1851プラットフォームの強みであるアイドル時消費電力の低さはCore Ultra 200S Plusにも継承されている。
CPU系ベンチマークテストを実行したCore Ultra 7 270K Plusの平均消費電力は317.1~385.2Wで、これは比較したCPUの中で最大の電力である。MTP=159WのCore Ultra 5 250K Plusの平均消費電力は250.0~269.3Wと、比較製品中2番目に低い電力で、最小のRyzen 7 9800X3Dが記録した225.8~264.0Wよりやや高い程度に抑えられている。
3DMarkをはじめとする3D系ベンチマークテストにおいて、平均消費電力がもっとも大きかったのは487.0~747.6Wを記録したRyzen 7 9800X3Dで、Core Ultra 7 270K Plusは426.9~744.8W、Core Ultra 5 250K Plusは381.1~743.7Wを記録した。
一般的に消費電力は低い方が好ましいが、3D系ベンチマークテストではGPUであるGeForce RTX 5090(TGP=575W)の性能を引き出すほど、システム全体の消費電力が増加するものだ。つまり、3D系ベンチマークテストでの消費電力の低さは、GPU性能を引き出せていない可能性を示唆するものでもある。
ワットパフォーマンスの比較
ベンチマークスコアをシステムの平均消費電力で割ることによって求めたワットパフォーマンスを比較したものが以下のグラフ。今回のグラフでは、Core Ultra 7 265Kを基準に指数化して比較している。
Core Ultra 7 265K比のワットパフォーマンスは、Core Ultra 7 270K Plusが88.6~112.6%で、Core Ultra 5 250K Plusは100.0~107.1%を記録。
Core Ultra 7 270K PlusはRAW現像で低いワットパフォーマンスを記録したものの、Eコアの増強によって向上したマルチスレッド性能が発揮できるテストでは、Core Ultra 7 265Kと同等以上の電力効率を発揮した。一方、Core Ultra 5 250K Plusについては、消費電力自体の低さによってCore Ultra 7 265Kと同等以上のワットパフォーマンスを実現している。
Cinebench 2026実行中のモニタリングデータ
HWiNFO64 Proを使って計測したCinebench 2026「CPU(Multiple Threads)」実行中のモニタリングデータをまとめたものが以下のグラフ。テスト時の室温は約25℃。
テスト実行中のCore Ultra 7 270K Plusは、Pコア平均5,277MHz、Eコア平均4,700MHzで動作しており、この時のCPU温度は平均81.9℃(最大89℃)、CPU消費電力は平均214.7W(最大246.2W)だった。
一方、Core Ultra 5 250K PlusはPコア平均5,087MHz、Eコア平均4,597MHzで動作しており、この時のCPU温度は平均67.0℃(最大72℃)、CPU消費電力は平均146.7W(最大167.2W)を記録した。
360mmサイズのオールインワン水冷を用いた今回のテストでは、いずれのCPUもサーマルスロットリングが作動する105℃より十分に低いCPU温度で動作している。Core Ultra 7 270K PlusのCPU消費電力は、平均172.8W(最大200.4W)のCore Ultra 7 265Kより40Wほど高くなっているが、現代のCPUクーラーであれば十分に冷却可能な発熱量であるといえる。
FF14ベンチマーク実行中のモニタリングデータ
HWiNFO64 Proを使って計測した「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク(フルHD/1080p、最高品質)」実行中のモニタリングデータをまとめたものが以下のグラフ。テスト時の室温は約25℃。
テスト実行中のCore Ultra 7 270K Plusは、Pコア平均5,313MHz、Eコア平均3,257MHzで動作しており、この時のCPU温度は平均51.9℃(最大68℃)、CPU消費電力は平均57.7W(最大102.5W)だった。
一方、Core Ultra 5 250K PlusはPコア平均5,046MHz、Eコア平均4,450MHzで動作しており、この時のCPU温度は平均46.9℃(最大55℃)、CPU消費電力は平均44.9W(最大63.2W)を記録した。
Cinebench 2026のように全コアがフル稼働する条件では消費電力が大きいCore Ultra 7 270K Plusだが、この結果からも分かるように常に大電力を消費しているわけではない。用途次第では空冷CPUクーラーでも十分に運用することができるだろう。
順当なパフォーマンスと驚異的な価格設定のCore Ultra 200S Plus
Core Ultra 200S Plusは、D2Dクロックの強化や新機軸であるBinary Optimization Toolの導入によるゲーミング性能の強化をアピールしているが、今回テストしたCore Ultra 7 270K PlusとCore Ultra 5 250K Plusのゲーミング性能が劇的に改善している印象はなく、良くも悪くもスペック通りに順当なパフォーマンスを発揮している印象を受けた。
性能面でのサプライズ感は薄かったが、Core Ultra 7 270K Plusが299ドル、Core Ultra 5 250K Plusが199ドルという価格設定は驚くべきものだ。特に、ハイエンドのCore Ultra 9 285Kと同じCPUコア数を持つCore Ultra 7 270K Plusが299ドルというのは挑戦的な価格というほかなく、これだけの性能を持つCPUが5万円前後で買えるなら素晴らしい。
DDR5メモリやSSD価格の大幅な高騰によってPCの構築コストが上昇しているいま、コストを抑えながらも先進的なPCを入手したいと望むユーザーにとって、Core Ultra 200S Plusは有力な選択肢となるだろう。





















































































