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Lunar Lake搭載で約946gの衝撃!ゲームもイケる軽量モバイルノートを見つけた!

マウスコンピューターの「MousePro G4-I7U01BK-E」。直販価格は23万9,800円

 9月24日に発売したLunar LakeことIntel最新のモバイル向けSoC「Core Ultraシリーズ2」。新設計のCPU、GPU、NPUを組み合わせ、仕事、ゲーム、AIのどれもこなせる性能を持ちながら、低消費電力を実現している。

 そのCore Ultraシリーズ2から上位モデルのCore Ultra 7 258Vを搭載し、約946gの軽さを実現したのがマウスコンピューターの「MousePro G4-I7U01BK-E」だ。直販価格は23万9,800円。前世代のCore Ultraシリーズ1を交えて、ビジネス系、ゲーム系、AI系と複数のベンチマークで性能をチェックしていきたい。

1kgを大きく切る軽さと驚異的なバッテリ駆動時間

 MousePro G4-I7U01BK-Eは、14型の液晶ディスプレイを搭載するモバイルノートだ。大きな特徴はCore Ultra 7 258Vを搭載し、約946gの軽さを実現していること。サイズも314×224×18.3mmとスリムなボディだ。それだけではなく、温度、振動、衝撃など厳しいテストをクリアする必要がある米国軍用規格のMIL-STD-810Hに準拠した頑丈さも持つ。安心して持ち歩きが可能だ。

薄型でシンプルなデザイン
筆者の実測で945gと公称よりもちょっと軽かった
米国軍用規格のMIL-STD-810Hに準拠のタフなボディを実現

 バッテリ駆動時間はJEITA測定法3.0の動画再生で約6時間、アイドル時で19時間となっている。実際はどうなのか。今回はOffice系の処理を実行して実際の作業に近い処理を行なうPCMark 10 BatteryのModern Officeを試した。

PCMark 10 BatteryのModern Officeの結果。15時間1分となった

 結果はバッテリ残量が100%から2%で15時間1分を記録した。これならバッテリのみで長時間の外出でも余裕だ。約946gでこの駆動時間は驚異的と言える。

 ディスプレイは、14型で解像度がWUXGA(1,920×1,200ドット)の、映り込みのない非光沢仕様だ。リフレッシュレートは一般的な60Hz。細かなスペックは公表されていないが、発色は良好で斜めから見ても色の変化はあまりなかった。

14型でWUXGA(1,920×1,200ドット)のディスプレイを搭載
上部には500万画素という高画質のWebカメラを備える
ディスプレイは180度開くのでプレゼンなどにも便利だ

CPU、GPU、NPUのすべてが強化された「Core Ultra 7 258V」

 Intelの最新SoC「Core Ultra 7 258V」は、パフォーマンス重視のPコアが4基、効率重視のEコア4基で合計8コア8スレッド仕様だ。1コアで2スレッドを処理するHyper-Threading技術を廃止している。

 前世代のCore Ultraシリーズ1よりもコア数が減っているが、Pコアのシングルスレッド性能向上、Eコアの低電力から高パフォーマンスまでこなす幅広い挙動によって、高性能を実現しているのがポイントだ。

 Pコアは最大4.8GHz、Eコアは最大3.7GHzと高く、クロックを求めるアプリもマルチスレッド性能を求めるアプリにも対応が可能となっている。

CPU-Zによる情報。Core Ultra 7 258VはPコア4基、Eコア4基で構成されている

 内蔵されているGPUは「Arc 140V」。最新のXe2アーキテクチャを採用しており、Core Ultraシリーズ1の内蔵GPUから1.5倍の性能向上を果たしているという。Xeコアは8基搭載されており、最大1.95GHz駆動だ。レイトレーシングにも対応している。

GPU-Zによる情報。最新世代のXe2アーキテクチャを採用するArc 140Vを内蔵。最大クロックは1.95GHz

 AI特化型プロセッサの「NPU」も第4世代に進化し、単体で47TOPSの性能を持つ。NPUによってローカル(PC上)で高速なAI処理が可能なPCに与えられるMicrosoftの「Copilot+ PC」の要件(40TOPS以上)を満たしているのが最大の特徴だ。

 NPUの活用例として、Webカメラの映像に対して背景をぼかしたり、自動的に自分を中心にする自動フレーミング、視線をカメラ方向に補正するアイコンタクトを使える「Windows Studio Effects」が知られているが、Windows 11の24H2アップデートでは、Copilot+ PC向けの機能が多数追加されている。

NPUを使用して背景のぼかしなどが行なえる「Windows Studio Effects」。CPUやGPUに負荷をかけずに処理を実行できるのが強みだ。NPUの稼働状況はタスクマネージャーで確認できる

 Core Ultraシリーズ2はメインメモリをCPUに統合しており、LPDDR5X-8533の16GBと32GBの2種類が用意されている。後から増設できないのが弱点だが、消費電力や基板面積の削減に貢献している。

 本機は32GB版が採用されており、クリエイティブな作業にも対応できると言ってよいだろう。ストレージに関しては、500GBのNVMe SSDが採用されており、カスタマイズで1TBに変更しての注文も可能だ。

必要十分なインターフェイス類を備え、3画面同時出力も可能

 インターフェイスは左側面にThunderbolt 4、USB 3.2 Gen 2 Type-C(USB PD対応)、HDMI出力、右側面にUSB 3.2 Gen 1、microSDカードスロット、ヘッドセット端子を備えている。有線LANは非搭載。HDMIとThunderbolt 4を組み合わせることで、3画面同時出力も可能だ。

左側面はHDMI出力、USB 3.2 Gen 2 Type-C(USB PD対応)、Thunderbolt 4。SIMスロットもあるが、LTEモジュールのラインナップ追加は2024年中を予定しているという
右側面にmicroSDカードスロット、USB 3.2 Gen 1、ヘッドセット端子
ステレオスピーカーは底面に搭載

 また、無線LANはWi-Fi 7(最大5.7Gbps)に対応し、Bluetooth 5もサポートする。付属のACアダプタは65Wで、Thunderbolt 4またはUSB 3.2 Gen 2 Type-C経由で充電する。USB PDの充電器による充電も可能だ。

ACアダプタは65W出力。付属のType-Cケーブルで充電する
ACアダプタの重量はケーブル込みで133g

 キーボードは、クセのない日本語配列だ。小さめにされやすい矢印キーが大きいのはうれしいところ。キーピッチは約19.1mm、キーストロークは約1.2mmで、クリック感がしっかりあり、剛性も高かった。白色LEDのバックライトも内蔵されている。

 「Fn」キーとファンクションキーを組み合わせることで、ミュート、音量調整、輝度調整、キーボードバックライトの調整、画面キャプチャといったホットキーとして動作が可能だ。

キーボードは日本語配列
キーピッチは約19.1mm
タッチパッドは実寸で106×66mmと使いやすいサイズが確保されている
キーボードは白色LEDのバックライトを搭載

最新世代のNPUによる高いAI性能に注目

 次にベンチマークで基本性能をチェックしてみよう。ベンチマークは「PCMark 10」、「3DMark」、「Cinebench 2024」、「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク」、「CrystalDiskMark」だ。動作モードは「バランス」、ファン設定は「自動」にしている。

 比較対象として、前世代で12コア14スレッドのCore Ultra 7 155U(Pコア2基、Eコア8基、PLEコア2基)を搭載する「MousePro G4-I7U01BK-C」を用意した。こちらはメモリが16GB、グラフィックスはIntel ArcベースだがXeコアが4基だけの「Intel Graphics」である点は注意したい。

基本性能

ベンチマーク結果(3DMark)

 Cinebench 2024は、CGレンダリングでシンプルにCPUパワーを測定するテストだが、コア数の少ないCore Ultra 7 258VのほうがMulti Coreのスコアが高い。Pコアの数がCore Ultra 7 155Uよりも多く、Single Core性能の大幅な向上が効いているのだろう。

ベンチマーク結果(Cinebench 2024)

 PCMark 10は、Web会議/Webブラウザ/アプリ起動の“Essentials”で4,100以上、表計算/文書作成の“Productivity”で4,500以上、写真や映像編集“Digital Content Creation”で3,450以上が快適度の目安となっているが、すべてが大きく上回っている。特にCPU/GPUの両方を使うDigital Content Creationのスコアが高く、性能の底上げぶりが見える部分だ。

ベンチマーク結果(PCMark 10)

 「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク」は、1,920×1,080ドット 標準品質(ノートPC)で「やや快適」、1,280×720ドット 標準品質(ノートPC)で「快適」という評価だ。ストレージは、シーケンシャルリードが3,651.75MB/s、シーケンシャルライトが3,099.82MB/sと十分高速と言える。

ベンチマーク結果(ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク)
ベンチマーク結果(SSDをCrystalDiskMark 8.0.5で計測)

AI性能

 AI性能はどうだろうか。複数の推論エンジンを実行してAI性能を測るUL Procyon AI Computer Vison Benchmarkを実行してみよう。ここではIntelのOpenVINOを指定し、CPU、GPU、NPUそれぞれで処理を実行した。

UL Procyon AI Computer Vison Benchmarkのベンチマーク結果

 注目すべきはNPUだろう。Core Ultra 7 155UのNPUは11TOPSで、Core Ultra 7 258VのNPUは47TOPSなので当然ではあるが、スコアが約2.7倍もアップした。GPUに関しては、Core Ultra 7 155UはXeコアが少ないので参考程度に見て欲しい。

 続いて、Stable Diffusion 1.5でのAI画像生成を行なうUL Procyon AI Image Generation Benchmarkを試してみよう。同じく、IntelのOpenVINOを使用し、GPUとNPUで処理を実行した。512×512ドットの画像を複数生成するテストだ。

UL Procyon AI Image Generation Benchmarkのベンチマーク結果

 ここでもNPUの性能アップが見て取れる。約3.6倍もスコアがアップした。NPUによる1枚当たりの画像生成時間を見ると、Core Ultra 7 155Uが約42.2秒なのに対してCore Ultra 7 258Vは約12.7秒。実用的な速度で生成できるようになったと言ってよいだろう。

ゲーム性能

 続いて、ゲームでの性能も試しておきたい。「Apex Legends」、「ストリートファイター6」、「サイバーパンク2077」を用意した。

 Apex Legendsはトレーニングモードの一定コースを移動した際のフレームレートを「CapFrameX」で測定、ストリートファイター6はCPU同士の対戦を実行した際のフレームレートを「CapFrameX」で測定、サイバーパンク2077はゲーム内のベンチマーク機能を利用している。

Apex Legendsでのゲーム性能
ストリートファイター6でのゲーム性能
サイバーパンク2077でのゲーム性能

 Apex Legendsは低画質設定なら、平均64.9fpsと十分プレイできるフレームレートが出ている。ストリートファイター6は対戦時だと60fpsまでのゲーム。画質設定がLOWESTならば、平均59.4fpsとほぼ上限だ。

 ただ、サイバーパンク2077は低画質設定でアップスケーラーやフレーム生成を利用しても平均41.1fpsとちょっとカク付きが見られてしまう。重量級ゲームを快適に遊ぶのはちょっと厳しいと思っておいたほうがよいだろう。それでも、この軽量ノートである程度ゲームも遊べてしまうのはうれしいところだ。

消費電力

 最後にシステム全体の消費電力もチェックしておこう。OS起動10分後をアイドル時とし、Cinebench 2024実行時の最大値を計測した。電力計にはラトックシステムの「REX-BTWATTCH1」を使用している。

消費電力の計測結果

 Cinebench 2024のスコアはCore Ultra 7 258Vのほうが上回っていながら、消費電力は低くなっている。ワットパフォーマンスのよさが分かる部分だ。さらに、アイドル時の消費電力も少なく、ここもバッテリ駆動時間の長さに貢献していると見られる。

約946gでこの性能は所有欲をそそられる

 モバイルノートに求められる、軽さ、頑丈さ、長時間のバッテリ駆動をキッチリと揃えながら、SoCにCore Ultra 7 258Vを採用することで、仕事もゲームもAIもこなせる高い性能を実現している。わずか約946gに強力な汎用性が詰め込まれており、“これはよい”と素直に思わせる1台だ。