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超良心的価格のゲーミングノート、実売12万円でGeForce RTX 4050搭載。「NEXTGEAR J6」がどれくらい遊べるのか試してみた

NEXTGEAR J6-A5G50GN-A。実売価格は12万4,800円

 マウスコンピューターが販売する16型ゲーミングノートPC「NEXTGEAR J6-A5G50GN-A」は、CPUにRyzen 5 7535HS、GPUにGeForce RTX 4050 Laptopを搭載しつつ、直販で12万4,800円という手ごろな価格を実現しているのが大きな特徴だ。

 前提として、同社のECサイト限定ブランド“NEXTGEAR”の製品は、いずれもコストパフォーマンスに優れ、学生やエントリーユーザー向けである点を強く訴求している。

 本製品もWUXGA(1,920×1,200ドット)解像度での快適なゲーミング体験にフォーカスしながら、GeForce RTX 4050 Laptop搭載機としても最安クラスである点は特筆すべきポイントだろう。ブランドの狙い通り、ゲーミングPCの入門機を求めるユーザー層にとっては魅力的な選択肢になりそうだ。

 この記事では「NEXTGEAR J6-A5G50GN-A」の試作機をもとに、特徴や使い勝手などのインプレッション、およびベンチマークによる性能チェックを実施していく。

エントリー向けながら侮れない性能

 まずは、本製品の基本的なハードウェア性能を確認していこう。繰り返しになるが、本製品はCPUに6コア/12スレッドの「Ryzen 5 7535HS」、GPUにモバイル向けの「GeForce RTX 4050 Laptop」を搭載する。

NEXTGEAR J6-A5G50GN-Aの主なスペック
CPURyzen 5 7535HS
(6コア/12スレッド/3.30GHz/ブースト時最大4.55GHz/16MB L3キャッシュ)
GPUGeForce RTX 4050 Laptop GPU(6GB GDDR6)
Radeon グラフィックス ※内蔵GPU
メモリ16GB(DDR5-4800、8GB×2/デュアルチャネル)
ストレージ256GB(M.2 NVMe SSD)
ディスプレイ16型WUXGA(1,920×1,200ドット)非光沢
OSWindows 11 Home
ネットワークGigabit Ethernet、Wi-Fi 6E、Bluetooth 5
本体サイズ358.4×268.3×26.3mm
重量約2.29kg
実売価格12万4,800円

 Ryzen 5 7535HS自体はTDPを35Wに設定したエントリー~ミドルクラスのゲーミングノート向けSKUで、ここ数年のCPUメニーコア化の潮流の中にあっては慎ましいコア/スレッド数ではあるが、動作クロックは最大4.55GHz、L3キャッシュは16MBと、このクラスのGPUと組み合わせた際に求められる水準のパワーは備えている。

CPUはゲーミングノートPC向け、6コア/12スレッドの「Ryzen 5 7535HS」

 GPUは「GeForce RTX 4050 Laptop」で、現行の最新世代である「GeForce RTX 40」シリーズのうち、もっとも下位にあたるモデルとなる。

 GeForceシリーズの下2桁50番台GPUは基本的にエントリー向けとしてイメージされがちな立ち位置だが、前世代の「GeForce RTX 3050 Laptop」でもそうだったように、GeForce RTX 4050 LaptopもフルHD解像度クラスのゲーミング性能においてはほとんど不自由しないだけのパフォーマンスを発揮する。

 リアルタイムレイトレーシング(DirectX Raytracing)に対応しない「GeForce GTX 16」シリーズが用意されていることもあってか、直近の50番台GPUは意外とパワフルなのだ。

 RTX 40シリーズであるため、最新のアップスケーリングフレーム生成技術である「DLSS 3.0」にも対応可能。これまで通り「RT Core」や「Tensor Core」もしっかり搭載し、レイトレーシングはもちろん、Tensor Coreを活用する配信者向けアプリ「NVIDIA Broadcast」も利用できる。

 ビデオメモリの容量もGeForce RTX 3050 Laptop時代の4GBから6GBに向上しており、設定次第でリッチなゲーム環境を構築しやすくなっていると言えるだろう。

ややネックになりそうなのがストレージ容量の少なさ。アップグレードしても十分安価なため、余裕があれば購入時のカスタマイズから選択しておきたい

 メインメモリの容量は16GB(DDR5-4800、デュアルチャネル)で、ストレージは高速なデータ転送に対応する256GB NVMe SSD。懸念があるとしたらストレージ容量で、近年の大型ゲームタイトルはソフト1本で100GBを超えるものも珍しくないことから、使い方によってはやりくりに苦労するかもしれない。

 Steamなどのプラットフォームにはクラウドセーブ機能が実装されているため、その都度プレイするゲームを入れ替えていくことも難しくないが、BTOカスタマイズによるアップグレードを検討するのもいい。

 メモリは最大64GB、ストレージは最大4TBのほか、データ保存用のNVMe SSDをもう1枚追加できる。仮にメインストレージを500GBにアップグレードした場合、価格は7,700円アップするが、それでも合計価格で見れば安価ではある。

ディスプレイは非光沢のWUXGA(1,920×1,200ドット)パネルを採用。GPUパワーがそこまで高くないこともあって、リフレッシュレートは最大165Hzとなっている

 「NEXTGEAR J6-A5G50GN-A」のもう1つの特徴とも言えるのが、アスペクト比16:10の16型WUXGA(1,920×1,200ドット)ディスプレイだ。一般的なフルHD(1,920×1,080ドット)サイズよりも表示領域が縦に若干広いことから、画面により多くの情報を収められることがメリットとなる。

 なおかつ、リフレッシュレートも最大165Hzに対応しており、軽~中負荷程度のゲームでは滑らかな画面描画を期待できる。特にインターネットの閲覧やOfficeスイートを活用した作業など、いわゆる普段使いのシーンで16:10ディスプレイは根強い人気を誇るが、ノートPCにおいてはそれほど採用例が多くないので、本製品は貴重な選択肢と言える。

 ネットワーク機能については、本体背面に用意されたGigabit Ethernetコネクタが使用できるほか、Wi-Fi 6Eにも対応する。通信速度や接続性の向上により、近年は無線LAN接続でオンラインゲームをプレイするユーザーも増えているが、実際にどちらを使うべきかは使用するネットワーク環境によりけり。自宅などの環境にあわせてうまく使い分けるのがベストだろう。また、無線通信はBluetooth 5も利用できる。

ユーザーアンケートから誕生した独自カラーの新筐体

天板にはNEXTGEARのブランドロゴを配置。筐体カラーはこの手の製品では珍しいブルーグリーン系の配色が目を引く
本体底面。大きく切り取られた通気口からは内部のクーラーが透けて見える

 本体カラーは、ゲーミングノートPCとしては珍しい光沢のあるブルーグリーン系をメインに据えており、ディスプレイのベゼル部分やヒンジ部分、底面などにはブラックを配色。あまり例のないグリーン系カラーの採用にいたっては、SNSを利用したアンケートで支持が高かったものを採用した、という経緯があるそうだ。

 本体天面には、NEXTGEARの「N」と「G」を象ったブランドロゴを中心に配置。個性的だがスッキリとした、印象深い筐体に仕上がっている。

 本体サイズはおよそ358.4×268.3×26.3mmと、16型ディスプレイを採用するだけあり、やや奥行が長めの寸法となっている。厚みはそこまででもないが、近年は薄型のゲーミングノートPCが増えていることから、相対的に存在感は強めに感じられるかもしれない。

 本体重量は公称約2.29kgと、こちらも同クラスのゲーミングノートPCとしては一般的だ。バッグ類に入らないほど重くはないが、電源アダプタと合わせれば3kgほどになってしまう上、先に述べた奥行の長さもやや持ち運びのネックになり得る。基本的には、リビングや自室に据え置きで運用するのがベターだろう。

 インターフェイスは、USB 3.1 Type-Cポート、USB 3.0ポート×2、USB 2.0ポート、HDMIポート、Mini DisplayPort、Gigabit Ethernet、SDカードスロット、ヘッドフォン端子、マイク端子に加え、セキュリティスロットを備える。

右側面にはSDカードスロット、USB 3.0ポート×2を配置
左側面にはセキュリティスロット、USB 2.0ポート、ヘッドフォン端子、マイク端子を配置
背面にはディスプレイ出力(HDMI×1/Mini DisplayPort×1)に加え、Gigabit Ethernet、USB 3.1 Type-Cポートを備える
前面にはインターフェイス類なし

 USBポートは合計4つで、今時のノートPCとしてはオーソドックスな構成と言える。また、映像出力端子が2系統あるため、外部ディスプレイを活用すれば3画面のマルチディスプレイ環境を構築可能だ。SDカードスロットを用意するなど、比較的ゲーム以外の用途にも対応しやすい点は評価できる。

日本語フルサイズキーボードを採用。このタイプのノートPCとしてはキー配置も一般的で、キーピッチも広め
キーボードはRGB LEDバックライト内蔵。発光エリアは4つで、それぞれ別のカラーを割り当てられる

 キーボードはテンキーあり、102キー日本語配列を採用。キーピッチは公称18.82mm前後、キーストロークは1.4mmで、本体がやや大型であることから特にキーピッチが広めに設計されているのが特徴だ。テンキー部分とエンターキー周辺のキーの距離が近めだが、それぞれのキーの配置自体はそこまでクセもなく、打鍵時に困るところはなさそうに思える。

 なお、キーボードはRGB LEDバックライトを内蔵しており、全体を4ゾーンに分けてのカラー調整にも対応。プリインストールされているアプリ「Mouse Control Center」から、エフェクトやカラー、輝度、バックライトのスリープタイマーなどをそれぞれ調整できる。

専用アプリ「Mouse Control Center」でバックライトの設定を変更可能

 ちなみに「Mouse Control Center」は、本体の動作モードやWinキーのロック、Fnキーのダイレクトモードといった細かな動作設定も変更可能だ。

WinキーやFnキーのロック設定、シャットダウン時のUSB給電のオン/オフといった細かな設定も「Mouse Control Center」から変更できる
動作モードの設定。高負荷なゲームをプレイする際はパフォーマンスモードの利用が推奨されるが、ファンを最大回転させるとかなりの音量になるので注意

「NEXTGEAR J6-A5G50GN-A」の性能をベンチマークでチェック

 では、「NEXTGEAR J6-A5G50GN-A」の性能をいくつかのベンチマークで計測してみよう。

 今回は次の定番ベンチマークアプリに加え、

  • Cinebench 2024
  • Cinebench R23
  • 3DMark
  • CrystalDiskMark 8.0.4

 次のゲームでのベンチマークと実ゲームでのフレームレートを計測した。なお、本体の動作モードはすべてパフォーマンスモードで計測している。

  • ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク
  • STREET FIGHTER 6 ベンチマークツール
  • ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON
  • Cyberpunk 2077

 9月にリリースされた「Cinebench 2024」のCPUテストは、昨今の高性能CPUのパフォーマンスをより厳格に数値化できるよう、これまでのCinebenchよりも計算量が増加しており、従ってモバイル向けCPUである「Ryzen 5 7535HS」のスコアはあまりパッとしない数値になる。

Cinebench 2024
CPU(Multi Core)598 pts
CPU(Single Core)88 pts

 ただ、マルチテストの数値自体はデスクトップ向けRyzen 5の下位モデルあたりとそこまで変わらない水準であり、エントリーゲーミングPC向けとしては悪くない。

 「Cinebench R23」のスコアはマルチコアテストで10,000pts超え、シングルコアテストでは1,440pts。コア数はそこまで膨大ではないものの、こちらもマルチコアテスト時の結果はミドルクラスCPUとして良好と言える。

Cinebench R23
CPU(Multi Core)10,695 pts
CPU(Single Core)1,440 pts

 「3DMark」の総合スコアは、WQHD(2,560×1,440ドット)の内部解像度で描画される「Time Spy」でも8,313越えとまずまずの値。総じて、4K(3,840×2,160ドット)解像度での描画は厳しいが、フルHDクラスであれば快適、WQHDでもそこそこがんばれる、というぐらいの塩梅だろうか。

3DMark v2.24.7509
Time Spy Extreme score3,898
Time Spy score8,313
Fire Strike Ultra score4,673
Fire Strike Extreme score9,828
Fire Strike score20,088

 GeForce RTX 4050 Laptopを搭載した効果が感じられる結果で、実売12万円台のエントリーゲーミングノートとしては十分すぎるほどのパフォーマンスと言っていいだろう。

 「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」では、計測可能な解像度がディスプレイの最大解像度に依存するため、WUXGA解像度でテストを実施した。

ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク
1,920×1,200ドット 最高品質15,998

 画質は最高設定としたが、評価指標のうちもっとも高い「非常に快適」判定をしっかり達成できており、テスト中の平均フレームレートも100fpsを突破。画面サイズは若干大きいが、この解像度でも問題なくハイリフレッシュレートディスプレイを活用できる性能を備えていることが分かる。

 「STREET FIGHTER 6 ベンチマークツール」では、アスペクト比16:10の解像度が設定できなかったため、フルHD解像度での計測としている。画質プリセットに最も高負荷な「HIGHEST」を選択した上で、フレームレートは最大の「120」、Vsyncはオフに変更した。

STREET FIGHTER 6 ベンチマークツール
FIGHTING GROUND59.90fps
BATTLE HUB90.89fps
WPRLD TOUR80.53fps

 このベンチマークツールは、フレームレート60fps上限の対戦モード「FIGHTING GROUND」、120fps上限のオンラインマッチングロビー「BATTLE HUB」、同じく120fps上限のソロモード「WORLD TOUR」、それぞれの平均fpsを表示してくれるものだが、「FIGHTING GROUND」ではしっかり60fps上限に張り付き、他のモードでも80~90fpsと安定したフレームレートが出ている。

 最新の話題作「ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON」の計測には、フレームレート計測ツール「CapframeX」を利用。解像度WUXGA、画質は最高設定を適用した状態で、ゲーム内ミッション「テスターAC撃破」で一定コースを移動した際の1分間の平均・最低フレームレートを算出している。

ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON 1,920×1,200ドット 最高画質
平均最小
83.70fps58.10fps

 ここでも平均フレームレートが80fps越え、最小(Min 1%)では58fps前後と健闘。エントリー帯のゲーミングノートPCを購入する場合、「遊びたいタイトルでスペック不足だったらどうしよう」と悩む初心者ユーザーは少なくなさそうだが、WUXGA解像度に限って言えば、「NEXTGEAR J6-A5G50GN-A」にスペック不足でプレイできないような現行タイトルはなさそうだ。

 「Cyberpunk 2077」では、ゲーム内ベンチマークモードを使用してフレームレートを計測。未だに屈指のヘビー級タイトルである本作だが、WUXGA解像度、画質設定「ウルトラ」での計測でも平均フレームレートが69.90fpsと、しっかり60fps越えを果たしているのはおおいに評価できるポイントだ。

Cyberpunk 2077 1,920×1,200ドット 画質:ウルトラ
平均最小
69.90fps44.12fps

 本プリセットではNVIVIDA DLSSが無効化されているが、これを有効化した場合はさらにフレームレートが伸びることから、本製品のパフォーマンスは良好と言っていい。

 ストレージ性能も見ていこう。「CrystalDiskMark 8.0.4」では、データサイズ1GiB、テスト5回の条件で計測を実施。シーケンシャルリードでは2,500MB/s前後、シーケンシャルライトは1,400MB/s以上で、ややライトが遅い点は気になるところだが、基本的にはHDDやSATA接続のSSDよりも速度が出ている。

CrystalDiskMark 8.0.4
Q8T1 シーケンシャルリード2,515.95 MB/s
Q8T1 シーケンシャルライト1,473.43 MB/s
Q1T1 シーケンシャルリード2,036.50 MB/s
Q1T1 シーケンシャルライト1,417.91 MB/s
Q32T16 4Kランダムリード328.81 MB/s
Q32T16 4K ランダムライト321.51 MB/s
Q1T1 4Kランダムリード43.99 MB/s
Q1T1 4K ランダムライト107.68 MB/s

 ランダムリード・ライトはいずれもさほど高速ではないが、データコピーやゲームの読み込みといったシーンでは、旧来のストレージを上回る速度のメリットが感じられるはずだ。

安価でも性能に妥協しない優秀ゲーミングノート

 ここまで見てきた通り、「NEXTGEAR J6-A5G50GN-A」は、アスペクト比16:10のWUXGA解像度で快適にPCゲームをプレイ可能なゲーミングノートPCだ。快適にゲームをプレイできるだけでは何ということもないかもしれないが、本製品を特徴づけているのはやはりそのコストパフォーマンスの高さ。

 筆者が確認した限り、競合他社のBTOノートPCのラインナップを見ても、実売12万円台でGeForce RTX 4050 Laptopを搭載する機種は見当たらず、大体は14万~15万円台からの価格設定がなされている。

 そもそも12万円台のゲーミングノートPC自体、それほど選択肢が多いわけではないが、本製品はその中でも強烈な個性を備えていると言えるだろう。

 一方で、ちょっとどうかな、というところもないわけではない。筆者がもっとも気になったのは、駆動時の騒音だ。低負荷時はどうということもないのだが、電源プランをパフォーマンス設定にしてゲームをプレイし始めると、やや高めのファンの風切り音が気になってしまう。

 ゲーミングPCに駆動音の問題はつきものではあるが、6畳の寝室にPCを置き騒音計で簡単に計測してみたところ、ピーク時は50dBクラスの音が鳴り響いており、それにしてもやや大きめと言える。ゲーム側のオーディオをしっかり聞きたいなら音量を高めにするか、ヘッドフォンなどの周辺機器を用意する必要が出てくるだろう。

 電源プランによってはもう少し静かに動かすこともできるため、その辺りはプレイするタイトル次第で調整するといいかもしれない。

 いずれにせよ、本製品の安価かつ高いパフォーマンスを発揮できる特徴は極めて魅力的と言える。スペックを重視してエントリーゲーミングノートを購入する場合は、真っ先に候補に挙がってくる1台だ。