Hothotレビュー
質感がワンランクアップした高コスパミドルレンジスマホ「OPPO Reno9 A」
2023年6月23日 06:24
OPPOから、国内向けミドルレンジスマホ「Reno A」シリーズの最新モデル「Reno9 A」が登場。コストパフォーマンスに優れる製品として従来より人気のシリーズだが、その最新モデルがどのように進化しているのか、チェックしていく。なお、今回試用した評価機は、直販のSIMロックフリーモデル「Reno9 A CPH2353」だ。6月22日発売で、直販価格は4万6,800円。
背面にガラスを採用し質感が向上
まず初めに、Reno9 Aの外観を見ていこう。
Reno9 Aのボディデザインは、基本的には従来モデルとなるReno7 Aから大きく変わっていない。垂直に切り落とされ、4角が緩やかにカーブした側面メタルフレームと、フラットな背面の組み合わせ、背面カメラまわりのデザインはReno7 Aとほぼ同等だ。
ただ、従来樹脂素材を採用していた背面パネルに、新たにガラスを採用することで質感が高められている。その上で、「OPPO Glow」と呼ぶ独自の加工を施すことで、マット調でありながらきらきら輝く質感を実現。また、背面全体をOPPO Glow処理するのではなく、カメラまわりにはあえてOPPO Glow処理を施さずガラスの質感を残すことで、ガラスらしい光沢感も感じられるようになっている。
従来モデルも、ミドルレンジスマホとして質感の高さが評価され人気を博したが、Reno9 Aはデザイン的にはほとんど違いはないものの、背面がガラスになったことで質感はワンランク上がった印象。実際に手にしてみても、その優れた質感は大きな魅力だと感じる。
サイズは74×160×7.8mmと、わずかながら従来モデルより大きくなっている。今回は従来モデルと並べて比較できなかったが、大きくなっているとは言っても、幅、奥行き、高さとも1mm未満のサイズアップにとどまっているため、ほとんど同じと考えていい。
それに対し重量は183gと、従来モデルから8g重くなっている。これは、背面にガラスを採用したことによるものと考えていい。大幅な重量増ではなく、質感の向上を考えると十分納得できる。なお、SIM未装着時の実測の重量は184gだった。
SoCは従来と同じだがメモリが8GBに増量
Reno9 A CPH2353の主なスペックは、表1にまとめた通り。そしてこの表の中で、赤文字となっている部分が、従来モデルと異なる部分となる。それを見ると分かるように、メモリが6GBから8GBに増量され、標準搭載OSがAndroid 13ベースのColorOS 13になり、背面にガラスを採用した影響によるサイズと重量の違いのみとなっている。つまり、型番こそ変わっているが、その中身は従来モデルからほとんど変化していない。
新型番で登場するのであれば、せめてSoCは最新世代のものを採用してもらいたかったように思う。この点についてOPPOは、Reno Aシリーズのユーザーを対象とした調査から、Reno Aシリーズ購入の動機はどちらかというと価格重視の傾向が強く、このところの物価高騰や円高の影響がある中、最新モデルでも従来モデルと同等レベルの価格を維持するためにあえて従来モデルと同じSoCを採用したと説明。そして、SoCは同じでも、メモリが8GBに増量されたことで、ゲームアプリなど多くのメモリを要求するアプリの動作は快適になっているとのことだ。
もちろんOPPOとしても、最新型番のモデルということで、SoCも含めた進化を実現したかったはずで、そういう意味では苦肉の策だったのだろう。このあたりからは、ハイエンドモデルとは異なるメーカー側の苦労が伝わってくる。少々残念ではあるが、物価高騰の中でわずかな価格アップで抑えられている点はありがたいと言える。
【表1】Reno9 A(CPH2523) の主な仕様 | |
---|---|
SoC | Snapdragon 695 5G |
メモリ/内蔵ストレージ | 8GB LPDDR4x/128GB UFS 2.2 |
外部メモリ | 最大1TB microSD(Nano SIMカードスロット2と排他) |
OS | ColorOS 13(Android 13) |
ディスプレイ | 6.4型有機EL、1,080×2,400ドット (アスペクト比20:9、リフレッシュレート最大90Hz、ディスプレイ設定「ブリリアント」時:DCI-P3カバー率100%、sRGBカバー率136%) |
背面カメラ | 超広角:F2.2、画角120度、800万画素センサー 広角:F1.7、4,800万画素センサー マクロ:F2.4、200万画素センサー |
前面カメラ | F2.4、1,600万画素センサー |
モバイル通信 | 5G Sub-6:n3/28/41/77/78 4G LTE:Band 1/3/4/5/8/12/17/18/19/26/28/38/40/41/42 3G:Band 1/4/5/6/8/19 GSM:850/900/1,800/1,900MHz |
対応SIM | Nano SIM×2、またはNano SIM+eSIM |
無線LAN | Wi-Fi 5 |
Bluetooth | Bluetooth 5.1 |
センサー | 地磁気、近接、光、加速度、ジャイロ、重力、ステップカウント機能対応、電子コンパス |
おサイフケータイ | 対応 |
防水・防塵 | IPX8/IP6X |
生体認証性能 | ディスプレイ埋め込み型指紋認証、顔認証 |
外部ポート | USB Type-C、3.5mmオーディオジャック |
バッテリ容量 | 4,500mAh(定格4,400mAh)、18W急速充電対応 |
駆動時間 | オーディオ再生最大39時間、ビデオ視聴最大20時間 |
サイズ/重量 | 約74×160×7.8mm/約183g |
カラー | ムーンホワイト、ナイトブラック |
ディスプレイやカメラ、各種機能も従来モデルと同じ
ディスプレイは従来モデルと同じ、1,080×2,400ドット表示対応の有機ELディスプレイを採用。最大90Hzのリフレッシュレートに対応する点や、ディスプレイ左上に前面カメラのパンチホールが開けられている点も同じ。従来から、なめらかで鮮やかな表示に定評のあるディスプレイだが、動画や写真を表示させてみても、非常に鮮やかな発色となめらかな表示を確認できる。
近年は、ミドルレンジスマホでも有機ELディスプレイの採用が増えているが、やはり液晶と比べての表示品質の高さは圧倒的で、この点は従来同様大きな魅力と言える。なお、ディスプレイに標準で保護フィルムが貼られている点も従来モデル同様だ。
カメラも従来モデルから変わっていない。背面カメラは超広角、広角、マクロの3眼仕様で、超広角はF2.2、画角120度のレンズと800万画素センサー、広角はF1.7のレンズと4,800万画素センサー、マクロはF2.4のレンズと200万画素センサーの組み合わせとなる。前面カメラはF2.4のレンズと1,600万画素センサーだ。
撮影機能についても従来モデルと同じ。通常の撮影に加えて夜景モードやポートレートモード、超高解像度撮影、マクロ撮影などの機能を用意。
動画撮影機能も変わらず、1080p/30fps動画を背面、前面で撮影可能。また背面カメラでは120fpsのスローモーション撮影も可能だ。
ポートは、USB Type-Cと3.5mmオーディオジャックを用意し、いずれも下部側面に配置。左側面にはSIMカードトレイがあり、Nano SIMカードを2枚、またはNano SIM+microSDカードを装着できる。加えてeSIMにも対応しており、Nano SIM×2、Nano SIM+eSIM、Nano SIM+microSDカード、Nano SIM+eSIM+microSDカードといった使い分けが可能だ。
物理ボタンは左側面にボリュームボタン、右側面に電源ボタンを配置。多くのスマホでは右側面に物理ボタンを集約させている製品が多く、そちらに慣れていると少々戸惑うかもしれないが、慣れれば問題ない。
生体認証機能は、ディスプレイ埋め込み型指紋認証センサーを搭載。また前面カメラを利用した顔認証にも対応している。なお、顔認証は従来モデル同様にマスクをしていても認証できることを確認している。
このあたりの仕様にも変更はなく、基本的な使い勝手は従来モデルとほとんど変わらないと考えていい。
最後に、簡単にベンチマークテストの結果を紹介しておく。利用したベンチマークアプリは、「PCMark for Android」、「3Dmark」、「Google Octane 2.0」、「Geekbench 6」だ。
結果は、スペック相応といった感じだ。総じてスコアが優れているわけではないが、ミドルレンジスマホとしてはまずまずのスコアと言っていいのではないだろうか。実際に使ってみても、アプリはかなりサクサク動作するし、使っていて大きな不満は感じなかった。
従来モデルと比べると、メモリが増えたことで快適さは増していると思われるが、全体的には4万円台前半で購入できるミドルレンジスマホとして必要十分な性能を備えていると言ってよさそうだ。
Reno7 Aからの乗り換えは微妙だが、コスパに優れるミドルレンジスマホとしておすすめ
Reno9 Aは、従来モデルのReno7 Aと比較して、ボディの質感が高められ、メモリが増量しているが、それ以外はReno7 Aからほとんど変わっていない。型番こそ新しくなっているが、実質的にはReno7 Aの派生モデルと言っていいだろう。
ただ、SoCにSnapdragon 6 Gen 1を採用していたとすると、アプリがより快適に利用できるようになるだけでなく、カメラまわりや各種機能も強化され、より新しい体験が実現できていたはずだ。とはいえその場合には価格が大きく上昇していたはずで、おそらく4万円台前半は実現できていなかっただろう。
確かにスペック面に目新しさはないかもしれない。かといってミドルレンジスマホとして性能的に大きく劣っているわけでもなく、現時点でも十分快適に利用できる。そう考えると、コスパに優れるミドルレンジスマホとしての魅力は大きく失われていないと言える。
さすがにReno7 Aからの乗り換えはおすすめしづらいが、これから新たにコスパに優れるミドルレンジスマホを購入しようと考えている人にとって、十分検討に値する製品と言っていいだろう。