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これが現役最高峰のゲーミングノートだ!Ryzen&GeForceの最上位タッグを載せた「ROG Strix SCAR 17 G733」

Ryzen 9 7945HXとGeForce RTX 4090 Laptop GPUを組み合わせたASUSのゲーミングノート「ROG Strix SCAR 17 G733」。型番はG733PY-R9R4090で、予想実売価格は54万9,800円で2023年5月に発売予定

 ASUSが2023年3月13日に発表したゲーミングノート「ROG Strix SCAR 17 G733」。CPUにRyzen 9 7945HX、GPUにGeForce RTX 4090 Laptop GPUを搭載と、どちらもノート向けとしては最上位のモデルを採用し、現役最強クラスのスペックを誇る。その実力を確かめる機会に恵まれたので、早速試していきたい。

Ryzen 9 7945HXとRTX 4090の最上位コンビが誕生

 ASUSのゲーミングノートでも「ROG Strix SCAR」シリーズは、“超ハイエンド”仕様が大きな特徴だ。ここで紹介する「ROG Strix SCAR 17 G733」は、まさにそれを象徴する最新モデルと言える。

 まず、CPUにはAMDのノート向けRyzenシリーズでは最上位になる「Ryzen 9 7945HX」を採用。16コア32スレッドというメニーコア仕様で、最大クロックは5.4GHz、TDPは55Wだ。対応メモリはDDR5-5200で、本機にはDDR5-4800が32GB搭載されている。

 Intelのノート向け最上位の「Core i9-13980HX」が24コア32スレッドと、コア数だけ見ればIntelのほうが上だが、性能重視のPコアが8基、効率重視のEコアが16基という組み合わせ。

 その点、Ryzen 9 7945HXは16コアがすべてPコアと言える仕様。3次キャッシュも64MBと36MBのCore i9-13980HXより大容量だ。

 実際にどの程度性能に差があるのかは、記事後半のベンチマークで紹介するが、ノート向けCPUでもAMDとIntelは熾烈な性能争いを繰り広げている。

 ROG Strix SCARシリーズには、Core i9-13980HXとRTX 4090を組み合わせた「ROG Strix SCAR 18 G834」も用意しており、まさに“抜かりなし”と言えよう。

CPU-Zでの表示。CPUには16コア32スレッドの「Ryzen 9 7945HX」を搭載。AMDのノート向けRyzenの最上位モデルだ。最大クロックは5.4GHz

 ゲーミングノートの心臓部と言えるGPUは、NVIDIAの最新世代にしてノート向けとしては最上位となる「GeForce RTX 4090 Laptop GPU」を搭載。前世代の最上位「GeForce RTX 3080 Ti Laptop GPU」からCUDAコアは1,000基以上も増加し、9,728基に達している。

 デスクトップ版RTX 40シリーズと同じく、従来のアップスケーラーに加えて、AIによるフレーム生成も加えた「DLSS 3」への対応、ハードウェアエンコーダのNVENCを2基同時に動作させてエンコードを高速化できるといった特徴も持つ。

 なお、GeForce RTX 4090 Laptop GPUはノートPCの設計に合わせてブーストクロックやカード電力を調整できるようになっているが、ROG Strix SCAR 17 G733はブーストクロック2,040MHzと公式スペックにおける最大値、カード電力は175Wと公式スペック(150W)以上のセッティングと性能をフルに引き出せる設計となっている。

GeForce RTX 4090 Laptop GPUのGPU-Zでの表示。原稿執筆時点では正式対応しておらず、一部非表示だった
ROG Strix SCAR 17 G733に搭載のGeForce RTX 4090 Laptop GPUは、ブーストクロック2,040MHz、カード電力175Wに設定されていた

 ストレージはPCI Express 4.0 x4接続のNVMe SSDで容量は1TBだ。この容量があれば、とりあえずゲームのインストールに困ることはないだろう。

ストレージの速度を測るCrystalDiskMark 8.0.4cの結果。トップ性能ではないが、十分高速なNVMe SSDだ

 そのほか、今回試用したROG Strix SCAR 17 G733のスペックは以下の通りだ。

【表】ASUS ROG Strix SCAR 18 G834の仕様
CPURyzen 9 7945HX(16コア32スレッド)
メモリDDR5-4800 32GB
ストレージ1TB NVMe SSD
GPUGeForce RTX 4090 Laptop GPU
液晶2,560×1,440ドット表示対応17.3型(240Hz)
OSWindows 11 Home
インターフェイス2.5Gbps有線LAN、USB 3.1 Type-C(DisplayPort出力、USB PD対応)、USB 3.1 Type-C(DisplayPort出力)、USB 3.2 Gen1×2、HDMI、Webカメラ、ステレオスピーカー、音声入出力端子
無線Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.1
本体サイズ395×282×23.4~28.3mm
重量約3.0kg

 性能チェックの前に、外観やインターフェイス類をまずはチェックしよう。

 ディスプレイは17.3型のWQHD(2,560×1,440ドット)。リフレッシュレートは最大240Hzと非常に高い。さらにノートPCでは珍しく可変リフレッシュレート(VRR)にも対応しており、画面がズレるテアリングや描画がもたつくスタッタリングを防げるのは大きな強みだ。

 このほか、ディスプレイ上部にはWebカメラ(92万画素)、マイクを搭載。インターフェイスは左側面にUSB 3.0×2、ヘッドセット端子、背面にUSB 3.1 Type-C(DisplayPort出力、USB PD対応)、USB 3.1 Type-C(DisplayPort出力)、HDMI出力、2.5Gの有線LANを備える。右側面にポート類はない。無線LANはWi-Fi 6E対応だ。

ディスプレイは17.3型のWQHD(2,560×1,440ドット)
リフレッシュレートは最大240Hz
可変リフレッシュレート(VRR)のG-SYNCもサポート
上部にはWebカメラとマイクも搭載
ディスプレイはここまで開く
左側面にUSB 3.0×2、ヘッドセット端子
背面にUSB 3.1 Type-C(DisplayPort出力、USB PD対応)、USB 3.1 Type-C(DisplayPort出力)、HDMI出力、2.5Gの有線LAN
右側面にポート類は用意されていない
天板

 キーボードは日本語配列。キースイッチは2,000万回以上の耐久性を持っており、わずか0.15mmのプッシュでキーが反応する独自のオーバーストロークテクノロジーによって高速なレスポンスを実現している。

 上部には音量調整やミュートといったショートカットキーがあり、そこにマクロを割り当てることも可能だ。

 本体のサイズは、395×282×23.4~28.3mmで重量は3kg。ACアダプタは330Wと大出力だけにサイズは大きく、筆者の実測で925gと重さもある。

キーボードは日本語配列でテンキーも備える
LEDバックライトも内蔵。底部も光るため浮いたような雰囲気になるのがおもしろい
ライティングはArmoury Crateアプリでコントロールが可能だ
タッチパッドはクリックが一体型になっているタイプ。筆者の実測で縦130mm、横83mmと十分なサイズ
ACアダプタは330W出力ということもあって、かなり大型だ
ACアダプタはケーブル込みで重量は925gだった

最上位タッグの性能はいかに

 ここからは一番気になるベンチマークテストに移ろう。ROG Strix SCAR 17 G733は管理アプリの「Armoury Crate」に複数の動作モードが用意されている。

 サイレント/パフォーマンス/Turboがあり、それぞれパフォーマンスと動作音が変化する。動作音はサイレントは35dB、パフォーマンスは40dB、Turboは45dBになるという。パフォーマンスの変化は以下の通りだ。

 サイレントでは、ファンの音が気にならないほど小さくなる。性能は大きく下がるが、深夜など静かにしたい環境での作業にはよいだろう。

 ゲームやエンコードなど性能を求める処理では、Turboモードが一番ではあるが、パフォーマンスモードでは、わずかな性能低下で動作音は数字以上に小さくなった印象だ。なお、今回はTurboモードに設定して性能テストを実行している。

 そして、比較対象としてCPUに24コア32スレッドの「Core i9-13980HX」とGPUにROG Strix SCAR 17 G733と同じブーストクロックと電力設定が行なわれている「GeForce RTX 4090 Laptop GPU」を組み合わせた「ROG Strix SCAR 18 G834」を用意した。同GPUでCPUが変わることでどこまで性能に変化があるのか注目と言える。

 まずは、CGレンダリングでCPUパワーを測定する「Cinebench R23」、PCの基本性能を測定する「PCMark 10」、をチェックしよう。

 Cinebench R23については、ROG Strix SCAR 17 G733搭載のRyzen 9 7945HXは16コア32スレッド、比較対象となるROG Strix SCAR 18 G834対応のCore i9-13980HXは24コア32スレッドだが、マルチコアのスコアはRyzen 9 7945HXが上回った。その一方で、シングルコアの性能はCore i9-13980HXが上だ。かなり競った結果と言える。

 PCMark 10は、Web会議/Webブラウザ/アプリ起動の“Essentials”で4,100以上、表計算/文書作成の“Productivity”で4,500以上、写真や映像編集“Digital Content Creation”で3,450以上が快適度の目安となっているが、すべて2倍以上のスコアと圧倒的な強さ。ROG Strix SCAR 18 G834に対してもCPUパワーの差が出やすいDigital Content Creationではスコア差が大きくなっている。

実ゲームでのフレームレートを見る

 ここからはゲーミング性能を見ていこう。定番3Dベンチマークの「3DMark」から。

 同じGPUを使用しながら、Time Spy以外はROG Strix SCAR 18 G834を上回った。Ryzen 9 7945HXとGeForce RTX 4090 Laptop GPUの組み合わせはゲーミングノートの中で最速クラスの性能を生み出すと言ってよいだろう。

 続いて、実ゲームを試そう。軽量級として「レインボーシックス シージ」から。ゲーム内のベンチマーク機能を実行した際のフレームレートを「FrameView」で測定している。測定する解像度はフルHDとWQHDの2種類とした。

 描画負荷が軽いゲームなので最高画質に設定してもWQHDでリフレッシュレート240Hzを生かし切れるだけのフレームレートが出ている。GPUがボトルネックになりにくフルHDでは、CPUパワーの差が出たのかROG Strix SCAR 18 G834を大きく上回った。

 次に重めのゲームも試してみよう。「サイバーパンク2077」、「F1 22」、「Microsoft Flight Simulator」を用意した。

 サイバーパンク2077は、最高画質設定の「レイトレーシング : ウルトラ」をベースに、レイトレーシングライティング設定をもっとも高い「サイコ」にし、ゲーム内のベンチマーク機能を実行した際のフレームレートを「FrameView」で測定。

 F1 22は画質、レイトレーシングとも最高設定の「超高」とし、ゲーム内のベンチマーク機能を実行した際のフレームレートを「FrameView」で測定。

 Microsoft Flight Simulatorは画質を「ウルトラ」とし、アクティビティの着陸チャレンジから「シドニー」を選び、60秒フライトしたときのフレームレートを「FrameView」で測定している。

 なお、DLSS 3でのテストに関してはROG Strix SCAR 17 G733が発売前の試用機ということもあってか、フレームレートが安定しなかったことから掲載を見送っている。製品版を試用する機会あれば改めてテストしたい。

 描画負荷が高いゲームになるとGPUがボトルネックになり、CPUパワーの差はあまりフレームレートに影響しなくなる。

 サイバーパンク2077もF1 22もROG Strix SCAR 17 G733のほうが若干フレームレートが高い場面もあるが、わずかな差だ。このあたりはGPUが同じなので仕方のないところだろう。

 それにしても、超重量級と言えるサイバーパンク2077を最高画質設定でフルHDではあるが、DLSSに頼らなくても平均60fpsを超えられるのはさすがRTX 4090と言える。DLSS 3が問題なく動作すれば、WQHDでも余裕で平均100fpsを超えられるはずだ。

 Microsoft Flight SimulatorはCPUがボトルネックになりやすく、その影響もあってフルHDとWQHDでほとんどフレームレートが変わっていない。CPUパワー不足でGPUの性能を生かせていないわけだ。Ryzen 9 7945HXでも、その状況に変わりはない。

 続いて、システム全体の消費電力を測定してみよう。OS起動10分後をアイドル時、3DMark-Time Spy実行時の最大値とサイバーパンク2077実行時の最大値を測定した。

 電力計にはラトックシステムの「REX-BTWATTCH1」を使用している。サイバーパンク2077は画質をレイトレーシング : ウルトラで解像度はWQHDとした。

 3DMarkでもサイバーパンク2077でもROG Strix SCAR 17 G733のほうが消費電力が小さくなった。GPUは同じなので、CPUの消費電力の差とROG Strix SCAR 18 G834のほうがディスプレイのサイズが大きいため、その影響もあると考えられる。

高負荷時でも安定動作の強力な冷却システム

 最後にゲームプレイ中の動作クロックと温度をチェックしておこう。「サイバーパンク2077」を10分間プレイしたときのCPUとGPUの動作クロックと温度の推移を「HWiNFO Pro」で測定している。

 動作クロックについては、CPUが「Core Clocks (avg)」、GPUが「GPU Clock」の値、温度はCPUが「CPU (Tctl/Tdie) 」、GPUが「GPU Temperature」の値だ。

 クロックに関しては、CPUクロックはおおむね4.6GHzで推移している。GPUは1,860MHz前後で推移。最初の数十秒はブーストクロックの最大値である2,040MHzで動作しているのを確認できた。

 温度に関しては、CPUは最初92.3℃まで上昇しているが、その後、冷却システムが動いて80℃前後で安定した。GPUは緩やかに上がっていき70℃前後で安定。どちらも動作に問題なく、冷却力は十分高いと言ってよいだろう。

 現役最高峰のゲーミングノートが欲しいという人にピッタリだ。ノート向けのRyzenとGeForce最上位モデルを備え、液晶の解像度が高く、リフレッシュレートも240Hzと高速。可変リフレッシュレートにも対応とeスポーツ系のFPS/TPSもレイトレーシングを使った重量級ゲームも快適に楽しめるゲーミング環境が一気に手に入る。価格は高いが、それだけの価値がある1台だ。