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MSI史上初の1kg切りモバイル「Prestige 13 Evo A12M」の実力を見る
2023年3月15日 06:24
エムエスアイコンピュータージャパンから、ビジネス向けモバイルノートPC新モデル「Prestige 13 Evo A12M」が登場。アスペクト比16:10の13.3型ディスプレイを搭載し、20時間を超える長時間駆動を確保しつつ、990gの軽さを実現する点が大きな特徴となっている。
今回、中核モデルとなる「Prestige 13 Evo A12M-075JP」の実機をいち早く試用する機会を得たので、ハード面を中心に紹介する。3月16日に発売となり、価格はオープンプライス、実売予想価格は26万5,000円前後。
MSI製ノートPC初の1kg切りは、日本市場の要望を受けて実現
「Prestige 13 Evo A12M」(以下、Prestige 13 Evo)の最大の特徴となるのが、13.3型ディスプレイを搭載しつつ、1kgを切る約990の軽さを実現している点だ。実は、MSI製のノートPCとして初の1kg切り実現であり、MSIにとってチャレンジングな製品となっている。
実際に本体を手にしてみても、申し分ない軽さを実感できる。国内の13型クラスのモバイルノートPCでは、重量が1kgを切る軽量な製品は珍しくない。それでも約990gの軽さを実現することで、手に持ったときの印象はもちろん、1kg切りという数字から得られる印象も大きく変わる。そういった意味でも、1kgを切ってきたという点は歓迎したい。なお、試用機の実測の重量は973gと、公称よりもさらに軽かった。
この軽さは、筐体の素材に軽さと強度を兼ね備えるマグネシウム合金を採用することにより実現している。そのうえで、米国国防総省の調達基準「MIL-STD-810H」に準拠した堅牢性試験をクリアする堅牢性も確保。実際に本体を手でひねってみても申し分ない強度が確保されていることを実感でき、安心して持ち運べると考えていい。
なお、この軽さについては、もっと軽くしてほしいという日本市場からの声に応えたものとのこと。近年は、日本やアジア圏以外でもモバイルノートPCの軽さ追求が進んでいるものの、日本市場の声を受けて開発したというところからは、MSIが日本市場を重要な市場と位置付けていることが伝わってくる。
本体デザインは、フラットな天板と、側面の直線的なラインから、非常にシャープな印象となっている。本体色は、試用機のマットホワイトに加え、ステラグレイの2種類を用意。マットホワイトは非常に清潔な印象で、天板のMSIロゴもそこまで目立つものではなく、ビジネスシーンにもしっくり馴染みそうだ。
サイズは299×210×16.9mm。13.3型クラスのモバイルノートPCとして十分なコンパクトさだ。また高さも16.9mmとまずまずの薄さとなっているので、カバンへの収納性も申し分ない。
第12世代Coreプロセッサ採用も、仕様面は充実
Prestige 13 Evo試用機の仕様は、以下の表にまとめたとおりだ。
Prestige 13 Evo A12M-075JP(試用機)の主な仕様 | |
---|---|
プロセッサ | Core i7-1280P Pコア:6コア・12スレッド/ブースト時最大4.80GHz Eコア:8コア/ブースト時最大3.60GHz スレッド数:20 |
メモリ | LPDDR5 32GB |
内蔵ストレージ | 1TB PCIe 3.0 SSD |
ディスプレイ | 13.3型液晶、1,920×1,200ドット ノングレア、60Hz |
無線LAN | IEEE 802.11ax 2x2(Wi-Fi 6E) |
Bluetooth | Bluetooth 5.2 |
キーボード | 日本語、キーピッチ約19×16mm、キーストローク約1.5mm キーボードバックライト |
カメラ | 207万画素Webカメラ、プライバシーシャッター |
生体認証 | Windows Hello対応 顔認証IRカメラ、指紋認証センサー |
インターフェイス | Thunderbolt 4×2 USB 3.2 Gen2 Typa-A×1 HDMI microSDカードスロット 3.5mmオーディオジャック |
OS | Windows 11 Pro 64bit |
駆動時間 | 最大21時間 |
サイズ/重量 | 299×210×16.9mm/約990g |
表を見ると分かるとおり、CPUにはCore i7-1280Pを採用し、インテルEvoプラットフォーム準拠となっている。最新のRaptor Lakeこと第13世代Coreプロセッサではない点は少々残念だが、第13世代Coreプロセッサと比べて性能面で大きく見劣りするわけではなく、大きな不満はない。
それに対し、メモリは標準で32GBと余裕の容量を標準搭載。これなら、大量のメモリを必要とする画像や動画の編集ソフトも快適に利用できそうだ。なお、CPUにCore i5-1240P搭載する下位モデルは標準で16GBとなるが、そちらも申し分ない容量だ。
内蔵ストレージは容量1TBのSSDを搭載。容量2TBのSSDを搭載するモデルも用意されるが、1TBでも十分な容量だ。しかもPCIe 4.0準拠の高速SSDであり、速度的にも十分満足できる。
無線機能は、Wi-Fi 6E(IEEE 802.11ax 2×2)準拠の無線LANと、Bluetooth 5.2を標準搭載。ワイヤレスWANは非搭載だ。
生体認証機能は、Windows Hello対応の顔認証IRカメラと指紋認証センサーを標準で同時搭載。利用環境に応じて双方を使い分けられるため、セキュリティ性と利便性を高いレベルで両立可能だ。
同時に、内蔵カメラを利用し、利用者がPCの前から離席すると画面全体をぼかしたり自動的にロック状態へと移行するだけでなく、背後からの覗き見を検知すると利用者に覗き見検知を通知し自動的に画面をぼかすといったセキュリティ機能を提供する「Tobii Experience」アプリも搭載。今回は試用機ということもあってか、Tobii Experienceが正常に起動せず実際にこれらセキュリティ機能を試せなかったが、優れたセキュリティ機能の搭載は、安心してビジネスシーンで利用できるという意味でも心強い。
ただ、指紋認証センサーは電源ボタン一体型で、キーボード最上列のDeleteキー左側に搭載する点はかなり気になる。近年、ここに電源ボタンや指紋認証センサーを搭載する製品が増えているが、意図せず電源ボタンに触れてしまうことが頻発する。Prestige 13 Evoでは電源ボタンが他のキーより強く押さないと反応しないため、タイピング中に電源ボタンに触れても大きな支障はないと思うが、やはり電源ボタンはキーボードとは異なる場所に搭載してもらいたい。
カメラは207万画素で、Windows Hello対応顔認証IRカメラと一体型となっている。フルHD撮影に対応しており、Web会議などで利用する場合でも画質面で有利だ。また、不要時にカメラ自体を物理的に覆って遮断できるプライバシーシャッターも搭載している。
また、内蔵マイクで集音した音からバックグラウンドノイズを除去し、人の声だけをクリアに届けるマイクノイズキャンセリング機能、相手から届く音のノイズを除去し声をクリアに再生するスピーカーノイズキャンセリング機能も搭載。フルHD撮影対応カメラと加えて、Web会議も快適に行なえるだろう。
側面ポート類は、左側面に電源コネクタ、HDMI、Thunderbolt 4×2、3.5mmオーディオジャックを、右側面にmicroSDカードスロットとUSB 3.2 Gen2 Type-A×1をそれぞれ搭載。薄型筐体ながら比較的豊富なポートを用意しており、拡張性も申し分ない。
付属のACアダプタは、専用電源コネクタに接続するものと、USB Type-C接続のUSB PD準拠ACアダプタの2種類が標準で同梱となる。1つを職場、もう一方を自宅で利用するというように使い分けられるのは嬉しい。
ただ、ACアダプタは双方ともややサイズが大きく、付属の電源ケーブルも太く重いため、本体と同時に持ち歩くのは少々かさばる印象。より軽快に持ち歩きたいなら、より小型軽量の汎用のUSB PD準拠ACアダプタを利用すればいいだろう。
アスペクト比16:10の13.3型ディスプレイを搭載
ディスプレイは、アスペクト比16:10、表示解像度1,920×1,200ドット(WUXGA)の13.3型液晶を搭載している。ここ数年、モバイルノートPCでもアスペクト比16:10のディスプレイを搭載する例が増えているが、Prestige 13もその流れに沿った形だ。縦の表示解像度が増えたことで、縦により多くの情報を表示できる。特にWebページの閲覧や、Word、Excelなどの編集作業を行なう場合には、この縦の表示領域の多さによって、快適な作業性が実現される。
ディスプレイ部は4辺狭額ベゼル仕様となっており、画面占有率は90%に達している。もちろんこれは、本体の小型化に貢献。同時にヒンジは180度開閉する仕様で、ほぼ水平まで倒して利用できる。例えば対面でのプレゼン時なども本体を回転させることなく相手に画面を見せられるため便利だ。
パネルの種類は非公開だが、十分に広い視野角が確保されている。大きく視点を移動させても、明るさや色合いの変化はほとんど感じられず、IPSパネル同等の視認性を実現している。パネル表面は非光沢処理となっており、外光の映り込みがほとんど感じられない点も嬉しい部分だ。
発色性能についても特に言及はない。それでも、写真や映像を表示させてみても、ビジネス向けモバイルノートPCのディスプレイとして申し分ない発色を確認できる。広色域パネルを採用するクリエイター向けノートPCのディスプレイと比べると、そこまで鮮烈な印象はないが、それでも十分鮮やかな発色を実感できる。Prestige 13はビジネス向けのモバイルノートPCということもあり、これだけの発色性能があれば十分満足できるはずだ。
英語キーボードをベースに日本語化したキーボードを搭載
キーボードは、キーの間隔の開いたアイソレーションタイプの日本語キーボードを搭載。配列自体は比較的標準的ではあるが、英語仕様のキーボードをベースとして、一部キーを分割する形で日本語化しており、Enter付近やスペースキー付近の一部キーは隣のキーとほぼ隣接して搭載。実際に使ってみると、その部分ではキーを押し間違える可能性が高いと感じたので、できれば完全な形での日本語キーボードを搭載してもらいたい。それが難しいなら、せめて隣接する部分のキートップに溝を用意するなどの工夫が欲しかった。
キーピッチは、横が実測で約19mmとフルピッチを確保するものの、縦は実測で約16mmとやや狭くなっている。こちらも実際にタイピングしてみて大きな違和感はなかったが、おそらく気になる人もいるだろう。本体をみるとキーボード面には余裕があるので、こちらも上下ともフルピッチのキーボードを採用してもらいたかった。
このほか、キーボードには標準でキーボードバックライトを搭載。こちらは、暗い場所でも快適なタイピングが行なえるため、ありがたい部分だ。
キーストロークは約1.5mmで、薄型モバイルノートPCとして標準的。キータッチはやや柔らかめで筆者の好みだった。それでも、かなり強めのクリック感が感じられるため、硬めのタッチが好みの人でもそこまで大きな不満はないだろう。
ポインティングデバイスは、クリックボタン一体型のタッチパッドを搭載。実測で120×75mmとかなり面積が大きく、ジェスチャー操作も含めて操作性は申し分ない。ただ、搭載位置が本体中心となっており、キーボードのホームポジションからやや右にずれているのは個人的に気になった。近年、デザイン性優先でこの位置にタッチパッドを搭載する製品が多いが、利便性を考えるとやはりキーボードのホームポジション中心に搭載してもらいたい。
同等スペックの競合製品を上回る優れた性能を確認
では、簡単にベンチマークテストの結果を紹介する。今回利用したベンチマークソフトは、UL LLCの「PCMark 10 v2.1.2574」、「3DMark Professional Edition v2.25.8056」、Maxonの「CINEBENCH R23.200」の3種類だ。比較用として、CPUにCore i7-1260Pを搭載するASUSの「Zenbook S 13 Flip OLED UP5302ZA」の結果も掲載する。
なお、ベンチマークテスト実行時には、標準添付のオリジナルツール「MSI Center Pro」で動作モードを「ハイパフォーマンス」モードに設定して計測している。
結果を見ると、多くの項目でZenbook S 13 Flip OLEDの結果を上回っていることが分かる。Zenbook S 13 Flip OLEDに搭載されているCore i7-1260PはPコアが4基だが、Prestige 13 Evoに搭載されているCore i7-1280PはPコアが6基と2基多いため、ベンチマークの結果にも反映されている。
その一方で、高性能な冷却システムの搭載により、Core i7-1280Pの性能がきっちり引き出されていることも分かる。MSI製のノートPCは、これまでもCPUやディスクリートGPUの性能を最大限引き出せるように、高性能な冷却システムが搭載されてきた。Prestige 13 Evoについては、冷却システムの詳細について公開していないものの、底面には大きな吸気用のメッシュが用意され、高負荷時には冷却ファンが勢いよく回転。排気口からは一般的なモバイルノートPCよりも強い風量となっていることからも、その冷却性能の高さが伝わってくる。
【3月16日訂正】記事初出時、Prestige 13 EvoにもCore i7-1260Pを搭載していることを前提とした記述をしておりましたが、正しくはCore i7-1280Pであるため、記述を改めさせていただきました。
ただし、高負荷時にファンがフル回転となると、その動作音や風切り音はかなり大きい印象。ゲーミングPCほどではないものの、モバイルノートPCとしてはかなり大きな動作音で、図書館などの静かな場所では利用をためらうほどだ。
とはいえ、それほど高い負荷がかかっていない状態では、ファンの動作音はほとんど聞こえないレベルだ。つまり、写真や動画の編集作業を行うような非常に高負荷がかかる作業を行う場合を除いて、ファンの動作音はほとんど気にならないはずだ。同時に、独自ツールのMSI Center Proを利用して静音性に優れる動作モードに変更しておけば、静かな場所でも気兼ねなく利用できるだろう。
続いてバッテリ駆動時間だ。試用機の公称の駆動時間は最大21時間とされている。それに対し、Windowsの省電力設定を「バランス」、バックライト輝度を50%、無線LANをオン、キーボードバックライトをオフ、CPUクーラーの動作モードを「Smart Auto」に設定し、PCMark 10のBatteryテスト「PCMark 10 Battery Profile」の「Modern Office」を利用して計測してみたところ、11時間43分を記録した。
公称の駆動時間はJEITA 2.0での数字となっているため、実際の利用に比べてかなり長い駆動時間となる。そのため、検証時の設定から考えて、記録された駆動時間は公称の半分程度ではあるものの、まずまずという印象だ。少なくとも、テストで12時間弱の駆動時間であれば、通常利用でも10時間は十分利用できるはずで、1日外出して利用する場合でもバッテリ残量を気にする必要はほぼなさそうで、モバイルノートPCとして心強い。
モバイルノートPCとしての完成度はかなり高い
ここまで見てきたようにPrestige 13 Evoは、キーボードの仕様で気になる部分もあるが、本体サイズや約990gの軽さ、アスペクト比16:10の13.3型ディスプレイの搭載、CPUの性能を最大限に引き出せる仕様、豊富なセキュリティ機能、申し分ないバッテリ駆動時間など、ビジネス向けモバイルノートPCとしてかなり完成度の高い製品となっている。そのため、ビジネスシーンで利用する本格モバイルノートPCを探している人にとって、十分考慮に値する製品と言える。
ところで、1月に米国ラスベガスで開催されたCES 2023に合わせMSIは、第13世代Coreプロセッサー搭載の新モデル「Prestige 13 Evo A13M」を発表している。今回試用したPrestige 13 Evo A12Mの筐体や990gの軽さそのままに第13世代Coreプロセッサ搭載を実現。今回は、タイミング的に間に合わず第12世代Coreプロセッサ搭載のPrestige 13 Evo A12Mの発売になったと想像できるが、製品の完成度の高さを考えると、なるべく早い段階でPrestige 13 Evo A13Mをベースとした日本向けモデルも発売してもらいたいと思う。