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携帯性も、性能も、使い勝手も妥協しない!パナソニックがくり出す新世代モバイル「レッツノートSR」

パナソニック 「レッツノートSR CF-SR3GDTCR」

 パナソニックから、レッツノートシリーズの2022年冬モデルが登場。その中で注目の製品が、新モデルの「レッツノートSR」シリーズだ。レッツノートシリーズで最も人気のある12型クラスの新モデルで、アスペクト比3:2のディスプレイを採用するとともに、優れた堅牢性はそのままに筐体の薄型軽量化を追求した、意欲的な製品となっている。

 今回、シリーズ最軽量モデルとなる「レッツノートSR CF-SR3GDTCR」を試用する機会を得たので、ハード面を中心に紹介する。なお今回の試用機は試作機だったため、仕様が製品版と異なる可能性がある点がご了承願いたい。11月11日に発売を予定しており、実売予想価格は29万5,000円前後。

優れた堅牢性そのままに、薄く軽いボディを実現

 では、「レッツノートSR CF-SR3GDTCR」(以下、CF-SR3GDTCR)の外観から見ていこう。

 外観を見てすぐに分かるのが、その筐体の薄さだ。レッツノートシリーズでは、軽さと堅牢性を両立するために、筐体は極端な薄型化とはなっていないモデルが多かった。そういった中、2021年6月に登場したレッツノートFVシリーズでは、軽さと堅牢性を維持しつつ18.2mmとレッツノートシリーズ最薄を実現し、そのイメージを一新。そして、レッツノートSRシリーズは、その特徴を受け継ぎつつ、さらに洗練されている。

 まず、デザイン上でこれまでのシリーズと印象が大きく異なる部分がある。それは天板のボンネット構造だ。レッツノートシリーズでは、天板の堅牢性を確保するため、凹凸を備えるボンネット構造の天板採用が大きな特徴で、シリーズのアイデンティティにもなっている。SRシリーズでは、そのボンネット構造が改良され、従来よりも凹凸を大幅に低くするとともに、天板上部では凹凸がなくなった。これによって、天板はかなりフラットになったと感じる。

 同時にSRシリーズの天板では、アンテナ部分の樹脂カバーを一体成型することで、これまで天板に存在していたアンテナ部分の樹脂カバーのセパレート構造がなくなった。細かな改善点ではあるが、ボンネット構造の凹凸が低くなったことと合わせて、シンプルかつすっきりとした印象が強まっている。

 この変化で気になるのが堅牢性だが、SRシリーズの天板では内側に補強用のリブを設けることで、外側のボンネット構造の凹凸を低くしつつ従来同様の堅牢性を確保しているという。実際、SRシリーズでは、天板への100kgf加圧振動試験はもちろん、76cmからの落下試験(底面方向・動作時)や30cmからの26方向(非動作時)の落下試験など、従来と同じ堅牢性試験をクリアする優れた堅牢性が確認されている。

 実際に、筐体やディスプレイ部をやや強めにひねってみても、十分な強度が備わっていることを実感できる。そのため、これまでのシリーズ同様に、堅牢性については全く心配無用と言える。

SRシリーズの天板。従来モデルと比べてボンネット構造の凹凸が低くなり、限りなくフラットに近付いたことで、すっきりとした印象を受ける
天板のボンネット構造は、裏面に補強用のリブを用意することで非常に低くなったが、100kgf加圧振動試験に耐えるなど、従来同様の優れた堅牢性もそのまま維持している
天板上部では、ボンネット構造の凹凸がない。さらに上部アンテナ部分の樹脂カバーも一体成型となり、この点もシンプルですっきりとした印象を強めている

 サイズは、273.2×208.9×19.9mm(幅×奥行き×高さ)。FVに比べてフットプリントが小さいこともあってやや厚みは増えているものの、それでも20mmを切る薄さを実現。レッツノートシリーズの中心的な存在として広く利用されているレッツノート SVシリーズは高さが24.5mmあり、CFはそちらより4.6mmもの薄型化を実現しているわけで、薄いカバンなどへの収納性も高まっている。

 また、軽さも大きな特徴だ。今回試用したCF-SR3GDTCRは、SRシリーズの中でも最軽量モデルで、重量は公称で約859gと900gを大きく下回る軽さを実現。試用機の実測の重量は842gと、公称を17gも下回り、850gを切る軽さだった。

 実際に本体を手にしても、片手で楽々持てる軽さだ。本体の薄さと合わせて、毎日PCを持ち歩く必要のあるビジネスマンでも、これなら非常に軽快に持ち歩けるはずだ。

本体正面
左側面。高さは19.9mmと20mmを切っており、レッツノート SVシリーズと比べると4.6mmも薄くなった
背面
右側面
底面。フットプリントは273.2×208.9mm(幅×奥行き)
試用機の重量は実測で842gと、公称を15gも下回る軽さだった
片手でも楽に持てるほどの軽さで、優れた堅牢性と合わせて軽快に持ち歩ける

 このほかにも、後述するようにディスプレイはアスペクト比3:2の液晶を採用し、その影響でやや奥行きが増えた反面、キーボード手前のホイールパッドが大型化されている。こういった部分はFVシリーズの特徴と同じで、SRシリーズはFVシリーズをひとまわり小さくした新モデル、と言ってもいいかもしれない。

 ところで、SRシリーズでは本体色として「ブラック」に加えて新色の「カームグレー」を採用している。これまでのシリーズでは、最上位モデルなどでのブラックや、直販モデルでカラフルな天板が選べることもあったが、メインカラーとしてシルバーを長年採用してきた。そのため、レッツノートと言えばシルバー、というイメージも定着している。

 新色として採用されたカームグレーは、シルバーにかわるカラーだが、ぱっと見はシルバーに近いと感じるが、より深みのある色合いで、重厚感がある。また、キーボードやパームレストの指紋認証センサー、ディスプレイベゼルはブラックを採用。これによって、ディスプレイを開いた状態でも、落ち着いた印象を受けるようになった。

本体色として、新色のカームグレーを採用。従来までのシルバーと比べて深みがあり、重厚感がある
ディスプレイベゼルやキーボード、指紋認証センサーにはブラックを採用。ディスプレイを開いて見ると、14型液晶を搭載するレッツノート FVシリーズの小型版という印象だ

薄型軽量筐体に第12世代Coreプロセッサを搭載

 CF-SR3GDTCRの主なスペックは、以下の表にまとめたとおりだ。

【表1】レッツノートSR CF-SR3GDTCR(試用機)の主なスペック
プロセッサCore i5-1235U
Pコア:2コア・4スレッド/ブースト時最大4.40GHz
Eコア:8コア/ブースト時最大3.30GHz
スレッド数:12
メモリ16GB LPDDR4x
内蔵ストレージ512GB PCIe 4.0 SSD
ディスプレイ12,4型液晶、1,920×1,280ドット、ノングレア
無線LANIEEE 802.11ax 2x2(Wi-Fi 6)
BluetoothBluetooth 5.1
キーボード日本語、約19×16mm、キーストローク約2mm
カメラ約207万画素Webカメラ
生体認証顔認証IRカメラ、指紋認証センサー
インターフェイスThunderbolt 4×2
USB 3.0 Typa-A×3
HDMI
アナログRGB
Gigabit Ethernet
SDカードスロット
3.5mmオーディオジャック
OSWindows 11 Pro 64bit
駆動時間約9.5時間(付属バッテリーパック(軽量)装着時)
サイズ/重量273.2×208.9×19.9mm(幅×奥行き×高さ)/約859g

 CPUには第12世代Core i5-1235Uを搭載。上位モデルではCore i7-1260Pを搭載しているが、CF-SR3GDTCRは軽さを優先したモデルということで、第12世代Core i5 Uプロセッサーの採用となっている。

 その上で、CPUの性能を最大限引き出すために、高性能な冷却システムの搭載に加え、Intel製CPUに用意されている電力制御技術「インテル ダイナミック・チューニング・テクノロジー(DTT)」を活用し、Let's noteの放熱・省電力設計に合わせてパナソニックが独自にチューニングを行なうことでCPUの性能を最大限に引き出す「Maxperformer」も引き続き搭載している。

 メモリは標準で16GBと、十分な容量を搭載。メモリスロットは非搭載のため購入後のメモリ増設は不可能だが、直販モデルでは購入時に最大32GBの搭載が可能となっている。

 内蔵ストレージはPCIe 4.0準拠の高速SSDを採用し、容量は512GB。こちらも仕様、容量ともに申し分ない。

 無線機能は、IEEE 802.11ax(Wi-Fi 6、2×2)準拠の無線LANとBluetooth 5.1を標準搭載。また、CF-SR3GDTCRはワイヤレスWAN非搭載だが、上位モデルでは5G/LTE対応のワイヤレスWAN搭載モデルも用意される。

 生体認証機能は、顔認証IRカメラと指紋認証センサーを標準で同時搭載。通常は顔認証カメラを利用し、マスク装着時などは指紋認証センサーを利用するなど、場合に応じて双方を使い分けることで、優れた利便性とセキュリティ性を両立できる。

 ポート類は、左側面に専用電源ポート、HDMI、Thunderbolt 4×2、USB 3.0 Type-A、ギガビットイーサネットを、右側面にアナログRGB、USB 3.0 Type-A×2、SDカードスロットを、前面に3.5mmオーディオジャックをそれぞれ配置。アナログRGBはそろそろ省いてもいいと思うが、これだけ豊富なポートを備える点も、幅広いビジネスユーザーが支持する要因であり、しっかり受け継がれている点は好印象だ。

ディスプレイ上部には、顔認証IRカメラと約207万画素Webカメラを搭載
右パームレストに指紋認証センサーも搭載。場合に応じて顔認証と指紋認証を使い分けることで、利便性を高められる
左側面には専用電源ポート、HDMI、Thunderbolt 4×2、USB 3.0 Type-A、ギガビットイーサネットを配置
右側面には、アナログRGB、USB 3.0 Type-A×2、SDカードスロットを配置
正面左に3.5mmオーディオジャックを配置
正面右には電源ボタンを配置

 専用電源ポートには付属のACアダプタを接続して利用するが、Thunderbolt 4はUSB PD対応で、汎用のUSB PD対応ACアダプタを利用した給電、内蔵バッテリの充電が可能だ。

 そして、レッツノートシリーズの特徴の1つでもある、着脱式バッテリも当然のように採用している。バッテリは本体底面前方に装着されており、交換用バッテリを用意することで、簡単に駆動時間を延ばせられるのは、ヘビーなビジネスモバイルユーザーにとって見逃せない部分だろう。

 なお、バッテリ駆動時間は公称で約9.5時間(JEITA Ver2.0での数字)と、レッツノートシリーズとしてはやや短めの印象。ただこれは、CF-SR3GDTCRが軽さを追求した最軽量仕様モデルで、標準で容量30Whの「バッテリーパック(軽量)」が装着されるためだ。別売の「バッテリーパック (標準)」を装着した場合には、駆動時間は約16時間となるが、重量は約939gに増える。

付属ACアダプタは、専用コネクタに接続して利用するものだが、Thunderbolt 4はUSB PD対応で、USB PD対応ACアダプタを利用した給電も可能だ
付属ACアダプタの重量は、付属電源ケーブル込みで264gだった
バッテリは着脱式で、底面前方に装着
CF-SR3GDTCRは最軽量モデルということで、容量30Whの「バッテリーパック(軽量)」が付属する

アスペクト比3:2の12.4型液晶を搭載

 ディスプレイは、1,920×1,280ドット表示対応、アスペクト比3:2の12.4型液晶を採用している。FVシリーズでは、同じくアスペクト比3:2、2,160×1,400ドット表示対応の14型液晶を採用していたが、SRシリーズではサイズ、解像度ともに一回り小さくなっている。

 これまでレッツノートシリーズではSVシリーズなどでもアスペクト比16:10のディスプレイを採用するなど、縦長ディスプレイの採用例が多い。SRシリーズでは、より縦長のディスプレイを採用することで、アプリ利用時にもより多くの情報を表示でき作業効率を高められるのはうれしい。

 また、ベゼル幅もかなり狭められている。特に左右は実測で約5mmと、ほぼ極限まで狭められている。それに比べると上下はやや広いが、それでも気になるほど広いわけではない。もちろん、本体の小型化や軽量化にも貢献しているのは言うまでもない。

 液晶パネルの種類は非公開だ。ただ、視点を大きく移動させても発色や明るさの変化はほとんど感じられないため、IPS相当の十分な視野角は問題なく確保できている。

 ディスプレイ表面は非光沢処理となっているため、外光の映り込みはほとんど気にならない。発色の鮮やかさは光沢液晶にやや劣る印象。それでも、ビジネス向けモバイルノートPCとして標準的な発色性能を備えており、ビジネスシーンで必要なレベルでの写真や動画の編集作業は全く問題なく行なえると感じる。

ディスプレイは、1,920×1,280ドット表示対応、アスペクト比3:2の12.4型液晶を採用。左右ベゼル幅が狭められ、本体の小型化や軽量化にも貢献
非光沢液晶のため、発色の鮮やかさは光沢液晶に劣る印象だが、ビジネス向けモバイルノートPCとして標準的な発色性能を備える
ディスプレイはほぼ180度開く

搭載キーボードはSVシリーズとほぼ同等

 キーボードは、キー配列やキーピッチなど、SVシリーズに搭載されるキーボードとほぼ同等だ。

 主要キーのキーピッチは、横が約19mm、縦が約16mmの長方形で、キートップの角が丸く切り取られた、リーフトップ形状を採用。正方形キーではないため、正方形キーのキーボードに慣れている場合には少々気になるかもしれないが、慣れればタッチタイプも問題なく行なえる。Backspaceキー付近の一部キーはわずかにピッチが狭くなっている部分もあるが、それほど違いを感じない程度で、ほぼ気にならなかった。

 キーストロークは、従来同様に約2mmと、なかなかの深さを確保。タッチやクリック感は比較的柔らかめな点も同じで、個人的には好みだった。打鍵音は比較的静かだが、高音のカチャカチャといった音が耳に届く点は気になった。

 キー配列は比較的自然で、カーソルキーが1段下がって搭載されている点もうれしいが、[半角/全角]キーが[Esc]キーの右側に配置されている点は気になる。これはSVシリーズなどでも同様で、本体の横幅が狭いことによる措置と思われるが、やはり本来の搭載位置である[1]キーの左側に搭載してもらいたい。

 このほか、FVシリーズのキーボードに搭載されているバックライトが非搭載という点も少々残念だ。

 ところで、個人的には奥行きが長くなったのだから、正方形キー採用のキーボードを搭載してもらいたかったように思う。ただ、レッツノートシリーズを長年使っているビジネスユーザーにとっては、キーボードの仕様が変わらないことで、同じ感覚で使い続けられるわけで、逆にありがたいと感じるだろう。そういった意味で、このキーボードの搭載はレッツノートシリーズにとって必然なのだろう。

キーボードはレッツノート SVシリーズに搭載するものとほぼ同じ仕様。カラーがブラックとなっているためか、落ち着いた印象を受ける
主要キーのキーピッチは、横約19mm、縦約16mmと横長となっている。キートップの角が丸く削られたリーフトップ形状を採用する点なども、SVシリーズと同じだ
タッチやクリック感はやや軽めで、軽い力でタイピングできる。ストロークが約2mmと深く、打鍵感はなかなか良好だ
Backspaceキー左の一部キーはわずかにピッチが狭くなっているが、特に気にならずタッチタイプが可能。カーソルキーが1段下がって搭載されている点も扱いやすい
個人的にも改善して欲しい点が、[半角/全角]キーがEscキーの右に配置されている点。スペース的に難しい部分もあるが、できれば[1]キーの左に置いてほしい

 ポインティングデバイスは、シリーズおなじみの円形のホイールパッドを搭載。2つの物理クリックボタンも引き続き備わっている。

 このホイールパッドは、ディスプレイが縦長となったことで本体の奥行きが長くなったため、FVシリーズ同様の直径約64mmの大型のものとなっている。パッドの面積が広くなったことで、カーソル操作やジェスチャー操作もやりやすくなった。もちろん、パッドの縁をくるくるなぞってスクロール操作も可能だ。

 ただ、キーボードのホームポジションから物理クリックボタンが遠くなった。慣れれば印象も変わると思うが、クリック操作は少々やりにくくなったと感じる。

直径約64mmと大型のホイールパッドを搭載。物理クリックボタンも用意されるが、キーボードのホームポジションからやや遠くなって使いづらさを感じた

テレワークにうれしい機能を多数搭載

 コロナ禍以降、テレワークやハイブリッドワークが主流となり、ビジネス向けPCにもそれに対応する機能の搭載が求められるようになっている。レッツノートシリーズでも、テレワークやハイブリッドワークに対応する機能が搭載されるようになっているが、SRシリーズにもしっかり受け継がれている。

 まず、Webカメラは約207万画素、フルHDでの撮影に対応した高画質カメラを搭載。これによって、高画質映像でWeb会議が行なえる。Web会議での画質が優れると、表情などを読み取りやすくなるのはもちろん、カメラ越しに相手に見せたいものがある場合でも、細かな部分までしっかり伝わるので、非常にありがたい。

 また、カメラで捉えた画像の補正機能も搭載。背景ぼかしや明るさ調整、撮影している人物を自動的に中央付近にトリミングするといった機能が利用できる。このこの画質補正機能は、カメラを利用するアプリであれば種類を問わず利用できるため、あらかじめ設定しておくことで利用アプリ側での設定不要で活用できる点が便利だ。

カメラで撮影した映像に、背景ぼかしや明るさ補正、顔位置補正などのの映像補正機能を用意。補正機能は、カメラを利用するアプリならどれでも利用可能だ
映像補正機能などの設定は、「Panasonic PC設定ユーティリティ」だけでなく、常駐アプリ「AIデバイスコントローラー」でも行なえる
こちらは映像補正機能をオフにした場合。全体がやや明るく、顔も飛び気味だ
明るさ補正を有効にすると、このように適正な明るさに補正される
背景ぼかしも加えた状態。Web会議アプリなどでの設定不要で利用できるのは便利だ

 同時に、マイクで拾った音声やスピーカーから再生する音声のノイズを除去するAIノイズリダクションも用意。自宅などでWeb会議を行う場合でも、背後の生活音や外から届くサイレンなどの音をクリアに消してくれるため、こちらもテレワークやハイブリッドワークで非常に重宝する機能だ。

マイクで拾った音声からバックグラウンドノイズを除去するAIノイズキャンセリング機能も利用可能
スピーカーで再生する音声に対してもノイズキャンセリングが可能だ

 このほか、顔認証カメラを活用したセキュリティ機能も搭載している。

 PC前に人がいることを検知している間は、スリープ移行やスクリーンセーバーの起動を抑制したり、PCの前から人がいなくなったらすぐにPCがロックされる。またPCがロックされた状態で着席したら、即復帰し顔認証で自動ログオン、といったことが可能。

 また、背後から画面を覗いている人も検知可能で、検知したらアラートを表示したり、画面をぼかして表示している内容を見えなくするというセキュリティ機能も用意。SRシリーズは小型軽量で、外出時に持ち出して利用することも想定した機種だ。そのため、移動中の電車や外出先のカフェなどでも作業を行うことが十分予想できる。そういった場合でも、背後からの覗き込みを防止でき、業務で利用する情報が漏洩する危険性を低減できる。そういった意味でも、外出の多いビジネスマンにとってありがたい機能だ。

顔認証カメラとWebカメラを活用し、離席時の自動ロックや覗き見注意などのセキュリティ機能を提供
背後からの画面覗き見を検知するとアイコンで警告するほか、即座に画面がぼやけて内容を見えなくすることもできる

性能は第11世代Core i7搭載のFVシリーズを上回る

 では、簡単にベンチマークテストの結果を紹介する。ただし、今回の試用機は試作機で、一部ベンチマークテストが正常に動作しないなどの問題も見られたため、あくまでも参考として見てもらいたい。

 利用したベンチマークソフトは、UL LLCの「PCMark 10 v2.1.2574」と、Maxonの「Cinebench R20.060」の2種類だ。テストは、独自ツール「Panasonic PC設定ユーティリティ」の「熱とファンの制御」を「冷却優先」に設定して実行している。また比較用として、CPUにCore i7-1185G7 vProを搭載するレッツノート FV1(2021年モデル)の結果も加えてある。

PCMark 10
Cinebench R20.060
テスト時には、「Panasonic PC設定ユーティリティ」の「熱とファンの制御」を「冷却優先」に設定した

 結果を見ると、Core i7-1185G7 vPro搭載のFV1の結果と比べてCF-SR3GDTCRのほうがスコアが下回っているのは、PCMark 10の2項目のみで、ほとんどの項目でCF-SR3GDTCRのほうが上回っている。

 CPUの性能を最大限引き出すパナソニック独自技術「Maxperformer」は双方とも搭載しているため、第12世代Coreプロセッサでアーキテクチャが刷新されたことにより、CPU自体のパフォーマンスが高められたことが大きく影響していると言っていいだろう。

 続いて、バッテリ駆動時間も検証してみた。CF-SR3GDTCRの公称の駆動時間は、今回の試用機に装着されていた「バッテリーパック (軽量)」利用時で約9.5時間。それに対し、Windowsの省電力設定を「バランス」、バックライト輝度を50%、無線LANをオン、「熱とファンの制御」を「標準」に設定し、PCMark 10のBatteryテスト「PCMark 10 Battery Profile」の「Modern Office」を利用して計測してみたところ、7時間1分を記録した。

 公称と比べて2.5時間ほど短いものの、計測条件を考えると十分納得できる。もちろん、競合のモバイルノートPCと比べて短いとも言えるが、これは容量の少ないバッテリが標準で装着されているため。先紹介したように、バッテリは着脱式で、容量の多い「バッテリーパック(標準)」も別売で用意されている。そちらを用意したり、バッテリーパックを複数用意すれば、駆動時間を容易に延長できるという点は、競合製品にはない大きな魅力で、この点を十分補えるはずだ。

非常に完成度の高いビジネスモバイルPC

 今回SRシリーズ最軽量モデルのCF-SR3GDTCRを試用して感じたのは、その完成度の高さだ。2021年に登場したFVシリーズは、堅牢性に優れる薄型軽量筐体で、アスペクト比3:2のディスプレイを採用するなど、非常に意欲的な製品だが、やや筐体が大きいと感じるヘビーモバイルユーザーもいたようだ。

 しかし、SRシリーズは、優れた堅牢性や薄型軽量ボディにさらに磨きをかけ、アスペクト比3:2のディスプレイも搭載したうえでひとまわりコンパクトなボディを実現。これによって、モバイルノートPCとしての完成度も大きく高まったと強く感じる。

 ただ、個人ユーザーが購入する時に懸念材料があるとしたら価格だろう。もともとレッツノートシリーズは比較的高価だが、SRシリーズも同様で、今回試用したCF-SR3GDTCRは実売予想価格は29万5,000円前後と、なかなか高価だ。確かに現在は、さまざまな要因でPCなどの価格が上昇しているが、やはり30万円近い価格は高いと感じてしまう。

 それでも、今回短時間ながら試用しただけでも、その価格に見合う満足感は十分得られると実感できた。それだけ全方位で隙がなく、完成度の高いモバイルノートPCに仕上がっている。そういった意味でSRシリーズは、価格は高くても、サイズ、重量、堅牢性、性能、携帯性など、さまざまな点で妥協のないモバイルノートPCを手に入れたいと思っているビジネスモバイルユーザーにお勧めしたい。