Hothotレビュー

エプソンの100万円超えPCを検証。18コアCore i9搭載の「Endeavor Pro9000」

Endeavor Pro9000

 エプソンのデスクトップPC「Endeavor Pro」シリーズは、ワークステーション級の性能がウリのBTO PCだ。とくに「Endeavor Pro9000」はメインストリーム向けではなく、エンスージアスト向けのプラットフォームをベースに、最上位構成では18コア36スレッドのCore i9-9980XEを搭載可能としたフラグシップモデルだ。

 今回はCore i9-9980XEを搭載したEndeavor Pro9000のカスタマイズモデルをレビュー用にお借りした。構成については後述するが、なんと税別価格は1,163,100円にも達するモデルだ。

前面アクセスベイなどを備えたワークステーション級筐体

 20世紀からPCに慣れ親しんでいる方にとって、エプソンのPCと言えば白い筐体を思い浮かべるだろう。エプソンダイレクトの現行ラインナップを見ると、白一色とは言えないが、そのなかでも今回のEndeavor Pro9000は古参ユーザーがイメージするエプソンのPCどおりの見た目をしている。白をベースに、エプソンの青を差し色に加えたカラーリングだ。

 Endeavor Pro9000はミドルタワー型だ。自作PCではミドルタワーでも奥行きを詰めたコンパクトなモデルが人気であるが、本機には一般的なミドルタワーの奥行きがある。そしてワークステーション級をうたうだけあって剛性が高く、重量もある。そのため、上部の前方・後方に取っ手を設けている。

ホワイトをベースとし、両側面にエプソンのブルーを加えたカラーリング
右側面にはEndeavorロゴ
左側面は左下に吸気口を設けている
天板部の前後に取っ手があるため、重量級筐体でも持ち運びやすい。オプションでキャスターも用意されている
背面。電源を上に置く伝統的なスタイル

 ワークステーションとしてのニーズをカバーするため、前面パネルのデザインにもいくつか特徴があるので紹介していこう。

 まずは5インチベイ。上部に2基用意されており、うち1基にDVD-ROMドライブ(評価機ではスーパーマルチドライブにアップグレード)が搭載されている。近年は光学ドライブ自体の活用シーンが減ってきたが、ビジネス用途ではソフトのインストールや成果物の配布に光学メディアを利用するシーンもまだある。2基あるため、もう1台追加すればデュプリケートなどの作業も可能になる。

 もう1つは3.5インチシャドウベイ。前面パネルの下半分は、前面アクセスベイ(4基)になっている。ストレージはトレイ式を採用しており、3.5インチHDDなどはツールレスで装着、取っ手を掴んで交換が可能だ。2.5インチSSD/HDDなどではネジを用いて固定することができる。社内で複数台のEndeavor Pro9000を運用するような場合は、このトレイごとデータの交換ができるため、効率がアップする。

 また、必要なソフトを1台のHDDに収めてトレイに入れて必要なPCに装着すれば、セットアップに要する時間を大幅に短縮することなどが可能だ。ツールレスという点では、5インチベイや拡張カードスロットなども同様。メンテナンスを容易に行なえる。

 中段には前面インターフェイスを置き、電源ボタン、オーディオ入出力、USB 3.0×3ポートを設け、その下のカバー内にはオプションでマルチカードリーダを搭載可能としている。カバーの部分は上辺が5インチベイ幅、下辺は前面アクセスベイに合わせた幅の台形をしており、前面パネル自体も中央が1段盛り上がったかたちと、細かなところまで立体感のある顔つきだ。

 ここまでのとおり、Endeavor Pro9000の外観は、質実剛健、使い勝手を求めるエプソンの伝統的なデザインを受け継いでいるように感じた。

前面上部は5インチベイ2基と前面インターフェイス。その下のカバー内にはカードリーダを搭載可能
前面下部は前面アクセスベイ。レバーを引くことで手前にくるりとベイが開く。なかには4基の3.5インチベイがある

安定動作を追求した設計と、最新&レガシーインターフェイスへの対応がすごい

 今回使用した製品の構成は以下のようになっている。

【表1】Endeavor Pro9000カスタマイズモデルの構成
CPUCore i9-9980XE(18コア/36スレッド、3~4.4GHz)
チップセットIntel X299
マザーボード
GPUGeForce RTX 2080
メモリ128GB DDR4-21300(16GB×8)
CドライブIntel Optane SD 905P 960GB(PCI Express 3.0 x4 NVMe)
DドライブSeagate ST8000AS0003 8TB(Serial ATA 3.0)
EドライブMicron 1100 MTFDDAK2T0TBN 2TB(Serial ATA 3.0)
光学ドライブスーパーマルチドライブ
ネットワーク1GbE(マザーボード側)+2.5/5/10GbE(PCI Express x4カード)
電源1,000W
OSWindows 10 Pro 64bit
税別直販価格1,163,100円

 リストを見ておわかりのとおり、高価なCore i9-9980XE(オプション価格270,000円)だけでなく、16GBメモリを8枚分を(同200,000円)最大量まで搭載するほか、GeForce RTX 2080搭載ビデオカード(同140,000円)、CドライブのIntel Optane SSD 905P 960GB(同220,000円)といったように10万円を超えるパーツが満載だ。

 そしてSATA SSD/HDD、10GbEカードやDVDマルチ、カードリーダーと標準構成からかなりの数のオプションが加えられている。総額は税別1,163,100円で、消費税8%の執筆時点では1,256,148円だ。

 内部を見ると、まずマザーボードが一般的なBTOのハイエンドモデルと異なる。レイアウト自体はX299マザーボードで、CPUソケットの左右にメモリスロットを配置しているが、その下の拡張スロットに、今や懐かしいPCIスロットが1基用意されている。

 かつては主流だったPCIスロットも、今や自作PC向けマザーボードではミドルレンジ以下でまれに見られる程度となってしまい、ハイエンドではまず搭載製品がない。業務用PCではまだPCIカードを利用しているという話もよく聞くが、さらにCPU&GPU性能も求めるとなると、Endeavor Pro9000は貴重な選択肢と言えるのではないだろうか。

 Core X+X299プラットフォームということでビデオカードは必須となる。BTOオプションとしては、ワークステーション向けのQuadro(最上位はQuadro P4000)はもちろん、GeForce GTXやRTXも用意されている。最廉価ではGeForce GT 1030、最上位ではGeForce RTX 2080 Tiと幅広い。とくに、昨今のハイエンドビデオカードは高性能クーラーにより重量も増しているが、Endeavor Pro9000ではそれを支えるビデオカード固定具も搭載している。

 今回の評価機のビデオカードは、GeForce RTX 2080を搭載していた。それも、カード後方にブロワーファンを置き、カード前方ブラケットのスリットから排気するGPUクーラーのモデルだ。

 NVIDIAのリファレンスデザインカードでもデュアルファン化した今、あえてこうしたデザインのクーラーを採用するのは、筐体内部温度を考慮してのことだろう。信頼性第一の業務向けPCではよくある選択だ。動作音の面ではデュアルファンなどと比べて不利になるのだが、剛性に優れ密閉度も高い筐体のおかげでそれほど気にならなかった。

左側面板を開いたところ。まず目に入るのは側面からビデオカードを支えるラダー
GeForce RTX 2080を搭載する構成では、伝統的な後方排気モデルが採用されていた

 拡張スロットに目を移すと、PCI Express x16スロットが2基、x1スロットが1基、x4スロットが2基、そして先に紹介したPCIスロットがある。1番目のx16スロットの下にはM.2スロットも搭載されている。

 一般的なショップブランドPCでは、ATXフォームファクタの製品でも、ビデオカード以外の拡張カードを挿すことはまれだ。しかしEndeavor Pro9000のオプションには、かなりユニークなカードが用意されている。

 たとえばPCIスロットがあるように、レガシーデバイスへの対応として、シリアルポートやパラレルポート、IEEE 1394ポートなど、最近では入手自体が難しくなってきた拡張カードもしっかり用意されている。

 一方、最新のインターフェイスとしては、10GbEやUSB 3.1カードも用意されている。古いものから最新のものまで、購入段階で必要なポートをそろえることができ、しかも動作検証済みというのは業務用PC選びでの決め手となるだろう。

 ストレージは、前面アクセスベイが4基あったように、オプションでRAID構成も可能だ。そこで利用するSATA SSD/HDDに加えて、オプションにはM.2 PCI Express SSDやOptane Memory(M.2)、Optane SSD(PCI Express x4カード)などが用意されている。

 Optane MemoryはHDDなどと組み合わせたさいにキャッシュとして機能し高速な大容量ドライブを実現する。一方、高速な単一ドライブとしてはM.2 SSDまたはOptane SSDを組み合わせることになる。とくにOptane SSDは優れた転送速度に加え、書き換え回数でもNAND SSDを大きく上回るので、システムドライブとしては当然、大規模な処理におけるテンポラリなどにも活用できる。

Cドライブ(評価機ではIntel Optane SSD 905P 960GB)のCrystalDiskMarkのスコア
Dドライブ(評価機ではSeagate ST8000AS0003 8TB)のCrystalDiskMarkのスコア
Eドライブ(評価機ではMicron 1100 MTFDDAK2T0TBN 2TB)のCrystalDiskMarkのスコア

 そのほかの部分も、普段よく見るPCとは異なる。CPUクーラーも専用設計だ。4本のヒートパイプを備えたサイドフロー型と、ここまではよくあるデザインだが、ヒートシンクをカバーで覆い、風の逃げ場を塞いだ上で9cm角ファンで冷却している。ファンは2ボールベアリング仕様で高耐久のものが採用されているとのこと。

 小径ファンは一般的に動作音がやや大きめで、それも18コア36スレッドのCore i9-9980XEではなおさらのはずなのだが、これが思った以上に静かであるのは先に指摘したとおりだ。

 電源は650/1,000Wの2つが用意されており、Core i9-9980XEとGeForce RTX 2080を搭載する評価機は1,000W版を搭載していた。フルプラグイン方式のDELTA製で、80PLUSの認証マークは見られなかった。

 しかし、昨今は1,000W超でも奥行き16cm台の電源が多数登場しているなか、本製品は長大な電源で、かつ+12Vが4系統のマルチレールを採用しているあたり、安定性を追求する姿勢がうかがえる。

Intel X299チップセットを採用するマザーボード。ビデオカードの下に見えるのは白いPCIスロットだ
拡張スロットの下から2段はx4スロットで、評価機ではIntel Optane SSD 905Pと10GbEカードが搭載されていた
CPUクーラーも専用設計。このクラスのCPUにとっては小径の9cm角ファンだが、ヒートシンクにカバーをつけて効率的に冷却しているようだ
電源は1,000W。フルプラグインは今風だが奥行きの長い製品を搭載している

 そして、全体的に徹底したツールレス対応が特徴だ。前面アクセスベイのHDDトレイをはじめ。各所の青い樹脂パーツがツールレスのロック機構となっており、複雑な箇所には白文字やモールドで外し方の指示もマーキングされている。製品説明でワークステーション級とあったが、見た印象ではこれは普通にワークステーションと呼べるだろうという内部設計だ。

左側面板や拡張カードの固定はツールレス
5インチベイ用の固定具
ビデオカード用のラダーもツールレス
そして長期運用では交換することも多々あるケースファンもツールレス

怒涛のCPU性能、4Kゲーミングも可能なGPU性能は業務でもその力を発揮するはず

 今回は、カスタマイズモデルとして、先のとおりCore i9-9980XE CPUにGeForce RTX 2080、128GBのDDR4-2666メモリ、ストレージはSATA SSD、HDD、Optane SSDといった構成で、さらに10GbEカードも付け、構成価格で税別1,163,100円(税込1,256,148円)となっている。

 筆者は職業柄PCをレビューする機会は多いが、100万円超えはそう機会があるものではない。見せてもらおうか、白い100万円超のPCの性能とやらを!

 今回利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark 10 v1.1.1739」、「3DMark v2.8.6536」、「VRMark」、Maxonの「CINEBENCH R15」、「CINEBENCH R20」。

【表2】検証環境
Endeavor Pro9000(カスタマイズモデル)LEVEL-R037-i7K-XYR
CPUCore i9-9980XE(3.0~4.4GHz)Core i7-8700K(3.7~4.7GHz)
チップセットIntel X299Intel Z370
GPUGeForce RTX 2080GeForce RTX 2080 Ti
メモリDDR4-2666 SDRAM 128GBDDR4-2666 SDRAM 16GB
ストレージ960GB Optane NVMe SSD+2TB SATA SSD+8TB HDD256GB SATA SSD+1TB HDD
OSWindows 10 Home 64bit
【表3】ベンチマーク結果その1
Endeavor Pro9000(カスタマイズモデル)LEVEL-R037-i7K-XYR
PCMark 10v1.1.1739
Extended Score8,6838,868
Essentials Scenario9,9369,543
App Start-up Test14,14211,776
Video Conferencing Test7,9118,190
Web Browsing Tset8,7689,013
Productivity Scenario7,3918,624
Spreadsheets Test9,32311,078
Writing Test5,8606,723
Digital Content Creation Scenario11,0249,923
Photo Editing Test13,38312,242
Rendering and Visualization Test17,50313,396
Video Editing Test5,7205,959
Gaming Scenario18,97620,492
Fire Strike Graphics Test25,15832,731
Fire Strike Physics Test28,80018,791
Fire Strike Combined Test11,20010,231
3DMarkv2.6.6174
TimeSpy Extreme5,0385,503
TimeSpy Performance10,24111,470
NightRaid Performance50,214-
FireStrike Ultra6,1097,619
FireStrike Extreme11,66014,508
FireStrike Performance22,50124,056
SkyDiver Performance60,65851,889
CloudGate Performance44,36544,671
IceStorm Unlimited168,781195,916
IceStorm Extreme161,975190,366
IceStorm Performance164,597192,638
VRMark
Blue Room2,6844,379
Cyan Room8,41712,711
Orange Room12,47910,644
CINEBENCH R15
Rendering (Multiple CPU)3,257.86cb1,370.79cb
Rendering (Single CPU)195.83cb194.43cb
CINEBENCH R20
CPU7,718cb-
CPU(Single Core)456cb-

 CINEBENCH R15のスコアが示すように、まず18コア36スレッドのCore i9-9980XEによるマルチスレッド性能は高く、さらにシングルスレッドでもCore i7-8700Kと対等と言える結果だ。Core Xでは水冷を利用するPCも多いが、Endeavor Pro9000は小型の空冷クーラーでもスコアを見るかぎり十分に冷却できているようだ。

 PCMark 10のExtanded Testでもとくにマルチスレッドに最適化されたテストを中心に高いスコアを示している。顕著であるのがDigital Content Creation ScenarioのRendering and Visualization Test。Digital Content Creation ScenarioやEssentials ScenarioではGPUによる処理の割合も大きく、比較対象よりも一つグレードの低いGPUを搭載する本製品は基本的に不利なはずだ。

 しかしRendering and Visualization Testのスコアは17,000ポイントを超え、比較対象を大きく突き放している。一方、Essentials ScenarioでのVideo Conferencing Test、Web Browsing Tsetなどは、CPU負荷が低くGPU処理の割合がより大きいために比較対象を下回ったようだ。

 また、PCMark 10のGaming Scenarioや3DMarkの各スコアを見ても、本来同じCPU同士でGPUによる性能差を見るさいのスコアと比べ、スコア差が小さい。それはGaming ScenarioのFire Strike Physics TestやFire Strike Combined Testのように、CPU処理割合が大きい3Dテストで本製品が高いスコアを示し、総合スコアを押し上げるためだ。

 CPU・GPU以外のところに目を移すと、たとえばExtended ScenarioのApp Start-up Testが特徴的だ。CドライブはPCI Express 3.0 x4接続のOptane SSD 905P。最新NANDメモリ搭載のNVMe SSDと比べてシーケンシャル速度は劣るが、ランダムアクセスはめっぽう速い。それが高いスコアにつながったと言える。

 Endeavor Pro9000の性格上、ゲーミングPCとは呼べないがゲームテストも実施したが、こちらは比較データを載せていない。テストに用いたのは「Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands」、「Shadow of the Tomb Raider」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「World of Tanks enCore」だ。

【表4】ベンチマーク結果その2
Endeavor Pro9000(カスタマイズモデル)
Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands
3,840×2,160ドット(ウルトラ)37.48fps
3,840×2,160ドット(非常に高い)51.58fps
3,840×2,160ドット(中)61.25fps
2,560×1,440ドット(ウルトラ)58.36fps
2,560×1,440ドット(非常に高い)84.80fps
1,920×1,080ドット(ウルトラ)72.20fps
1,920×1,080ドット(非常に高い)108.65fps
Shadow of the Tomb Raider(DX12)
3,840×2,160ドット(最高)43fps
3,840×2,160ドット(低)69fps
2,560×1,440ドット(最高)79fps
1,920×1,080ドット(最高)114fps
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク
3,840×2,160ドット(高品質)4,503(やや快適)
3,840×2,160ドット(軽量品質)7,211(快適)
2,560×1,440ドット(高品質)7,750(快適)
1,920×1,080ドット(高品質)10,485(とても快適)
World of Tanks enCore
超高品質(1,920×1,080ドット、TSSAA HQ)35,192
中品質(1,920×1,080ドット、AAなし)56,527
最低品質(1,366×768ドット、AAなし)107,274

 ベンチマークにおけるフレームレートはおおむねGeForce RTX 2080なりだが、一部CPU性能が効くタイトルではメインストリーム向けプラットフォームの最上位CPUと組み合わせたものよりも若干高めのスコアも見られた。

 Tom Clancy's Ghost Recon Wildlandsでは、4K・中画質あたりで61.25fpsを記録し、Shadow of the Tomb Raiderは4K・低画質で69fpsを記録、FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークでは4K・軽量品質で「快適」判定が得られた。

 1つ解像度を落としたWQHDでは、Tom Clancy's Ghost Recon Wildlandsのみウルトラ画質でわずかに60fpsを割りこんだが、おおむね高画質以上で快適なフレームレートが得られている。

非の打ち所がないEndeavor Pro9000。しかしやはり業務でこそ真価を発揮するマシンだ

 Endeavor Pro9000の信頼性・安定性を重視した質実剛健な設計は、業務用ワークステーションのニーズに向けたものだ。もちろん個人ユーザーの心にもグッとくるものがあり、「一生に一度はワークステーション級PC」をこの製品で実現してみるのもよいだろう。デザインはエプソンらしいもので好みが分かれるところだが、筐体設計に関してはPCしか見てきたことのない方には感動ものだ。

 その上で、用途を選ぶようなことがない。構成にもよるが、評価機として用いた機体の性能はもちろん最上級と言える。そして拡張性の面でも、最新インターフェイスからレガシーなインターフェイスまでサポートされており、これなら映像編集はもちろん、工場における機械制御用途までカバーできる。シリアル/パラレルインターフェイスを利用する開発環境にも最適だ。

 こうしたレビューとして見える範囲を以外でも、たとえば保証では年単位での契約(最長6年)、訪問修理/預かり修理が選べる手厚いサポートが用意されている。その上、国内メーカー、国内製造ならではのものとして、1日修理、最短2日出荷といったクイックな対応も整えられている。

 最小構成で255,000円から、構成次第では100万円をゆうに超えるため、パーソナル用途ではかなり高価だ。ただしそこも、業務用PCの視点から見れば、これらを総合してさらに導入後新たな利益を生み出すPCとして十分に検討に値する製品と言えるだろう。