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ASUS「ZenBook 13 UX331UAL」

~1kg切りの第8世代Core i5搭載モバイルノート

ASUS「ZenBook 13 UX331UAL」

 ASUSは、13.3型液晶搭載のモバイルノート「ZenBook 13 UX331UAL」を発売した。すでに販売が開始されており、価格は税別139,800円。

 ZenBookシリーズは、アルミニウム合金の筐体を採用した薄型モバイルとして人気のシリーズだが、本製品では素材を変更するなどして軽さを追求。第8世代Core i5搭載で1kg切りの軽さを実現し、モバイルノートとしての魅力が高められている。

筐体素材にマグネシウム・アルミニウム合金を採用し軽さを追求

 ZenBook 13 UX331UAL(以下、UX331UAL)は、13.3型液晶搭載のZenBooシリーズ新モデルだ。

 ZenBookシリーズといえば、デザイン性に優れるアルミニウム合金製の薄型筐体が特徴だ。また、従来モデルとなるZenBook 13 UX331UNでは、重量も1.13kgとまずまずの軽さとなっていた。

 ただ、近年は13.3型液晶搭載で1kgを切る軽さのモバイルノートも数多く登場しており、ZenBookシリーズが重量でやや見劣りしていたのも事実。

 しかし、今回登場したUX331UALでは、筐体素材としてマグネシウム・アルミニウム合金を新たに採用。優れた剛性と軽さを兼ね備える素材を採用することによって、従来のアルミニウム合金製の筐体と比べて、約33%の軽量化を実現したという。

 これにより、本体重量は公称で985gと1kgを切る軽さを実現しており、モバイルノートとしての魅力が大きく高まっている。

 実際に手に持ってみても、従来モデルのようなずっしりとした印象は解消されている。もちろん、従来モデルでも特別重いというわけではなかったが、1kgを切る軽さのUX331UALを手にすると、やはり少しでも軽い方が良いと感じる。

 この軽さは、毎日持ち運ぶモバイルノートとして、大きな魅力となりそうだ。なお、実測での重量は973.5gと、公称を上回る軽さだった。

 軽さ追求によって気になるのが堅牢性だ。具体的な堅牢性の仕様は公表していないが、モバイルノートとして申し分ない堅牢性を実現したとしている。ディスプレイを閉じた状態で本体をひねってみると大きな歪みは感じられないが、ディスプレイ部単体ではやや歪むようだ。

 また天板を押してみるとやや柔らかい印象で、従来モデルと比べると剛性は低いように思われる。それでも、競合の軽量モバイルノートと比べて剛性が劣るという印象はなく、軽量モバイルノートとして標準以上の堅牢性は確保されていると言っていいだろう。

 本体デザインは従来モデルを踏襲しており、フラットで薄型の筐体となっている。カラーはディープダイブブルーという、深みのある濃紺を採用。天板にはZenBooシリーズでおなじみの同心円状のヘアライン処理が施されず、マット調の塗装となっている。

 金属的な輝きが印象的だった、従来のZenBookシリーズとは異なる趣のデザインで、全体的に落ち着いた印象が強くなっている。サイズは313×216×13.9mm(幅×奥行き×高さ)。フットプリントは、13.3型液晶搭載モバイルノートとして十分コンパクトで、薄さも際立っているため、鞄への収納性も優れるはずだ。

本体を正面から見た様子。落ち着いた印象のデザインとなっている
天板部分。筐体素材にマグネシウム・アルミニウム合金を採用することで、従来モデルからの大幅な軽量化を実現。シリーズの特徴でもある同心円状のヘアライン処理がなく、どちらかというと地味な印象となった
本体正面
左側面。高さは13.9mmと薄さも極められている
背面
右側面
底面。フットプリントは313×216mm(幅×奥行き)と、まずまずコンパクト。なお、筐体素材の変更によって剛性は従来モデルよりもやや劣る印象だが、モバイルノートとして十分な堅牢性は確保されている
重量は実測で973.5gと1kgを切る軽さを実現しており、携帯性は抜群だ

sRGBカバー率100%のフルHD 13.3型液晶を搭載

 ディスプレイは、1,920×1,080ドット表示対応の13.3型液晶を搭載している。パネルの種類は非公開だが、視野角は170度と十分な広さを確保。視点を大きく移動させると、わずかに輝度の変化が確認できるが、TNパネルのような色合いや大きな輝度の変化は感じられず、通常利用の範囲内で、視野角が気になる場面は皆無と言って良いだろう。

 パネル表面は非光沢処理となっており、外光の映り込みはほぼ気にならないレベル。文字入力中心の作業も快適にこなせる。また、非光沢パネルながら、発色もなかなか鮮やかだ。

 このディスプレイは、sRGBカバー率100%の広色域表示をサポートしているとのことで、デジカメ写真の編集作業なども、本来の色味を確認しながらこなせそうだ。

 このほか、動画の表示品質を高める独自技術「ASUS Tru2Life Video」も搭載。動画再生時、ピクセル単位の画像分析によって、約150%のコントラスト向上とシャープネス処理を行ない、クリアな表示を行実現するという。実際に動画を再生してみても、全体的にクッキリとした動画が再生されると感じた。とくに、フルHDに届かない解像度の動画再生時に有効という印象だ。

1,920×1,080ドット表示対応の13.3型液晶を搭載。パネルの種類は非公開だが、十分に広視野角で視認性は申し分ない。また、側面ベゼル幅も10mmとまずまずの狭さだ
パネル表面は非光沢処理だが、sRGBカバー率100%の広色域表示に対応しており、発色は鮮やかだ

キーボードはバックライトも搭載

 キーボードは、アイソレーションタイプのものを搭載している。主要キーのキーピッチは19mmフルピッチで、Enterキー付近もピッチが狭くなっている部分はほとんどない。配列も標準的となっているため、違和感なくタッチタイプが行なえる。

 キーストロークは1.2mmほどとやや浅め。それでも、やや硬めのタッチとしっかりとしたクリック感のため、しっかりとキーを押し込んでタイピングするという印象で、ストロークの浅さはそれほど感じられない。打鍵時の操作音も小さいため、静かな場所でも周囲を気にせずタイピングできるだろう。

 このほか、キーボードには標準でバックライトも搭載しており、暗い場所でも快適にタイピングできる。このあたりは、ビジネス用途でかなり重宝しそうだ。

 ただし、少々残念なのが、Back Spaceキーの上に電源ボタンが配置されている点だ。個人的にはDeleteキーを使うことはめったにないため、試用中に押し間違いはなかったものの、標準設定では、起動時に電源ボタンを押すと即スリープに移動してしまうため、使い方によっては気になる場面もありそうだ。

 電源オプションで電源ボタンを押したときの動作の内容を変更すれば改善できそうだが、できれば電源ボタンは、長押しではじめて動作するように変更してもらいたいところだ。

 ポインティングデバイスは、クリックボタン一体型のタッチパッドを搭載。面積が広く、ジェスチャー操作も対応している。ただ、指への反応がややセンシティブで、タップ操作でもカーソルが動きやすい。また、個人的にはクリック操作時のカチカチという音がやや大きい点も少々残念だ。

キー間隔の開いたアイソレーションタイプのキーボードを搭載。配列は標準的でタッチタイプも余裕だ
主要キーのキーピッチは19mmフルピッチを確保。Enterキー付近もほぼ均一のピッチが確保されている
ストロークはやや浅めだが、硬めのタッチとしっかりとしたクリック感で、ストロークの浅さが感じにくく、しっかりとタイピングできる印象だ
キーボードバックライトも搭載しているため、暗い場所でのタイピングも軽快だ
Back Spaceキーの上に電源ボタンがあり、標準設定では押した瞬間にスリープに落ちてしまう点は少々残念
ポインティングデバイスはクリックボタン一体型のタッチパッドを搭載。面積は広くジェスチャー操作にも対応しているが、反応がややセンシティブで、カーソルが飛びやすい点は気になる

薄型筐体ながらポート類も十分な種類を用意

 では、UX331UALのスペックを確認していこう。搭載CPUはCore i5-8250Uで、メモリはLPDDR3-2133を標準で8GB搭載。残念ながらメモリの増設は行なえない。

 内蔵ストレージは、標準でSATA仕様の512GB SSDを搭載と、容量にかなり余裕がある。PCIe SSDではないが、体感の速度差は大きくなく、十分快適な利用が可能だ。

 無線機能はIEEE 802.11a/b/g/n/ac準拠無線LAN(2×2)とBluetooth 4.1を搭載。側面のポート類は、左側面に電源コネクタ、HDMI、USB 3.0×1、USB 3.1 Gen1準拠USB Type-C×1を、右側面にmicroSDカードスロット、オーディオジャック、USB 3.0×1の各ポートを備える。

 USB Type-Cが、Thunderbolt 3対応やUSB PD準拠の給電機能対応ならば、なお良かったが、薄型モバイルノートとしてはポート類は充実しており、拡張性も十分満足できるだろう。

 右パームレストにはWindows Hello対応の指紋認証センサーを搭載しており、優れたセキュリティ性と利便性を両立。ディスプレイ上部には約30万画素のWebカメラを搭載。また、底面にはharman/cardonブランドの高音質ステレオスピーカーを搭載する。

 このスピーカの音質は、薄型モバイルノートとは思えないほど高音質で、ボリュームを上げても音割れせずクリアなサウンドが再生できる。これなら映像コンテンツや音楽再生も単体で満足できそうだ。

 付属ACアダプタは比較的コンパクトで、携帯性に優れる。重量も実測で133.5gと軽いため、本体と同時携帯も苦にならないだろう。

左側面には、電源コネクタ、HDMI、USB 3.0×1、USB 3.1 Gen1準拠USB Type-C×1を用意
右側面には、microSDカードスロット、オーディオジャック、USB 3.0×1を用意
カーソルキー下部にWindows Hello対応の指紋認証センサーを搭載
底面にharman/cardonブランドの高音質ステレオスピーカを搭載。薄型モバイルノートとは思えない高音質なサウンドが再生できる
ディスプレイ上部に約30万画素のWebカメラを搭載
付属ACアダプタは小型で携帯性に優れる
ACアダプタの重量は実測で133.5gと軽いため、本体との同時携帯も安心だ

スペック相応の性能が発揮され、十分快適に利用できる

 では、ベンチマークテストの結果を紹介していこう。今回利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark 10 v1.0.1493」、「PCMark 8 v2.8.704」、「3DMark Professional Edition v2.4.4264」、Maxonの「CINEBENCH R15.0」、スクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」の5種類。

 比較用として、レノボの「ThinkPad X280」と、LGエレクトロニクス・ジャパンの「LG gram 13Z980-GA56J」の結果も加えてある。

製品ZenBook 13 UX331UALThinkPad X280LG gram 13Z980-GA56J
CPUCore i5-8250U(1.60/3.40GHz)Core i7-8550U(1.80/4.00GHz)Core i5-8250U
ビデオチップIntel UHD Graphics 620
メモリLPDDR3-2133 SDRAM 8GBDDR4-2400 SDRAM 8GB
ストレージ512GB SSD(SATA)256GB SSD(PCIe)256GB SSD(SATA)
OSWindows 10 Home 64bitWindows 10 Pro 64bitWindows 10 Home 64bit
ベンチマーク
PCMark 10v1.0.1493v1.0.1457
PCMark 10 Score3,6043,9443,206
Essentials7,9567,8636,682
App Start-up Score9,7649,8497,435
Video Conferencing Score7,1716,8976,500
Web Browsing Score7,1947,1576,174
Productivity5,9456,7545,584
Spreadsheets Score7,1628,0756,656
Writing Score4,9365,6504,686
Digital Content Creation2,6863,1352,398
Photo Editing Score3,2713,7182,902
Rendering and Visualization Score1,6992,0981,653
Video Editting Score3,4883,9522,878
PCMark 8v2.8.704
Home Accelarated 3.03,1363,5263,165
Creative accelarated 3.03,4063,7253,289
Work accelarated 2.04,2624,8074,558
Storage4,9515,0674,857
CINEBENCH R15.0
OpenGL (fps)54.7842.6844.87
CPU597638531
CPU (Single Core)142170143
3DMark Professional Editionv2.4.4264
Cloud Gate8,4699,2427,310
Graphics Score9,82510,2168,108
Physics Score5,7126,9305,438
Sky Diver4,7244,8744,039
Graphics Score4,4404,5463,771
Physics Score7,6198,3806,735
Combined score4,3364,4943,792
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク
1,280×720ドット 標準品質(ノートPC)4,1703,1853,011
1,920×1,080ドット 標準品質(ノートPC)2,2942,1541,665

 結果を見ると、同じCPUを搭載するLG gram 13Z980-GA56Jを、多くの項目で上回るスコアが得られている。Core i7-8550U搭載のThinkPad X280には敵わない部分があるのは当然としても、中には同等または上回る部分が見られるところからも、CPU性能がほぼフルに引き出されていることがうかがえる。

 薄型モバイルノートでは、CPUの放熱が追いつかずに性能がフルに発揮されないものも少なくないが、UX331UALではそういった心配は無用だろう。

 ちなみに、ベンチマークテスト中の空冷ファンの動作音は、それほどうるさくはないが、確実に耳に届く大きさだ。ただ、専用ユーティリティ「Quiet Fan」を利用することで、ファンの動作音を低減できるようになっている。

 この場合、CPUの処理能力はわずかに落とされるものの、利用環境に応じて性能重視か静音重視か自由に設定できる点は嬉しい。なお、今回のベンチマークテストは、すべてQuiet Fan機能をオフにして、性能重視の設定で行なっている。

 続いてバッテリ駆動時間だ。UX331UALの公称のバッテリ駆動時間は約9.6時間(JEITAバッテリー動作時間測定法 Ver2.0での数字)とされている。

 それに対し、Windowsの省電力設定を「バランス」、電源モードを「(バッテリー)より良いバッテリー」、バックライト輝度を50%に設定し、無線LANを有効にした状態で、BBenchでキー入力とWeb巡回にチェックを入れて計測したところ、10時間25分と、公称を上回る駆動時間が計測された。

 これだけの駆動時間が発揮されるなら、1日の外出時でもACアダプタ不要で問題なく利用できるだろう。

毎日持ち運ぶビジネスモバイルとして魅力的な存在

 UX331UALは、従来モデルと比べて大幅な軽量化を実現して携帯性を高めただけでなく、第8世代Core i5搭載による性能向上も実現しており、モバイルノートとしての魅力が向上している。

 突き詰めれば、タッチ対応液晶の搭載やThunderbolt 3ポート、USB PD対応など、さらに強化してもらいたい部分もあるが、全体的にはよくまとまっており、万人に不満が少ない製品に仕上がっていると言って良いだろう。しかも、価格が税抜139,800円と安価な点も合わせて、コストパフォーマンスはかなり高いと言える。

 落ち着いたデザインも合わせて、ビジネスシーンで利用するモバイルノートとして、広くお勧めしたい。