■平澤寿康の周辺機器レビュー■
CORSAIRの高速SSDの新モデルとなる「Performance 3」シリーズがリンクスインターナショナルから発売となった。新モデルでは、接続インターフェイスがSATA 6Gbpsに対応するとともに、Marvell製コントローラを採用することにより、最大でリード480MB/sec、ライト320MB/secと、非常に高速なデータ転送速度を実現している。今回、Performance 3シリーズの256GBモデルとなる「CSSD-P3256GB2-BRKT」を試用する機会を得たので、速度面などをチェックしていこう。
●Marvell製コントローラ採用、リード480MB/secの高速アクセスを実現CORSAIRといえば、高性能メモリモジュールメーカーとしておなじみだが、従来より高速SSDも販売している。今回登場したPerformance 3シリーズは、同社製SSDの中でハイエンドに位置付けられる製品となる。
最大の特徴となるのは、なんと言っても256GBモデルで公称リード480MB/sec、ライト320MB/secと、非常に高速なデータ転送速度を実現している点だ。そのため、接続インターフェイスはSATA 6Gbpsを採用している。これは、やはり300MB/secを超える速度を実現するSSDとしていち早く登場したCrucialのC300シリーズと同じだ。
コントローラにはMarvell製が採用されている。Marvell製コントローラは、CrucialのC300シリーズや、2010年末に登場したPLEXTOR製SSD「PX-M2S」シリーズなどでも採用されているが、Performance 3シリーズでは、PX-M2Sシリーズと同じ「88SS9174-BKK2」を採用している。フラッシュメモリには、東芝製のMLC NANDチップを採用。キャッシュメモリに128MBのDDR3 SDRAMを採用している点など、仕様面はPLEXTORのPX-M2Sシリーズとほぼ同等となっている。
内部の基板を見てみると、1.8インチサイズの基板上に、コントローラであるMarvellの「88SS9174-BKK2」と、キャッシュメモリのHynix製DDR3-1333対応1Gbit DDR3 SDRAM「H5TQ1G63BFR-H9C」、東芝製の256Gbit MLC NANDフラッシュメモリチップ「TH58TVG8D2FBA89」が基板表に4個、裏に4個の計8個搭載されている。基板の構造や、採用されているチップ類は、PLEXTORのPX-M2Sシリーズと全く同じとなっている。ちなみに、本体はネジ4本を外すだけで簡単に分解可能だが、ケース部は封印シールで封印されており、このシールを破ると保証が受けられなくなるので注意されたい。
本体形状は、厚さ9.5mmの2.5インチHDDサイズをベースとした一般的なSSDとほぼ同じだ。ネジ穴の位置も、もちろん2.5インチHDDと同じで、厚さ9.5mmの2.5インチHDDと同等の感覚で利用可能だ。本体重量は、実測で72gであった。
●シーケンシャルリードで約476MB/secを記録
では、速度をチェックしていこう。今回は、ベンチマークソフトとしてCrystalDiskMark v3.0.1a、HD Tune Pro 4.60、Iometer 2008.06.28の3種類を利用した。また、テスト環境は下に示す通りだ。今回は、不具合の解消されていないIntel H67 Express搭載マザーボードを利用しているが、テスト用のSSDとOS起動用のHDDのみをSATA 6Gbps対応ポートに接続してテストを行なっているため、不具合の影響は受けない。また、比較用として、Crucial C300の容量256GBモデル「CTFDDAC256MAG-1G1」と、PLEXTOR PX-M2Sシリーズの256GBモデル「PX-256M2S」の結果も加えてある。
【テスト環境】
CPU:Core i7-2600K
マザーボード:Intel DH67BL
メモリ:PC3-10600 DDR3 SDRAM 4GB×2
グラフィックカード:CPU内蔵(Intel HD Graphics 3000)
HDD:Seagate ST31000340AS(OS導入用)
OS:Windows 7 Professional 64bit
まず、CrystalDiskMarkの結果を見ると、シーケンシャルリードの速度は約476MB/secを記録した。ほぼ公称値通りと言っていいだろう。シーケンシャルライトの速度も、公称値である320MB/secに近い速度が得られている。
ほぼ同等の仕様であるPLEXTORのPX-256M2Sでは、Performance 3に対しシーケンシャルアクセス速度が若干遅いようだが、これはファームウェアの違いによるものと考えていいだろう。とはいえ、その差はそれほど大きくなく、双方を同時に利用したとしても、速度差を感じることはほとんどないだろう。
HD Tune Proの結果を見てみると、シーケンシャルアクセステストでは、データサイズを4MBに設定した場合には、平均436MB/sec、最大472MB/secと、CrystalDiskMarkの結果より若干遅かった。シーケンシャルライトでは、平均302MB/secほどとなっている。テストにより多少の違いは見られるようだが、基本的には、シーケンシャルリードで少なくとも450MB/sec前後の速度が、シーケンシャルライトで310MB/sec前後の速度が発揮されると考えて良さそうだ。
ただ、ランダムアクセス速度は、Crucial C300シリーズに大きく劣っている。CrystalDiskMarkだけでなく、HD Tune ProやIometerも、ほぼ似通った結果となっている。これは、コントローラの問題というよりも、利用しているNANDフラッシュメモリの仕様が影響していると考えた方が良さそうだ。もちろん、この速度でもHDDに対して圧倒的に高速であり、実際に利用するうえで問題になることはまずないだろう。
テスト結果
Iometer 2008.06.28 Windows 7 Professional 64bit | CSSD-P3256GB2-BRKT | PX-256M2S | Crucial C300 256GB | ||||
Queue Depth:1 | Queue Depth:32 | Queue Depth:1 | Queue Depth:32 | Queue Depth:1 | Queue Depth:32 | ||
File Server Access Pattern | Read IOPS | 2559.4 | 3810.7 | 2527.8 | 5105.8 | 2407.8 | 9833.2 |
Write IOPS | 640.0 | 951.3 | 631.1 | 1278.0 | 599.9 | 2459.0 | |
Read MB/s | 27.6 | 41.3 | 27.4 | 55.3 | 26.1 | 106.5 | |
Write MB/s | 6.9 | 10.2 | 6.8 | 13.8 | 6.5 | 26.5 | |
Average Read Response Time | 29.0 | 43.3 | 28.7 | 57.9 | 27.4 | 111.7 | |
Average Write Response Time | 7.2 | 10.7 | 7.2 | 14.5 | 6.8 | 27.8 | |
Maximum Read Response Time | 0.4 | 7.6 | 0.4 | 5.8 | 0.4 | 2.7 | |
Maximum Write Response Time | 0.1 | 3.0 | 0.1 | 2.0 | 0.1 | 2.0 |
このように、Performance 3シリーズは、MLC NANDフラッシュメモリを採用する単体の2.5インチSSDとして、現時点でほぼ最高速の製品と言える。今回のテストではコントローラ、フラッシュメモリチップが同じPLEXTORのPX-M2Sシリーズに対しても高速だったため、速度を優先したい場合には、Performance 3シリーズのほうが有利だろう。
ただ、価格は256GBモデルで実売59,980円前後と、先に登場したPX-M2Sシリーズの256GBモデルのほうが若干安価なので、コストを優先させたいならPX-M2Sシリーズも選択肢に入れていい。今後、Performance 3シリーズと同じMarvell製コントローラを採用するSSDが続々登場してくると思われるが、少なくとも現時点では、ハイエンドユーザーには大いにオススメしたい製品だ。
(2011年 2月 25日)