大河原克行の「パソコン業界、東奔西走」
「ライバルは外資系PCメーカー」。マウス軣氏、社長就任2年目の戦略
2025年8月4日 06:00
マウスコンピューターの社長に軣秀樹氏が就任してから約1年が経過した。長年にわたり、設計、開発、生産などを担当してきた軣社長が打ち出したのが、マウスコンピューターが「モノづくりの会社」であることを徹底する方針だ。すべての仕事の起点、顧客との接点の基本、そして、世の中からの評価のベースも、「モノづくり」を基軸に考えるという。そして、「守り」の姿勢にあった同社を、挑戦する「攻め」の企業へと転換させる考えも打ち出した。
その一方で、2025年度は、「MOUSE」を頭文字としたそれぞれのテーマを実現することも重要な取り組みに位置付けた。マウスコンピューターは、これからどう変化していくのか。軣社長体制による新たなマウスコンピューターを追った。
これまでの1年間の取り組み
--2024年6月に、社長に就任して1年が経過しました。この1年は、どんなことに取り組んできましたか。
軣 社長就任に合わせて、3つの事柄を徹底しました。1つ目は「お客様の信頼を獲得すること」。2つ目は「製品力を高め、お客様が求める製品を提供すること」です。この2つに共通しているのは、改めてお客様と会話ができているのかということを問い直す意味があります。
たとえば、営業部門であれば、私への説明や、それに伴う事前の会議、資料の作成といった社内の仕事に時間を使っていないか、それによって、お客様に時間を使うことができていないのではないか、といったことを、社員に改めて考えてもらいました。それは私自身も同じで、自らの活動の起点をお客様に置き、お客様の信頼を得て、お客様が求める製品づくりをすることに取り組む宣言でもあります。
18年間にわたって社長を務めてきた前任の小松永門氏が退任したことで、正直なところ、お客様が離れてしまうのではないかといった不安はありました。また、私は社長就任の直前まで、開発、製造、品質管理、アフターサービスが担当であり、その立場からは、お客様の信頼を得ているのかどうかが、直接、分かりにくかったことも不安の1つでした。
そこで、社長就任直後から、お客様やパートナーにお邪魔し、さまざまなお話しをさせていただきました。約40社を訪問し、約500人の方々と会いました。お客様の信頼を得られているケースもあれば、足りていないことを実感するケースもありました。ただ、こうしたお客様やパートナーとの対話を通じて、私が持っていた不安はかなり払しょくすることができました。
お客様の要望も分かりましたから、これからは、それにどう応えていくか、どんな製品を投入するか、ということになります。マウスコンピューターなら、すべてが揃うという状況を作りたいですね。
--社長1年目の成果はあがっていますか。
軣 売上高は過去最高の実績となり、利益目標も達成していますから、その点からも、お客様との信頼関係の構築には、一定の成果があったと思っています。やれなかったこともあります。また、お客様が求めている製品の提供という点では、市場投入までには時間がかかりますから、まだ結果は出ていません。
しかし、G TUNEでのリブランドの取り組みや、新たなデスクトップケースの採用など、お客様の意見を取り入れながら、マウスらしいものを提供できています。ゲーミングPCのケースというと、ギラギラしたものが多いのですが、あえて、そこから外したデザインを採用しました。お客様が求めているモノづくりに向けた第一歩を踏み出したところですね。
マウスコンピューターは、これまでにさまざまな挑戦をしてきました。それはPCだけでなく、周辺機器の領域にも及んでいます。しかし、コロナ禍もあり、最近は「守り」に入っていたという反省がありました。モノづくりのやり方が変化し、お客様が求めるものが変化してきたことに加えて、PC市場全体としても開発投資の見直しが行なわれ、新たな技術革新が少なく、「守り」に入らざるを得ない状況が続いていたわけです。
ここにきて、AIが注目されてきましたし、それに伴う技術進化も始まってきました。改めて「攻める」環境が整いつつあります。これまで止まっていたものを、再び動かすには多くの力が必要ですが、再び「攻める」姿勢へと転換していかなくてはなりません。
その一方で、技術者の自己満足で、モノづくりをしていた部分が見受けられたのも事実です。私自身、ずっと開発をやってきましたから、よく分かるのですが、技術者は自己満足でモノを作り上げ、「これは売れる」と勝手に思い込んでしまう傾向があります(笑)。しかし実際には、最新技術を取り入れ、機能を盛りだくさんにしても、価格が高くて購入してもらえないということがよく起きます。私の経験から言えば、技術者が自己満足でモノづくりをすると、成功率は2割程度でしょうね(笑)。
ここ数年は、ユーザー不在でモノづくりをし、その一点を追求しすぎていた反省があります。また、お客様に関する情報量が少ないという課題もありました。お客様が求めるものは何か、市場の波に乗る製品はなにかということをもっと追求し、それに合わせた製品を用意する必要があります。これは、競合に比べて負けていた部分だといえます。
ここでいう競合とは、外資系PCメーカーです。日本でモノづくりをしているPCメーカーであるマウスコンピューターの使命は、日本で作ったPCを、より多くの日本の人たちに使ってもらうことです。コストだけで攻めるには限界がありますから、製品力を高め、サポートを提供し、使ってみて良いと思ってもらえる価値を提供していく必要があります。
技術畑出身の私が社長になり、体制が一新したわけですから、この機会にもう一度モノづくりをしっかり考えたいと思っています。まずは、顧客視点をさらに徹底していくことから始めます。営業部門をさらに強化し、開発部門や製造部門はコストを意識しながら、品質を上げるための努力をしていくことになります。
--社長就任後に掲げた3つ目のポイントはなんですか。
軣 3つ目は、「持続可能な企業体質へと強化すること」です。今までのやり方でいいところは継続しながらも、市場環境が大きく変化する中で、10年前と同じ仕事のやり方に疑問を持つことや、一人で考えずにチームで動けば、より多くの力が発揮できることへの理解も徹底しました。同時に、女性がより活躍できる場づくりや、SDGsへの取り組みの浸透、地域と結んだ包括連携の実効性の強化などにも取り組んでいます。
また、社内研修の実施や給与の見直しなどを行ない、社員のモチベーションを高めるための施策にも取り組んできました。社員が生き生きとして働いていることを感じます。
社長に就任し、最初に発信したメッセージに対して、社員からの反応を聞きました。約9割の社員が理解し、共感してくれたようです。社員ともしっかりとコミュニケーションを取っていくつもりです。私がどういうことを考えているのかといったことは、なるべく丁寧に説明をして、理解をしてもらい、一緒に歩んでいくんだという状態を作りたいと思っています。
今、役員や事業部長に対しては、「何をしたいのか」いうことを聞いているんです。つまり、これまでやってきたことを、単に継続するのではなく、どんな意図があってそれをやるのかといったことを考えてもらっています。企業の成長は、トップダウンで牽引するフェーズがある一方で、トップのリーダーシップだけでは限界が見えてくるフェーズもあります。また、時代の変化や市場の変化によっても求められるものが変わってきます。
今のマウスコンピューターを考えると、トップダウンだけで、経営をやることは正しい姿ではないと思っています。最終的な意思決定は、私が責任を持って行ないますが、若い人を含めて、みんなで考え、アイディアを出し、さまざまな意見を取り入れた方がいいと思っています。
eスポーツチームへのスポンサードは目先の売上ではなく、市場全体の活性化が狙い
--提出するアイディアには、たとえば、収益性を前提にするといったような条件を何か設けていますか。
軣 それはケースによって異なります。なんでもかんでも、目先の収益につなげるという発想はありません。マウスコンピューターは、2024年9月に開催したTOKYO GAME SHOW 2024(TGS 2024)に出展しました。これは現場から、TGS 2024に出展したいという要望があったことから実現したものです。
もし、出展することによって、どれぐらいの新規顧客を獲得できるのか、どれだけの売上増加につなげるのかといった目標を掲げたとすれば、その時点で出展はしない方がいいという判断になりかねません。売上だけを追求するのであれば、店舗に投資をした方がいいという話になるからです。
しかし、TGS 2024の出展で私たちが目指したのは、マウスコンピューターは老舗のゲーミングPCメーカーであることを改めて訴求し、最新のゲーミングPCを見てもらい、TGS 2024にも出展するPCメーカーであることを知ってもらうことが目的です。現場から上がってきた狙いも、そこにあり、それならば出展をしようと決めたのです。
昨年(2024年)は、eスポーツチームのスポンサードの更新時期でもあったわけですが、ここでも社員に改めて目的を考えてもらいました。最初は、チームと連携した形でオリジナルPCを作って、これだけ売上を増やすといったプランが上がってきましたが、それが目的となってしまったら決してうまくいきません。
ここでは、チームを支援することで、eスポーツの市場全体を盛り上げ、それが結果として、私たちのビジネスにとってプラスになるという大きな視点で捉える必要があります。スポンサードすることで、数百台のチームオリジナルPCの販売による売上増加を目指すのであれば、ここでも店舗に投資した方が得策という話になります。
日本では、eスポーツはまだ広く認知されていません。この市場をどう盛り上げていくのかという視点で考えれば、これまでとは違ったアイディアが次々と生まれます。マウスコンピューターがやれることは限られていますが、どうやって業界全体を盛り上げていくか、どう市場を育てていくかといった視点で考えることが重要だと思っています。
地域活性化やコラボイベントにも積極的に関与
--マウスコンピューターは、プロバスケットボールリーグ「B.LEAGUE」の琉球ゴールデンキングスとオフィシャルパートナー契約を結んでいますね。これは、どんな狙いがあるのですか。
軣 地域活性化とともに、社員を確保するという狙いがあります。マウスコンピューターは、琉球ゴールデンキングスの本拠地である沖縄市に、完全自社運営の沖縄コールセンターを開設しています。2010年から自社運営をしているのですが、大手企業に比べると地域でのマウスコンピューターの知名度が低く、沖縄市では社員がなかなか集まらないという課題がありました。テレビCMなどによって知名度を上げるという手もありましたが、そうではなく、地元に貢献しながら知名度を上げる方法はないかと考えました。
社員から上がってきたアイディアの1つが、琉球ゴールデンキングスへのスポンサードでした。B.LEAGUE 2022-23シーズンでは、年間チャンピオンを獲得していますし、2024-25シーズンは準優勝しています。地元ではとても盛り上がっているスポーツですし、スポンサードしたことで、沖縄コールセンターの社員たちがとても喜んでくれています。そして、琉球ゴールデンキングスのスポンサードを通じて、マウスコンピューターを知ってもらい、沖縄での新しい社員の獲得につながることを期待しています。
--2024年6月の社長就任直後には、キッザニア東京に「パソコン工場」パビリオンをオープンしましたね。
軣 キッザニア甲子園に続くものですが、このパビリオンのオープンには最初から関わってきた経緯もあり、かなり思い入れがあります。多くの子どもたちに、モノづくりの経験をしてもらう場として展開しているもので、体験した子どもたちの10年後、20年後の将来を決めるきっかけになることを期待しています。
子どもたちのモノづくり体験としては、毎年夏に長野県飯山市の飯山工場で開催している「親子パソコン組み立て教室」や、北海道木古内町との包括連携協定を基に開催した小中学生向けのパソコン組み立て体験も開催しています。子どもたちにモノづくりの楽しさを知ってもらう活動には、これからも力を注いでいきます。
--現在、開催中の大阪・関西万博では、メディアアーティストの落合陽一氏がプロデューサーを務めた「null2(ヌルヌル)」に協賛しています。この狙いはなんですか。
軣 日本の企業として、大阪・関西万博には何かしらの形で関わりたいと思っていました。落合さんとは従来からのつながりもあり、null2のコンセプトに共感し、サポートを決定しました。映像生成にはDAIVを提供し、運営業務にはmouseブランドのPCと、iiyamaのディスプレイを提供しています。表に出てこないのですが、大阪・関西万博の盛り上げに、少しでもお役に立ちたいという考えがベースにあります。
モノづくりの楽しさを、顧客や社員、子どもたちとも共有したい
--こうした判断には、軣社長ならではの価値観が生かされているように感じます。
軣 長年に渡って開発に携わってきたこと、海外勤務の経験などを通じて、私の人生観は大きく変わりました。自分が開発した製品が爆発的に売れた経験もありますし、まったく売れずに大失敗した経験もあります。私の役割は何かといえば、モノづくりの楽しさを、お客様や社員、そして子どもたちにも知ってもらうことではないかと思っています。
自分たちで作ったものを見て、触って、買ってもらって、最後には、お客様に喜んでもらうことが、モノづくりの醍醐味です。モノづくりのメーカーとして、そうした体験をしてもらえる場を作ることが大切だと思っています。
1つのPCを作り上げるのにどれぐらいの人が関わっているでしょうか。マウスコンピューターの立場から見れば、設計、開発、生産といった人たちになりますが、それでPCが完成するわけではありません。PCに使われる数多くの部品の1つ1つにも、多くの人が携わって設計、開発、生産が行なわれています。数えきれない人たちの力が合わさり、PCが完成しています。
マウスコンピューターは、飯山工場でPCの生産を行なっています。しかし、東京の本社に勤務している社員や営業部門の社員、店舗で接客をしている社員の中には、まだ工場の現場を見たことがないという社員も多いのです。モノづくりの会社であり、日本に生産拠点があるのに、それができていない。ですから、工場を見たことがない社員には、ぜひ機会を作って、工場に行くように言っています。
また、次世代の幹部候補生たちには、海外の部品メーカーなどにも、積極的に出張してもらい、現場を見てもらいたいと思っています。部品メーカーがどんな考えでモノづくりをしているのか、何を目指しているのかといったことを知ることは大切です。日本では得られない海外の文化を知り、海外での新たなトレンドを知ることは、大きな刺激になります。
私もそうした経験の繰り返しによって、いまがあります。これまで、マウスコンピューターでは、海外研修のカリキュラムを実施することはありませんでしたが、海外での研修を実施し、この経験を通じて、人生観が変わってくれることを期待したいですね。
今期の注力テーマは「MOUSE」
--2024年度(2024年4月から2025年3月)の通期売上高は初めて600億円を突破し、増収増益となりました。2025年度(2025年4月から2026年3月)はどんな点に力を注ぎますか。
軣 2025年度は、5つのポイントに注力します。1つ目は、「マウスクオリティ&スピード」で掲げた目標の達成です。マウスコンピューターの特徴は、国内で開発し、国内で生産し、国内でサポートし、国内で修理する体制を敷いており、それによって高い品質と、迅速な対応が可能になっています。これは長年に渡って追求してきたものですが、この方針はこれからも変わりません。
2つ目が、「オリジナリティある製品企画と開発」です。「マウスらしい」製品を作る必要があります。この中には新たな挑戦もありますし、いい意味で、「何をやってるの?」「そんなことやっているの?」と言ってもらえるような製品も投入していきたいですね(笑)。まだ具体的なアイディアはありませんが、社員からどんなアイディアが出てくるのかを楽しみにしています。新しいものに挑戦し、失敗したら、その時に考えようというつもりで取り組みたいですね。
3つ目は、「ユーザビリティ/ユーザーファーストの考えで信頼を獲得」することです。お客様の声を聞くことには一番こだわっていきたいですね。ユーザビリティをしっかりと考えた製品開発を進めていきます。
4つ目が、「サステナブル(SDGs)/持続可能な企業体質を構築」です。これまで以上に企業体質を強化していきます。SDGsの取り組みは、地域振興、子育て支援などのテーマを中心に2020年から進めてきましたが、まだまだできていない部分があります。改めて、ここにフォーカスをしていきたいと思っています。
そして、最後の5つ目が、「楽しく(Enjoy)仕事をする、そこから生まれるアイディアを創出」するということです。一人で悩まずに、仲間を頼れる企業風土を作り、仕事と生活を切り分ける正しい時間の使い方をしてもらい、若い人からも柔軟な発想を基にしたアイディアをどんどん出してほしい。良いアイディアは行き詰った環境にいたり、一人で悩んでいたりする環境では生まれません。仕事を楽しんでもらえる環境で働いてもらうことが大切です。
私は、これまで仕事を苦労だと思ったことはないんですよ。楽しく仕事をやらせてもらっています。これからも社員と一緒に、仕事をエンジョイしたいですね。
ここで掲げた「マウスクオリティ&スピードの目標を達成」「オリジナリティのある製品企画・開発」「ユーザビリティ/ユーザーファーストの考えで信頼を獲得」「サステナブル(SDGs)/持続可能な企業体質を構築」「楽しく(Enjoy)仕事をする、そこから生まれるアイディアを創出」という5つの項目の頭文字を組み合わせると、「MOUSE」になります。2025年度は、「MOUSE」の実現をしっかりとやっていきます。
--マウスコンピューターを外から見ている立場からは、やはり「オリジナリティのある製品企画・開発」のところが気になりますね(笑)。
軣 これは、社員からどんなアイディアが出てくるのかが楽しみです。
--軣社長自らがリードしてもいいのでは?
軣 アイディアはありますが、50代の私が作ったものが、若い人たちに受けると思いますか?何もアイディアが出てこなかったらやりますが(笑)、それは、裏を返せば、社員が楽しく仕事ができていない、あるいは考える時間や余裕を与えられていないということですから、私の責任だと言えます。
WindowsのEOSとAI PC
--2025年10月には、Windows 10のEOS(サポート終了)を迎えます。マウスコンピューターではどんな提案を行ないますか。
軣 従来のEOSの時とは異なり、かなり前倒しで買い替えが進んでいると見ています。また、業界全体の流れとして、EOSの置き換えに、AI PCを提案するといった新たな動きも出てきています。ただ、EOSに適したPCとは何か、といったことを考えた場合に、AI PCは1つの選択肢にすぎません。当社でも、エンジニアが台湾に出向き、ODMと連携しながらLunar Lakeを搭載したAI PCをいち早く投入しましたし、今後、4~5年間使用するということを考えれば、できればAI PCを選びたいと思うユーザーの気持ちも自然なものだといえます。
しかし、私は、EOSとAI PCは、同一の流れで捉えるものではないとも思っています。CPUの世代が変わるのに合わせて、価格が大きく上昇しており、最新のAI PCを購入するとなると、どうしても20万円以上になってしまいます。しかし、法人ユーザーの場合、20万円を超えると固定資産として計上しなくてはなりませんから、できれば避けたいという意思が働きます。むしろ、Meteor Lakeを搭載した20万円未満のPCを選択したいというニーズが高くなります。
そこで、マウスコンピューターでは、これらのラインアップも残しました。これまでのモノづくりは、最新のCPUを搭載したPCを次々と発売していくというロードマップを組み、それに向かって製品化してきましたが、市場全体を見ると、最新CPUを搭載したPCを求めているユーザーばかりではありません。仕事を処理するためのPCとして使うことができる範囲で、価格を重視したいといったニーズも多いわけです。特に、EOSでは、そうしたニーズが根強いので、AI PCとは異なる、EOSに適したPCを提供していくことは、マウスコンピューターの役割の1つです。
--一方で、AI PCでは先行したわけですから、すでにアクセルを踏んでいるわけですね。
軣 いや、アイドリングの状態です。AI PCはアプリケーションが揃ってこそ、価値が生まれると思っています。さまざまなアプリケーションが揃い、AI PCとノンAI PCの差がしっかりと表現できる状況になってきた時がアクセルを踏むポイントです。そこに到達するには、少なくともあと1年はかかるでしょうね。焦ることなく、Intel、AMDを含めて、製品ラインアップをしっかりと準備していくのが今のタイミングです。
--社長就任から2年目に入りました。マウスコンピューターの経営の舵取りはどんな方向に向かいますか。
軣 マウスコンピューターは、常に成長する企業でありたいと思っています。2024年4月に事業方針を発表し、私が6月に社長に就任し、それから約1年が経過しました。1年目はこの方針を大きく変えずにやってきました。見方を変えると、2025年度は、社長として初めて年間を通じて舵取りをすることになりますし、むしろ、ここがスタートであるといった意識を持っています。必ず結果を出すことを目指しますし、お客様からは、マウスのPCを使っていてよかったと言ってもらえるメーカーを目指していきます。
お客様やパートナーとともに成長をしなくては意味がありません。法人ユーザーであれば、マウスのPCを使うことで利益をあげてもらい、個人ユーザーには、マウスのPCを購入したことで生活が豊かになった、楽しくなった、幸せになったと言ってもらえるようになりたい。それがマウスコンピューターの幸せにつながりますし、モノづくりをやっていてよかったと感じるシーンだといえます。
--モノづくりの会社であることを、改めて徹底する意思を感じます。
軣 実は、2025年4月に、「ものづくり10」という、新たな10項目を打ち出しました。マウスコンピューターのそれぞれの社員が取り組んでいる仕事は、すべてがモノづくりを起点にしていることを示しています。お客様との関係性や、仕事の優先順位の考え方なども、モノづくりを起点とすること、その結果、マウスコンピューターの社員の幸せも、モノづくり企業であるからこそ実現できるといったことを示しています。
主要なお客様には、私の基本的な考え方を説明する際に、この「ものづくり10」を使っていますし、当社サイトの代表メッセージにも、このエッセンスを盛り込みました。先日、冊子向けに「ものづくり10」をベースにした挨拶文をまとめたのですが、文章が長すぎて入らないと怒られました(笑)。
マウスコンピューターは、モノづくりの会社であることを、多くの人に分かっていただき、社員にはすべての活動がモノづくりの考え方に紐づくことを理解して、仕事をしてもらいたいと思っています。モノづくりの会社であるからこそ、自分たちが作っているPCを、自信を持って世の中に送り出すことができます。
まぁ、10項目は多すぎるので、来年には少し減らそうかなとは思っていますが(笑)。





















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