山口真弘の電子書籍タッチアンドトライ
Androidで電子書籍のページめくりが行なえるリモコンデバイスを試す
2022年2月14日 06:35
スマホやタブレットで電子書籍を読む場合、タップもしくはスワイプでページめくりを行なうのが一般的だ。専用のページめくりボタンを備えたデバイスもあり、手袋をしていてタッチスクリーンが反応しない場合に重宝するが、基本的には上位製品のみの機能だ。
ただしAndroidに関しては、デバイスの音量ボタンを使ってページをめくるという裏技がある。Android向けの電子書籍ビューアアプリの多くが備えるこの機能を使えば、音量「下」を押せば「次のページ」、音量「上」を押せば「前のページ」に移動できる。専用のページめくりボタンがなくとも、物理ボタンによるページめくりが行なえるというわけだ。
言い替えれば、外部から音量を調整できるデバイスと組み合わせれば、Androidのスマホやタブレットは、遠隔でもページめくりが行なえる。例えば枕元でそれらをアームに取り付ければ、画面に触れることなく、寝転がったままでもページめくりが行なえる。まさに究極の「ごろ寝デバイス」であり、自堕落な生活を送りたい場合に最適だ。
今回はそんな用途に対応したリモコンデバイス、エレコムの「JC-XR05BK」を紹介する。
Androidと組み合わせて画面に触れずにページをめくれる
「JC-XR05BK」は、もともとVR用のジョイスティックデバイスだ。ボディの先端にはポインタを動かすためのジョイスティックと、マウスの左ボタンに相当する決定ボタンが搭載されており、VRのゴーグルをかけたままの状態でVR動画の操作が行なえるという製品だ。
電子書籍とはまったく関係なそうなこの製品だが、グリップ部に並ぶボタンのうち2つがAndroidの音量調整に割り当てられている。つまりAndroidスマホやタブレットに本製品をBluetoothで接続しておけば、リモートで電子書籍アプリのページめくりを行なえるというわけだ。
同種のデバイスはほかにも存在するが、技適への対応が不明瞭な海外製品がほとんどで、筆者の知る限り国内で利用可能な製品はほぼ皆無だった。今回の製品は技適もきちんと取得しており、日本国内で問題なく利用できる。またアルカリ乾電池利用で連続使用時間が約1,800時間と、かなりの長寿命なのも利点だ。
使い方は簡単で、Androidスマホまたはタブレットの設定画面からBluetoothを開いて「追加」ボタンを押し、本製品(ELECOM VR Remote)を選択することによってペアリングが完了し、接続することができる。デフォルトで本体末尾の「B」「Y」ボタンが音量調整に割り当てられているので、ボタンの手動割当などを行なう必要はない。
積ん読の消化に最適。持ち方には一工夫が必要
実際の使い勝手はすこぶる快適だ。タブレットアームを使ってベッドの枕元にAndroidのスマホやタブレットを固定し、布団の中で本製品を操作しても、きちんとページがめくられる。
本製品でページをめくりながら読書するようになると、これまで長時間本を読むにあたって、タップやスワイプでページをめくる操作の繰り返しが、どれだけ障害になっていたのかを痛感する。気がついたらこれまでの何倍もの量を読んでいたりするので、自分でも驚くことになる。ちなみに寝落ちする確率もついでに高くなる。
また本体上部に付いているジョイスティックおよび先端のボタンを使えば、ポインタ移動およびクリックも行なえるので、簡単な操作、例えばコミックの読了後に次の巻をダウンロードする程度の操作であれば、リモコンだけで行なえてしまう。あまり操作性はよくないが、体調が悪いなどの理由で布団の中から腕を出したくない場合は有効だろう。
実際に使ってみてネックとなる点は2つある。1つはボタンがかなり硬く、クリック音も大きいことだ。逆に言うと、このクリック音が周りに響かないようにするために、布団の中で操作をした方がよい。
もう1つは、ページめくりに用いる「B」「Y」ボタンは本体の後方寄りについているせいで、そのままだと持ち方が不安定になることだ。イレギュラーな使い方になるが、本体を上下逆さに持った方が、親指がこれらボタンを押しやすい位置に来るので、使いやすくなる。
この持ち方のままでは前述のジョイスティックが操作できないが、1冊を読み終えるまでに百回前後押すことになるページめくりボタンを快適に扱うことの方が、重要性としてははるかに高いのは明白だ。ボタンの割当を変更する機能はないため、これは致し方ない。
実売千円台、積ん読コンテンツを消化するのに最適
電子書籍の積ん読コンテンツを消化するという意味でも有用な製品、実売価格も1,480円と安いので、気軽に試せるのがよい。この手のデバイスは前述のように技適を取得しているか不明瞭な製品も多いので、そうした意味でも安心して試せる。
ただし現状では選択肢が少ないがゆえにおすすめできるというだけで、これから先、本製品よりも使いやすく、価格も同等以下の製品が登場する可能性は大いにある。本製品は前述のようにボタンの硬さとレイアウトがネックなので、そのあたりは今後に期待したいところだ。
また言うまでもないが、Android向けの電子書籍アプリのすべてがこの機能をサポートしているわけではないので要注意だ。例えばKindleやBookLive、DMMブックスなどは対応する一方で、楽天Koboは機能自体がなく非対応だ。愛用している電子書籍アプリでこの機能があるか、事前に設定画面を開いて確認しておくことをおすすめする。