山口真弘の電子書籍タッチアンドトライ

iPad miniとほぼ同サイズ表示の8型電子書籍端末「Kobo Forma」

~コミックの見開き表示にも対応

Kobo Forma。価格は34,344円(税込)

 楽天Koboが販売する「Kobo Forma」は、E Ink電子ペーパー採用の電子書籍端末だ。歴代で最大となる8型画面に加えて、ページめくりボタンを搭載。さらに防水機能なども搭載した、シリーズの最上位モデルとなる“全部入り”の製品だ。

 本製品は、Onyxの「BOOX」シリーズなど汎用タイプを除いては実質初となる、8型オーバーで見開き表示に対応するE Ink端末だ。前述のページめくりボタンに加え、ローテーション機能により左右どちらの手でも、また横向きにした状態でも使えるなど、ライバルであるAmazonの「Kindle Oasis (第9世代)」に近いコンセプトを備えている。

 今回は10月24日に発売されたばかりの実機を用い、ページめくりボタンの挙動とともに、コミックの見開き表示における実用性を中心に検証する。

iPad miniと同等の画面サイズながら約100gも軽量

 まず最初に、過去に発売された6型オーバーのKoboシリーズ2製品、および競合となるKindle Oasisと比較してみよう。なお7.8型の「Kobo Aura ONE」については、すでに終売となっている。

製品Kobo FormaKobo Aura H2O Edition 2Kobo Aura ONEKindle Oasis(第9世代)
発売月2018年10月2017年5月2016年9月2017年10月
画面サイズ/解像度8型/1,440×1,920ドット(300ppi)6.8型/1,080×1,440ドット(265ppi)7.8型/1,404×1,872ドット(300ppi)7型/1,264×1,680ドット(300ppi)
ディスプレイモノクロ16階調 E Ink電子ペーパー(Carta)
通信方式IEEE 802.11b/g/n
内蔵ストレージ32GB約8GB約8GB(ユーザー使用可能領域:約6GB)/約32GB(ユーザー使用可能領域:約27GB)
フロントライト内蔵(自動調整)内蔵内蔵(自動調整)
ページめくりタップ、スワイプ、ボタンタップ、スワイプタップ、スワイプ、ボタン
見開き表示-
防水・防塵機能あり(IPX8規格準拠)
バッテリ持続時間の目安数週間数週間(明るさ設定10、ワイヤレス接続オフ、一日30分使用時)
サイズ(幅×奥行き×高さ)177.7×160.0×4.2~8.5mm172×129×8.8mm195.1×138.5×6.9mm159×141×3.4~8.3mm
重量197g207g230g約194g
発売時価格(税込)34,344円19,980円24,624円33,980円(8GB、広告つき)/35,980円(8GB、広告なし)/36,980円(32GB、広告つき)/38,980円(32GB、広告なし)

 ざっと見ると、iPad mini(7.9型)並となる8型という画面サイズが目を引くが、その割に軽量であることもまた特徴だ。

 比較対象のKoboシリーズ2製品はそれぞれ6.8型、7.8型だが、本製品はその中でもっとも軽く、長時間の保持でも手が疲れにくい。またE Inkと液晶の違いがあるとは言え、画面サイズがほぼ同じiPad mini 4(298.8g)に比べて100g以上も軽いのは驚異的だ。

 厚みについては、筐体がくさび型であることから公称値は「4.2~8.5mm」となっているが、主要な部分は実測6mm前後だ。Kindle Oasisの画面部分に比べるとさすがに厚みはあるが、筐体がフラットなほかのモデルと比べてもかなり薄い。

 さらに本製品はタップやスワイプ以外に、物理ボタンによるページめくりにも対応する。物理ボタンは単純に部品のコストもかかるほか、故障率も上がるため、メーカー側としてはなるべく避けたいギミックだが、それを敢えて搭載したところに、本製品への意気込みがうかがえる。コストがかけられる上位モデルにのみ許された機構といったところだ。

 ストレージ容量は32GBと、従来(8GB)の4倍だが、製品ページによると「在庫がなくなり次第、取り扱い終了となります」との注釈があることから、詳細は不明だが恒久的な仕様ではないとみられる。

 以上の点から、本製品の強みとなるのは、画面サイズ、軽さ、薄さ、物理ボタンということになる。

 その一方で、価格は34,344円とほかのモデルに比べて頭1つ抜けており、ベーシックモデルの「Kobo Clara HD」を余裕で2台買えるレベルだ。

 競合に当たるKindle Oasisの32GB広告なしモデル(34,980円)を意識した価格だが、これをハンデとしない魅力があるか否かが、ユーザーを製品の購入に踏み切らせるか否かの分岐点ということになる。

製品本体。画面横にグリップを備えた仕様。ちなみにベゼルと画面の間に段差はない
側面。グリップ寄りになるほど厚みが増すくさび型のデザイン
電源ボタンとMicro USBポートはグリップ側面に配置されている
6.8型の「Kobo Aura H2O Edition 2」(右)との比較。デザインが大きく異なることが分かる。なおコミックのサンプルはうめ著「大東京トイボックス 10巻」を用いている(以下同じ)
7.8型の「Kobo Aura ONE」(右)との比較。画面サイズは近いが見た目は大きく異なる
Amazonの「Kindle Oasis」(右)との比較。グリップやページめくりボタンなど意匠はそっくりで、兄弟モデルといっても良いほどだ
背面の比較。左から本製品、Kobo Aura H2O Edition 2、Kobo Aura ONE。ラバー加工と細かい凹凸による滑り止めのギミックなどはよく似ている
同じく背面の比較。左から本製品、Kindle Oasis。明確な段差のあるKindle Oasisとは異なり本製品はグリップ部に向かって緩やかに隆起していくデザインが特徴
厚みの比較(画面側)。左が本製品、右が上から順にKobo Aura H2O Edition 2、Kobo Aura ONE、Kindle Oasis。さすがにKindle Oasisには劣るものの、十分に薄い
厚みの比較(グリップ側)。ページめくりボタンやMicro USBポートを搭載していることもありこちらはやや厚みがある

セットアップ手順、画面やメニューまわりは基本的に従来同様

 本製品は、Kobo史上もっともハイエンドなモデルということで、パッケージも高級感が漂う造りになっている。セットアップの手順は、いくつか画面は増えているものの、基本的には従来と同じだ。

 Koboは昨年、ホーム画面のリニューアルを行なっており、今回のモデルはそのデザインおよびレイアウトを継承している。

 設定画面は、ページめくりボタンおよび画面回転にまつわる項目がいくつか追加されているが、基本的には従来モデルと同様だ。

パッケージ。デザインこそ似ているが従来に比べて高級感がある
この写真では分かりにくいが蓋裏のポケットにはスタートガイド類が収納されている
同梱品一覧。従来と同じくケーブルのほか、クイックスタートガイドや保証書が同梱される
セットアップ開始。最初に言語を選択する
セットアップ方法を選択。まずはWi-Fiに接続する
ネットワークの検索が実行されるので、SSIDを指定してパスワードを入力する。今回はこのあとソフトウェアの更新が行われ、再起動が実行された
楽天IDとパスワードを入力してログインする。ちなみに(おそらく前回はなかったはずだが)海外の提携サービスのアカウントでログインするメニューもこの画面の手前に用意されている
あらためて楽天との個人情報の共有についてチェックを入れてログインを実行する。以前はなかった画面だ
ホーム画面が表示されると同時に、読みかけのコンテンツ5つが自動的にダウンロードされる。セットアップは以上で完了
左上をタップするとライブラリやストア、設定画面に移動できる。もっとも利用頻度の高いメニューだ
右上に並ぶアイコンからはライトの明るさや色を変えるナチュラルライトの設定、またWi-Fiや同期などの操作が行える
設定画面は、ページめくりボタンおよび画面回転にまつわる項目がいくつか追加されている
セットアップ完了直後のデバイス情報。今回試用したバージョンは「4.11.11911」で、ユーザ利用可能領域は約28.6GBとなっている

左右どちらの手でも持てるデザイン。ボタンの押し心地はやや疑問

 本製品の筐体は、グリップ部と背面を中心にラバー加工が施されており、手に持った時に滑りにくくなっている。

 またKindle Oasisのようにグリップ部と画面部に明確な段差があるデザインではなく、両者がなだらかにつながっているので、デスク上に置いた場合も傾かない構造になっている。個人的にはこちらのほうが好みだ。

 筐体は、180度回転させることで左右どちらの手でも持てるデザインを採用している。この意匠はライバルであるKindle Oasisとそっくりで、電源ボタンとMicro USBポートの位置こそ異なる(本製品は側面、Kindle Oasisは本体上下)とはいえ、兄弟モデルといってもおかしくないレベルでよく似ている。

 グリップ部に搭載されたページめくりボタンは細長く、本体の向きにかかわらず押しやすい。両ボタンの間は約20mmほど離れており、通常は親指をそこに置いて本体をホールドすることになるだろう。

 多少気になるのは、ページめくりボタンの独特なクリック感だ。軽く押し込むと浅い位置で止まり(この時点ではまだ押したと判定されない)、さらに力を入れて押し込むと初めて押したと判定される仕組みで、軽く押しただけでも「カチッ」と音がするので、触覚はもちろん聴覚でも判断を誤りやすい。

 あえて表現するならば「立てつけが悪い」とでも言うべきか、何らかの異物が入り込んだような感触で、操作性を明らかに低下させている。

 意図的な仕様なのか、それとも部品の選定を誤ったのかは不明だが、この点においては、確実なクリック感のあるKindle Oasisのほうが優秀だ。また電源ボタンは逆に感触があまりなく、こちらも若干気になる。

本体角のアップ。グリップ部(向かって右側)はラバー加工で滑りにくい。指紋が若干つきやすいのはマイナス
縦向きに持った状態。左右どちらの手でも持てる
横向きに持った状態。ボタンを使う場合、持ち手はやや制限される
ページめくりボタン。初期設定ではKindle Oasisとは逆に、下ボタンが「前へ」、上ボタンが「次へ」という割当
ページめくりボタンの比較。上がKindle Oasis、下が本製品。本製品のボタンは1本のバーのように見えるが中央のくぼんだ部分は固定されており、何らかのボタンというわけではない
横向きで使う場合、本体を片手で握ったまま両方のボタンを押すのはやや難しい。基本的には「次へ」にあたるボタンに指を添えることになるだろう

見開きへの切り替えはスムーズ。ボタンの挙動も合理的

 さてボタンの挙動を確認したところで、注目のコミック見開き表示をチェックしよう。

 この機能は当初、年内にアップデートで提供予定とされていたが、届いた製品で試したところすでに実装されていた。今後追加でアップデートがある可能性もあるが、製品ページからアップデートのアナウンスが消えているので、前倒しで実装を終えたとみなして紹介する。

 見開きへの切り替えは、画面を90度ローテーションさせることによって自動的に行なわれる。E Inkゆえ若干の間はあるものの、その挙動は一般的なタブレットやスマートフォンとほぼ同じだ。手動で向きをロックすることもできるので、寝転がった状態で本体を使う場合も支障はない。

 これがKindle Oasisの場合、やはり自動回転には対応するものの、画面の縦横そのものは手動で設定しなくてはならず、さらに自動回転は180度単位に限られるという特殊な仕様なので、本製品のほうが圧倒的に馴染みやすい。

コミックを縦向きで表示した状態。この状態から本体を回転させると……
自動的に画面が横向きになり、コミックは見開き表示となる。持ち手はボタンに合わせて握り替える必要がある
自動回転/縦画面/横画面は上部のバーから手動で変更できる。設定画面を開かずにコンテンツ上で切り替えられるのはありがたい
Kindle Oasisは縦画面/横画面を手動で切り替える仕様だ
本体を回転させると表示の向きが変わり、コミックでは単ページ表示と見開き表示とが自動的に切り替わる

 またページめくりボタンの挙動も合理的だ。

 Kindle Oasisの場合、下ボタンが「前ページ」、上ボタンが「次ページ」という割当なので、本体を横向きにすると、右綴じ書籍のページをめくる時に右側のボタンを押すという、感覚的に逆の方向になってしまう。

 その点で本製品は、下ボタンが「次ページ」、上ボタンが「前ページ」という、Kindle Oasisとは逆の割当なので、本体を横向きにした時のページめくりの挙動も感覚的に一致している。もちろん設定でボタンの配置を入れ替えることは可能なのだが、本製品のほうが初期設定の段階でより見開きでの挙動が考慮されている。

 さらに秀逸なのが、右綴じではなく左綴じのコンテンツを表示した場合、左右ボタンの役割が自動的に入れ替わることだ。つまり、後ろのページ寄りのボタンがつねに「次ページ」になるため、違和感なく操作が行なえる。

 ページめくりボタンおよび見開き表示の対応は今回が初だが、こうした挙動を見る限り、完成度は非常に高い印象だ。

ページめくりボタンはデフォルトでは下ボタンが「次へ」、上ボタンが「前へ」で、読書設定の画面から入れ替えも可能だ
左綴じのコンテンツでは、左右ボタンの役割が自動的に入れ替わるので、直感的に操作できる

 なおページめくりの速度については、Kindle Oasisに比べると押してから反応するまでに余計な間があるほか、かつ連続してページをめくると空振りが発生することもあるが、一定間隔を空けてめくっていく一般的な用途ならば大きな問題はない。とはいえ、これだけのハイエンドモデルである以上、もう少し踏ん張ってほしかったところではある。

 かつてのソニーReaderのように、ボタンを長押しすると諧調を落とした状態でページを連続してめくるモードも用意されているが、Kindle Oasisでページめくりボタンを連打するよりも速度は遅く、あまり実用的ではない。面倒な操作抜きで、章単位で前後に行ったり来たりするには便利かもしれない。

本製品(左)とKindle Oasis(右)で、本体ボタンおよびスワイプによってページめくりを行なっている様子。本製品はKindle Oasisに比べるとワンテンポ遅く、また操作の空振りも一定の頻度で発生する
ページめくりボタンの長押しで連続ページを行う機能も搭載するが、Kindle Oasis(右)でページめくりボタンを連打したほうが高速にページをめくれてしまうのが困りものだ

 なお横向きに表示できるのはコンテンツのみで、ホーム画面やライブラリは縦向き限定となる。つまり、見開きで表示している本を閉じると、ライブラリが横倒しの状態で表示されることになる。あまり見た目はよろしくない。

 これはKindle Oasisでも同じ挙動であり、本製品に限った問題ではないのだが、開く→読む→閉じる→次の本を探すという一連のフローに含まれるホーム画面やライブラリについては、横向きの画面を用意するのもありではないかと思う。

ライブラリやホーム画面は設定にかかわらず縦向き表示となる。見開きで本を閉じたあと一瞬ギョッとさせられる

iPad miniと同等のページサイズ。表現力はKindle Oasisよりも上

 話が前後するが、画面サイズおよび画質についても見ていこう。

 解像度は、本製品とKindle Oasis、ともに300ppiで違いはない。アスペクト比は本の表示に適した4:3で、コミックなどでも余白が少なく表示できる。画面サイズは、Kindle Oasisの7型に対して本製品が7.9型ということで、対角線の長さの差は1インチ未満とごくわずかだ。

 もっとも、見開き表示を行なう上では、この1インチ弱の違いは数値以上の、決定的とも言える差がある。Kindle Oasisでは細かくて読みにくい文字も、本製品であれば読み取りが可能なほか、コミックのディティールも本製品のほうが明らかに高精細だ。Kindle Oasisは「見開きはできなくはない」レベルだったのに対し、本製品は「十分に実用的」と言って良いほど違う。

単ページ表示での比較。左が本製品、右がKindle Oasis
どちらも見開き表示に対応する。一見するとそれほどサイズ差はないように見える
こちらはiPad mini 4(7.9型、右)との比較。ほぼ同じサイズだ
見開き表示での比較。こちらもほぼ同サイズだ
ディティールの比較。左から、本製品、Kindle Oasis、iPad mini 4。Kindle Oasis(中央)はほかの2製品に比べてサイズが一回り小さいことから、こうして同じサイズに引き伸ばすとぼけたようになりがちだ

 一方で、テキストコンテンツについては、もちろん読むこと自体は可能なのだが、コミックのような優位性はない。というのも本製品は、日本語テキストコンテンツで行間や余白を調整できず、フォントの種類とサイズしか変更できないからだ。

 一応メニューの中には、行間や余白を調整する項目はあるが、楽天Koboが日本で展開を始めて以来、この機能が使える日本語コンテンツに筆者は出会ったことがない。仮にあったとしても、数が著しく限られているか、ジャンルが偏っていると考えられる。

 その点、Kindle Oasisでは、フォントの種類やサイズに加えて、太字も5段階で調整できるほか、行間や余白が3段階から切り替えられ、さらに最新のアップデートにより、それら表示設定をテーマとして保存し簡単に呼び出せる機能が追加された。ことテキストコンテンツの表示については、本製品よりも上だろう。

 よって現状では、コミック表示では圧倒的大差で「Kobo Forma > Kindle Oasis」、テキスト表示では僅差で「Kindle Oasis > Kobo Forma」という評価になる。

テキストコンテンツの比較。こちらはフォントサイズが調整できることから、画面サイズがひとまわり小さいKindle Oasis(右)でも不利になることはない
本製品はフォントとサイズは調整できるが、行間、余白などはグレーアウトしており調整できない
Kindle Oasisはフォントとサイズのほか、行間、余白も調整でき、その内容をテーマとして保存できるなど機能が豊富だ。さらに太文字も利用できる
本製品の体験版アプリには「大文字モード」というアプリがあるが、これが適用されるのはホーム画面などメニューのみで、コンテンツ側に大きな変化はないようだ
通常時(左)と大文字モード有効時(右)のホーム画面の比較。フォントサイズが大きくなるだけでなくレイアウトも変更になるのが特徴

Kindleユーザーが嫉妬するレベルの完成度?

 これまで、楽天KoboやAmazonのKindle、さらに過去にはソニーのReaderやBookLive!のLideoなど、さまざまなE Ink端末が登場したが、コミックの見開き表示において、ようやく実用に耐えうる専用端末が登場したという印象だ。

 約1万円プラスすればiPad mini 4の128GBモデルが買えてしまう高価格はネックだが、それは競合であるKindle Oasisも同じで、E Inkにおけるコミックの見開き表示において、1つの到達点を示せた意義は大きい。レスポンスはKindle Oasisに劣るものの、Kindleユーザが嫉妬するレベルの完成度といっていいだろう。

コミックとのサイズ比較。原寸大、とまではいかないものの、かなり近いサイズを実現している

 その上で要望があるとすれば、ハードウェア面では前述のボタンの感触。またソフトウェア面では、ホーム画面およびライブラリの横向き表示だろう。見開き表示の完成度がこれだけ高ければ、常時横向きで使う人は少なくないはずで、そうした意味でもコンテンツ以外の横向き表示に注力してほしいと感じた。

 あともう1つは運営面だ。前回の「Kobo Clara HD」のレビューの時に、表示に不具合が出るコミックを見つけて同社カスタマーケアに報告し、再現性も確認されたにもかかわらず、5カ月経った現在もなお修正が行なわれず、今回の製品でもいまだ不具合が起こっている。

 デバイスの完成度が一定レベルまで到達した現在、ほかの電子書籍ストアではまずあり得ない、こうした対応の遅さの改善は、電子書籍ストアとしてより急務と言えるだろう。