山口真弘の電子書籍タッチアンドトライ

LTE/8コアCPU/4GBメモリ搭載で3万円台の8型タブ。レノボ「TAB4 8 Plus」

Lenovo「TAB4 8 Plus」。ボディカラーはスパークリングホワイトのみ

 レノボの「TAB4 8 Plus」は、Android 7.1を搭載した8型タブレットだ。8コアCPU、4GBメモリ搭載など、このクラスとしては高いスペックを有しながら、LTEモデルで3万円強で購入できることが特徴だ。

 7~8型クラスのタブレットといえば、2年以上前に発売されたApple「iPad mini 4」と、ASUS「ZenPad 3 8.0」の両製品が、いまなお根強い人気を持つ。いずれもアスペクト比が4:3であることが特徴で、本誌で2017年暮れに掲載された7~8型タブレットのレビュー(スマホとPCの中間サイズ。8型タブレット7機種を一斉レビュー参照)でも、筆者を含むライター4人が、いずれも3位以内にこの両製品を挙げるなど、電子書籍以外の用途でも評価は高い。

 今回紹介する「Lenovo TAB4 8 Plus」は、アスペクト比こそ16:10だが、この両製品と比べてもスペックは高い一方、価格的にはほぼ同等であることが特徴だ。Android搭載の8型タブレットとしては、久々にZenPad 3 8.0に勝てる可能性を秘めた製品と言って良いだろう。

 この「Lenovo TAB4 8 Plus」のLTEモデルを購入したので、前述のZenPad 3 8.0、および同等クラスの8型Androidタブレットであるファーウェイ「MediaPad M3 Lite」と比較しつつ、レビューをお届けする。

欠点のない優等生的なスペック

まずはスペックの比較から。

Lenovo TAB4 8 Plus(ZA2F0141JP)ZenPad 3 8.0(Z581KL)MediaPad M3 Lite
SoCQualcomm Snapdragon 625(2.0GHz、8コア)Qualcomm Snapdragon 650(1.8GHz、6コア)Qualcomm Snapdragon 435(1.4GHz/4コア+1.1GHz/4コア)
GPUAdreno 506Adreno 510Adreno 505
メモリ4GB4GB3GB
ストレージ64GB32GB32GB
ディスプレイ8.0型IPS液晶7.9型IPS液晶8型IPS液晶
解像度1,200×1,920ドット1,536×2,048ドット1,200×1,920ドット
OSAndroid 7.1Android 7.0Android 7.0
バッテリ容量4,850mAh4,680mAh4,800mAh
バッテリ駆動時間約 8.0時間モバイル通信時約10時間、Wi-Fi通信時約11時間非公開
インターフェイスUSB Type-CUSB Type-CMicro USB
カードリーダmicroSDmicroSDmicroSD
カメラ前面500万画素/背面800万画素前面200万画素/背面800万画素前面800万画素/背面800万画素
SIMスロットNano SIMMicro SIMNano SIM
通信機能IEEE 802.11ac、Bluetooth 4.2IEEE 802.11ac、Bluetooth 4.1IEEE 802.11ac、Bluetooth 4.2
FDD-LTEB1/3/5/8B1/2/3/4/5/7/8/18/19/20/26/28B1/3/5/7/8/18/19/20/26
TD-LTEB38B38/41B38/40/41
W-CDMAB1/5/8B1/5/6/8B1/2/5/6/8/19
センサー指紋、加速度、光、近接、GPS、A-GPS、GLONASSGPS、加速度、光、電子コンパス、磁気、近接、ジャイロ指紋、加速度、照度、電子コンパス、ジャイロ、ホール
本体サイズ(幅×奥行き×高さ)約123×210.6×7mm約136.4×205.4×7.57mm約123.3×213.3×7.5mm
重量約300g約320g約310g
税別店頭想定価格31,212円32,000円前後27,800円前後

 この表からもわかるように、スペック的には、多くの項目で競合製品を少しずつ上回っているほか、筐体サイズもわずかに小さく、かつ軽い。

 競合製品を凌駕する圧倒的な高スペックや、本製品にしか見られないユニークな特徴こそないが、むしろ実際の買い物にあたっては、このように目立った欠点のない、優等生的な製品に落ち着くことはよくある話だ。

 この表にはないが、ZenPadと比べた場合に強みとなるのが、指紋認証を搭載していることだ。ZenPadはロックの解除をPINやパターン、パスワードで行なうため、頻繁にロックと解除を繰り返す用途では、かなり手間がかかる。その点、本製品は指紋認証でロックを即解除できるため、使い勝手は極めてよい。電子書籍ユースでは大きな利点だ。

 唯一気をつけたいのが、LTEの対応バンド幅が少ないことだ。

 競合製品に比べて、明らかに対応バンドが少ないため、状況によっては不便を強いられる可能性がある。普段から外出先でガンガン使うことを想定しているのであれば、若干注意したほうがよさそうだ。

 価格は、2万円台後半のMediaPad M3 Liteには負けているが、ZenPad 3 8.0よりは安価で、実際に比較検討するにあたって、大きなハンデにはならないだろう。そのほかに気になる点を強いて挙げるとすれば、防水防塵対応ではないことだが、これは比較対象の2製品も同様だ。

製品外観。基本的には縦向きで使うことを想定したデザイン
画面を横向きにした状態。スピーカーは左右に配置されるので動画などの鑑賞にも向く
上部には前面カメラのほか、中央上にはスピーカーを備える
右側面の電源ボタンは指紋認証を兼ねており、軽く触れるだけで(押し込まなくとも)ロックが解除される
背面にはカメラおよびフラッシュを搭載する。カメラは出っ張りのないタイプ
背面。継ぎ目がなくほぼ完全にフラット。片手で握ることも可能だ
SIMカードスロットの樹脂製カバーには「Lenovo」ロゴが印字されている
ZenPad 3 8.0(右)との比較。7.9型ということでほぼ同等サイズだが、アスペクト比が異なるため見た目の印象はかなり相違がある
iPad mini 4(右)との比較。こちらもやはりアスペクト比の関係で見た目の印象は違って見える。強化ガラス採用のボディの質感はよく似ている
厚みの比較。向かって左が本製品、右は上がZenPad 3 8.0、下がiPad mini 4

品質は高く処理性能にも優れる。ロック解除も容易

 セットアップ手順はごく一般的で、奇をてらったフローはない。プリインストールアプリは、Android標準のアプリを中心に全34個と少なく、Microsoft関連(OfficeやOnedrive、Skype)が入っていることを除けば、サードパーティ製のアプリもほとんどない。個人的には好印象だ。

本体のコンパクトさがわかるパッケージ
同梱品一覧。USBケーブル、アダプタ、ガイドなど一般的
プリインストールアプリ。この画面では上1行(カメラ、カレンダー、Googleドライブ、ファイルマネージャ、フォト)が欠けているが、全部で34個と少なめ
ホーム画面。Google関連、Microsoft関連、レノボ関連のアイコンがそれぞれのドロワーにまとめられている

 本体を手に取って、まず感じるのは質感の高さだ。両面は強化ガラスで覆われており、側面もアルミらしき金属ということで、直線的なデザインも相まってスタイリッシュだ。

 1万円クラスの7~8型タブレットにありがちな、樹脂製のチープさはまったくなく、価格に見合った質感を備えている。

 ただし、そのせいか、実際には本製品よりわずかに重いZenPad 3 8.0よりも、本製品のほうが重量があるように錯覚してしまう。また、本体がかなりツルツルとしており、少しでも傾いた面に置くと、滑って落下しかねない。

 画面についてもかなり光沢があるので、マットな仕上げが好みであれば、非光沢の保護シートを貼るとよいだろう。

 ちなみに、直線的な筐体デザイン、また8型クラスの画面とホワイト筐体は、かつての「Xperia Z3 Tablet Compact」に非常によく似ている。バイブレーションのモーター音もXperiaのそれに近く、部品レベルで何らかのつながりがあるのかもしれない。

 指紋認証は電源ボタンと一体化しており、軽く触れるだけでロック解除される。押し込む必要がないため、本体を持ち上げようと触れただけでも解除されるなど、かえって簡単すぎる印象もなくはないが、毎回PINやパスコードでのロック解除が不可欠なZenPad 3 8.0に比べると、シームレスさは太鼓判を押せる。

 また本製品は、本体を横向きに保持した状態で、スピーカーが左右に配置されるのも好印象だ。スピーカーは前面を向いているので、本体をデスクやベッド上に置いた状態で動画を再生しても、音が遮られることもない。

 オクタコアCPUのせいか処理能力も高く、NAS上のフルHD動画もスムーズに再生できる。

セットアップの中には、指紋を登録するプロセスがある。左右の人差し指と親指を登録しておくとよいだろう
電源ボタンを押し込まなくとも、軽く触れるだけでロックが解除される
両親指の上の部分にスピーカーがあり、音声はステレオで聴ける。アスペクト比が16:10のため上下にわずかに黒帯はできるが、動画再生機としても優秀だ。視野角も非常に広い

 なお今回試用しているのはLTEモデルだが、SIMカードのトレイはデュアルスロットになっており、トレイ1はnanoSIM、トレイ2はMicro SIM(microSDと共用)となる。つまりmicroSDを使う前提であれば、用意すべきSIMカードは、自動的にNano SIM一択となるので注意したい。

デュアルSIMスロットを搭載。トレイ1がNano SIM、トレイ2はMicro SIM(microSDと共用)となる
設定画面。優先して使うSIMをここで設定できる

ストアやライブラリで天地が窮屈になるのは要注意

 さて、電子書籍端末としての利用を前提に、本製品を見ていこう。

 筆者は常々、7~8型のワイド画面のタブレットに関して、7型だと見開き表示は不可能、8型はフルHD以上の解像度であればギリギリ可能、という見方をしている。

 この原則に従えば、フルHDよりもやや天地が広い1,920×1,200ドットの本製品は、ひとまず「可」ということになる。

見開き表示をした状態。1ページあたりのサイズは、5.7型クラスのスマートフォンで、単ページ表示をした状態とほぼ同等

 一部のタブレットにありがちな、電子書籍サイトのトップページのみ強制的に縦向き表示になる問題も、本製品はクリアしている。

 例えば、ファーウェイ「MediaPad M3 Lite」は、一部の電子書籍ストアについて、トップページが強制的に縦向き表示になるため、見開きで本を開いた時は横画面、ストアに戻ると縦画面といった具合に、本体の向きをたびたび持ち替えることを強いられた。7~8型のタブレットでは、こうしたケースは稀に存在する。

 本製品は、著名な電子書籍ストアアプリを確認した限りでは、ストアのトップページおよび書籍の一覧画面だけが強制的に縦向きになることがないので、上記のようなストレスを感じることはない。この点は安心してもよさそうだ。

 ただし、電子書籍ストアでも、利用にはあまり向かないものがある。それは、本を見開きで表示した際に、下段のホームバーが表示されたままになってしまうストアだ。

 具体的にはBookLiveがそれで、見開き表示の際も、最下段のホームボタンや「戻る」ボタンが隠れずに、表示されたままになってしまうため、天地が余計に圧迫され、ページが一回り小さく表示されてしまう。

【お詫びと訂正】ホームバーが表示されるストアとして初出時に「BOOK☆WALKER」を含めていましたが、設定から非表示にすることが可能でした。お詫びして訂正させていただきます。

BookLiveでは見開き表示の際も下段にホームバーが表示されたままになるので、ページが縮小されて、相対的に小さくなってしまう
KindleやKobo、紀伊國屋書店Kinoppy、honto、ebiReaderなどでは、こうした問題は起こらず、画面の天地いっぱいにページを表示できる

 じつのところ、この状態でも、ページサイズは5.5型スマートフォンで単ページを表示した場合と同等なのだが、ページサイズの縮小によって、左右の余白が肥大化してアンバランスになるほか、本製品はボディサイズがホワイトであるため、画面下に黒いバーがあると、悪い意味で目立ってしまう。

 1つ1つの欠点は我慢できなくもないが、重なるとアウトといったところだろうか。正直、あまりおすすめはしない。

 また、これはどのストアにも言えることだが、ストアやライブラリなど、書影がたくさん並んだページを表示する場合、天地が狭いことから、一覧性がどうしても犠牲になる。

 以下のスクリーンショットを見れば一目瞭然だが、上(本製品)は天地が狭いことから、書影の2段目がほぼ隠れてしまっている。一方、下(ZenPad 3 8.0)ではそのようなことはない。多くの本の中から目的の本を探す場合、この一覧性の低さはどうしてもネックになる。

 過去にiPad miniシリーズやZenPad 3 8.0など、8型前後でアスペクト比4:3のタブレットの利用経験があり、そちらですら窮屈に感じたことがある人ならば、本製品は候補から外したほうがよいかもしれない。

Kindleアプリでライブラリを表示した画面の比較。本製品(上)は、天地が狭いことから2段目がほぼ隠れてしまっているが、アスペクト比4:3のZenPad 3 8.0(下)は、2段目もほぼ全体が表示される

電子書籍「だけ」ならばZenPad 3 8.0に分があるが……

 以上のように、大きな欠点もなく優等生的な製品ではあるが、こと電子書籍端末としての利用に限れば、やはりZenPad 3 8.0に分があるというのが率直な評価だ。

 全体の品質や動作のサクサク感、指紋認証の搭載によるロック解除の容易さは本製品のほうが上だが、画面表示の快適さにおいて、本の縦横比に近い4:3の画面に勝つのは容易ではない。

 ただ、電子書籍に限定せず、もう少し汎用的な用途に使うことを考えているのであれば、本製品は有力な選択肢になるだろう。最近は動画配信サービスも普及し、動画再生機として、このクラスのタブレットを検討しているユーザーも多いはず。そうしたユーザーにとっては、アスペクト比4:3のタブレットより上下の黒帯が目立たない本製品はベストマッチだ。

 また電子書籍ユースに関しても、1万円クラスの低解像度タブレットにありがちな、解像度が足りずに細部が表示できないといったレベルの問題はなく、せいぜいストアやライブラリ表示で天地が窮屈に感じるだけにすぎない。

 前述の、見開き表示で下段にホームバーが表示されたままになるストアは、正直おすすめしないが、それ以外のストアは十分に合格点であり、また見開き表示した際の両手でのホールド感も良好だ。

 なお、LTEモデルではなくWi-Fiモデルを選択すれば、価格は3万円を切ることに加え、冒頭で指摘したLTEのバンド幅の問題もなくなり、全方位的に欠点のない製品となる。

 フルHD以上で、電子書籍をはじめ汎用的に使えるコンパクトなタブレットを探している人は、こちらもあわせてチェックすることをおすすめしたい。