週末カジュアルPCゲーム部

やればやるほどハマる!無料でプレイできる都市経営シミュレーション「OpenTTD」

Steam版:無料

 今回紹介するのはバスや鉄道、船や飛行機などの輸送サービスがメインの経営シミュレーション「OpenTTD」。価格は無料で、従来は公開サイトなどからダウンロードして遊ぶ物だったが、2021年4月からはSteamで無料配信を開始しているので、より気楽に遊べるようになっている。

 本作は1994年リリースの「Transport Tycoon」というゲームのゴージャス版「Transport Tycoon Deluxe」を元にしたリメイク版となる。オリジナル版はすべてアセンブラで書かれており、そのままの移植は不可能だったということで、リバースエンジニアリングによりC言語で書き直され、オープンソースとして公開されて、現在に至る。

 「OpenTTD」はオープンソースということで、不具合の修正やゲームシステムの改良などが有志の手によって施されている。また、グラフィックス設定やシナリオなどをユーザーが自由に作成してプレイできる機能や、ほかのユーザーと同時に開始して利益を競い合えるオンラインマルチプレイ、プレイヤーは1人だけでAIの対戦相手と競えるモードなど、とにかくカスタムして遊べる要素がてんこ盛りなのだ。

 ゲーム内容は1950年を起点として会社を興したプレイヤーが、バスや鉄道、船、飛行機などの交通インフラを整備して街を活性化し、経営を行なうというもの。ユニークなのは家を建てたり、工場を建設するなどの機能はなく、道路や鉄道を敷設するなど、プレイヤーはあくまでもインフラを整備する「土管屋」に徹するところ。

 正直なところ、当時の独特の操作性や挙動は慣れるまでに時間がかかるが、1度操作に慣れ、仕組みが把握できてくれば、どんどん楽しくなってくる。とにかくやれることが多いため、手探りになる部分が多く、数日触れただけでは本作の全容は把握しきれない。

 そこで今回は、こうしたシム系ゲームをほとんどプレイしたことのない筆者が鉄道を敷設するまでの経緯を語っていきたい。

タイトル画面。設定項目が豊富だが、最初のうちはあまりいじらずにデフォルト多めでプレイするのがいいだろう

 基本的にインターフェイスや建物などはすべて日本語化されており、その点は安心してプレイ開始できる。基本設定を開くとシステム上の設定のほか、グラフィックス設定などが調整できる。

 解像度は接続するディスプレイ解像度の上限まで利用できるようで、2K解像度/2,160×1,350ドットのディスプレイを搭載する「ThinkPad X1 Nano」では、その上限までキッチリ選択可能だった。垂直同期をオフにすることで最大240Hzまでリフレッシュレートを上げることもできるが、リフレッシュレートが60Hzのディスプレイではゲームプレイ中に違いを感じることはなかった。後述するがGPU負荷はキッチリ上がるため、デフォルトのままでも問題ないだろう。

 また、ゲーム内の細かい調整項目については「設定」から色々と行なえる。このあたりの項目については1度プレイして感覚を掴んでから調整する方がいいと思うので、今回は特に変更せずにプレイしている。

 その他の設定も特にデフォルトのままで問題ないが、個人的には「オンラインコンテンツの確認」から日本語の町名などが使える追加コンテンツを適用して遊ぶと、より身近な感じでゲームが楽しめるのでおススメだ。筆者はここで検索ワードに「japanese」と入れてヒットしたコンテンツをすべてダウンロードし、そのうち町名などを変更できるコンテンツをいくつか適用してプレイした。ダウンロードしたコンテンツは「NewGRFの設定」を開いて、有効にしたいコンテンツを追加して適用するだけとなる。

メイン設定。あまり変更するところはなさそうだが、ウィンドウ表示の場合、画面解像度は「その他」になる。ハードウェアアクセラレーションなどの設定も用意されている
個人的に楽しかった地名を日本の都市名に変更するオンラインコンテンツは、タイトル画面の「オンラインコンテンツの確認」からチェックできる。ゲーム内でこうしたデータがダウンロードできるのはうれしい
ダウンロードしたコンテンツは「NewGRF設定」の項目で適用する

 ゲームプレイは「新しいゲーム」を押して開始する。地図サイズはデフォルトの256×256でも十分広大なため、最初のうちはこのサイズより小さくした方がわかりやすいかもしれない。その他の項目はお好みで調整するとして、街や産業などの数は多い方がよりスムーズに事業が行なえる。

 作成を押すと地形が毎回自動生成されるので、気に入らない配置の場合は何度かやり直して遊びやすい地形を探すのもいいし、あえて不便そうな地形で挑むのも面白い。ゲーム開始直後は、広大なマップに街や工場などの産業施設が点在する状態で表示されるので、画面上部にあるアイコンから「地図」や「街一覧」、「産業」などを開いてマップの状況を確認する。

「新しいゲーム」で新たに地形を自動生成してゲームを開始する。地図サイズや地域の気候などの設定はここで変更できる。街の数や産業数は高くしておく方がゲームが進めやすいだろう

 ここから先は完全に好みの世界となるが、とりあえず社長の名前や会社名、コーポレートカラーも設定できるのでこの辺を設定すると、より自分の会社感が出て面白い。社長の顔画像なども、一昔前のフリーソフトっぽいテイストで懐かしい気持ちになった。

最初しか見ない部分だが、会社名や社長名、社長の顔画像が設定できる。画像のテイストが昔ながらで懐かしい雰囲気が出ている。今回はオンラインコンテンツに含まれていた「Japan Set3: Faces」を適用して試した

 プレイヤーがメインで行なえる運輸事業については、バス、鉄道、飛行機、船舶などどこから手をつけてもいいが、手始めに人口の多い街を選んで、そこでコツコツとバス事業で資金を貯めていくのが無難だろう。本作では不足した費用は借入ができる仕組みになっており、当座の開設、運用資金は常に不足しており、借入に頼り気味になる。ところが借入の上限額は決まっているため、あまり無計画に高額なプロジェクトに手を出すとすぐに資金繰りが回らなくなってしまう。

 まずバス事業について簡単に説明しておこう。最初のうちに人口の多い街でバス事業を展開するのがいい理由については、道路を敷設せずに済むので、余計な経費がかからずにお金が稼げるからだ。儲け自体はあまり多くないが、安定して収入が稼げる点と、制約が比較的少ない点において有利な面も多い。

 まずは画面上部のメニューから「道路建設」のメニューを開く。バス事業を開始するために、なぜ「道路建設」なのか?本作でバスを運用するのに必要最低限のものは「車庫」と「バス停」と「車両」なのだが、実はこのメニューの中に、バス事業を開始する上で欠かせないこれらのコマンドがすべて揃っているのだ。

 まずは「バス停建設」でバス停を設置する。選択するとマウスカーソルがフィールドのマス目と同じ形状になって、周囲に青色の範囲が表示されるようになる。これは設置した際にこの青色の範囲がバス停の対象の集客範囲となる。街中にバス停を設置する場合、なるべく多くのビルなどがこの青色の範囲に入るような場所を選んで設置する。この時、「バス停建設」アイコンは6つあるが、これらはそれぞれ道路の向きに合わせて設置しなければならない点には注意が必要だ。

画面上部のアイコンメニューにマウスオーバーすると、テキストで内容が表示されるので、その中から「道路建設」を選び、さらに「バス停建設」を選択する。6つのアイコンが並んでいるが、2本の白線と屋根の位置をよく見て、道路の向きと間違えないように注意しよう。青枠のエリアがバス停の集客範囲となる

 一般的によく見る道路上のバス停は右端の2つのどちらかだ。道路の向きが縦か横の違いで2種類が用意されているので、適当な道路を探して設置する。ただし、交差点や丁字路には設置できない。もう1つの注意点は、もし向きなどを間違えて設置してしまった場合、本作では1度作った物は「破壊」する必要があり、取り消し操作は用意されていない。さらに「破壊」にも費用が発生するため、軽いノリでの設置ミスは会社にとっては大きなロスとなる。

 また、道路の途中ではなく、道路の端に設置したい場合、6つのアイコンのうちの左側4つをそれぞれ上下左右を間違えないように設置する。見方としては、2本の白いラインと屋根の向きに注目し、道路の向きに対して白いラインが停止線のように横になるように道路に設置する。カラフルな屋根の向きには進行できないので、これら屋根が奥に来るように設置する。

 バス停の設置を終えたら次は「車庫」の設置だ。バス停と同様に車庫も向きを間違えないように注意する。車庫を設置したら、左クリックで車庫のメニューを開くことで、ようやくバスが購入できるようになる。

 車庫メニューでは、ウィンドウ下部の「新規車両」の選択で新たなバスが購入できる。ここではバス以外にもさまざまな車両が購入できるが、バスの用途となる「旅客」を運べる車両を選択する必要がある。バスを選択したら「車両を購入」で購入。ただし、この状態まで終わってもまだバスの運行は開始されない。指令を与えなければバスは勝手に動かないのだ。バス購入時にはこのバス専用の小さなウィンドウが新たに開き、このバスにフォーカスした画面が切り取られて表示されるが、現在はまだバス倉庫が表示されたまま動かない。

横須賀の街に4つのバス停と車庫を設置、バスを1台購入した状態がこの画面だ。バス停の名前は設置時にデフォルトで適当な名前がつけられるので、修正も可能。赤背景、黒文字の4か所のバス停を見る事で、バス停をどのように設置したかが分かるだろう。特に南横須賀のバス停は右向きの道路の端に設置したバス停だ。画面左の各ウィンドウはそれぞれ、車庫のウィンドウ、購入した「車両1」バスのウィンドウ、購入ウィンドウとなる。購入直後の車両は車庫の中のため、バスのウィンドウは車庫を表示したまま動かない

 バスへの指令はウィンドウ内の「指令」ボタンを押すことで指令ウィンドウが開く。ここで行き先のバス停を指定するなど、色々な指令が送れる。なお、ダイヤ設定などもできるようだが、今回、筆者はダイヤの設定までやりこめていないため、今回は手っ取り早く、バスが動かせる直通運転による運用方法を紹介する。

 ウィンドウ内の「--指令終了--」の部分をクリック、続いてウィンドウ下部の「移動先を選択」をクリック、この状態でバス停をクリックすることで、指令の中にバス停への直通運転の命令が追加される。あとは巡りたいバス停や車庫などを指令に追加して最後に車両側のウィンドウ下部にある「運用停止中」をクリックすることで、運用が開始となる。運用を開始すると画面上には小さなバスが運転を開始し、街中を走り出す。

車両1 (指令)ウィンドウの「--指令終了--」を選択して、「移動先を選択」をクリックした状態で、街中の実際のバス停をクリックすることで、直通運転先が追加されていく。上書きは行なえないので、不要な指令は選択して、下部の削除ボタンで消す。時間が経過すると議会から反対されて、建設できない施設などが発生する場合もある
画面右を走行するバスが見えるだろうか??これが街中をちょこまかと走り回るのがめちゃくちゃかわいいのだ!ちなみに左端の道路は当初繋がっていなかったものを、後からうちで作成して延長したものだ。道路の作成は、マス目の半分ずつ作成する必要がある
車両のウィンドウは閉じてもいいし、並べてチェックすることもできる。すべてのウィンドウに閉じるボタンなどがウィンドウ上部に配置されている。サイズ変更は右下端をクリックしたまま操作すれば大きさを変更できる。なお、車両のウィンドウ下部には指令に基づいた現在の行動状況が表示されるほか、時速も表示される

 バスの運用は眺めているだけでもめっちゃ癒される。昔からこの手の画面内に小さなドット絵が動き回るのが大好きだった筆者はこのバスの動きを眺めているだけでとても楽しい気分を堪能できた。また、バスにはそれぞれ名前をつけることができる。デフォルトでは購入順にナンバリングが付けられているのでこれで十分という人はこのままでもいいし、雰囲気重視で名前を付ける方がより没入感が高まる。

 ただ、実際の動きを見るだけではなく、バスの動線についてもチェックする必要がある。例えば、ルートの先が行き止まりでUターンが必要な場所は無駄になってしまうため、その先の道路を繋いで環状線にしてやることで、余計なUターンのロスが減らせる。道路の建設についても、バス停などと同じで、向きに気を付けて道路を敷設する必要がある。また、道路の場合、マス目の半分ずつ作成する必要があり、カーブなどはマス目の半分を縦、もう半分を横の道路、といった形で配置することでキレイなカーブが描ける。

 なお、そこそこ大きい街だと、ビルが邪魔で道路が見えなくてやりにくい場合などがある。このような場合はキーボードの「X」キーを押すことで道路のみの表示に切り替えられる。これで切り替えて道路の状態を見ながらバス停をいくつか設置する。またバス停の位置は、画面上の文字の真下の道路に設置されているので、ビルが増えてきて、バス停がどこか選択しにくい場合の参考になれば幸いだ。

キーボードの「X」キーを押すことで、建物を透過して、線路や道路、土地だけの標示に切り替えられる

 このようにバスを運用しているのを眺めているのは楽しいが、ここで気になるのが実際の収支だ。収支は年に1回自動で経営状況のウィンドウが開く。バス停を設置したり、バスを購入したり、道路を増設したその年は大赤字の筈なので、その年の収支はあまり参考にならない。むしろ、その後1年、2年追加投資をしない状態でどのくらいの収支になるのかをチェックするのが重要だ。1年の経過にはそれなりに時間がかかるので、早く結果がみたい場合は、メニューにある矢印マークの「ゲームスピードを早くする」ボタンで高速回転させて、1年後の経過を見る。すると恐らく1台のバスでは赤字の筈なので、次に打つ手は、バス停の情報とバスの台数の増加だ。

 バス停をクリックするとバス停の状況が確認できるウィンドウが表示される。すると、多くのビルが対象範囲のバス停ほど、中央部に旅客数が表示されていると思われる。実はここに表示されている旅客の数はいわばバス待ちの旅客数なのだ。これを解消するところまで台数を増やしたり、バス停にバスがくる回数を増やすことで、収入が増やせるわけだ。

 車両の増加は先ほどと同様に新規車両の購入をして指令をセットして、というやり方もあるが、「道路車両を複製」のボタンを使用することで、車両を追加購入できる。複製という表現になっているのは、同じ車両を購入するだけでなく、設定済みの指令も含まれるからだ。つまりこちらのコマンドで追加購入した車両については、指令の設定を特に行なわなくても、すぐに運行が開始できる。

 このように車両も増やして、客待ちを減らしていくと、段々と最終の収支が黒字に近づいて行くはずだ。収支が芳しくない場合は、一部の車両のみ指令をコントロールして、客待ちの多いバス停を何度も停車するように指令を追加してやるという手もある。

 今回筆者のプレイしたルール設定の場合、バスの乗客はバス停につくと降りて、客待ちの人がそこに乗るというシンプルなルールだ。そのため、客待ちの多いバス停に何度も停めて、どんどん乗客を乗り降りさせることで、売り上げはガンガン上がるようになる。

画面左端に4つのバス停の待ち旅客数をチェックしてみた。「横須賀」と「横須賀中央」が街の中心部寄りのため、かなり待たせてしまっている。バス1台だとこの人数はさばけないため、車庫ウィンドウ下部の「道路車両を複製」を使って早速車両1のコピー、「車両2」バスを作成した。複製されたバスは指令もそのままコピーされるため、そのまま「運用停止中」をクリックしてすぐに運用開始が可能だ
一気に6台まで車両を増やしてみた結果、待ち旅客の人数はほぼ解消できた。画像のタイミングで「横須賀中央」と「南横須賀」の人数が多いのは、同時並行で運行しているバスがちょうど到着前のタイミングだからだ

 バス以外にも金儲けの種はある。それが物流だ。街の周囲の産業施設をチェックして、もし手身近なところに、産業施設があるなら、これらを道路で繋いで、トラックなどで輸送することで、利益を上げる方法もある。手順は今回のバスとほぼ同じで、産業施設毎に必要となる専用の運搬車両を購入する必要がある点、バス停ではなく、「荷役所」を産業施設に隣接する形で設置すること、そして、産業施設はバスとは異なり、その種類によって繋ぐ先が異なるという点だ。

 例えば石炭の場合、「炭鉱」で取れた石炭は「発電所」に持っていくことで電力を作る。そのため、こちらでやることは、炭鉱と発電所を道路で繋いで、その間を石炭運搬用のトラックを購入して輸送させればOKだ。こうした産業ごとのルートは産業施設のメニューから「チェーンを表示」で見ることができる。このルートで適切な輸送が行なえれば、その都度こちらの利益として収入が加算される。

 産業施設の輸送は、行き先が決まっているため、道中の動線などを気にせず運べるのがメリットだ。一方で産業施設の位置は地形生成時に決まっているため、運の要素も大きい上に、運が良くてもかなり距離があることが多いため、時間がかかるデメリットもある。また、石炭と発電所の関係性はシンプルで済むが、例えば「農場」のチェーンを見ると、農場で生産された穀物や家畜を1度向上に持っていき、ここで商品化、それをさらに街に運び入れることでようやく金になるため、ルートがさらに長くなるデメリットもある。そこで有用になるのが貨物鉄道の出番というわけだ。

産業施設のウィンドウにある「チェーンを表示」で産業施設同士の関連状態を確認できる。画像は鉄に関連した産業施設の繋がりだが、「鉄鉱山」で取れた鉄鉱石は「製鉄所」に持って行って「鋼鉄」を精製する必要がある。そしてできた鋼鉄は「工場」に持っていき、ここで商品が製造される。画像では途切れているが、スクロールすると、工場で製造した商品を街に持っていくところでゴールとなっている。これらルートをすべて綱がないと、産業がスムーズに回らなくなる
画面中央の新規車両ウィンドウには産業施設で扱われる資源に応じたトラックがそれぞれ用意されているのが分かるだろう。画面左上の赤いメッセージは警告メッセージで、預金残高が足らないため、トラックが買えないという内容だ。画面中央上部には年次の会社の経営状況が表示されているが、1970年の収支が約20万円近くの赤字となっている。また、借入金は既に28万以上となっており、これらの利息もかなりかさむ。金策はゲームの中でも大変だ

 ……とスムーズに流れる話にしたかったのだが、筆者がこのロジックに気が付いたのは、既に旅客用の鉄道を敷設した後だった。そしてこの初の旅客鉄道は、結果的には大失敗してしまったのだ。

 ということで鉄道の敷設についても簡単に説明しよう。これまでの説明と基本的なやり方はあまり変わらないが、まずは線路を引く。そして線路の先や途中には駅を設置する。そして線路の途中には鉄道用の車庫を用意して、そこで鉄道車両を購入、あとは同じように指令で駅と駅とを行き来するようにすればOKだ。

 ところが、ここで筆者は完全なる勘違いをしてしまっていた。バスなどと同様に鉄道も車両を1両買えばそれで済むと思っていたのだ。ところがよくよく見てみると、鉄道の場合は牽引する車両と牽引される旅客車などの両方が必要になるのだ。

 このことに気が付いたのは、別データでプレイ中に農場と工場、街をつなぐ貨物鉄道を敷設している時のことだった。最初に運用した旅客鉄道では、全く気が付かず、牽引車両だけで旅客鉄道の運用を開始していたのだ。そのため、しばらく年月を経過させてみたが、鉄道の収支はいつまでたっても黒字にならない。そりゃ旅客が乗れないんだもんなぁ。

鉄道も基本的にやることはバスなどと同じで移動経路を線路で繋いで、停車するための駅を用意、車庫を用意して最後に車両を購入すればOKだ。線路や駅などは「鉄道建設」のメニューから行なえる。ただし、乗客を乗せる場合は「客車」を繋ぎ、物流で使う場合は、資源に応じた輸送車両を追加で購入する必要がある。
バス事業で稼いだ資金を使ってついに鉄道敷設!旅客車両のつもりだったが、先頭車両のみのため、乗客を載せられないことに全く気が付かず、儲からないとぼやいていたのだ……

 ということで牽引する車両に客車を接続し、運用を再開したところ、次から次へと客が乗車してくれる!こうして無事に鉄道事業は成功を迎えることになった。また、産業施設を繋いで貨物鉄道にする場合、運ぶものに応じて、物流用の車両を用意する必要がある。

牽引するための先頭車両に、客車や貨物車両を接続して無事鉄道が正常に運用開始。駅の位置などによっては、旅客の乗り降りと貨物の輸送を同時に行なえる場合もあるので、そのような場合は両方の車両を結合してやれば兼用で運行できる

 また、鉄道を敷設することで、産業施設の稼ぎは人を運んでいた頃と比べてもガンガンと上がり、余裕の黒字経営となっていく。ところが、そこから10年、20年とプレイを続けると新たな問題が発生する事に気が付く。代表的な物をいくつか紹介しておこう。

 まず1つ目は産業施設の枯渇だ。石炭や鉄鉱石、森林などは有限のため、ガンガン運ぶとガンガン稼げるが、気が付くと枯渇して空になってしまう。空になったことに気が付かずに放置していると、これらは赤字運用になってしまうため、空になったところで、対処が必要になってくる。

 有限の施設が枯渇した場合の対処方法としては2つあり、1つは路線その物を廃止すること。折角投資して敷設した鉄道をなくすのは忍びないが、余計な出費がなくなるという意味では会社にとってプラスとなる。そしてもう1つの方法が、新たな産業施設を探して、そこに向けて線路を引き直す事だ。産業施設の輸送車両は専用の物のため、売却してしまうよりは、継続して利用できる方が得した気分になるし、指令の再設定などの手間も最小限で済む。一方で新たな産業施設に線路を引き直す際には当然莫大なコストが発生するため、この辺りの収支のバランスの取り方が本作の攻略のポイントになりそうだ。

「長崎森」荷受所は森林からの伐採を行なって鉄道で製材所に運ぶが、森の右端が削れているのが分かるだろうか?石炭や森林などは、有限のため、鉄道を通して効率よく稼いでいるとあっという間に枯渇してしまう

 2つ目の問題点は、車両や鉄道などの老朽化対策だ。長年使い続けた車両は故障率が上がり、そうなると回転率が下がるため、売り上げも下がる。こちらも結局のところ、車両をすべて新しい物に買い替えるか、路線を廃止するかの2択となる。なお、年代が進むにつれて車両も新しいモデルが登場するため、買い替えにより性能もアップするので、ある程度年数が経過した古い車両はガンガン最新の物に交換するのがいいだろう。

列車1のウィンドウ下部に「故障!」の文字が……老朽化が進むと故障の発生率が上がり、回転率が大きく低下してしまう

 ということで、とんでもない間抜けなミスをしつつもプレイしていたが、仕組みその物を学びながらのプレイだったこともあり、分かれば分かるほどハマっていった。正直なところ、まだ鉄道と自動車でしか運用できていないが、どちらも慣れてくると貯金も増えてくるので、大胆に線路を敷設したりできて、さらにのめりこめる。

 特に列車の仕組みがやや複雑だったが、1度分かってしまうと楽しくて仕方がなくなる。しかもダイヤ設定など、まだ試せていない機能も盛りだくさんな上に、細かいルール調整などでさらに遊びやすくしたり、難易度を調整することもできるなど、遊び方の可能性は無限大だ。やりがいしかない上に、GPU性能が低いノートPCなどでも手軽に遊べてしまう手軽さもあるので、この手のシミュレーションをやったことがない人にも薦めたい魅力が感じられた。

 筆者は今回手探りによるトライアンドエラーでプレイしてきた。攻略サイトや動画配信などでやり方を学ぶ方法もあるが、本作は感覚的なところがかなり大きい上に、あまり動画配信でも扱われていないタイトルなので、本稿を読んで少しでも感覚的なところが伝われば幸いだ。本作の感覚に慣れてきたら、地元の町名などを地名にした設定ファイルを自分で作成して、友人同士のオンラインマルチプレイで遊ぶなど、豊富なカスタム要素もあるので、息の長いタイトルと言える。

 ベースが25年以上前のゲームであることから、ビジュアルや操作感などに古さを感じることもあるが、見た目とは裏腹にとても楽しく遊べる経営シミュレーションとなっているので、是非プレイしてみてほしい。

踏切事故発生!事故を防ぐには高架などを使って直接交差させないように道路や線路を構築することだ
鉄道同士でも、線路を交差させて走らせていると列車事故が発生する場合もある。通常このような線路では車両が発車できないようになっているのだが、強制的に発車させることもできる
バスや鉄道を敷設して街が賑やかになるとどんどん自動で街が発展していく
旅客車と貨物車を同時に接続することで、かなり長い列車になる。このくらい長いと駅への停車時間が非常に長く、ゲーム内日数でも数日かかって客が降りたり、荷物の積み込みで1か月かかる場合などもあってなんだか不思議な感じだ
2050年までプレイし続けると、ニュース一面に掲載されるという演出が表示されてゲーム終了となる

 動作環境についてだが、今回はゲーム向きでないノートPCなどでも手軽に遊べるくらい軽量だ。実際に「ThinkPad X1 Nano」で動作を検証したが、重くなったりといったことは一切なく、常時快適にプレイできた。GPU負荷については、60fps時で大体20%前後だが、240fpsまで上げるとGPU使用率も50~60%とそれなりに負荷が高くなるので、この辺りの設定には注意が必要だ。リアルタイムに電車やバスが動き回るビジュアルはすべて2Dのため、3D性能が高くないCPU内蔵GPUであっても問題なく動作することは間違いない。

スペック要件
OS:Windows 10(64 Bit)
CPU:クロック2.0GHz以上
RAM:512MB
今回プレイした環境
CPU:Core i7-1160G7
RAM:DDR4 16GB
GPU:Intel Iris Xe Graphics
ストレージ:256GB SSD(NVMe/PCIe)
TigerLake環境でのゲームプレイ中のグラフの様子。前半はリフレッシュレートを60Hz、後半は最大の240Hzに設定した。フレームレート60fpsの時のGPU使用率は大体20%前後だが、フレームレート240fpsにすると大体50%前後に跳ね上がった。CPU使用率も同様だが、定期的に跳ね上がるのは、バックグラウンドでブラウザなどが起動していたからだと思われる。このような状態でプレイしても負荷が上がらず安定してプレイできるのはありがたい。