山田祥平のRe:config.sys
手ぶら派の夏スマホ
2023年8月5日 06:14
最近、電車の中などでよく見かけるようになったスマホの斜めがけ。いわゆる手ぶら女子だが、男子にも浸透しつつあるようだ。斜めがけすることで、スマホを落とさない、結果的に壊さない、そして置き忘れたりしないし、盗難リスクも抑制できる。いいことだらけだ。
スマホを肩から斜めがけ
個人的には裸族だった。スマホの話だ。ずっと、スマホにケースはつけないで使ってきた。理由としては重量を正味で使いたい、つまり、1gでも軽く使いたいというのが大きかった。それに、カラバリやデザインを考えた関係者へのリスペクトもある。また、多くの場合、ケースは保護のために、画面より高い堤防を持つ。それが落下時の画面保護につながるバンパーとして機能するのだが、その一方で、スワイプやフリック操作の邪魔をする。
だが、そんなこともいっていられなくなった。というのも、スマホの重量が平気で200gを超えるようになってきているからだ。ピュアGoogle体験を常に把握しておきたいので、Pixel以前のNexusシリーズからGoogleのスマホを愛用してきたが、かつて、Google Pixel 5を愛用していた当時は、画面サイズは6型で、その重量は151gだった。その後、Pixel 6シリーズは無印、Proともに200gを超え、Pixel 7は多少軽くなったがそれでも197g、7 Proは212g、Foldは283gに達する。
200gを大きく下回れば、ポケットの中になんとなく入れていても邪魔に感じることはない。思えば、最後に買ったガラケーは、ドコモの「N-04B」(2010年)だったが、約135gだった。ストラップホールもついていたので、首からぶら下げる使い方もできたが、裸でパンツのポケットに入れて使っていた。スマホを裸で使い続けてきたのはその流れでもある。
でも、もう限界だ。そう思って、最近は、冒頭に書いたようなTPUの透明ケースで、紐でぶら下げられるタイプのものを調達して使うようになった。手ぶら派デビューだ。
高まるストラップホールシートの需要
スマホをポーチやサコッシュなどに入れ、それをショルダーバッグのように肩から斜めがけするような運用も考えたが、ずっと身につけておくには大仰で重量も嵩む。ウェストポーチは意外に使いづらい。そこで最終的に行き着いたのが前述のTPU透明ケースだ。
ストラップが付属していて、下部両脇に金属のリングが装備されている。そこに付属のストラップを通して、ちょうどいい感じだ。似たような製品がたくさんあるが、これがシンプルでいい。リングに小さなカラビナでストラップを固定するものもあるが、好みで選べばいい。ストラップを脱着しやすいという点ではそちらが使いやすい。
個人的には2点で支持してスマホをぶら下げられるのがいいと思っている。1点支持では、スマホがクルクル回転しやすくなり、アクシデントの原因になりそうだ。
でも、1点でいいと割り切るなら、ケースの選択肢も増える。今使っているTPU素材の透明ケースは、どこにでもあって、選んだ理由を思い出すのに困るくらい個性のない1,000円程度のものだ。だからというわけではないが、使っているうちに黄色く変色してきているのが気になっている。
ケースとスマホの間に入れる薄いシートの先端を、充電ポート下部から出して、そこにカラビナなどでストラップを一点支持するタイプのものであれば、どんなケースでも斜めがけスタイル運用ができるだろう。この手のシートの耐久性が気になるところだが、何とかなっているようだ。
エレコムのような大手メーカーも、ストラップホールシートを発売し、「PWSTHD1CR/5」や、「P-STHD2」シリーズなどがラインアップされている。きっと、需要が高まっているのだろう。このうち、後者は2口タイプなので、ちょっと食指が動くのだが、2カ所のスピーカー孔を使うため、つけられるスマホが限られる。なんとかして、充電ポート孔だけでスマホを2点支持してぶら下げられるストラップホールシートが欲しいところだ。
ノートPCだって斜めがけしたい
かつて、10.4型のノートPCとして、パナソニックの「レッツノートR」シリーズを常用していたころ、本体にストラップホールをつけてほしいとお願いしてみたことがあった。ノートPCをカメラやショルダーバックのように肩からぶら下げて使えるようにすれば便利だと思ったのだ。ノートPCを裸で持ち歩くという発想は、レッツノートではF8の登場で具現化された。実に、ノートPCに持ち運び用のハンドルがついたのだ。その流れは、現在のタフブックにも踏襲されている。
Rシリーズにストラップホールを装備し、カメラのように首にぶらさげたり、ショルダーバッグのように斜めがけして使えるようにするというアイディアは、結局、PCを裸で持ち歩くことで、それが周囲の人に当たったりしてケガをさせるような可能性があるということで却下されてしまった。15年以上前の話だ。
同時期のRシリーズは、R8で重量は0.93kgだった。確かに当たり所が悪いとケガをさせてしまうくらいには堅牢だったかもしれない。
今、手元で常用しているPixel 7 Proは、本体重量212gだが、それをケースに入れ、ストラップ込みの重量は262gとなる。手ぶら派になるためには、ざっくり50gの増量を受け入れなければならない。
これが、今、ちょっとしたトレンドとなっているアラミドや、アラミドもどきのポリカーボネート素材を使ったケースだと、もうちょっと軽い感じだろうか。でも透明でないので、スマホ本体のデザインが無視されてしまう。そのあたりをどう考えるかだ。
期待したいストラップホールシートの進化
コロナ禍がなんとなく忘れ去られようとしている中で、外出の機会も増えてきた。Tシャツを着て、その上からスマホを斜めがけし、その上にジャケットを着用といきたいのだが、ここのところの猛暑に耐えられず、Tシャツのまま外出することがほとんどだ。さすがに、発表会などの現場に到着したところで、バックパックに入れて、しわくちゃになったジャケットを取り出して、Tシャツの上に着用するのだが、会場の冷房がキンキンに部屋を冷やしているとは限らず、すぐに脱いでしまうことも少なくない。
洋服、特に男性の洋服は大きくポケットもたくさんあり、それらがバッグのように機能するので、スマホの持ち運びに柔軟に対処できるのだが、熱い夏場は薄着になり、必然的に携行品を収納できるポケットも減って手ぶらが難しくなる。
いろんな理由で、最後にいきつくのがストラップで斜めがけする手ぶら派デビューというわけだ。本当は、スマホネイティブなデザインとして提案してほしいところだが、それはそれでニッチスマホになってしまうのだろう。だからストラップホールシートは、まだ、工夫の余地がありそうで、そのさらなる進化を期待したい。
とにかく熱さに身体が慣れない。どうかご自愛を……。