4K修行僧

4Kの道に待ち受けるはイバラかゴクラクか? PC環境を完全4K仕様にしてみた

 4Kがディスプレイ解像度の次世代標準となることは間違いない。TVもフラグシップ製品は4Kになっている。一般向けのPC/周辺機器も、4K解像度対応のディスプレイやカメラが続々出ている。それらのニュース記事のアクセス数は平均的に高く、ユーザーの関心が高いことが覗えるが、製品の価格もまだ高めということで、普及期にまでは入っていない。

 PC媒体の編集者を長年やっていると、実物に触れなくても、ある程度はスペックを見聞きしただけで新製品の性能とか使い勝手が分かってくる。しかし、それはあくまでも推測。本当の良いところ、そして悪いところというのは、きちんと使ってみないと分からない。

 4Kもそういった製品カテゴリの1つだ。今使っているのがフルHDの液晶なので、それを縦横に2つずつ並べれば4K解像度となるので、その姿はおおよそ見当が付く。だが、解像度は4倍になっても、性能/使い勝手が4倍になるものではない。細かいところは実際に使ってみないと分からない。

 個人的にTVについては、地上波放送やBDなどが4Kに対応していないので、まだアーリーアダプタ向けの段階だと思っている。しかし、PCの場合は、解像度が広いことは、それだけで生産性の向上に繋がり、今すぐにでもそのメリットを享受できると考えている。とは言え、価格が高かったり、自分の希望するサイズのものがなかったり、ソフトやハードが対応してないなかったりという障壁がいろいろ存在するのもまた事実。

 ということで、「ぶっちゃけPCで4Kってどうなんだろうか?」というのが、この連載のテーマだ。気になったハードやソフトを4K環境で身をもって体験し、その実情について考察してみる。

 連載1回目となる今回は、まず4K環境を揃えることから始める。おっと、申し遅れましたが、ワタクシPC Watchの若杉と申します。一応編集長をやっています。

 さて、これまでの筆者の仕事環境は、基本的に3年前に買った13.3型フルHD(1,920×1,080ドット)ノート「VAIO Pro 13」1台でこなしている。仕事の時は常に持ち歩き、家でも、会社でも、出張先でもこれで仕事をしている。会社に関しては、三菱の24型WUXGA(1,920×1,200ドット)液晶「MDT242WG」とデュアルディスプレイ環境になっている。

 筆者の主な仕事内容は、記事の作成/編集。テキストエディタで原稿を書き、原稿に使う写真を写真編集ソフトで編集し、ブラウザ経由で記事をサーバーにアップロードする。そういった作業をしながらも、情報をいち早くキャッチするために、メール、Twitter、Facebook、サイトのアクセス状況などを常にモニタリングしている。そのため、フルHDとWUXGAの2台環境でも解像度が足りず、もう1つ10型WUXGAタブレット「Yoga Tablet 2-10 with Windows」を傍らに置いている。

 まずは、これらを全部捨てた。

 と、言うのは言い過ぎた。すみません。さすがに捨てはしないが、4K以外の液晶は机の上から排除することにした。気持ち的には捨て去った。タブレットも、24型液晶も、そしてVAIO Pro 13もだ。

 そしてLGの27型4K液晶「27MU67-B」と、デルの15.6型4Kノート「Inspiron 15 7000」を購入した。購入価格は前者が59,800円、後者が145,980円だった。VAIO Pro 13の代わりにこのノートを買ったと言うことは、今後はこのノートPCを常に持ち歩くという意味だ。ちなみに、重量は2kgとなっている。

LGの27型4K液晶「27MU67-B」
デルの15.6型4Kノート「Inspiron 15 7000」

 加えて、自宅のTVを37型フルHDの東芝「REGZA 37Z3500」から、55型4Kの「REGZA J10X」に買い換えた。筆者はさほどTVを観るわけでもなく(週5時間程度)、PCをTVに繋ぐこともほとんどないのだが、4Kに対する不退転の決意のほどを知ってもらいたい、ただその一心で購入した。価格は199,800円。おそらく、今後この連載でもこのTVのことを扱うことは少ないと思うが、この企画に本気で取り組んでいることが伝われば幸いである。まぁ、半分はノリなのだが。

 余談だが、筆者は独り身。もし嫁がいたとして、いきなりノリだけで55型のTVを買って帰ってきた旦那を見たら、しばらく実家に帰っていたことだろう。独身貴族を貫いていたのも、幸いだった。

東芝の55型4K TV「REGZA J10X」

 ということで、準備は整った。今後の予定だが、まずは今回購入した製品についてレビューをしていく。その後は、4K解像度での使い勝手が気になるソフトや、周辺機器なども随時取り上げていく。

筆者の職場でのPC環境。一気に4K×2台構成に

 各回のまとめとして、その製品の快適度(KAITEKIDO)を5段階で評価する。厳しいと感じたら快適度ゼロの「0K」、極楽気分を味わえたら快適度マックスの「4K」となる。

 今回は準備編と言うことで、まだ製品評価はしていないのだが、PC業界のライター/編集者界隈でもまだほとんど聞いたことがない4Kノート(重量は2kg)モバイラーの先駆者となったプライスレスな達成感(総支出は40万円超)に対して自ら4K評価を与えたい。

今回の評価=4Kaiteki

(若杉 紀彦)