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エプソン、顔料インク/エコタンク採用のビジネス向けA3インクジェット複合機
~約30%の小型化で設置場所の自由度も向上
2020年6月24日 11:00
エプソン販売株式会社は24日、ビジネス向けインクジェット複合機の新製品「PX-M6712FT」、「PX-M6711FT」、「PX-M791FT」、「EW-M5610FT」を発表した。7月9日より販売を開始し、価格はすべてオープンプライスで、店頭予想価格は順に13万円台後半、10万円台後半、8万円台後半、6万円台後半の見込み。
全製品ともに大容量インクを特徴としたエコタンク採用のインジェット複合機。モノクロで約7,500ページ、カラーで約6,000ページの大量印刷が可能で、トナーと比べてインクボトルが安価なこととあわせて、印刷コストが低く抑えられるのが特徴。A4サイズ1ページあたりの印刷コストは、モノクロで約0.8円、カラーで約2円だとしている。
PX-M6712FT、PX-M6711FT、PX-M791FTの3機種についてはインクが共通となっており、用途に応じて複数の機種を導入した場合でも、インク管理が容易に行なえる。低消費電力な点に加え、設置性や生産性の向上、顔料インクによる高画質化などを図り、レーザー複合機が持つ強みも兼ね備えたとする。
PX-M6712FTおよびPX-M6711FTは、A3ノビに対応した機種。筐体デザインは共通で、前者が上位モデルにあたる。以前から建設や土木などの分野で多く利用されていたが、小型化や使い勝手の部分を強化することで、飲食や小売業、塾などの学習/教育分野での導入も見込む。
従来モデルにあたる「EW-M5071FT」と比べて大幅な小型化を果たした点が特徴的で、奥行きが14mm大きくなっているものの、高さを68mm、幅を151mmそれぞれ小さくし、体積比で30%減、底面積で20%減を達成。インク補充やメンテナンスボックスへのアクセスが前面から行なえる設計とし、設置場所の自由度を向上させている。用紙にあわせて自動で排紙トレイが出てくる機構を内蔵し、トレイの出っ張りも抑えた。
エコタンク向けに新開発された顔料インク「DURABriteET」を全色に採用し、高画質化を実現。耐水性が高くにじみや裏移りをしづらい。インクの量を制御し、文字やバーコードを印刷するさいのにじみを抑制する機能を備えるほか、ノズル抜けを自動的に検知して調整する「ノズル診断システム」や、静電気の発生を抑える導電性プラテンを使用し、紙から発生する粉によるヘッドの目詰まりを防止する。
1枚目の印刷と同時に2枚目を給紙し、1枚目の反転中に2枚目の印刷を行なうことで、両面印刷時の無駄な時間を削減する機構を採用するなど、印刷速度の向上も図った。従来機種と比べて、モノクロ片面時で18ipmから25ipm、両面時で8.7ipmから21ipm(PX-M6711FTは16ipm)にそれぞれ高速化されている。スキャン速度も向上しており、A4用紙の縦向きセットにも対応する。
給紙容量も拡張させ、底部に備えた2基の給紙カセットに250枚ずつ、背面トレイに50枚の計550枚をセット可能。従来モデルから約2.5倍となる20万ページの印刷耐久性を実現している。
PX-M6712FTの場合、印刷速度がカラー/モノクロともに25ipm、ファーストプリントタイムが5.5秒で、レーザー複合機と同等となる1年間出張保証が付帯される。PX-M6711FTの場合、カラー/モノクロの印刷速度が12ipm/25ipm、ファーストプリントタイムが8.5秒/5.5秒で、こちらは1年間の持込保証が付帯される。
加えて、A4サイズまでに対応するコンパクトなPX-M791FTも用意。PX-M6712FTと同等の仕様で、全色顔料インク採用のエコタンクを搭載する。店舗におけるバックヤードやカウンターなど設置箇所がかぎられる分野に加え、診療所やクリニックといった比較的規模の小さな医療機関、文教分野での導入を見込んでおり、A4レーザープリンタの置き換えを想定した製品だとしている。
従来モデルにあたる「PX-M886FL」から給紙カセットを2段に拡張しながら、奥行きを37mm、高さを7mm小型化。体積比で約8%、底面積で約7%の筐体小型化を実現している。
印刷速度はカラー/モノクロともに25ipm、ファーストプリントタイムが5.5秒。1年間の出張保証が付帯される。
EW-M5610FTは、A3ノビまでのプリントとA4サイズまでのスキャンに対応したコンパクトな製品。写真向けにはA3プリント+A4スキャンの製品を用意していたが、新たにビジネス向けにも投入したかたち。
「EW-M670FT」の後継機種にあたり、印刷速度の向上や手差し印刷への対応などが図られている。黒インクに顔料、カラーインクに染料を採用し、写真入りの文章も綺麗に仕上がるという。ランニングコストが低いのも特徴で、A4サイズ1ページあたりの印刷コストは、モノクロで約0.9円、カラーで約0.4円だとしている。
カラー/モノクロの印刷速度が9ipm/17ipm、ファーストプリントタイムが15秒/9秒。給紙カセットは1段で、手差トレイも装備。最大給紙容量は270枚。
製品発表会では市場動向についても触れられ、2019年度のA3カラーインジェット複合機については、市場全体が前年比97%と縮小する一方で、A3サイズ対応の大容量タンク製品が同106%、A3プリントとA4スキャン機能を備えた製品が同191%と増加。一方で同じA3サイズ対応製品でも通常のインクカートリッジ搭載モデルは前年度比87%と減少した。
PX-M791FTが競合製品として想定するA4カラーレーザープリンタ市場については、前年比101%でほぼ横ばいとなった。