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鈴木直美の「PC Watch先週のキーワード」
第103回:12月11日~12月17日


■■キーワードが含まれる記事名
●キーワード


12月11日

■■Akiba PC Hotline!ヘッドライン 1999年12月11日(土)
http://www.watch.impress.co.jp/akiba/hotline/991211.html

BURN-Proof(Buffer Under RuN-Proof)
バーンプルーフ

 三洋電機が開発した、バッファーアンダーランエラーを防止する技術。

 CD-Rなどの書き込みでは、PCからのデータの転送がディスクに書き込むタイミングに間に合わず、書き込みに失敗することがある。これをバッファーアンダーランエラーという。

 音楽の再生メディアとして設計されたCDは、データをスパイラル状(渦巻き状)のトラックに連続的に記録。これを一定の速度で連続的に読み出していくことによって、途切れの無い再生が実現できるようになっている。

 一般のCD-R/RWドライブでは、書き込みもこれに準じており、一定量のデータ(※1)を、途切れることなくドライブに転送し、記録していかなければならない。このため、通常は書き込み中のPCに対して、余分な負荷や割り込みがかからないように注意を払う必要がある。

 BURN-Proofでは、データ転送が途切れた場合でも、改めて記録を再開できるようにするもので、書き込みを再開すると、ドライブは書き込みが完了している部分のトレースを開始。転送データと同期をとり、書き込みの終端部分から続きのデータ記録が再開される。

(※1)ディスク全体を一気に書きこむタイプをDAO(Disk At Once)、トラック単位で書きこむタイプをTAO(Track At Once)という。このほかに、バッファーアンダーランエラーの出ない小さな単位で書き込むPacket Writeという方式もあるが、これを使用した場合には、オーディオCDやCD-ROM互換のディスクとはならない。

【参考】
□CD-R(Compact Disc-Recordable)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971224/key12.htm#cd_r
□CD-RW(Compact Disc-ReWritable)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971224/key12.htm#cd_rw
□バッファーアンダーラン
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990722/key85.htm#buffer_underrun
□DAO、TAO、Packet Write
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980217/key18.htm#DAO


12月15日

■■Giga-Byte、DualBIOS、PCI6本、Ultra ATA/66を搭載した青色マザーボード
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/991215/giga.htm

STR(Suspend To RAM)(Suspend To RAM)
エスティーアール、サスペンドトゥーラム

 メモリー以外の全ての状態を破棄したPCのサスペンドモード。
 現在の状態を維持しつつ、システムの機能を一時的に停止することをサスペンドあるいはスリープという。

 PCの電源管理機構であるACPI(Advanced Configuration And Power Interface)では、システムの大まかな稼動状態として、フル稼動(G0)、スリープ(G1)、ソフトオフ(G2)、メカニカルオフ(G3)の4レベルを規定(※1)。スリープモードにはさらに、状態の異なる4つのレベルが設けられている。

 STRは、この中のS3にあたるモードで、メモリの状態を維持するための最小限の電力だけを供給し、システムを一時的に停止する。これは、ノートPCが古くからサポートしていたレジューム(Resume)機能に相当するもので、効果的な省電力化と短時間での復帰を最小限のインプリメントで実現できる。

 S4は、このメモリの状態をディスクなどに待避し、実質的にG2やG3と同じ状態に移行してしまうもので、ハイバネーション (Hibernation)、 あるいはNVS(Non-Volatile Sleep)と呼ばれる。省電力効果は非常に高いのだが、待避/復旧のための高度なメカニズムが必要であり、スリープからの復帰にもやや時間がかかる。

(※1)メカニカルオフが、コンセントから電源ケーブルを抜いてしまったのと同じ完全停止状態であるのに対し、ソフトオフは、他のデバイスからの指令でPCが起動できるように、起動を促す信号(ウェイクアップ信号)だけ受け取るようになっている。最近のPCでは、本体正面の電源スイッチを切っても実際にはソフトオフで、本体の横や裏に別途、給電を完全に止めるメカニカルオフ用のスイッチが付いていることも多いので(全く備えていない製品もある)、拡張カードの着脱時などには注意したい。

【ACPIで規定するシステムの給電状態】
Global State Sleeping State 状態 ソフトウェアの実行 復帰時間 消費電力 OSの再起動 本体の分解 電気的な状態変更
G0 S0 フル稼動 0 なし 不可
G1 S1 スリープ:全ての状態を維持 不可





なし 不可
S2 スリープ:CPUとキャッシュをオフ
S3 スリープ:メモリ以外の全てをオフ
S4 スリープ:全てオフ
G2 S5 ソフトオフ 不可 ほとんど0 あり 不可
G3   メカニカルオフ 不可 RTCのみ あり 不可

【参考】
□ACPI(Advanced Configuration And Power Interface)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980310/key21.htm#ACPI
□レジューム/ハイバネーション
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980310/key21.htm#Resume
□OnNow
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980723/key39.htm#OnNow
□Wakeup On LAN (WOL)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990603/key78.htm#WOL


■■AKIBA PC Hotline! HotHotレビュー特別編 by Ubiq Computing
  冬季CPU購入ガイド ~Intel、AMDの現役全41種類CPUベンチマークデータ付き~
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/991215/hotrev38.htm

EV6バス(EV6 bus)
イーヴイろくバス

 AMD(Advanced Micro Devices, Inc.)のAthlonが採用している、システムバス(プロセッサバス、あるいはFSB[Front Side Bus]とも)。

 EV6は、DEC(Digital Equipment Corp.~現在はCompaqに買収)が'96年に発表した(出荷は'98年末)第3世代のAlphaプロセッサ「Alpha21264」のプロジェクト名である。

 Athlonのシステムバスは、物理的には、Pentiumファミリに使われているSlot 1と同じ242接点のコネクタを使用した64bit(ECCを加えると72bit)バスだが、プロトコルは、PentiumファミリのGTL+ではなく、DECからライセンスされたEV6互換のものを採用。AMDでは、このスロットをSlot Aと呼んでいる。バスクロックは、現行のAthlonで100MHz。GTL+と違い、EV6はクロック信号の両エッジに同期するので、実質的には2倍のクロックで動作していることになる。ちなみに実クロック100MHz時のバンド幅は、GTL+で800MB/秒、EV6で1.6GB/秒(1GB=1000MB=1000,000,000B)。GTL+が共有タイプのバスであるのに対し(本来は共有するからバスなのだが)、EV6バスは直接コントローラと1対1で接続する仕様であるため、マルチプロセッサ時にも各CPUに対してこのバンド幅が保証される。

□AMD Athlon Processor
http://www.amd.com/japan/products/cpg/athlon/index.html
【参考】
□Slot A
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990909/key90.htm#sloat_a


12月16日

■■ASUS、オールインワンA4スリムノートPCを国内市場に投入
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/991216/asus_n.htm

OEM(Original Equipment Manufacturing あるいは Manufacturer)
オーイーエム

ODM(Original Design Manufacturing あるいは Manufacturer)
オーディーエム

 委託生産の形態。
 OEMは、委託を受けて、相手先のブランドで製品や部品を製造・供給することで、相手先ブランド製品製造と訳される。特にPCの場合には、部品から添付ソフトに至るまでを全て自社でまかなっているケースはほとんどなく、何らかの形で、このOEMのスタイルが採られている。

 ODMは、製造・供給だけでなく、デザインの段階から引き受けるタイプである。ソフトウェアに関しては、以前から一般的な生産形態の1つだったのだが、最近はハードウェアでも、しばしばこのような委託開発というスタイルが採られることがある。


12月17日

■■東芝、シリコンオーディオプレーヤーの販売サイト開設
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/991217/toshiba.htm

リチウムポリマー電池(lithium polymer battery)

 リチウム酸化物の正極と、ポリマー電解質を用いた二次電池(※1)
 小型軽量化が望まれる携帯端末やハンディカメラなどでは、これまで、大容量のリチウムイオン電池が好んで使われて来た。リチウムポリマー電池は、このリチウムイオン電池の極間に挟む電解質をポリマー(高分子)化したもの──すなわち、従来の溶液から高分子化合物を使ったゲル状(ゼリー状)の物質にしたものである。これによって漏液の心配が無くなり、パッケージの構造や形状、スタック数などの設計上のフレキシビリティが飛躍的に向上。リチウムイオン電池の特性を活かしつつ、より一層の小型軽量化や薄型化が図れるようになった。ただし、'99年に入ってようやく数社が量産を開始したばかりの電池であり、いまのところはコスト面にやや難がある。

(※1)充電することで繰り返し利用可能な電池(使い捨てタイプは一次電池)。

【参考】
□リチウムイオン電池
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990520/key76.htm#InfoLITHIUM
□ニッケル水素電池
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990617/key80.htm#NiMH
□アルカリ乾電池
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990617/key80.htm#alkaline

[Text by 鈴木直美]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp