鈴木直美の「PC Watch先週のキーワード」
第76回:4月26日~5月14日


■■キーワードが含まれる記事名
●キーワード


4月26日

■■ソニー、130万画素CCD搭載のデジタルマビカ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990426/sony.htm

インフォリチウムバッテリ(InfoLITHIUM battery)

 ホームビデオカメラ向けにソニーが'96年にリリースした、バッテリ情報をやりとりする機能(インフォリチウムシステム)をもった、インテリジェントなリチウムイオン電池。

 リチウムイオン(Li-ion)電池は、同社が'90年にはじめて商品化した二次電池(※1)で、従来のものに比べて出力電圧が高い、容量が大きい、自己放電(※2)が少ない、メモリ効果(※3)がない、サイクル寿命(※4)が長いなどの特徴を持つ。+電極にリチウム酸化物を、-電極に炭素化合物を用い、これらをコーティングした薄い金属箔を、電解液を含ませたセパレータで仕切って渦巻状に巻いた(面積を広くとって化学反応を促進させる)構造になっている。充電時には、+極のリチウムが-極に移動。放電によって再び-極に戻ってくるという仕組みで動作している。移動するリチウムが、+イオン状態であることから、リチウムイオン電池と命名。携帯電話やビデオカメラ、ノートPCなどを中心に広く使われている。

 インフォリチウムバッテリは、このリチウム電池にマイコンを使った回路と通信用の端子を取り付けた製品で、対応機器から消費電流情報を受け取り、バッテリ容量と消費電流からバッテリの残量を算出。これを機器に送ることによって、バッテリ残量を分単位で知らせる機能を実現している。また、バッテリには充放電履歴も記憶されており、性能が低下すると機器に通知し、交換を促すことも可能である。

(※1)二次電池
充電することによって繰り返し利用可能な電池のことで、他にはニッカド(ニッケルカドミウム~NiCd)電池やニッケル水素(NiMH)電池などがある。これに対し、マンガン電池やアルカリ電池などの使い捨てタイプを一次電池と呼ぶ。

(※2)自己放電
電池保存時に内部で起る化学反応のためにエネルギーが消費され、時間が経つと自然に電池の容量が減ってしまう現象。

(※3)メモリ効果
ニッカド電池などで、放電深度の浅い(少ししか使わず十分放電しきっていない状態で)充電を繰り返すと、内部の化学反応によってバッテリの能力が一時的に低下し、正規の放電容量が得られなくなる現象。

(※4)サイクル寿命
二次電池は、充放電を繰り返すと次第にバッテリの性能が劣化していき、やがては十分な放電容量が得られなくなってしまう。この間、繰り返し再利用できる回数をサイクル寿命といい、現行のリチウムイオンバッテリで、500回程度といわれている。

□リチウムイオンバッテリ(ソニー)
http://www.sony.co.jp/sd/ProductsPark/Consumer/BAT/ION/index-j.html
□デジタルドリームランド~電池はどうして力持ちなの?
http://www.sony.co.jp/soj/TechnoGarage/DigitalDream/DEN/dentop.html



 
■■COMDEX/Spring '99会場レポート3
  ハギワラ、SolidAudioを参考出品ほか
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990426/comdex04.htm

TwinVQ(Transform-domain Weighted Interleave Vector Quantization
       ~変換領域重み付けインターリーブベクトル量子化)
ツインブイキュー

 NTTサイバースペース研究所(旧NTTヒューマンインタフェース研究所)が開発した音楽向けの圧縮符号化技術。

 音声/音楽信号の圧縮符号化技術として広く普及している「MP3」や「Dolby Digital(AC-3)」、MDの「ATRAC」などと同様に、信号の相関性(※1)や人間の聴感特性(※2)を利用した圧縮技術で、相関性の抽出には、これらと同じMDCT(Modified Discrete Cosine Transform~変形離散コサイン変換[※3])を使用している。他の符号化と異なる大きな特徴は、量子化プロセスに、スピーチ系の圧縮符号化によく使われるベクトル量子化(Vector Quantization)の技術を用いている点である。個々のサンプルを1つ1つ符号化していく従来のスカラー量子化に対し、ベクトル量子化は、複数のサンプルをまとめて量子化していくスタイルで、ベクトルパターンをあらかじめ用意したパターンの符号帳(code book)と照合。もっとも類似したパターンの符号に置き換えていく方法で、圧縮率を高めている。

 このTwinVQは、エラーに強く、高品質で高圧縮な符号化技術として注目されており、MPEG-4のオーディオコーデックに採用されているほか、ソフトウェアベースのものは、ヤマハのSoundVQやVoxwareのMetaSoundに、ハードウェアベースのものは神戸製鋼との共同プロジェクトであるSolidAudioにも使われている。

(※1)信号の相関性
音声や音楽などの意味のある音は、特定の周波数領域にエネルギーが偏っているので、この成分を抽出して符号化していくと効率のよい効果的な圧縮が行なえる。

(※2)人間の聴感特性
聴覚には、大きな音が存在するとその周辺の周波数の低レベルの音が聞こえにくくなるマスキング効果と呼ばれる性質がある。TwinVQでは、ベクトル量子化時にこの性質を利用した重み付けを行ない(エネルギーの大きなところほどおおざっぱに)、量子化歪みが目立たないようにしている。

(※3)変形離散コサイン変換
PCMを代表とするオーソドックスな音声信号は、時間領域における音圧レベルのサンプルをとったものだが、DCTは、これを周波数領域の集合に変換する数学的な手法である。変換は一定の(必ずしも等間隔ではない)時間単位で行なうが、MDCTではこの時に少しずつ各領域に重なりを持たせて変換する。

□TwinVQ
http://twinvq.jpn.net/
□NTTヒューマンインタフェース研究所
http://www.hil.ntt.co.jp/SpchCoding/twinvqj.html
□SoundVQ
http://www.yamaha.co.jp/xg/SoundVQ/
□SolidAudio
http://www.solidaudio.jpn.net/
□Voxware
http://www.voxware.com/
【参考】
□MP3(MPEG 1 Audio Layer 3)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980924/key47.htm#mp3
□PCM(Pulse Code Modulation)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980917/key46.htm#PCM
□EVRC(Enhanced Variable Rate CODEC)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990428/key75.htm#evrc
□コーデック(CODEC~COder/DECoder、COmpression/DECompression)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980519/key30.htm#CODEC


5月10日

■■カノープス、RIVA TNT2/TNT2 Ultra搭載ビデオカード
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990510/canopus.htm

BNCコネクタ(Bayonet Neill Concelmanまたは、British National Connector)
ビーエヌシーコネクタ

 高級なディスプレイや業務用のビデオ機器などに使われている同軸コネクタ。
 プラグを回転させるだけで、確実にロックするように設計されたコネクタで、絶縁抵抗が高くインピーダンス(※1)特性に優れているため、通信機器や測定器などに幅広く使われている。Ethernetのひとつである10Base-2(直径約5mmの細い同軸ケーブルを使って配線するタイプ)にも、このコネクタが使われている。

(※1)インピーダンス
交流に対する抵抗成分で、単位は直流抵抗と同じΩを使用する。


5月12日

■■矢作晃の WWDC(Worldwide Developers Conference)基調講演レポート 2日目
  今後の広告・販売戦略、P1、PowerPC G4搭載Macintosh
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990512/wwdc02.htm

mLAN
エムラン

 ヤマハが提唱する、電子楽器やオーディオ機器のデジタル接続を実現する技術。
 '97年に、インターフェイスにIEEE-1394の採用を決定し、そのためのプロトコルを「1394 Trade Association」に提案。「Audio/Video Working Group」で標準化され、「Audio and Music Data Transmission Protocol(A/M Protocol)」として正式に承認される。

 IEEE-1394は、Apple Computerの「FireWire」、ソニーの「i.LINK」という商標でも知られる、高速シリアルインターフェイスの規格で、短いサイクルで定期的なデータ転送を行なうアイソクロノス(Isochronous)転送をサポート。オーディオ信号やビデオ信号のリアルタイム伝送を実現できるようになっている。A/M Protocolは、このアイソクロノス転送を使って、オーディオデータとMIDIデータの伝送を行なうためのフォーマットおよび通信手順を規定したもので、1つのアイソクロノス転送で、100チャンネルを越えるオーディオデータ(32kHz~96kHz/16~24bitのデジタルデータ)とMIDIデータの伝送をサポートする。数多くあるレコーディング機器やシンセサイザー、パソコンなどを、1本のIEEE-1394で接続して利用できるようにしようという規格である(なお、現行規格には、民生機に必要な著作権保護情報の規定は盛り込まれていない)。

□mLAN Home Page(ヤマハ)
http://www.yamaha.co.jp/tech/1394mLAN/
□1394 Trade Association
http://www.1394ta.org/


5月14日

■■クリエイティブ、RIVA TNT2 Ultraカード
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990514/cref.htm

ラッパー(wrapper)

 特定のソフトウェアやハードウェア、システムなどの互換性、安全性、使い勝手などを改善するために使用するソフトウェア。

 ラップ(wrap)は包み込むという意味。例えば互換性の場合には、特定のAPIを要求するソフトウェアと、直接それに応えられないソフトウェアやハードウェアの間に入り、固有のAPIを互換APIに見せかける仕組みを提供したりする。

 インターネットやイントラネットの普及に伴い、それまで各社各様だった専用システムが、ブラウザのWebインターフェイスから利用できるようになってきたが、これも一種のラッピング技術である。

[Text by 鈴木直美]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp