鈴木直美の「PC Watch先週のキーワード」
第18回:2月9日~2月13日


■■キーワードが含まれる記事名
●キーワード


2月9日

■■シマンテック、「Norton Utilities」最新版など
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980209/symantec.htm

レジストリ (registry)
 Windows 95やWindows NTが持つ、システムやアプリケーション、ユーザー等に関する情報を記録したデータベース。

 「registry」は、登記(所)、登録(所)という意味で、3.xまでのWindwosでは、これに相当するデータを、一般には拡張子に「.ini」の付いたテキストファイルに記録していた。
 具体的には、Windows自体は、system.iniやwindows.iniなどを用意し、一部のアプリケーションもこれを使用していた(独自のiniファイルを用意するものもある)。95/NTからは、これを、階層構造を持ったデータベースに切り替え、より多くの情報を高速に集中的に管理できるようにした(互換性のためiniファイルも今なお健在で、iniファイルに書かれた情報は起動時にレジストリにも反映される)。

 登録情報は、ツリー構造の階層下に「キー」と「値」という組み合わせで格納されており、Windows 95では、Windowsフォルダの下にあるsystemフォルダ内の「system.dat」に全ての情報が、Windows NTでは、「System32\Config」内に、システムやソフトウェア、ユーザー別に複数のファイルに分けて格納されている(障害時に以前の状態に戻れるよう、バックアップも用意されている)。


 
DLL (Dynamic-Link Library)
ディーエルエルまたはダイナミックリンクライブラリ
 必要な時に必要な実行ルーチンを動的にロードする機能、および、そのための「DLL」という拡張子を持つファイル。

 WindowsなどOSは、実行ルーチンを複数のファイルに分散して格納し、実行中のアプリケーションが必用な時にだけロードする機能を提供している(MS-DOSなどでは、アプリケーションが自前で行なわなければこの機能は実現できない)。こうすることによって、アプリケーションが使用するメモリを最小限に押さえられるうえ、同じDLLを別のアプリケーションで再利用することも可能となる(例えば、Windowsが提供するシステムサービスの実体もDLLで提供されている)。


■■米Polaroid、Intelの開発キットを使用したデジタルカメラを製品化
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980209/polaroid.htm

CMOS (Complementary MOS(Metal-Oxide Semiconductor))
シーモス
 相補形金属酸化膜半導体。N型とP型の金属酸化膜半導体から成る半導体デバイス。MOS型半導体は高密度化に適しており、小さな電力で動作するのが特徴。中でもCMOSは消費電力が低く、集積回路の主流となっている。

 トランジスタや集積回路に欠かせない物質に、半導体と呼ばれる金属がある。電流に対し、導体(通す)と絶縁体(通さない)の中間的な働きをするこの半導体は、製造時に添加する不純物によって(添加物が電子過剰か電子不足か)、2つのタイプに分かれる。ひとつは、電荷の伝導を電子が担うタイプで、これをN型半導体(Nは負電荷を表わすNegativeの頭文字)という。もうひとつは正孔(ホール)が担うタイプで、これをP型半導体(Pは正電荷を表すPositiveの頭文字)という。

 トランジスタの構成には、金属酸化膜の絶縁特性を利用した(半導体の表面に薄い酸化膜を作って電極(ゲート)をつなぎ、加える電圧によって半導体に流す電流を制御する)タイプがあり、これをMOS型と呼んでいる。そして、半導体にP型を使用しているものをPMOS、N型を使用しているものをNMOS、相補物質(complementaryは補うという意)であるこれら2つを結合しているものをCMOSという。

 それまで一般的に用いられていたNMOSが、ゲートをONにしている間中、大量の電流を消費するのに対し、CMOSはゲートの状態を切り替える際には大量の電流を必用とするものの、アイドル状態(同じ状態を維持する)ではほとんど消費しないため、大量のトランジスタを使う大規模な集積回路では、もっぱらCMOSが使われている。

 なお、PCの世界特有の言い方として、システムの設定情報を記録したメモリのことをCMOSと呼んでいる。これは、遠い昔、PCにリアルタイムクロックが導入されたおり(それまでは起動時に日時をセットしなければならなかった)、バッテリーでバックアップしておく必要のあるこの回路に、消費電力の少ないCMOSチップを使用したことに由来する(クロックと一緒にシステム情報等もメモりに記録されている)。


2月10日

■■メモレックス・テレックス、内蔵型CD-R/RWドライブなど
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980210/memorex.htm

ディスクアットワンス、トラックアットワンス、パケットライト
 (DAO~Disk At Once, TAO~Track At Once, Packet Write)
 CD-Rの書き込み方式。
 CD-ROMやCD-Rは、オーディオCDの技術をベースに作られており、ディスクの物理フォーマット等も、CDに準じたものが使われている。もっともオーソドックスなディスクは、インデックス(TOC:Table Of Contents)等のディスクに関する情報を納めた「リードイン」で始まり(最内周)、オーディオトラックやデータを記録するエリアが続いて、最後にデータの終了を表す「リードアウト」が置かれる。この時、リードインからリードアウトまでをこの通りの順番で一気に書き込む方式をディスクアットワンスという。この方式は、一般的なCDやCD-ROMと同じイメージのディスクを作ることができるので、古いドライブやプレーヤーとの互換性が高く、プレス用のマスター等を作成する際にも利用されている。

 トラックアットワンスは、書き込みをトラック単位で行ない、最後にリードイン/リードアウトを書き込む方式で、例えば最初にデータを書き込み、後からオーディオトラックを追加する。複数回に分けてオーディオトラックを記録する。異なる論理フォーマットを個別に書き込むといった場合に用いる。ただし、トラック間に必ずランイン/ランアウトが書き込まれるので、DAOのような曲間に無音状態の無いトラックを作ることはできない。

 このTAOを応用したものに、PhotoCD等で使われているマルチセッションがある。セッションは、リードインからリードアウトまでのひとかたまりのことで、1枚のディスク上にこのセッションを複数持つのがマルチセッションである。すなわち、マルチセッションのディスクは、書き込み後に正規のディスクとして機能しつつ、後からデータを追記することもできるのである(マルチセッション未対応の古いドライブは、最初のセッションしか認識できない)。ちなみに、CDやCD-ROMには、最大99トラックまで収録できるが、マルチセッションの場合にはその都度リードイン/リードアウトを書き込むので(10数MB消費)、実際には空き領域の方が先に無くなってしまう。

 パケットライトは比較的新しい書き込み方式で、データを小さなパケット単位で記録していく。記録単位が小さいので、書き込み速度にデータの転送速度が追い付かない際に発生する「バッファアンダーランエラー」は実質発生しないし、TAOやマルチセッションと同じ様な複数回に分けた書き込みを、トラック数の制限を受けずに行なうことができる。この機能を提供するソフトウェアには、ソニーのCDR-FS(独自フォーマット)や、アダプテックのDirectCD(OSTAのCD-UDFを使用)などがあり、ファイル単位の書き込みやデータの削除、更新(あくまで見かけ上そう見えるだけだが)等をサポート。CD-Rをほとんどディスク感覚で使えるようにしている。ただし、書き込み後のディスクをディスクとして機能させるためには、リードイン/リードアウトを書き込む処理(ファイナライズやフリーズ等と呼ばれる)を行なうので、実質的には使い勝手を良くしたマルチセッションといった感じである。


2月12日

■■ソニー、2.1GB HDD内蔵のVAIO PCG-505後継機など
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980212/vaio.htm

スーパーインポーズ (super impose)
 複数の画像を重ねてひとつの画面を作ること。
 映像に別の映像や画像、文字等を重ねて表示する技法で、単にスーパーということもある。具体的には、テレビや映画の字幕スーパーやタイトルなどに、このスーパーインポーズは使われている。


■■56kbpsモデム製品は、4月ごろV.90対応で一本化の見込み
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980213/56k.htm

ファームウェア (firmware)
 ハードウェアに組み込まれたプログラム。
 ハードウェア(hardware)とソフトウェア(software)の中間的な存在で、CPUに組み込まれているマイクロプログラムや、システムや周辺機器のBIOSなどのような、ROMに組み込まれているプログラムを指す。

[Text by 鈴木直美]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp