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バンダイ、カラー化しパワーアップした「ワンダースワンカラー」
汎用メモリカードがゲームカートリッジに!

12月上旬 発売予定

標準価格:6,800円

バンダイ発表会
5つのカラーバリエイションが用意される「ワンダースワンカラー」。特にパールブルーとパールピンクが目新しい
 株式会社バンダイは同社の携帯ゲーム機「ワンダースワン」の液晶を反射型FSTNカラー液晶にし、各種機能をパワーアップさせた次世代携帯ゲーム機「ワンダースワンカラー」を12月上旬に発売すると発表した。価格は6,800円を予定しており、同時発売ソフトとしてスクウエアの人気RPGシリーズ「ファイナルファンタジー」の第1作がリメイクされる。現在発売中のソフト、周辺機器はすべて使用可能。

 ワンダースワンカラーでの最大の変更点は液晶で、これまでモノクロ8階調の反射型FSTN液晶だったものが、総色数4,096色 (同時発色241色) の反射型FSTNカラー液晶に変更された。画面解像度は224×144ドットで現行機と同じだが、画面サイズは2.49インチから2.8インチへと若干ながら大きくなっている。

 CPUは従来どおり16bit (動作クロック 3.072MHz) で変わりないが、内部RAMを現行機の128KBitから512KBitへ増設。またDMA転送を採用することにより転送速度を向上させたという。サウンド機能に関してはハイパーボイス機能を搭載しており、ヘッドフォン使用時にこの機能を使うと現行機に比べ広がりのある音声を再現できるという。バンダイによれば「CDをMDにダビングした時より若干音質が悪い程度」としている。試聴した感じでは、会場がうるさかったためにノイズっぽく聞こえたが、かなり広がりがりのある音が楽しめた。

 ワンダースワンカラーのサイズは、128×74.3×17.5mm (幅×奥行き×高さ<単三電池使用時24.3mm>) で重さは95g。現行機にくらべ幅7mm大きく重さは逆に若干軽くなっている。バッテリは従来どおり単三アルカリ電池1本、または専用充電池によって動作し、単三電池で20時間ゲームを遊ぶことができる。このほか、ゲームソフトのカセットの容量も最大512Mbitに拡大。ソフトの価格については3,000円から5,000円を予定している。

 ハードの外観の違いはほとんどなく、各ボタンに“A”、“B”、“Y1”などの表示が付け加えられたほか、電源スイッチの位置が側面から画面下に変更された。また、現行機ではサウンド設定が記録されないため、起動するたびに起動音が鳴っていたが、ワンダースワンカラーでは設定が保存されるため、起動時に音を鳴らさないように設定できる。このほかでは電池のカバーを留めるロックボタンが新たに加えられた。コントラストのスライドスイッチの位置も変更されているほか、外観はほとんど変わりないが、基板も含め内部的にはかなりの変更がされている印象を受ける。

 カラータイプは5種類で、クリスタルブルー、クリスタルオレンジ、クリスタルブラックの3色がスケルトンタイプ、このほかパールブルーとパールピンクが用意される。パールタイプの2色については「現在、携帯電話で最も流行っているカラーがこの2色 (バンダイ大下聡氏) 」といった理由から採用となった。

 バンダイの石上幹雄常務取締役は「 (ワンダースワンを設計した) 故横井軍平氏の夢も実現できるものと信じている」と力のこもったコメントからも、ワンダースワンカラーにかける意気込みが感じられる。携帯ゲーム機に関しては、任天堂がゲームボーイアドバンスを3月21日に発売するとすでに発表しているが、バンダイは「ワンダースワンカラーは“ゲームはしないけどお金を持っている好奇心の強い16歳から19歳”をターゲットとしている」とし「我々の調査では、ゲームボーイは14歳以下のユーザーが8割となっており、狙っている層が違う」とコメントしている。


新型機「ワンダースワンカラー」。電源スイッチなどの位置が変わっていることから、基板の見直しがかなり行なわれたことが伺いしれる こちらは現行機。右側にあるA、Bボタンの上部の配線が透けて見えるが、「ワンダースワンカラー」とは明らかに違う方向に半田付けされている 見た目ほとんど変わりない新旧「ワンダースワン」。ちなみに左が現行機

ガッチリと握手を交わしたバンダイの高須武男バンダイ社長 (右) と鈴木尚スクウェア社長 (左)。「ファイナルファンタジー」シリーズは継続してリメイクされていくという ワンダースワンカラーのターゲット戦略図。ゲームボーイアドバンスより高年齢層 (16歳~19歳) をメインターゲットとするとしている



■ オーソドックスな「ファイナルファンタジー」、新機軸の「ケロリカン」

 同時発売ソフトのラインナップや、開発中のソフトも発表された。最も注目されるのはやはりスクウェアの「ファイナルファンタジー」だろう。同ソフトはカラー専用ソフトとして本体の発売と同時に発売され、価格は4,800円を予定。世界観やストーリーなどはそのままに、グラフィックは新たに書き起こしシステムも見直しが図られている。発表会に出席したスクウェアの鈴木尚代表取締役社長は「17年前なら許されたシステムも、現代では許されない。それらはかなり見直しているので、完全移植ではなくリメイクといった方が相応しいだろう」としている。また、今後のシリーズ展開に関しては「ファイナルファンタジーは継続的に移植していくし、聖剣伝説やサガシリーズもカラー専用ソフトとして移植していく」と決意表明ともとれる力強いコメントを残している。

 このほかに予定されている同時発売ソフトの中で注目されるのは、音ゲーの流行を作ったとも言える「パラッパラッパー」を制作したことでも知られている松浦雅也氏の新作「ライムライダー・ケロリカン」だろう。基本的には音に合わせてアクションを行なうアクションゲームだが、画面が斜めになっているなど新機軸を詰め込んだ内容となっている。

 同時発売ソフトとしては4本が予定されており、12月までにデジタルモンスターなどを含む合計10タイトルの発売が予定されている。さらに2001年3月までには32タイトルのカラーゲームソフトが発売される。なお、ワンダースワンカラーのゲームソフトの開発を表明しているのは、前述のスクウェアほか、セガ トイズ、ナムコ、HAL CORPORATIONなど20社となっている。

ビデオを通じて、ワンダースワン用ソフトの開発に関する意気込みを語る松浦雅也氏 会場で展示されていた「ファイナルファンタジー」の試遊台。東京ゲームショウに出展される



■スマートメディアがゲームカセットに? 注目の周辺機器も発表

 会場では参考出品ながら注目の周辺機器が展示されていた。これは、2001年夏の発売が予定されている、メモリカードリーダーとUSBコネクタが一緒になった周辺機器。カセット挿入口にゲームソフトと同じように刺さるようになっており、この周辺機器にメモリカードを差し込むような仕組みとなっている。会場にはスマートメディア、メモリースティック、SDカードの3種類のリーダーが出展されていた。

 メモリカードを利用する理由は、他のハードウェアとのデータ交換といった理由もあるが、バンダイとして最も重きを置いているのが、ゲームソフトのロムの置き換えだという。現在マスクロムによってゲームソフトを供給しているが、この手法では市場在庫が少なくなった場合、次回生産までに時間がかかってしまうため機会損失を生む可能性が高い。また、マスクロムの価格や確保などの問題もあるため、新しいカートリッジとして汎用のメモリカードを使用するという発想に行き着いたという。ゲームソフトはキオスク端末などからメモリカードにダウンロードすることで購入することになる。ただし、すべてのゲームがこういった形態で供給されるわけではないという。

 この周辺機器にはUSBコネクタが用意されている。USBを使いプレイステーション2やパソコン、携帯電話との接続も考えられており、このシステムを使ったゲームも制作していきたいという。たとえば、RPGの一部分を切り出しワンダースワンでプレイするなどのアイディアが披露された。

 今回は参考展示として3種類のメモリカード用リーダーが展示されたが、すべて商品化されるのか、その中で一つだけが商品化されるのかは現状では未定。また、ワンダースワンカラーとワンダースワンの両方で使えるよう検討しているという。

メモリカードアダプタとUSBが合体した周辺機器が参考出品された。すべて発売されるかどうかは現在検討中という 上からアップで見たところ。USBコネクタが見える

USBを通してパソコンとワンダースワンカラーを接続したところ 同じくUSBケーブルを使ってプレイステーション2と接続したところ ワンダースワンカラー用カートリッジ上部のUSBコネクタにケーブルを接続する
メモリカードリーダーとUSBコネクタによりどういった展開があるかを説明 一般に市販されているメモリカードをゲームカートリッジとして使用する場合のゲームソフトの生産体制の違いを説明 専用のマスクロムと汎用メモリを使用した場合とでリードタイムの違いが大きい点を強調


□バンダイのホームページ
(8月30日現在、この件に関する情報は掲載されていない)
http://www.bandai.co.jp/
□ワンダースワンのホームページ
http://www.swan.channel.or.jp/
□関連記事
【'98年10月8日】バンダイ、パソコンにも繋がる“予定の”新型携帯ゲーム機発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/yajiuma/9809_10.htm#bandai

(2000年8月30日)

[Reported by funatsu@impress.co.jp]

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