鈴木直美の「PC Watch先週のキーワード」
第205回:4月15日~4月19日


■■キーワードが含まれる記事名
●キーワード


4月8日

■■ AKIBA PC Hotline!ヘッドライン 4月13日(土)
http://www.watch.impress.co.jp/akiba/hotline/20020413.html

●Eden規格(VIA Eden Embedded System Platform)
 エデンきかく

 VIA Technologiesが2001年に発表した、組み込み機器向けのプラットホーム規格。

 同社のC3をベースにした低電圧省電力型CPU「Eden ESP(Embedded System PlatformProcessor)」を使い、組み込み機器用にx86環境のトータルソリューションを提供する。組み込み機器をターゲットとしているため、小型化、低価格化、低消費電力化、低発熱化といった点に注力。CPUには、Samuel2コアのESP4000、ESP5000、EzraコアのESP6000の3タイプが用意されており、コアクロックはそれぞれ400MHz(4×100MHz)、533MHz(4×133MHz)、666MHz(5×133MHz)。それぞれ1.05、1.2、1.1Vという低電圧で動作し、TDP(Thermal Design Power~熱設計電力)が3、5、5Wと非常に低いのが大きな特徴となっている。

 システム的には、高クロック化が進む昨今のPCとは隔世の感があるが、ファンレスで動くMini-ITX規格の小型マザーボードが発売され、究極の小型静寂システムが組めるということで注目を集めている。

□VIA Eden Embedded System Platform
http://www.via.com.tw/en/Products/eden.jsp
【参考】
□C3(記事はCyrix III)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010330/key159.htm#CYRIXIII
□Mini-ITX
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20011122/key189.htm#MINIITX
□TDP(Thermal Design Power)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010301/key155.htm#tdp


4月16日

■■ 元麻布春男の週刊PCホットライン
   ポルシェデザインの17インチLCD「Samsung SyncMaster 171P」を試す http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0416/hot196.htm

●デジタルRGB、アナログRGB
   でじたるアールジービー、あなろぐアールジービー

 ディスプレイ(ビデオ)インターフェイスの種類。

 ディスプレイは、光の3原色であるRGB(Red, Green, Blue)を使ってカラー表示を行なっている。初期のシステムでは、RGBの3つの信号と輝度信号をON/OFF制御する単純なインターフェイスであったため、カラーディスプレイといっても、表現できるのは固定的な8色や16色という非常に限定された環境だった。その後、インターフェイスはアナログ制御に変更され、あらゆる色が表現できるようになる。

 ただし、当初はメモリとの兼ね合いがあり、実際に使用できる色数は、あらかじめ配合した16色とか256色に制限。現在のような、RGB各256レベル(8bit)を直接DA(Digital to Analog)変換するシステムが一般的になったのは、Windowsが普及してからのことである。初期のインターフェイスそのものがデジタルだったタイプを「デジタルRGB」と呼ぶのに対し、後期のアナログ制御のものを「アナログRGB」と呼んでいる。

 走査線を制御して表示するCRT(Cathode-Ray Tube)は、表示機構そのものがアナログなデバイスだが、近年は、液晶ディスプレイに代表されるデジタル駆動型のディスプレイも広く普及。デジタル信号を直接伝送するデジタルインターフェイスを備えた製品も多い。もちろん、以前の様な単なるON/OFF制御のインターフェイスではなく、RGB各8bitのデジタル信号をPC側でアナログ化せずに、デジタルのままディスプレイに伝送するためのものである。この現代版のデジタルインターフェイスもまた、デジタルRGBと呼ばれいる。

【参考】
□DVI(Digital Visual Interface)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/991007/key93.htm#DVI
□DVI-I
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010209/key152.htm#DVII
□RAMDAC(RAM Digital/Analog Converter)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971021/key3.htm#ramdac
□PCのカラー表現
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980624/key35.htm#16bitColor


4月17日

■■ WinHEC 2002レポート
   AMD、ThoroughbredコアのモバイルAthlon XP発表
   ~Barton-512K、次世代HyperTransportなども明らかに
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0417/winhec2.htm

●モデルナンバー(model number)

 AMDが2001年にリリースしたAthlon XPから採用した、CPUの性能とクロックを考慮したパフォーマンス値。

 CPUは、一定のタイミングに従って処理を行なっているので、同じ基本性能であれば、処理速度は動作クロックに比例して向上する。同仕様のCPUの比較では、クロックは処理能力を測る重要な指標となるが、アーキテクチャが異なる場合には、クロックだけで単純に比較することはできない。が、クロックという単純な数値で他社に勝っていれば、マーケッティング上有利であるため、ことさら高クロックであることを強調。クロックで見劣りしだすと、今度はトータルな実効性能を強調し、他社のクロックに擦り合わせるための数値を製品に付ける手法がしばしばとられて来た。

 かつてのPR値は、当時主流だったPentiumをターゲットとしたのに対し、モデルナンバーはPentium 4をターゲットに設定したと思われる(AMDの公式見解は「AMD内部での相対的な比較」としている)。同程度のパフォーマンスを持つPentium 4の実クロックに相当する値を用い、「モデル名 値+」という形で表記される(「値+」がモデルナンバー)。同じアーキテクチャであれば、モデルナンバーはクロックに比例しており、例えば現行アーキテクチャでFSB(Front Side Bus)が266MHz(※1)の製品には「クロック×1.5-500」が、200MHzの製品には「クロック+200」が、モデルナンバーとして設定されているようである。

※1 7.5ns(133.33……MHz)のクロックをベースに、DDR仕様のFSBはその2倍で動作。 コアクロックは、10倍から半周期(0.5倍)ステップで高クロックバージョンがリリースされている。

【参考】
□FSB(Front Side Bus)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/981105/key53.htm#FSB


■■ IDF 2002 Spring Japan 基調講演レポート
   「ムーアの法則を超えて」 --ゲルシンガーCTO基調講演
   ~ワイヤレス向けの新戦略などを公開
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0417/idf2.htm

●UWB(Ultra WideBand)
   ユーダブリュービー

 広義では、中心周波数に対する占有帯域の帯域幅が25%を越える、あるいは占有帯域が1.5GHzを越える、きわめて広い周波数帯域を使った無線通信技術(※1)。狭義では、極めて短いパルスを使った通信技術。

 ケーブル接続と異なり、電波は限られた資源を共有するため、用途や使用する周波数帯域、技術仕様などを細かく取り決めて運用している。例えば2.4GHz帯の無線LANが利用できるのは、2.4GHzまでの全帯域ではなく2.4GHz周辺の僅かな範囲。具体的には、2.4~2.4835GHzと2.471~2.497GHzに限定され、実際の通信では、さらにその中の最大26MHz(DS方式の場合)までしか占有できない。空中線出力も10mW/MHz(DS~Direct Spread[直接拡散方式]~の場合)に制限されており、使用帯域外への不要輻射は2.5μW以下(帯域の±13MHzは25μW)に押さえなければいけない。できるだけ多くの人が共有資源を有効に活用できるようにするためには、こういった、相互の干渉を考慮した運用ルールが必要なのである。

 電波を使ったオーソドックスな通信は、特定の周波数の搬送波を出力し、この搬送波の振幅や周波数、位相などを変化させて情報を乗せる。これを変調といい、良く使われるPSK(Phase Shift Keying~位相変調)やQAM(Quadrature Amplitude Modulation~直交振幅変調)では、搬送波の両側に変調した回数分だけ帯域が広がる(※2)。毎秒1,000回変調すれば±1KHz、1,000,000回なら±1MHzというように、使用できる帯域幅で変調の上限が決まってしまうので、変調速度を上げるためにはより広い帯域が必要になる(※3)

 広義では、中心周波数に対する占有帯域の帯域幅が1%以下のものをナローバンド、25%までのものをワイドバンド、25%を越えるものをウルトラワイドバンドと呼んでいる。したがって中心周波数が2GHzなら、10,000,000回(±10MHz)の変調までがナローバンド。500,000,000回(±500MHz)までがワイドバンド。それ以上がUWBということになる。が現在UWBと呼ばれて注目されているのは、単に超広帯域を使うという意味ではなく、数100ピコ秒(1ピコ[p]=1000ナノ[n]=1兆分の1秒)程度の極めて短いパルスを使うタイプで、パルスのON/OFF(OOK~On Off Keying)やタイミング(PPM~Pulse Position Modulation)、振幅(PAM~Pulse Amplitude Modulation)などに情報を乗せる通信技術を指している。どちらかというと、有線通信をそのまま無線化してしまったようなタイプであり、高速通信を比較的容易く安価に実現することができる。また、パルス幅が極めて短いため分解能が高く、平均電力が少ないというのも大きなメリット。もともとが広帯域に電磁波ノイズを撒き散らすような通信方式なので、長距離通信には応用できないが、短距離であれば他の通信に影響を与えない微弱な出力で高速な通信が実現できる。

 UWB技術はこれまで、地中や壁の向こう側を探査するためのレーダーなどで一部使われていたが、2002年にFCC(Federal Communications Commission~米国連邦通信委員会)が商用利用に対する見解を発表。他の通信への干渉を考慮したうえで、情報通信への応用も可能となり、一気に注目されるところとなった(※4)。具体的には、我が国の「微弱無線局」にあたる無免許で使えるシステムに関する規制の一部緩和で、用途を屋内利用もしくはPDAのピアツーピア通信に、周波数帯域を3.1~10.6GHzに限定し、パルスの出力に伴なうピークの輻射制限が緩和されている。

※1 20%あるいは500MHz以上という定義もある。

※2 実際には、その両側、さらにその両側……とエネルギーが広がってしまうのだが、伝送に必要な中心部分以外は切り捨て、帯域が不要に広がらないようにしている。

※3 伝送速度は、この変調回数と1回の変調に乗せるビット数で決まる。例えば、毎秒1,000,000回の変調に1ビットずつ乗せると1Mbpsになる。1回の変調により多くのビットを乗せれば、占有帯域を広げずに高速化が図れるが、誤り率が高くなってしまう。

※4 標準化された通信方式はまだなく、各社がデファクトスタンダードを狙ってしのぎを削っているところ。

□UWBWG(Ultra WideBand Working Group)
http://www.uwb.org/

[Text by 鈴木直美]

(2002年4月30日)


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