鈴木直美の「PC Watch先週のキーワード」
第206回:4月22日~5月2日


■■キーワードが含まれる記事名
●キーワード


4月24日

■■ Intel、モバイルPentium 4-Mに1.8/1.5/1.4GHzを追加
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0424/intel.htm

●Deeper Sleepモード
 ディーパースリープもーど

 Intelのモバイルプロセッサに搭載されている省電力機構の1つで、待機時の電圧を下げることによって消費電力を減らす。

 バッテリ稼働が前提のモバイルプロセッサは、高性能でなおかつ低消費電力であるという相反する要望を満たすための特別な電源管理機構を備えている。

 SpeedStepは、CPUのクロックを下げることによって、稼働時の消費電力を制御する。具体的には、本来の電圧とクロックで動作する性能を優先するモードと、電圧とクロックを下げて消費電力を減らすモードの2つの動作モードを用意し、用途に応じて切り換える。モバイルPentium IIIに搭載された当初のSpeedStepは、AC稼働時とバッテリー稼働時でモードを切り換えることを前提としたものだったが(切り換えは自動か手動)、モバイルPentium III-Mから採用されたEnhanced SpeedStepでは、CPUの負荷に応じて2つの動作モードをダイナミックに切り換えられるように改良されている。

 SpeedStepが稼動時の消費電力を制御するのに対し、Sleepモードは待機時の消費電力を削減する。使わない電気はこまめに切りましょう……というアプローチだ。モバイルPentium IIIでは、クロックとCPUの状態を維持するための最小限の電力に落とすSleepモードと、CPUを最低駆動電圧まで下げCPUの状態だけ維持するDeep Sleepモードを用意。10クロックで復帰するSleepモードに対し、Deep Sleepモードは復帰に30μ秒を要するが、消費電力はより削減される。Pentium III-Mからは、Deep Sleepモードに加え、最低駆動電圧以下に下げてしまうDeeper Sleepモードを採用。より深い眠りに落ちるCPUは、復帰に100μ秒(推奨値)を要するが、消費電力はさらに削減される。

【参考】
□SpeedStep
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000210/key107.htm#SpeedStep
□PowerNow!
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20011122/key189.htm#POWERNOW
□ACPI(Advanced Configuration and Power Interface)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980310/key21.htm#ACPI


■■ 本田雅一の週刊モバイル通信
   無線LANをシンプル化するSoft Wi-Fiのキーポイント
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0424/mobile150.htm

●スパニングツリーアルゴリズム(Spanning Tree Algorithm[STA])

 ネットワーク上のブリッジやポート番号をもとに、論理的なツリー構造を構成する アルゴリズム。

 ネットワークの耐障害性を高めるために経路を二重化すると、ブリッジ構成のネットワークでは、ネットワーク上にループを作ってしまうことになる。スパニングツリーアルゴリズムは、このような物理的なネットワーク構成をもとに、ループのない論理的なツリー構造を自動的に構成するためのもので、1つのルートブリッジを選出し、その下に最短ルートで接続するツリー構造が算出される。この論理的なツリー構造をスパニングツリーといい、通常はこのツリー構造にしたがってブリッジ間のパケット転送が行なわれる。経路に障害が起きた場合には、ツリーを再構成しネットワークを自動的にバックアップする。

●IEEE 802.1x

 IEEEが2001年に標準化した、ユーザー認証によるポートベースのアクセス制御を行なうためのプロトコル。

 モデムなどを使ったリモートアクセスでは、通常は通信のベースとなるPPP(Point-to-Point Protocol)の接続プロセスの中でユーザー認証を行ない、不正な接続そのものを排除できるようになっている。外部から不特定多数が接続を試みる可能性がある以上、これは必須の機能である。が同じ接続でも、ハブのように外部の人間が不正に接続すること事態が困難なデバイスの場合には、通常は全くの無防備。両者の中庸を行く無線LANの場合には、通信を暗号化することによって不正なアクセスを排除するWEP(Wired Equivalent Privacy)という機能を用意したが、こちらは、肝心なこのWEPの脆弱性が指摘されている。

 802.1xは、PPPと同じ様なユーザー認証によるアクセス制御を、これら様々なポートでサポートできるようにするためのもので、そのための制御方法やプロトコルが規定されている。802.1xのアクセスポートは、接続したクライアントに対して認証要求以外のトラフィックは通さないようになっており、有線や無線で接続したクライアントは、必ず最初に認証要求を送る。認証要求は認証サーバーに転送され、認証に成功してはじめて、通常のトラフィックが送受信できるという仕組みである。

【参考】
□PPP
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990318/key69.htm#PPP
□PPPoE
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010201/key151.htm#PPPoE
□PPPoA
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010719/key174.htm#PPPOA
□WEP
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010201/key151.htm#WEP


5月2日

■■ アスメック、独自DDNSサービスに対応したUSB Webカメラ
   ~携帯電話からのブラウジングにも対応
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0502/asmec.htm

●DynamicDNS(DDNS)
   ダイナミックディーエヌエス

 名前とIPアドレスの対応を動的に変更できる登録サービス。

 インターネット上のデバイスは、一意のIPアドレスを使って識別されるが、数字のアドレスは私たちにとって扱いにくいため、通常は「www.watch.impress.co.jp(※1)」といった名前が使用できるようになっている。この名前をIPアドレスに変換するシステムをDNS(Domain Name System)といい、世界中のDNSサーバーが連係する分散型のデータベースシステムとして運用されている。したがって、名前からIPアドレスを引けるようにするためには、どこかのDNSサーバーに、その情報を登録しておかなければならない。

 独自のドメイン名でWebサーバーなどを運用する場合、通常は、あらかじめドメイン名と固定的なIPアドレスを取得し、プロバイダやホスティングサービスの、あるいは自前のDNSサーバーに登録しておく。しかし、ダイヤルアップをはじめとする多くの接続サービスでは、接続のたびにIPアドレスが割り当てられるため、従来の固定的に登録しておくサービスでは対処できない。

 Dynamic DNSは、接続のたびにIPアドレスが変わるような環境でも、ドメイン名が 運用できるようにするもので、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)などを 使った常時接続環境の普及に伴ない、多くのホスティングサービスやプロバイダがサ ポートしている。実質的には、従来のサービスと変わり無いが、専用のツールやOSの 自動登録機能などを使って、その都度新しいIPアドレスで更新できるようになってお り、DNSサーバーに登録される情報の有効期間(※2)が、非常に短く設定されている。

※1 この例では、「ホスト(www).サブドメイン(watch).ドメイン(impress.co.jp)」という構成になっている。

※2 TTL(Time To Live)といい、情報を取得して行なった他のサーバーやクライアントは、有効期間を過ぎた情報を破棄し、必要な時には、再び登録もとのDNSサーバーから再取得する。

【参考】
□DNS
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971105/key5.htm#dns
□IPアドレス
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000406/key115.htm#IP

[Text by 鈴木直美]

(2002年5月10日)


【PC Watchホームページ】


PC Watch編集部 pc-watch-info@impress.co.jp
個別にご回答することはいたしかねます。

Copyright (c) 2002 impress corporation All rights reserved.