Amazon「Kindle 3G + Wi-Fi」試用レポート
~日本語表示対応、小型軽量化された電子ペーパー端末


 E-Ink製電子ペーパーを搭載したAmazon.comの電子書籍端末「Kindle」に、このたび新モデルが登場した。Kindle Storeから書籍をオンライン購入して読むという使い方はそのままに、操作の高速化と本体の小型軽量化、および駆動時間の増加が図られている。

 なにより注目したいのは、本モデルでついに日本語表示に対応したことだ。発売に合わせて開始されるのではないかと噂されていたKindle Storeでの日本語コンテンツの販売、およびKindle DTPの日本語化こそ見送られたものの、フォント埋め込みなしで日本語を表示できるハードウェアの登場は、今後の展開に期待を抱かせるものだ。もちろんKindleをPDFビューアとして利用するユーザーにとっては、現時点でも十分メリットを感じさせるものとなっている。

 製品ラインナップにも若干の変更が見られる。従来は3G接続のモデルのみだったが、今回は3Gに加えてWi-Fi接続をサポートしたモデルとWi-Fi専用モデルの2ラインナップとなっている(継続販売されるKindle DXを入れると3ラインナップ)。筆者が今回購入したのは前者、3G+Wi-Fiの両対応モデルだ。Amazon.comのサイトで「Kindle 3G + Wi-Fi」と呼称されるこのモデルについて、今回は見ていくことにしよう。

 価格は189ドルで、昨年秋にKindle 2を購入した時の価格279ドルと比べるとおよそ2/3の価格に引き下げられている。実際には送料および手数料が加算されて総額では212.61ドルとなるが、円高の恩恵もあり、実際の支払い総額は18,310円と、2万円の大台を切ることになった。かなり割安感のある価格設定だ。

「Kindle 3G + Wi-Fi」本体。従来モデルの名称が「Kindle 2」だったためにネット上では「Kindle 3」と呼ばれることが多いが、Amazon.comのページでは3G機能ありのモデルが「Kindle 3G + Wi-Fi」、Wi-Fiのみ(3Gなし)のモデルは「Kindle Wi-Fi」と記載されている。本稿執筆時点のファームウェアは3.0。ちなみに筐体色は前者がWhiteとGraphiteの2色、後者はGraphiteのみとなっている到着時の梱包。従来モデルの送付時にあった外箱が省略され、化粧箱に直接送り状が貼り付けられている。やや無粋といえば無粋封を開けると本体が姿を表す。丁寧に収められている印象だ。両サイドを持ってゆっくりと取り出す
画面には充電方法が表示されている。従来製品と同じなので分かってはいるものの、表面のフィルムに印字されているのではと一瞬疑ってしまう同梱品一覧。左から化粧箱、USBケーブル一式、説明書、Kindle本体USBケーブルおよびAC接続用のアダプタ。従来モデルと同一形状に見える。ちなみにKindle側のUSBコネクタの形状はmicroUSB

●サイズ、重量、容量、バッテリなど全面的に進化

 まずは外観を中心に見ていこう。

 画面サイズは従来同様6型だが、本体外寸は縦横ともに約12.7mm小型化されて約122×191mmとなり、四六判(128×188mm)の単行本とほぼ同じ大きさになった。重量についても従来モデルの10.2オンス(約289g)に対して8.7オンス(約247g)と、さらに軽量化された。実際に持ってみると、全体が軽くなったこともあり、実サイズ以上にコンパクトになった感がある。

従来モデル(中央)およびKindle DX(右)との比較。一回り小型化されてはいるものの、画面サイズは従来と同じ6型を保っている従来モデル(右)との比較。余白部分の黒い帯がなくなっていることに注目
裏面。従来モデル(右)は筐体が表・裏とも金属だったが、今回のモデルではプラスチックになっている。高級感はやや低下したが、そのぶん軽量化につながっていると推測される。無線LANのアンテナ感度を高めるという意図もありそうだiPad(右)との比較。本体重量はiPadの680gに対して本製品は約247gと半分以下だ

 スリム化された一方でやや気になるのが、キーボードの最上段の数字キーがまるまる1段省かれて4列となったことだ。これにより、数字を入力する場合はAltキーを押してから最上段のQから始まるキーを押すか、またはSYMキーを使ってパレット経由で入力するようになった。数字キーはLocationsを指定して移動する際に多用することもあり、やや不便になった感がある。またAltキーとの組み合わせで数字を入力できる最上段のキー10個にシルク印字などのヒントが一切書かれていないのは少々不親切だ。キートップ上は無理だとしても上部に印字してほしかったところだ。

キーボードは一般的なQWERTY配列だが、従来モデルにあった最上段の数字キーがごっそりなくなっている。実際には「Alt + Q」で「1」、「Alt + W」で「2」といった具合にコンビネーションで入力できるのだが、シルク印字がないため上記の入力方法に気づきにくいこちらはKindle DXにおけるキーの拡大。数字入力はキーのコンビネーションで行なう仕様だが、キートップのアルファベットの隣に数字がシルク印字されているため分かりやすい
従来製品(左)と本モデル(右)のキー配置の比較。キーが5段から4段になったことで若干のレイアウト変更がある。スラッシュ(/)の入力は、SYMキーを押すことで表示されるパレットに移動した

 従来製品にあったスティックポインタ状の通称「5-way controller」は廃止され、携帯電話のキーと似た4方向移動&中心部の決定キーという仕様に改められた。以前の「5-way controller」は操作音がそこそこ大きかったので、操作性向上以外に静音化という意味でもメリットがある。Menu、Home、Backキーもコンパクトにまとめられ(どれがどれか見間違えやすいのはあるものの)収まりは非常に良くなった。

 また、本体両サイドに搭載された進む/戻るボタンは、従来は左右非対称だったのが、今回は対称の仕様に改められた。もっともブラウザのように「左が戻る、右が送る」ではなく、「上が戻る、下が送る」というやや特殊な配置であり、さらにそれが本体両サイドそれぞれに装備されていることから、ブラウザと同じ感覚で操作すると戸惑う。左手でも右手でも操作できるユニバーサル設計を優先したためと思われるが、ユーザビリティ的には微妙な配置だ。設計サイドの苦心の跡が見て取れる。

従来の「5-way controller」は廃止され、上下左右&決定キーを備えたボタンが装備されている。Menu、Home、Backキーもこのボタンを中心にレイアウトされている戻る/進むボタンは同じ機能を持ったものが本体両サイドに装備されている。めくる方向が対称になっているわけではない点に注意
戻る/進むボタンの幅は従来モデル(右)に比べるとかなり狭め。ちなみに従来モデルでは誤操作防止のためかボタンの向かって内側を押さなければ反応しなかったが、今回のモデルではとくにそうした工夫はない。なお、本モデル(左)のほうが画面のコントラストがはっきりとしていることがよくわかる実際に手でホールドしたところ。戻る/進むボタンを押す際には、本体の縁を押すような格好になる。従来モデルのようにボタンの上に指を置いた状態にできないため、従来モデルに慣れたユーザーは多少気になるポイントだ

 このほかの大きな変更点としては、従来モデルでは本体上面にあった電源のスライドスイッチおよびイヤフォンジャック、さらに右側面にあったボリューム調整ボタンが本体下面に移動したことが挙げられる。電源スイッチはLEDも追加されており、充電時に緑色に光る。また、本体左側面にはケースを取り付けるための穴が2カ所に設けられており、ほぼ標準オプションのLEDライト付きカバーを取り付ける際は、ここからライトに給電する役目も果たしているようだ。

本体下面には左から順に、ボリューム調整ボタン、イヤフォンジャック、micro USBコネクタ、電源スイッチが並ぶ。ボタン類がここに集められたことで、上面と側面にはボタン類がなくなった背面上部にスピーカーを装備。読み上げ機能およびMP3プレーヤー機能で利用する

 ちなみに本体のストレージ容量は4GB(ユーザ利用領域は3GB)となっており、3,500冊の本をダウンロードして持ち歩けるとしている。さらにバッテリ寿命は、ワイヤレス機能をオンにした状態で10日間、オフにした状態だと1カ月間と、旅行時にもまったく気にせずに済むレベルになった。

●ページめくりの大幅な高速化を実現。Twitterに投稿できるSNS機能も

 電源を入れるとHome画面が表示され、上下キーを使って読みたい電子書籍コンテンツを選択し、決定キーを押すとページが開いて読むことができる。これらの操作体系は従来モデルと同様だ。Menu画面からKindle Storeに移動して新たに電子書籍コンテンツを購入できる点も変わっていない。また、Locationを指定してのコンテンツ内移動、検索、ブックマークや、文字サイズや行間などの調整といった機能も従来モデルをほぼ踏襲している。

 Kindle 2のファームウェア「2.5.2」で新しく追加されたCollection機能も利用できる。これは内蔵コンテンツをCollectionと呼ばれる仮想フォルダに分類する機能だ。6インチモデルのKindleでは一画面に表示できるコンテンツ数は10個までなので、この機能を使えばHome画面が乱雑にならずに済む。例えばPDFファイルを大量に保有しているのであれば「PDF」という名前のCollectionを作ってそこに放り込んでおくいった使い方が考えられる。

Home画面。後述するように日本語表示に対応する。また新機能の「Collection」を使ってコンテンツを分類保管できるのも特徴「Collection」には任意のコンテンツを分類しておける。PDFファイルを大量に保管してある場合などに便利だ。ちなみに点線はコンテンツのLocations数もしくはページ数を表す「Collection」にコンテンツを追加するには、コンテンツを選択した状態で右方向キーを押し、表示されたメニューの中から「Add to Collection...」を選択する
日本語表示に対応するものの、メニュー表示については依然として英語のままだKindle Storeについても英語表示のまま。なおネットワークはデフォルトでは3Gになっているので、Wi-Fiに変更しておくと良いSettingの画面。ユーザー登録、デバイス名設定、Wi-Fiの設定、デバイス情報の表示が行える
Wi-Fi機能の設定はHome画面のSettingにある「Wi-Fi Settings」から行なう。SSIDは自動検出されるほか、ステルス状態にあるAPのSSIDを直接入力することも可能だ

 さて、今回のモデルを実際に使ってすぐ気がつくのが、従来モデルに比べて反応速度が圧倒的に速くなっていることだ。もちろんこれは「E-Ink的に」であって、液晶の描画速度と同等というわけでは決してないが、メニュー操作やページめくりで待たされる感覚が大幅に減少したのは、従来のKindleを知るユーザーからすると驚きだ。本製品を1週間使ったあとで従来モデルを使ったところ、あまりの遅さに閉口してしまったほどだ。

 高速化の要因は、電子ペーパーの世代が違うこともあるだろうが、内部で先読みが行なわれているのではないかと思われる。いずれにせよユーザーにとってはありがたいことだ。次のページをめくるまでの時間が比較的短いマンガなどは、特に恩恵を被ることになるだろう。

【動画】ページめくりの速度の比較。左が従来モデル、右が新Kindle。表示しているのはうめ著「青空ファインダーロック」(PDF版)。ページ送りボタンをクリックしてから描画が完了するまでの速度が、新Kindleのほうが圧倒的に速いことがわかる。いったん白黒反転する挙動は従来と変わっていない

 また反応速度の向上だけでなく、今回のモデルでは画面が15%明るく、コントラストも50%向上したとされている。実際に並べてみても、白黒のコントラストは明らかにはっきりとしている。粒子が粗く、多少ザラザラしているようにも感じられるが、個人の好みの問題だろう。なおPDFについては明るさを5段階で変更できるので、スキャナで生成したPDFの色が濃すぎたり、薄すぎるという場合は、Kindleの側で調整できる。

PDFファイルについては明るさを5段階で変更できる。これは一番明るい「lightest」(左)と、一番暗い「darkest」(右)の比較。コンテンツによっては便利に使えることもあるだろう

 また、ソーシャルネットワーク機能として、本文の一部を抜き出してTwitterへ投稿することも可能になっている。文字列を範囲指定すると投稿画面が表示され、コメントをつけて投稿することにより、それら引用箇所をウェブ上に蓄積していけるというものだ。残念ながら日本語でコメントをつけることはできないが、今後に期待を抱かせる機能である。なお、ファームアップ済みのKindle 2でも同様の機能が利用できる。

まずはKindleにTwitterのアカウントを登録する。OAuth認証を経てTwitterへの投稿が可能になる本文から引用したい箇所を範囲選択し、Alt + 改行キーを押す。すでにハイライトをつけた箇所を呼び出して投稿することも可能。表示しているのは村上春樹著「ノルウェイの森」の英語版(Norwegian Wood/Haruki Murakami)コメントを入力する。残念ながら現時点では日本語は入力できない。Shareを押して「Message Shared」と表示されると投稿完了
実際にTwitterに行なわれた投稿。引用箇所が直接ポストされるわけではなく、Amazon.com上のページに引用箇所がまとめられ、そのページへの短縮リンクがツイートされるという仕組みなので、140字の制限を気にする必要はない。ハッシュタグ#kindleは自動入力される「http://amzn.com/」から始まる短縮リンクをクリックすると、Amazon.com上のページが表示される。引用した箇所が""囲みで記述され、あわせて元の書籍のタイトルや著者名が表示される書名をクリックすると、Amazon.comのページにジャンプし、Kindle版はもちろんハードカバー版やペーパーバック版を購入することができるという仕組み

 このほか、実験段階の拡張機能として搭載されていたウェブブラウザ機能、音楽再生機能、読み上げ機能も利用できるが、読み上げ機能については日本語には対応していない。具体的には、文中のアルファベットだけを読み上げるという挙動になる。

拡張機能の画面。顔ぶれは従来と変わっていないブラウザは従来のNF BrowserベースからWebKitベースに改められている。動作速度は決して速いわけではないが、日本語の表示が可能となったことで、ウェブブラウジング用途に使うのも悪くはなさそうAlt + ↑ + Mキーでマインスイーパゲーム「Find the mines!」を呼び出して遊ぶこともできる

●日本語表示に対応。テキストファイルの表示も可能

 さて、前置きが長くなったが、今回の新モデルの目玉である日本語表示についてみていこう。

 従来のKindleで日本語を表示するためには、PDFにフォントを埋め込んでおくか、もしくはページ全体を画像化しておく必要があった。またフォントを埋め込んでいる場合でもファイル名は日本語が使えず、アルファベットでファイル名をつけておく必要があった。

 今回のモデルでは、PDFのファイル名に日本語が利用でき、Home画面で日本語のファイル名がそのままタイトルとして表示される。また日本語テキストファイルの表示にも対応しており、フォントサイズや行間の調整が自在にできる。部分的に文字化けがあったり、行頭に句読点が来るなど禁則処理が不十分な場合も見られるが、Readmeファイルを読んだり、青空文庫のファイルを読むのに重宝しそうだ。さらにウェブブラウジング画面でも日本語が利用できる。

 と、やや煮え切らない書き方をしたのは、どうやらフォントが埋め込まれていないPDFは、日本語が表示できないらしいことが分かってきたからだ。Acrobatの初期値ではフォントが埋め込まれるようになっているので、Wordなどから標準設定のままPDF出力すればKindleできちんと読めるのだが、フォントを埋め込まない設定で生成した日本語PDFファイルは、真っ白になって表示されてしまう。

 当初は筆者のPDF出力環境に起因する問題かと思っていたのだが、同様に表示されないという情報がネット上に多数あることからも、どうやらPDFについては依然としてフォント埋め込みが必須であると見て間違いなさそうだ。せっかく丸ゴシックに似た日本語フォントが内蔵されていながら、フォントが埋め込まれていないPDFが表示できないというのは、ちょっともったいない気がする。今後の対応を待つことにしたい。

 このほか、PDFの閲覧中に本体がフリーズして再起動したり、急に終了してHome画面に戻るケースは、従来モデルよりも増えたように感じる。表示そのものは一定のレベルに達してはいるものの、まだまだクセがある、というのが率直な感想だ。ただ、これらの不安定さはフォーマットに起因することが多いため、利用方法によっては不安定さをまったく感じずに使えてしまう場合も少なくないと思われる。

フォントを埋め込んだPDFを表示したところ。ちなみにこのPDFではフォントサイズは18ptに設定しているフォントが埋め込まれていれば縦書きのPDFも表示できる。今回表示しているのは7月に行なわれた電子書籍の即売イベント「電書フリマ」で販売された、鴨志田新悟著「ぐるぐる大回転」テキストファイルもそのまま表示される。フォントは丸ゴシックに近い形状で、海外製品にありがちな繁体字などが混じるケースもない。ただしハイフンのあとで強制改行されたり、句読点が行頭に来るなど、禁則処理に少々難がある模様。今回表示しているのは青空文庫からダウンロードした太宰治著「グッド・バイ」で、振り仮名はタグ表記のまま表示されるものの、問題なく読むことが可能
テキストファイルを表示した場合は、フォントサイズや行間、余白などの設定が自在に変更できる。日本語フォントの変更はできないフォントが埋め込まれていないPDFでは、日本語部分が真っ白に飛んでしまう。この例では欧文フォントだけが埋め込まれているため、数字およびアルファベットのみ表示されている

 日本語表示チェックのおまけとして、以前のKindle DXのレビューで用いたフォントサイズ比較シートを表示してみた。前回はいったんプリントしてからScanSnapで取り込んで画像として表示していたが、今回はWord文書からPDF出力したデータがそのまま表示できる。これを見る限りでは、かすれずに読めるフォントサイズは14ptあたりが下限のようだ。

前回のKindle DXのレビューでも用いたフォントサイズ比較シートKindleで表示したところ(右が拡大図)。文字のかすれがなく読めるのは14ptが限界のようだ。Kindle向けにPDFデータを出力する場合は、14ptを下限にしておけば、ズーム機能を使わなくともスムーズに読めるだろう

●標準辞書を英和辞典に置き換えることで、日本語訳が表示可能

 さて日本語表示が可能になったとはいえ、Kindle Storeで販売されているのは英語の書籍がほとんどである。もしこれらの書籍を訳しながら読みたければ、Kindleで利用可能な英和辞典「英辞郎●MOBI/Kindle対応版」を導入するとよい。

 Kindleはデフォルトで2つの英英辞典が搭載されており、英単語にカーソルを当てるとページ下部に意味を表示してくれるようになっているが、東村ジャパンが発売している「英辞郎●MOBI/Kindle対応版」を購入して標準辞書に設定することで、ページ下部に英単語の意味が日本語で表示されるようになるのだ。

 実際に使ってみたが、PCのマウスオーバー辞書並みのシームレスな操作が実現できており、英語のコンテンツを読み進めるには最適だ。英語の勉強がてら英字新聞を購読するというのもありだろう。価格はPaypal利用で1,470円とそこそこリーズナブルなので、Kindleで英語コンテンツを読む人は導入しておくとよさそうだ。

東村ジャパンの「英辞郎●MOBI/Kindle対応版」。購入手続きが済んだらダウンロードし、KindleのdocumentsフォルダにコピーしておくHome画面を表示させた状態でMenuキーを押して「Setting」を選択。そこで再度Menuキーを押して「Change Primary Dictionary」を選択する標準辞書を変更するための画面が表示されるので、「EIJ123k 英辞郎●MOBI/Kindle」を選択する。以上で設定変更は完了
英単語の手前にカーソルを置くことにより、ページ下部に単語の日本語訳が表示されるようになる。マウスオーバー辞書に近い感覚で、英語のコンテンツを手軽に読み進めることができる全画面を使って詳細を表示することも可能だ

●本の使い勝手に近づけようとする姿勢に好感。価格の引き下げでお買い得に

 以上ざっと見てきたが、従来モデルに比べてコンパクト/軽量になり、さらにページめくりなどの速度が高速化されたことで、電子書籍ビューアとしての完成度はさらに高まった。読書時にハードウェアの存在をなるべく意識させず、本の使い勝手に少しでも近づけようとする開発姿勢には好感が持てる。

 日本語対応については多少の不安定さもあるほか、メニューの日本語化も果たされていないなど、まだこれからといった感はあるが、まずは第一歩として大いに歓迎したい。特にPDFのタイトルがきちんと表示されるようになったことで、PDFリーダーとしての実用性はさらに高まった。実売価格が従来モデルよりも安くなったうえに円高の影響もあり、実売2万円以下で購入できるのは大きい。従来モデルの購入は見送った人でも検討する価値は十分にあるだろう。

 最後に、事実上の標準オプションの1つであるカバー「Leather Cover with Light」について触れておこう。このカバーはライトを内蔵しており、本体の右上部からスライドさせて引っ張り出すことにより自動的にライトが点灯するようになっている。ナナメ上から照らす格好になるため画面全体を均一に明るくできるわけではないが、暗所で使うぶんには重宝しそうだ。

 固定方法は従来モデルと同じで、本体左側の専用ホールに金属のツメをひっかける構造になっているが、どうやらこの金属のツメでKindle本体から電力を供給しているようだ。ライト内蔵によって厚みと重量が増したのはやや気になるが、暗所で使うことが多い人は本体と同時に注文するとよいだろう。重量を気にする人はこのケースにこだわらず、自前でキャリングケースなどを探したほうが良いかもしれない。

カバー(Leather Cover with Light)を装着した状態。Kindle左側面にある穴に金属のフックをひっかけて固定する本体右上部にLEDライトが内蔵されている。指でつまんで引っ張り出す構造
画面全体を均一に照らせるわけではなく、光量の調整もできないが、ベッドサイドなどでの読書時には重宝するだろう従来のカバーにはなかったバンドが付属している。従来はバッグに入れる際にひらいてしまうことがあったので、使いやすくなった印象だ

(2010年 9月 7日)

[Reported by 山口 真弘]