イベントレポート
Lenovo、HaswellとWQHD液晶を採用した新型「ThinkPad X1 Carbon」発表
(2014/1/6 09:00)
Lenovoは、ラスベガスで1月7日(現地時間)より開催される2014 International CESで公開予定の新製品を発表。14型液晶を搭載したUltrabook「ThinkPad X1 Carbon」の新モデルを追加した。
製品名は従来と同じThinkPad X1 Carbonだが、CPUは第4世代Coreプロセッサへと更新され、筐体デザインも大幅に見直されており、新たにキーボードのファンクションキー列がアプリケーションや液晶ディスプレイの開き具合などにより可変するキーボード(Adaptive Keyboard)を採用。ハードウェアキーボードとソフトウェアキーボードの良さをミックスしたような新しい形状が大きな特徴になる。また、液晶ディスプレイは従来までのHD+(1,600×900ドット)に加えて、WQHD(2,560×1,440ドット)もラインナップされているなど、従来のThinkPad X1 Carbonから大きく進化している。
新型ThinkPad X1 CarbonはWQHD液晶と変幻自在のファンクションキーボードを搭載
ThinkPad X1 Carbonは、2012年の半ばに発表されたThinkPadブランドのUltrabookで、従来のThinkPadシリーズに比べて薄型を実現したことで話題になった。ただ、2013年中は新製品が発表されず、プラットフォームとしては前世代となる第3世代Coreプロセッサ(Ivy Bridge)を搭載した製品が継続販売されており、最新の第4世代Coreプロセッサ(Haswell)を搭載した新製品の登場が待ち望まれていた。
今回Lenovoが発表した新しいThinkPad X1 Carbonだが、英語では「The New ThinkPad X1 Carbon」と表現されており、ThinkPad X1 Carbon 2などといった新しいブランド名ではなく、製品名としては従来と同じThinkPad X1 Carbonと呼ばれることになる。CPUは、第4世代Coreプロセッサに強化され、従来モデルと同じようにエンタープライズなどでクライアントPCの管理に利用されるvProに対応している。従来モデルと同様に指紋認証、TPMなどのセキュリティ機能も利用できる。
なお、選択できるCPUのSKUは詳しくは公開されていないが、GPUにIntel HD Graphics 5000(GT3)を内蔵したUプロセッサが選べることが発表されており、Core i7-4650UなどGT3を内蔵したCoreプロセッサが選択できるようになるのは嬉しいところだ。メモリは最大8GB、ストレージはSSDで最大512GBまで選択することができる。
新しいThinkPad X1 Carbonの大きな特徴は、中身だけでなく筐体も一新されていることだ。アルミやカーボンよりも軽量で強度が高いカーボンを天板と底面に利用した筐体は従来製品と一緒ながら、約1.31kg~(従来製品は約1.36kg~)と従来製品に比べて若干軽量化されている。見た目の最大の特徴は、6列あったハードウェアキーボードが5列になり、ファンクションキー(F1~F12など)の列が可変キーボードと呼ばれるソフトウェアキーに置きかえられていることだ。例えば、VoIPのソフトウェアを起動すると、このソフトウェアキーの列には、VoIPを操作しやすいようにボリュームキーや通話のオン/オフといった特定の機能が割り当てられる。どのキーを割り当てるかは設定可能で、アプリケーションによって設定を変えられる。
Windows 8世代からは、ファンクションキーの代わりミュート、ボリューム、マイク、輝度などを標準で割り当ててあるキーボードの定義も登場しているが、これはそのソフトウェア版だと言うことができるだろう。
ただ、ATOKなどの日本語IMEの中には、カタカナ変換や半角/全角の切替にファンクションキーを利用して行なうのが標準設定のIMEがあり、そうしたIMEを利用しているユーザーにとっては、F7、F8、F9などで行なっているそれらの操作を、Ctrl+I、Ctrl+O、Ctrl+Pで置きかえる必要が出てくるだろう。ただし、Lenovoの関係者によれば、日本でさえもファンクションキーをIMEの変換に利用するユーザーは減る一方で、そうしたことが分かったため、こうした仕様にしたとのことだ。
WQHD液晶を選択可能、ケーブル1本で従来のドックの使い勝手を実現するOneLink Dock Pro
もう1つの新しいThinkPad X1 Carbonの特徴は高精細な液晶ディスプレイを選択できることだろう。従来のX1 Carbonでは、HD+液晶のみが選択可能だったが、新しいThinkPad X1 CarbonではWQHDの高精細IPS液晶も可能になっている。もちろん10点マルチタッチも選択可能で、従来製品と同じように180度まで開くことができるので、ちょっとしたプレゼンであれば、相手に資料を見せながらプレゼンテーションという使い方が可能だ。この時、前出の可変キーボードに画面の方向を切り替えるボタンを表示させておけば、ワンタッチでプレゼン資料の方向を相手に変えて表示するという使い方もできる。
インターフェイス類は、USB 3.0×2、ヘッドフォン/マイク端子、Mini DisplayPortなど従来モデルでも搭載されていたポート類は継続され、それに加えて出張時のホテルなどで利用しやすいようにフルサイズのHDMIポート、さらには専用のLANドングル用のポートが用意されている。オプションに設定されているLANドングル用にコントローラが本体に内蔵されており、vProを利用して企業内の資産管理を行なう場合などに必要なPXEブートなどが行なえるようになっている。Ultrabookでは有線LANをUSBで拡張する例が多くなっているが、そうしたPXEブートやIntelのコントローラを利用した管理機能などはUSBのアダプタでは代替できないため、こうした仕様になっているのだ。
このほか、Lenovoの「OneLinkドッキングコネクター」と呼ばれる独自のポートリプリケータ用の端子も用意されており、新しいThinkPad X1 Carbonと同じタイミングで新しいドッキングステーション「OneLink Dock Pro」が発売される。これを利用すると、USBポート、オーディオ、DisplayPort/DVIなどをケーブル1本で外部ボックスにスルー出力できるようになる。従来のX1 Carbon用に発売されていたUSBポートリプリケータでは、例えばディスプレイ出力はUSBディスプレイとなるDisplayLinkのドライバなどを別途インストールする必要があったが、OneLinkドッキングコネクターはUSBやDisplayPortなどの信号線を本体からスルーして出力することができるようになるため、新しいドライバーが必要ないという利点がある。使い勝手の観点でも、処理能力の観点でもメリットは大きい。
無線関連は、Bluetooth 4.0+Wi-Fi(IEEE 802.11ac対応も用意される)が標準だが、それに加えてNFC、ワイヤレスWAN(LTE)なども選択できる。また、具体的なバッテリ容量は現時点では発表されていないが、米国で利用されている計測方法では9時間駆動が可能になっており、Lenovoによれば前モデルに比べて70%の改善がなされているとのことだ。従来モデルと同様に短時間で急速充電が可能なRapid Charge機能にも対応しており、1時間以内に80%の充電が可能になる。
この新しいThinkPad X1 Carbonは1,299ドル~という価格帯で1月末に出荷が予定されている。OneLink Dock Proは米国での価格は170ドルが予定されている。なお、日本で販売されるかどうかに関しては、現時点では未公表だが、日本で販売されない理由はないと考えられるため、そう遠くない時期に日本法人のレノボ・ジャパンから発表される可能性は高く、期待したいところだ。
新しいThinkPad X1 Carbon | |
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プロセッサ | 第4世代Coreプロセッサ |
メモリ | 最大8GB(オンボード) |
ストレージ | 最大512GB |
GPU | Intel HD Graphics 5000(GT3)/4400(GT2) |
ディスプレイ | 14型1,600×900ドットTN液晶/14型2,560×1,440ドットIPS液晶(10点マルチタッチ選択可能) |
オーディオ | ステレオスピーカー(Dolby Digital Plus)/HDマイク |
ポート | USB 3.0×2(1ポートはスタンバイ中の充電対応)、3.5mmオーディオ(ヘッドフォン/マイク)、HDMI、OneLinkドック、Mini DP、LANドングル |
無線 | Bluetooth 4.0、Wi-Fi(IEEE 802.11ac対応可能)、NFC、ワイヤレスWAN(SKUにより構成は異なる) |
カメラ | 720p HDカメラ |
バッテリ駆動時間(容量) | 最大9時間(容量非公表) |
サイズ | 331×226×18.46mm(幅×奥行き×高さ、タッチモデル)/331×226.5×17.7mm(同、非タッチ) |
重量 | 約1.31kg~ |
OS | Windows 8.1 |
価格 | 1,299ドル~ |