イベントレポート

ASUS、台湾本社でZenFone 3などの特徴を詳細解説

~社内の福利厚生施設なども公開

ASUS本社前

 ASUSは、COMPUTEX TAIPEI 2016開催に合わせて国内外の報道陣を対象とした本社ツアーを開催。本社社屋を公開するとともに、ASUS開発者によるZenFone 3シリーズなどの技術的な特徴を詳しく解説した。

ASUSのデザインコンセプトは「ユーザーにすばらしいものを届ける」

 ASUSの開発陣が製品のデザインを行なう場合には、まずデザインスケッチでデザインのアウトラインを作り、続いてそのデザインスケッチをもとにモックアップを作り、デザインだけでなく機能的な部分も決めていくという。

Transformer 3用キーボードカバーの初期モックアップ。改善点やアイデアなどが直接書き込まれている

 Transformer 3シリーズでは、優れた性能を備え、軽快に持ち運べ、どこでも快適に利用できるということをコンセプトに、機能面やデザインを積み上げていったという。例えば、Transformer 3のキーボードカバーでは、まず始めにデザインスケッチで基本となるコンセプトデザインを決め、そのスケッチを元に紙を使ったモックアップを作成し、デザインと機能を煮詰めていった。その際、モックアップ自体に問題点や新たなアイデアなどを直接書き込むことで、デザイナーとエンジニアとのコミュニケーションがより密に取れ、その後の開発も進めやすくなったそうだ。

 また、Transformer 3 Proのキックスタンドのメカニズムを煮詰めるために、ヒンジ部分を拡大したような紙のモックアップを制作し、ヒンジ部の動きを確認。3Dプリンタを使ったモックアップも制作し、より細かなメカニズムをブラッシュアップしながら、デザインと機能の両立を図っていったという。その後、キックスタンドを含めた本体のモックアップを作成ながら、1つずつ問題点を改善するとともに、表面のデザインも含めた、最終的なデザインと機能を煮詰めていったそうだ。

 本体デザインと機能は、両立が難しい課題となることが多いが、ASUSではデザイナーとエンジニアが密に連携できる環境が整っていることで、ユーザーがアッと驚くような素晴らしい製品を届けられることに繋がっているという。

モックアップに問題点などを書き込むことで、デザイナーとエンジニアとの連携が密に取れ、改善もやりやすくなるという
改善点を踏まえたモックアップを作成しながら、最終的なデザインと機能を煮詰めていくという
こちらは、Transformer 3 Proのキックスタンドのデザインスケッチ
デザインスケッチをもとにモックアップを作成し、問題点と機能を改善
キックスタンドのヒンジ部分を拡大したモックアップも制作し、機能を確認
修正を加えつつ、3Dプリンタを使ったモックアップも作るという
キックスタンドもモックアップに直接アイデアを書き込んでエンジニアと調整を行なったという
キックスタンドの表面デザインも、複数試して確認

ZenFone 3では、画像処理やサウンド、カメラの技術を解説

 COMPUTEX TAIPEI 2016に合わせて発表された新スマートフォン「ZenFone 3」シリーズの特徴的な機能についての解説も行なわれた。

 ZenFone 3シリーズでは、「VisualMaster 3.0」という画像処理機能を搭載。これは、画像や映像がより美しく見えるように補正処理を行なう機能の総称で、いくつかの画像処理機能を内包している。そして、VisualMaster 3.0が内包する機能の核となるのが「Tru2Life+」。これは、ZenFone 3 Ultraにのみ搭載される機能で、動画再生時のコントラストを高める「Realtime HDR」、シャープネスを高める「Hyper Resolution」、野外での視認性を高める「Outdoor Readable」、動画再生時にフレーム補完によりなめらかさを高める「Blur-Free Motion」といった機能を備える。しかも、これら機能は専用チップによって処理されるため、SoCに負荷をかけずに活用できるという。

ZenFone 3シリーズでは、新たな画像処理機能「VisualMaster 3.0」を搭載
Tru2Life+は、リアルタイムで映像解析を行ない、動画などのコントラストを高める「Realtime HDR」機能を提供
「Hyper Resolution」では、シャープネスを高めて解像感や文字の見やすさを向上差せる
「Outdoor Readable」によって、野外の直射日光下でも視認性に優れる
「Blur-Free Motion」は、動画のフレーム解析を行ない、中間フレーム映像を作成してなめらかさを高める
Tru2Life+は、専用チップで処理されるためSoCに負荷をかけず利用可能。ZenFone 3 Ultraにのみ搭載する

 サウンド関連機能としては、「SonicMaster 3.0」を搭載。音割れや歪みを発生させることなく音量を高めたり、高品質ハイレゾ音源データの再生機能や、任意のヘッドフォンを利用したバーチャル7.1chサラウンドサウンド機能「DTS Headphone:X」を世界初サポートする点を特徴としている。また、新たに採用されている「Dual Five-Magnet Speaker」では、従来のスピーカーと比べてボリュームが140%向上し、低音域の音質が17%、歪みが42%向上しているという。

「SonicMaster 3.0」搭載でサウンド再生能力を高めている
CDの4倍の品質を備えるハイレゾ音源の再生に対応
任意のヘッドフォンで本格的な7.1chサラウンドサウンドを楽しめる「DTS Headphone:X」をスマートフォンとして世界初対応
再生能力が高められた「Dual Five-Magnet Speaker」搭載
iPhone 6 Plusよりも低音域から高音域まで音量が高められ、歪みも少ないという

 カメラ機能は、「PixelMaster 3.0」へと進化。PixelMaster 3.0では、オートフォーカスの速さ、手ブレ補正、写真の質感にこだわった強化を実現しているという。オートフォーカスは、第2世代レーザーオートフォーカス、コンティニュアスオートフォーカス、位相差オートフォーカスを駆使し、0.03秒での高速合焦を実現。中でも、第2世代となったレーザーオートフォーカスは、従来は40cmの距離までしか利用できなかったのが1.2mまで延長され、活用シーンが拡がっているという。

 手ブレ補正は、静止画撮影時には上下、左右、ヨー、ピッチと4軸8方向の光学手ブレ補正が、動画撮影時にはヨー、ピッチ、ロールの3軸6方向の電子手ブレ補正が利用でき、従来より安定してブレの少ない静止画や動画が撮影可能とする。

 質感では、特に色合いの再現にこだわっているという。光源の種類によって、本来の物体の色合いが失われて撮影されることも少なくないが、PixelMaster 3.0ではどういった状況でもオートホワイトバランスで自然の色合いを再現できるという。このほか、静物撮影時に活用できる、4枚高速連写した写真を合成して解像度を4倍に高める「Super Resolution Mode」、リアルタイムHDR機能、最大32秒の長時間露光などをサポート。本格的なカメラに匹敵する高品質の写真が撮影できるとしている。

ZenFone 3シリーズ搭載の「PixelMaster 3.0」は、高速オートフォーカス、手ブレ補正、質感にこだわっている
オートフォーカスは、第2世代レーザーオートフォーカス、コンティニュアスオートフォーカス、位相差オートフォーカスを駆使して正確かつ高速な合焦を実現
近距離や暗所ではレーザーオートフォーカスを活用し0.03秒の高速合焦を実現。第2世代となり適用距離が従来比3倍の1.2mに伸びたという
静止画撮影時には、4軸8方向対応の光学手ブレ補正が利用できる
動画撮影時には、3軸6方向対応の電子手ブレ補正が利用可能
どのような環境下でも、見た目に近い自然な色合いを再現するという
4枚連続撮影した写真を合成して4倍の高解像度写真を合成
リアルタイムHDR機能も進化している
最大32秒の長時間露光で、光が流れる印象的な写真も撮影可能

ASUS本社内の施設見学

 今回のASUS本社ツアーでは、本社内の福利厚生施設なども見学できたので、ここからはそれらを写真でまとめて紹介する。

本社玄関横に設置されている牛のオブジェ
動体部分はマザーボードなどの基板で構成
こちらはモナリザのオブジェ
こちらも、マザーボードの基板やコネクタ類などで作られている
ASUSは2015年に4,368もの賞を受賞しており、楯などの一部を展示
ASUS企業理念が入り口横の壁に掲げられている
ASUS本社の中庭。マザーボードを模しているという
社員食堂。昼時だったため、大勢の社員が食事を楽しんでいた
バイキング形式の食事ができる
ファストフードチェーンの店舗もある
社内にスターバックスが。台北内でもかなり上位の売上を誇っているらしい
フィットネスジム。仕事の後などに利用できるという
本格的な体育館も用意
プールもある
ジャグジーでリラックスもできる
ASUS本社は台北市中心部から北の北投区にある。周囲は緑が多く、環境も良さそうだ