社団法人コンピュータソフトウェア協会(CSAJ)は1月20日、東京・内幸町の帝国ホテルで、平成22年新年賀詞交歓会を開催した。
同協会は、PCソフトメーカーなど、コンピュータソフトウェアに関係する企業約500社が加盟するソフトウェア産業の公益団体。産業育成に向けた政策提言のほか、ベンチャー支援、ビジネスアライアンスなどの活動を行なっている。
挨拶するCSAJの和田成史会長 |
新年賀詞交歓会の挨拶に立った同協会会長の和田成史氏(=オービックビジネスコンサルタント代表取締役社長)は、「徐々に景気回復の兆しが見られはじめ、IT産業において中核的な役割を担うソフトウェア産業も明るくなってきている。ソフトウェア産業は、経済の発展とともに、低炭素社会の実現に向けても大きく寄与できる産業であり、ソフトウェアの力によって、人の移動を少なくし、エネルギー消費を減らすこともできる。オープン、フェア、グローバルという3つの柱をもち、クラウドといったソフトウェア産業の新たな動きにも挑戦していく。
クラウドに関しては、日本が持つ世界最高のブロードバンドインターネット環境を生かして、中小企業の情報化を推進する原動力としての役割を果たす。クラウド市場は2013年には1,500億ドルの規模になるという予想もあるが、クラウドビスの信頼性、安定性、セキュリティ、ユーザーインターフェイスといった課題があり、それに対して、委員会や研究会活動を通じて、ベンダー、ユーザーの双方の立場から対応を行なっていく。そのほか、高度情報人材の育成、ITベンチャーの育成、プライバシーマーク付与認定指定機関としての情報セキュリティへの取り組み、CAD利用技術者認定試験への取り組みなどにも取り組んでいく」などとした。
また、「CAD利用技術者認定試験については、開始から20年目を迎え、50万人の受験者数に達した。さらに、ITSSの利活用の推進、産学連携への取り組みを加速していくほか、ITパスポート試験の普及促進にも取り組む。グローバル化に関しては、中国、ベトナム、フィリピンにおけるソフトビジネスの状況などについて研究活動を進めている。また、ITベンチャー支援では、70回を超えるアライアンスビジネス交流会を実施し、ベンチャー企業の発掘や、企業同士のビジネスマッチングにも取り組んでいる」などとし、同協会の活動成果を紹介した。
最後に和田会長は、「陽がまた昇る日が必ずくるだろう。知恵を使って、日本経済の活性化のために活動していきたい」と締めくくった。
経済産業大臣政務官・高橋千秋氏 | 乾杯の音頭をとった富士通執行役員上席常務・松原信氏 |
来賓の挨拶として登壇した経済産業大臣政務官・高橋千秋氏は、「私もかつてはBASICを学び、FORTRANも勉強したが、ソフトを組むよりも、使う時代には入り、企業の状況が悪くなると、事業計画のなかには必ずIT化という言葉を盛り込めばいいという時代もあった。そうした中で、ソフト産業の方々は、残業をして、職人のような仕事をしていただいてきた。政府では、12月30日に新成長戦略を発表し、今後、中小企業支援に関する法案を2つ通す予定である。ただ、これは、厳しい状況を乗り切る当面の方策であり、5年、10年先の成長戦略が必要になる。クラウドの標準化問題を含めて、全面的に支援をしていきたい。来年になって今年を振り返った時、年初はやや厳しい状況にあったが、いい年だったな、といえる年になるようにがんばっていきたい」とした。
一方、乾杯の音頭をとった富士通執行役員上席常務・松原信氏は、「今年は庚虎(かのえとら)であり、庚には成長や浮き上がるという意味があり、前年を反省して前進する1年を意味する。また、虎には始まりという意味と、人々が謹んで助け合うという意味がある。社会、企業が協力しあうことで、物事が進む1年となる。知恵で語り合い、競い合う知恵で取り組みたい」などとした。
(2010年 1月 21日)
[Reported by 大河原 克行]