西川和久の不定期コラム

日本HP「HP Pavilion 11-n000 x360」

〜液晶が360度回転するBay Trail-M搭載ノートPC

HP Pavilion 11-n000 x360

 日本ヒューレット・パッカードは5月19日、2014年夏モデルのモバイルノートPCを発表した。今回はその中から液晶が360度回転するノートPC「HP Pavilion 11-n000 x360」が編集部から送られてきたので、試用レポートをお届けしたい。

4モードに変形できるコンバーチブルPC

 これまで同社のノートPCを数多く試用してきたものの、液晶が360度回転するタイプは無く、今回ご紹介する「Pavilion 11-n000 x360」は、Lenovoの「Yoga」シリーズと同様、普通のノートPCモードに加え、スタンドモード、テントモード、タブレットモードと、4つのモードに変形できるコンバーチブルPCとなる。

 「Pavilion」シリーズなので、対象は一般ユーザーであり、スペックなどをある程度抑え、価格を優先した構成になっている。主な仕様は以下の通り。

【表】日本HP「Pavilion 11-n000 x360」の仕様
プロセッサ Celeron N2820(2コア、クロック 2.13GHz
/バースト時2.39GHz、キャッシュ1MB、
TDP 7.5W/SDP 4.5W)
メモリ 4GB
ストレージ 500GB(ハイブリッドHDD)
OS Windows 8.1(64bit)
ディスプレイ 11.6型HD(光沢)、10点タッチ対応、1,366×768ドット
グラフィックス プロセッサ内蔵Intel HD Graphics、HDMI出力×1
ネットワーク Ethernet、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0
その他 USB 3.0×1、USB 2.0×2、
SDカードスロット、92万画素Webカメラ、
音声入出力、加速度センサー、
デジタルコンパス、ジャイロスコープ
バッテリ駆動時間 最大4.5時間
サイズ/重量 308×215×21.9mm(幅×奥行き×高さ)/約1.5kg
店頭予想価格 65,000円前後(税別)

 プロセッサはBay Trail-MのCeleron N2820。2コアでクロックは2.13GHz。Burst時には2.39GHzまで上昇する。キャッシュは1MB。TDPは7.5W、SDPは4.5W。Bay Trail-Tほど省エネではないものの、Core系と比較すれば、随分省エネなのが分かる。

 メモリは4GB、ストレージはハイブリッドタイプの500GB HDDを搭載している。OSは64bit版Windows 8.1。手元に届いたシステムはWindows 8.1 Updateにはなっていなかった。日本HPはUpdate適用済みのデスクトップPCを出しているが、ノートPCはまだのようだ。

 ディスプレイは光沢式11.6型のHD解像度(1,366×768ドット)で10点タッチ対応。グラフィックスは、プロセッサ内蔵Intel HD Graphics。外部出力用としてHDMIを備えている。

 ネットワークは有線LANがEthernet、無線LANがIEEE 802.11b/g/n。Bluetooth 4.0にも対応。Gigabit Ethernet非対応なのは残念なところだ。

 そのほかのインターフェイスは、USB 3.0×1、USB 2.0×2、SDカードスロット、92万画素Webカメラ、音声入出力、加速度センサー、デジタルコンパス、ジャイロスコープ。

 一通り揃っている上に、このクラスのノートPCとしては、デジタルコンパス、ジャイロスコープを内蔵しているのは珍しく、タブレットモードでの使用を意識してのことだろう。

 サイズは308×215×21.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.5kg。バッテリ駆動時間は最大4.5時間。モバイルPCとして考えると重量とバッテリ駆動時間が今一歩か。店頭予想価格65,000円前後(税別)も内容を考えると若干高めかも知れない。

前面。液晶パネル中央上にWebカメラ、中央下にWindowsボタン。本体側面には何も無い
斜め後ろから。バッテリを内蔵しているのでスッキリしている。真っ赤なカラーリングもなかなか良い
底面。メモリなどにアクセスできる小さいパネルは無い。手前左右のメッシュの部分にスピーカーが埋め込まれている
左側面。ロックポート、電源ボタン、USB 2.0×1、音声入出力、音量±ボタン
キーボードは10キー無しのアイソレーション・タイプ。キーピッチが変則的なグループも無く扱いやすい。タッチパッドは1枚プレート型
右側面。電源入力、Ethernet、HDMI、USB 3.0×1、USB 2.0×1、SDカードスロット、HDDアクセスLED
スタンドモード。キーボードが下になるため、このモードとタブレットモードは自動的にOFFとなる
テントモード。裏側のスピーカーが前に向く上、机にも音が反射するため、動画などを観る時はこのモードが良い
タブレットモード。一般的なタブレットと比較してそれなりに厚みがあり、これをタブレットと呼ぶには若干違和感がある
重量は実測で1,567g
キーピッチは実測で約19mm
ACアダプタは約90×35×25mm(幅×奥行き×高さ)/169g

 筐体は本体のフチも含め真っ赤。少し派手だが、個人的には好みだ。Beats Audioのロゴも目立つ。塗装は指紋が付きにくい「ソフトタッチペイント」を採用。実際気になるような指紋は付かないのが特徴だ。

 液晶パネル中央上にWebカメラ、中央下にWindowsボタン。左側面にロックポート、電源ボタン、USB 2.0×1、音声入出力、音量±ボタン。右側面に電源入力、Ethernet、HDMI、USB 3.0×1、USB 2.0×1、SDカードスロット、HDDアクセスLEDを配置。裏は手前にスピーカーがある。メモリなどへアクセスする小さいパネルは無いが、Bay Trail-Mと言うことを考えると特に必要無いだろう。バッテリは内蔵式で着脱はできない。付属のACアダプタのサイズは約90×35×25mm(同)、重量169gとコンパクトだ。

 液晶パネルは10点タッチ対応の11.6型を搭載している。IPS式でないため視野角は狭く、発色もクラス相応と言ったところ。あと一歩のクオリティアップを望みたい。

 キーボードの周囲やパームレストはつや消しのアルミ素材を採用。他の赤い部分とのコントラストがいい感じだ。タッチパッドも同様の素材が使われ、物理的なボタンが無い1枚プレートタイプとなっている。

 キーボードは10キー無しのアイソレーションタイプだ。たわみも無く、個人的には合格ライン。また一部狭くなっているが主要キーのキーピッチは約19mm確保され、配列なども普通で扱い易いキーボードとなっている。ファンクションキーはそのまま押すと機能キー、[Fn]キーとの併用で従来のファンクションキーの動作となる。

 発熱や振動、ノイズに関しては試用した範囲では特に気にならなかった。特に同社の場合、発熱に関しては昔から「HP Cool Sense」を搭載し、効率的にコントロールしている。

 サウンドはBeats Audioのロゴが付いているだけに、クラスの割に迫力のある音楽が再生できる。また意外だったのはテントモードで、この形状にすると、裏手前にあるスピーカーが、前を向く上、机に音が反射して、結構いい感じに鳴ってくれる。音楽や動画を再生するときは、テントモードにした方がより楽しめるだろう。

 なお、360度回転するヒンジ部分はメーカーによると45,000回の開閉テストが行なわれており、安心していろいろなモードに変形させることができる。

Bay Trail-Mなのでパワーはそれなり

 OSは64bit版Windows 8.1。先に書いた通りWindows 8.1 Updateはあたっていない。スタート画面とアプリ画面は2画面。デスクトップは、壁紙の変更とマカフィーへのショートカット1つ。タスクバーにピン止めが3つとシンプルだ。

 HDDは500GBでハイブリッドタイプの「ST500LM000」を搭載。事実上C:ドライブのみの1パーティションで約449GBが割り当てられ空きは424GB。メモリ4GBでHDD 500GBと、Windowsマシンとしては標準的な構成だが、ハイブリッドHDDのキャッシュが効いているのか、気持ち普通のHDDよりサクサク作動する感じがする。

 有線LANはRealtekのPCIe FE Family Controller、Wi-FiはRalink製、BluetoothはMediatek製だ。センサーに複数のデバイスも見える。

スタート画面。Windows 8.1標準
スタート画面2。HPアプリ以降がプリインストール。HP Support Assistantはデスクトップアプリ
起動時のデスクトップ。壁紙の変更、ショートカット1つ、タスクバーにピン止めが3つと割とシンプル
デバイスマネージャ/主要なデバイス。HDDは500GBでハイブリッドタイプの「ST500LM000」。有線LANはRealtekのPCIe FE Family Controller、Wi-FiはRalink製、BluetoothはMediaTek製。センサーに複数のデバイスが見える
HDDのパーティションはC:ドライブのみの1パーティションで約449GBが割り当てられている

 プリインストール済のソフトウェアは、Windowsストアアプリが、「Fresh Paint」、「HP Connected Photo」、「HPに登録」、「Windows 8入門」、「YouCam」、「マカフィーセントラル」。どちらかと言えば同社のアプリが中心の構成だ。

アプリ画面1
アプリ画面2
Windows 8入門
HP Connected Photo
YouCam

 デスクトップアプリは、「HP Control Zone」、「HP SimplePass」、「HP AC Power Control」、「HP Support Assistant」、「Beats Audio」、「CyberLink Media Suite」、「HP Utility Center」、「HP Recovery Manager」、「マカフィーリブセーフインターネットセキュリティ」など。こちらも同社のユーティリティ系が中心となっており、必要以上にソフトウェアはインストールされていない。

HP Support Assistant
Beats Audio
HP 3D DriveGuard/HP Cool Sense

 ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2の結果を見たい。バッテリ駆動時間テストはBBench。またCrystalMarkの結果も掲載した(今回は2コア2スレッドと条件的には問題ない)。

 winsat formalの結果は、総合 3.9。プロセッサ 4.9、メモリ 5.9、グラフィックス 3.9、ゲーム用グラフィックス 4、プライマリハードディスク 5.9。PCMark 8 バージョン2は1193。CrystalMarkは、ALU 11837、FPU 13569、MEM 15896、HDD 12734、GDI 5369、D2D 3312、OGL 3858。

 2コアのBay Trail-MだけにCoreクラスと比較するとそれなりに遅い。とは言え、プロセッサ 4.9、メモリ 5.9なので、普通のアプリケーションであれば気にならないレベルで作動する。

 BBenchは、省電力、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残9%で15,399秒/4.3時間。仕様上の最大4.5時間とほぼ同等の結果となった。バッテリも着脱できないので、1日外で使うのには無理がありそうだ。

「winsat formal」コマンド結果は総合 3.9。プロセッサ 4.9、メモリ 5.9、グラフィックス 3.9、ゲーム用グラフィックス 4、プライマリハードディスク 5.9
PCMark 8 バージョン2は1193だった
BBenchの結果。省電力、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残9%で15,399秒/4.3時間
CrystalMarkはALU 11837、FPU 13569、MEM 15896、HDD 12734、GDI 5369、D2D 3312、OGL 3858

 以上のようにHP「Pavilion 11-n000 x360」は、液晶が360度回転し、通常のノートPCモードに加え、スタンドモード、テントモード、タブレットモードと4つのモードに変形できるコンバーチブルPCだ。モバイルデバイスとして考えた場合、デジタルコンパス、ジャイロスコープを搭載しているもの魅力的。

 プロセッサがBay Trail-Mなので、あまりパワーが無く、バッテリ駆動も4時間強だが、カラーリングも含めデザインがお洒落と言うこともあり、ライトにタッチ対応のWindows 8.1を使ってみたいユーザーにお勧めの1台だ。

(西川 和久 http://www.iwh12.jp/blog/