レノボ「ThinkPad T410s」
〜Core i5搭載のスリムノートPC



ThinkPad T410s

発売中
直販価格:210,000円



 レノボ・ジャパンから登場した「ThinkPad T410s」(以下T410s)は、2009年夏に登場した「ThinkPad T400s」(以下T400s)の後継モデルであり、ボディはほとんど同じだが、CPUに最新のCore i5を搭載し、プラットフォームが一新されている。T410sは、性能と携帯性の両方を重視したThinkPad Tシリーズの中でも、携帯性に振った製品であり、最薄部21.1mm、最厚部25.9mmのスリムなボディを実現している。

 T410sは、BTOによって単体GPUやSSDの搭載などのカスタマイズが可能だが、BTOでの購入が可能になるのは4月以降の予定であり、現時点では固定仕様モデルの2904ELJしか発売されていない。今回は、2904ELJを試用する機会を得たので、早速レビューしていきたい。なお、今回試用したのは、試作機であり、製品版とは細部の仕上げや性能が異なる可能性がある。

●GPUを統合し、4スレッド同時実行が可能なCore i5を搭載

 T410sの前モデルであるT400sは、日本ユーザーの要望に応えて開発された製品であり、要望の多かった薄型化と軽量化を重視して誕生した。T410sもT400sのボディを受け継いでおり、337×241.5×21.1〜25.9mm(幅×奥行き×高さ)という、ThinkPad Tシリーズで最薄を実現。重量も約1.79kgで、14.1型ワイド液晶搭載ノートPCとしては軽い部類だ。天板には、CFRPとGFRPを組み合わせたハイブリッドCFRPを採用し、高い耐衝撃性を実現。ボディの質感や製造クオリティは高く、これまでThinkPadを使ってきたユーザーの期待を裏切らない仕上がりである。

 T410sは、外観はT400sとほとんど変わらないが、CPUやチップセットといったプラットフォームが一新されている。T400s(2801A7J)は、CPUとしてデュアルコアのCore 2 Duo SP9400(2.4GHz)を、チップセットとしてIntel GS45 Expressを搭載していたが、T410sでは、CPUとしてCore i5-520M(2.4GHz)を、チップセットとしてIntel QS57 Expressを搭載しており、世代が一新されている。

 Core i5もデュアルコアだが、1つのコアで同時に2つのスレッドを実行可能なHyper-Threadingテクノロジーを搭載しているため、合計4スレッドの同時実行が可能である。さらに、CPUのTDPや温度などに余裕がある場合、自動的にクロックを上げるTurbo Boost機能も搭載している。Core i5-520Mの場合は、最大2.93GHzまでクロックが上がる。そのため、定格クロックは同じ2.4GHzでも、Core i5-520Mのほうがパフォーマンスは格段に高い。

 Core i5では、GPUも同じパッケージ内に統合されているため、チップセット側にはグラフィックスコアは統合されていない。メモリは、標準で2GB実装しているが、SO-DIMMスロットが2基用意されているので、最大8GBまで増設が可能だ。筐体の厚みが大きく、重量も重い姉妹機のThinkPad T410では、2.5インチHDDが搭載されているが、T410sは、携帯性を重視して、より小型で軽い1.8インチHDD(またはSSD)が搭載されている。SSDの場合、2.5インチでも1.8インチでも原理的にフォームファクタの違いによる性能差は生じないが、HDDでは、プラッタサイズが小さくなると、アクセス性能がかなり低下してしまう。今回試用した2904ELJでは、1.8インチ250GB HDDが搭載されているが、容量は同じ250GBでも2.5インチタイプに比べると、性能は低くなる。

 2904ELJでは、OSとしてWindows 7 Professional(32bit)のダウングレードによって、Windows XP Professional SP3(32bit)がプリインストールされているはずなのだが、今回の試用機にはWindows 7 Professional(32bit)がプリインストールされていた。

ThinkPad T410sの天板。ThinkPad伝統のシンプルなデザインだ 「DOS/V POWER REPORT」誌とのサイズ比較。14.1型ワイド液晶搭載モデルなので、DOS/V POWER REPORT誌よりも一回り以上大きい
ThinkPad T410sの底面。中央のカバーを外すと、SO-DIMMスロットやMini PCI Expressスロットが現れる DDR3 SO-DIMMスロットを2基搭載しており、最大8GBまでメモリを増設できる。Mini PCI Expressスロットも2基用意されている

●マルチタッチ対応の14.1型ワイド液晶を搭載

 T410sの液晶は14.1型ワイドで解像度は1,400×900ドットだ。アンチグレアタイプの液晶なので、外光の映り込みが少ない。LEDバックライトを採用しており、輝度も十分だ。また、マルチタッチに対応したタッチパネル機能を備えていることも特徴だ。まだ、マルチタッチ対応液晶を備えたノートPCは少ないので、この点も大きな魅力となる。

 キーボードは、T400sと同じで、ThinkPad伝統の7列フルサイズキーボードが採用されている。使用頻度の高いEscキーやDeleteキーを大型化したほか、クリック感も改善されている。ThinkPadシリーズは、従来からキーボードの使い勝手がよいことで定評があるが、T410sのキーボードも、非常によくできている。キーボード左上には、ミュートボタンや音量調整ボタン、ThinkVantageボタン、電源ボタンなどが用意されている。

 ポインティングデバイスとしては、T400sと同じく、タッチパッドとスティック型デバイス「TrackPoint」の両方から構成される「ウルトラナビ」を採用。タッチパッドとTrackPointは、どちらかを無効にすることも、両方を同時に併用することも可能で、併用する場合は、それぞれでのマウスカーソル移動速度を別々に設定することもできるなど、かゆいところに手が届くような設計になっている。

 タッチパッドは、2本指でのマルチタッチ操作に対応している。また、タッチパッドの表面には、UVドット印刷による細かな突起が設けられており、指との摩擦が適度になり、非常に快適に操作できる。液晶の上部中央には、白色LEDを利用したキーボードライトが搭載されており、暗いところでのキーボード入力をアシストしてくれる。

 また、パームレスト右側に指紋センサーを搭載しており、指紋認証によるログオンなどが利用できる。

 光学ドライブとしては、DVDスーパーマルチドライブを搭載。このDVDスーパーマルチドライブは、シリアルウルトラベイスリムに装着されており、着脱できるようになっている。ドライブの代わりにウェイトセイバーを装着することで、重量の軽減が可能だ。

液晶は14.1型ワイドで、解像度は1,400×900ドットだ。アンチグレアタイプの液晶なので、外光が映り込みにくく、目も疲れにくい。マルチタッチにも対応 液晶上部には白色LEDを利用したキーボードライトが搭載されている ThinkPad T410sのキーボードは全94キーで、キー配列はThinkPad伝統の7列仕様だ。キータッチもしっかりしており、キーピッチも均等なので快適にタイピングが可能だ
ポインティングデバイスとして、TrackPointとタッチパッドから構成されるウルトラナビを採用 パームレスト右側に、指紋センサーを搭載。ログオンなどに利用できる
光学ドライブとして右側面にDVDスーパーマルチドライブを搭載 DVDスーパーマルチドライブは、シリアルウルトラベイスリムに装着されており、着脱が可能 DVDスーパーマルチドライブの代わりにウェイトセーバーを装着することで、重量を減らすことができる

●DisplayPortやeSATAにも対応、WiMAXも高速に

 T410sは、インターフェイス周りも充実している。USB 2.0×3(うち1つはPowered USB対応で、もう1つはeSATAと兼用)、ミニD-Sub15ピンのアナログRGB出力、Gigabit Ethernetなどに加えて、DisplayPortも搭載。さらに、ExpressCard/34スロットも備えている。

 ワイヤレス機能としては、IEEE 802.11a/b/g/n対応無線LANとBluetooth Ver 2.1+EDRに対応。さらに、WiMAXも標準サポートしている。今回プラットフォームが一新されたことに伴い、無線LAN/WiMAXモジュールも最新の「Intel Centrino Advanced-N + WiMAX 6250 AGN」(以下6250)に変更されている。

 T400sのWiMAX対応モデルでは、その1世代前の「Intel WiMAX/WiFi Link 5150」(以下5150)が搭載されていたが、6250では5150に比べて、WiMAXの通信速度が向上している。5150の場合、最大通信速度は下り13Mbps、上り3Mbpsであったのに対し、6250では最大通信速度が下り20Mbps、上り6Mbpsに向上しているのだ。もちろん、これは理論的な最大通信速度であり、実効速度はそこまで出ないが、モバイルブロードバンドインフラとしてのWiMAXの魅力がさらに向上したといえるだろう。

 同じ日時の測定ではないので(場所はほぼ同じ)、あくまで参考にしてもらいたいが、5150を搭載したT400sと、6250を搭載したT410sで、WiMAXの通信速度を比較してみたところ、下の表のようになった。下り速度は、T400sよりもT410sのほうが平均で2Mbps以上高くなっており、6250搭載の恩恵が現れているといえる(上りは逆に多少遅くなっているが、これはネットワーク混雑状況の違いによるものだろう)。UQコミュニケーションズは、WiMAX基地局をどんどん増やしており、カバーエリアも急速に広がっている。T410sは、新モジュールの搭載によって、WiMAXの性能をさらに引き出せるようになっており、外からアクセスしたいという人にオススメできる。

 なお、右側面にはワイヤレススイッチが用意されており、ワイヤレス機能の有効/無効をワンタッチで切り替えられるのも便利だ。

【表1】WiMAXの通信速度の比較
ThinkPad T400s
http://speed.rbbtoday.com/ 1回目 2回目 3回目 4回目 5回目 平均
下り 11.34Mbps 10.91Mbps 11.76Mbps 10.72Mbps 12.02Mbps 11.35Mbps
上り 1.58Mbps 1.52Mbps 1.25Mbps 1.09Mbps 1.72Mbps 1.43Mbps
ThinkPad T410s
http://speed.rbbtoday.com/ 1回目 2回目 3回目 4回目 5回目 平均
下り 13.74Mbps 13.77Mbps 13.54Mbps 12.96Mbps 14.04Mbps 13.61Mbps
上り 1.29Mbps 756kbps 1.21Mbps 1.31Mbps 1.33Mbps 1.17Mbps

左側面には、USB 2.0とヘッドフォン出力、ExpressCard/34スロットが用意されている 右側面には、ワイヤレススイッチと光学ドライブが用意されている 背面には、USB 2.0×2(1つはeSATA兼用で、もう1つはPowered USB対応)とミニD-Sub15ピン、Gigabit Ethernet、DisplayPortが用意されている
背面ポート類のアップ。左からLAN、Powered USB、USB 2.0/eSATA兼用、DisplayPort T410sのデバイスマネージャーを開いたところ。新型モジュールの「Intel Centrino Advanced-N + WiMAX 6250 AGN」が搭載されていることが確認できる 右側面手前には、ワイヤレススイッチが用意されており、ワイヤレス機能の有効/無効の切り替えが可能

●ベイバッテリ装着時は公称8.5時間の駆動が可能

 バッテリは11.1V/3.9Ahの6セル仕様で、厚さが薄い角形セルを採用。公称バッテリ駆動時間は約4.8時間だが、オプションのベイバッテリを装着することで、最大約8.5時間の駆動が可能だ。バッテリベンチマークソフトの「BBench」(海人氏作)を利用し、1分ごとにWebサイトへの無線LAN経由でのアクセス、10秒ごとにキー入力を行なう設定でバッテリ駆動時間を計測したところ、4時間5分の駆動が可能であった(電源設定は「バランス」に設定し、バックライト輝度は中)。バッテリ駆動時間についても、一応合格といえる。また、ACアダプタも比較的コンパクトで軽く、携帯性は優れている。

ThinkPad T410sのバッテリ。厚さが薄い角形セルを採用している バッテリは、11.1V/3.9Ahの6セル仕様だ CDケース(左)とバッテリのサイズ比較
ACアダプタも比較的コンパクトで軽い CDケース(左)とACアダプタのサイズ比較

●Core i5搭載で、パフォーマンスは大きく向上

 参考のためにベンチマークを計測してみた。利用したベンチマークプログラムは「PCMark05」、「3DMark03」、「FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3」、「ストリーム出力テスト for 地デジ」、「CrystalDiskMark」で、比較対照用にデル「Studio 15 OPIデザイン」、日本HP「HP Pavilion Notebook dm3a」、レノボ「ThinkPad T400s Windows 7モデル」、NEC「LaVie M」の値も掲載した。

 T410sのPCMark05の総合スコアは5677で、前モデルのT400sの4480に比べて、スコアが1.26倍に向上している。重さ2kg未満のモバイルノートPCとしては、トップクラスのパフォーマンスといえる。ただし、前述したようにHDDが1.8インチであるため、CrystalDiskMarkのスコアは、2.5インチHDDを搭載した他の製品と比べるとやや低い。

【表2】ベンチマーク結果

ThinkPad T410s Studio 15 OPIデザイン HP Pavilion Notebook PC dm3 ハイパフォーマンスモデル ThinkPad T400s
Windows 7モデル
LaVie M
CPU Core i5-520M(2.4GHz) Core i5-430M(2.26GHz) Core 2 Duo SP9300(2.26GHz) Core 2 Duo SP9400(2.4GHz) Celeron SU2300(1.2GHz)
ビデオチップ CPU内蔵コア Mobility Radeon HD 4570 GeForce G105M Intel GS45内蔵コア Intel GS45内蔵コア
PCMark05
PCMarks 5677 N/A 5124 4480 2826
CPU Score 7375 6677 5593 6092 2966
Memory Score 6184 5738 5087 5276 3066
Graphics Score 2610 5234 3460 2057 1397
HDD Score 4291 4646 5360 4471 4948
3DMark03
1024×768ドット32ビットカラー(3Dmarks) 4101 10687 8446 2493 2048
CPU Score 1068 1604 1544 980 495
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3
HIGH 2458 5991 5678 2487 1995
LOW 3808 8933 8626 3868 1367
ストリーム出力テスト for 地デジ
DP 96.63 100 99.93 99.93 76.43
HP 99.97 100 99.93 99.93 99.97
SP/LP 100 99.97 99.93 99.97 99.97
LLP 99.97 100 99.93 99.97 99.97
DP(CPU負荷) 21 19 48 48 68
HP(CPU負荷) 12 11 25 19 42
SP/LP(CPU負荷) 7 8 17 10 28
LLP(CPU負荷) 6 8 15 7 22
CrystalDiskMark 2.2
シーケンシャルリード 36.20MB/s 60.85MB/s 68.01MB/s 47.04MB/s 60.31MB/s
シーケンシャルライト 40.05MB/s 60.53MB/s 63.80MB/s 48.16MB/s 66.25MB/s
512Kランダムリード 23.30MB/s 27.79MB/s 27.00MB/s 26.89MB/s 27.50MB/s
512Kランダムライト 24.25MB/s 40.09MB/s 24.73MB/s 30.03MB/s 31.19MB/s
4Kランダムリード 0.425MB/s 0.424MB/s 0.345MB/s 0.450MB/s 0.369MB/s
4Kランダムライト 0.961MB/s 1.399MB/s 0.909MB/s 1.049MB/s 0.984MB/s
BBench
Sバッテリ なし なし なし なし なし
Lバッテリ(標準バッテリ) 4時間15分 4時間6分 4時間40分 4時間18分 3時間39分
Xバッテリ なし なし なし なし 7時間26分

●Core i5搭載とWiMAXの性能向上でさらに完成度がアップ

 前モデルのT400sもパフォーマンス・モバイルノートPCとして非常に完成度が高い製品であったが、T410sは、プラットフォームが一新され、PCとしての基本性能がさらに向上。4スレッド同時実行が可能なので、HD動画の編集といったかなり重い作業も、従来よりも短時間で行なえるようになった。

 さらに、WiMAXモジュールが新型になったことや、マルチタッチ対応液晶を搭載したことも特筆できる。指紋センサーも搭載しているので、セキュリティを重視する業務用途にも最適だ。

 薄さや軽さも重要だが、携帯性だけを重視するのではなく、メインマシンとして快適に使えるパフォーマンスが欲しいという人には、有力な選択肢となるだろう。BTOによるカスタマイズによって、単体GPUやSSDをチョイスすれば、さらに高性能なマシンとなる。

バックナンバー

(2010年 3月 17日)

[Text by 石井 英男]