ASUS JAPANシンシアの「華華(ふぁふぁ)通信」

拜早年! 台湾の年末年始のお料理と風習

 ニイーハオ! ASUS JAPANマーケティング兼広報担当のシンシアです。前回、一番不便だと思われた方を発表させて頂きました。そのほかにとても斬新なアイディアもあったのですが、開発まで時間がかかりそうだったので、今回はあえて近いうちに実現できそうなものを選ばせて頂いたのですが、なんと、Twitterのコメントを拝見したところ、当選者の不便をすでに解決できる夢のアプリがすでにあることを知るにおよびました……。デジタル新時代の進化は早いですね。ついていけてなくて本当にすみません! そして、コメントしてくれた皆さんにこの場を借りて、お礼を申し上げます。

 さて、前回のコラムの最後に、台湾では旧暦のお正月を過ごすと伝えました。来年(2015年)のお正月休みは西暦2015年2月19日(木)~2月23日(月)(※2月23日(月)は「初三(1月3日)」の振り替え)となります。ただし、この時期、日本では平日なので、私は社会人になってから、一度も実家で旧暦正月を過ごしていません。かれこれもう十数年です。

 さて、今回はそんな1年で最もにぎやかで、最も大きいイベントについて、私の実家での思い出と共に紹介したいと思います。

大晦日はお正月よりもにぎやか(あくまでもうちの場合)

 旧暦12月31日になると朝からワクワクします。朝から夕飯の仕込みを女性陣が始めます。そして、できた順から自宅の仏壇に供えます。でき立てのおかずや、米のお酒、紙銭(あの世で使うお金)を真っ先に神様とご先祖様に差し上げるのです。

 全ての用意ができたら、線香を焚きます。焚いている間に神様とご先祖様が召し上がるのだと教わってきました。お線香が焚き終わる頃は、召し上がり終わったはずなので、ご先祖様が向こうでお金に困らないようにと紙銭を燃やして、家内安全を祈ります。

 今でもお正月じゃなくても、旧暦の毎月1日と15日に、商売で「拜拜(お祈り)の日」のお祝いを小規模で行なっている人たちも多いです。旅行中に見られるかもしれません。

 大晦日の夜は「年夜飯(ニェンイエファン=お正月前夜のごはん)」、別名「團圓飯(トゥアンユェンファン=一家団らんで食べるごはん)」を、家族みんなで食卓を囲んで食べます。

 ちなみに私の場合、大晦日と元日はお父さんの実家で過ごします。2日は「回娘家(ホウェイニャンジヤ=妻の実家に帰省する)」なので、お母さんの実家で過ごします。そうそう、「娘(ニャン)」は、昔の中国語でお母さんなんです。日本語と意味が違うので、日本に来たばかりの時は非常に頭の中が混乱しました。

 なので、大晦日は一家団らん、1日は拜年(お正月祝いの電話や訪問などで1日が終わる)、2日はお母さんの実家に帰るということで非常に慌ただしいです。日本のお正月はのんびりして、コタツに入っておせちやみかんを食べるイメージがあり、まるきり反対ですね。

 この写真は1997年2月6日の我が家の年夜飯です。

 回す食卓はどこの家庭にもある基本装備で、我が家の食卓は8~10人用です。大人席と子供席で分け、小さい子どもは茶卓で食べます。

 大きいイベントの際、回す食卓の下にビニールシートを敷きますが、これは食べこぼしなどをそのままビニールをくるんて捨てられるからです。台湾の割と安いレストランもこのスタイルを導入しています。

 家族みんなで食べる1年で一番贅沢なご飯では、「大魚大肉」(大きい魚と大きい肉の塊)が欠かせません。うちでは大魚大肉と蛋餃(ダンジャオ=卵餃子)の入った團圓火鍋(一家団らん鍋)は必ず食べます。いろんな縁起物が入ったもので、来年の財運、健康や活躍を祈る意味があります(日本のおせちの鍋バージョンかな?)。今回の写真に撮れていないのですが、それは大晦日からお正月にかけて、食事は何回かに分けてとるので団らん鍋はたぶんこの次に出ていたと思います。この時の食事は2日間かけていろんなアレンジをして食べるんです。女性が帰省する1月2日はようやく新しい料理になります。

 卵餃子についてもう少し解説しておくと、卵餃子の色や形は昔の中国のお金(金元寶=ジンユェンバオ)に似ているので、食べるとお金持ちになるという言い伝えがあり、多くの家庭がお正月に好んで食べます。スーパーで冷凍の市販品も購入できますが、うちはだいだい手作りです。

 簡単なレシピ(といっても中国語ですが……)をみつけたので、みなさんもお正月の縁起物の鍋の具材として試しみてはいかがですか? ちなみに、面倒くさがりな私は、いつも中華料理具材店で冷凍品を購入していますが、やはりこれを食べないと、お正月の気がしません。

卵餃子(写真出典:Rachel煮廚食間)

 年夜飯が終わると、いよいよ紅包(ホンバオ=お年玉)タイムです。台湾のお祝い事の際は赤色をよく使い、お年玉も、結婚式のご祝儀も紅包に入れます。機会があったら、台湾の結婚式も紹介しますね。

 我が家では年夜飯の後、お爺ちゃん、お婆ちゃんから両親、親戚一同まで、基本的に年齢順で1人1人に対してお祝いの縁起のいい言葉をかけていき、子供達はお年玉をもらいます。この時、小さい子は膝を床に付ける必要があります。

 お年玉をもらったら、みんな大好きなゲームタイムです。12時ちょうどに、新しい年を迎える爆竹を鳴らさないといけないのと、大晦日の夜は長く起きていればいるほど、親が長生きできという説があります。我が家では、その長い時間を楽しく過ごすために、キャンブルをします。大人は麻雀、子供はサイコロゲームが定番です。もらったばかりのお年玉で運試しです。みんな本気なので、一晩でお年玉を全部すってしまった親戚の子もいたほどです。でも、心配ありません。麻雀で勝った大人からちょっと「分紅」(フェンホン=利益の配当)をもらえるんです。

我が家の麻雀風景。お正月の定番です

 そのまま、朝を迎え、朝ごはんにお餅食べます。黒砂糖や、あんこが混ざったお餅、大根餅などありますが、それらを焼くのはだいだい私の仕事です。私が起きていられたのはだいだい3~4時が限界でしたが、大人たちはだいだい麻雀をしながら徹夜です。

 そして、朝ごはんを食べたら、新しい服に着替えて、新年を迎えます。

 こうやって改めて書いていて、とても懐かしくなりましたが、台湾の新年の習慣は日本に似てるいるようで似てないところもありますね。今では台湾では爆竹が禁止になり、日本のように、宅配サービスを使ったり、外食を利用するところも多いです。私の親は兄弟が多いので、今でも誰かの家で集まってお祝いしています。

 2014年は私にとって、広報も兼任して大変充実し、同時に大変忙しかった1年間でした。そして、このようなコラムで皆さんと台湾について紹介し、コミュニケーションできるようになって大変うれしく思っています。

 もうすぐ新暦のお正月ですが、来年はどんな1年になるのでしょう?

 ここで皆様にちょっと早い新年のお祝い(拜早年=バイザオニエン)をしたいと思います。

 祝大家 新年快樂 萬事如意(皆様、良いお年を。全ての事がうまく行くようにお祈りします。来年もよろしくお願いいたします)

シンシア

台湾・台北市出身。2002年8月にASUS JAPAN入社。当社初の正社員です。自作パーツ担当を経て、現在はPC製品の全般マーケティングディレクター。人手不足のため、2014年3月から広報も兼任中です。今まで担当した製品の中でに一番印象に残ったのは「A8N-SLI Premium」です。ビデオカードの2枚挿しの感動は今も忘れられません。テクノロジーへの感動はそこから始まったといえるでしょう。愛用機はFonepad 6(ファブレット)、ZenFone 5、ZenWatch、iPhone 4S。趣味はドライブ(郊外限定)とおしゃべり(情報交換)。