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デスクトップ派も唸る「細マッチョ」なゲーミングノートが来た!秘密は裏面を見ると分かるよ

~ゲーミングPCは「ROG Strix G16 G615LW」が最強説

 「ゲームするならやっぱりデスクトップPCだろう」、なんて思う人はまだ多いかもしれないが、ここのところのノートPCの進化はすさまじい。CPUやGPUの高性能化もそうだが、拡張性の面においても広帯域なインターフェイスや設計の工夫により自由度が大幅に高まっているのだ。

 たとえば今回紹介するASUSの16型ゲーミングノート「ROG Strix G16 G615LW」(以降、ROG Strix G16)は、 デスクトップPCに匹敵する処理性能を持つだけに留まらず、超高速インターフェイスや増設・交換可能なストレージを採用し、「デスクトップ派」をもうならせるスペックを誇る。

 デスクトップPCよりもずっとコンパクトで、使わないときは隙間にしまっておけて、いざというときは持ち運びにも対応し、もちろんゲームだけでなくクリエイティブな用途や事務的な作業も楽々こなせる。

 オフィスと自宅の両方で仕事をするテレワークやハイブリッドワークにもフィットしやすい、筋肉モリモリながら機動力もある「細マッチョ」なROG Strix G16。具体的にどんなゲーミングノートなのか、じっくり紹介しよう。

高性能CPU・GPUに独自の熱対策でさらなるポテンシャルを引き出せる

ハイエンドクラスの佇まい
ROG Strix G16 G615LWの価格は33万9,800円からで、搭載GPUやメモリ/ストレージの容量違いで複数モデルがある。ここではCore Ultra 9 275HXとGeForce RTX 5080 Laptop GPUを搭載する最上位モデル(型番: G615LW-U9R5080)をレビューしている。ちなみに価格は49万9,800円

 ROG Strix G16が搭載するCPUは、Intelのモバイル向けの中で上位のパフォーマンスを持つ Intel Core Ultra 9 275HX (24コア24スレッド、最大5.4GHz)。最上位グレードには285HXがあるが、最大動作周波数が0.1GHz変わる程度なので、現時点におけるハイエンドプロセッサの1つと言ってもいいだろう。

高性能なCPUを搭載
Intel Core Ultra 9 275HXを搭載

 Intel Core Ultraシリーズ2に属するCPUということで、高効率なAI処理を行なうNPUも内蔵。そして、頭脳を担うこれらCPU周りを支える「筋肉」の1つとして、 GeForce RTX 5080 Laptop GPU をまとっている(GeForce RTX 5070/5070 Ti Laptop GPU搭載のバリエーションモデルもある)。言うまでもなく、こちらもモバイル向けとしては限りなくハイエンドに近いディスクリートGPUだ。

AI向けのNPUも利用できる
Copilot+ PCではないが、Windows スタジオ エフェクトを利用したWebカメラ映像の背景ぼかしなどの機能は、NPUがその処理を支援する

 GeForce RTX 50 シリーズはより広い通信帯域を持つPCIe 5.0接続となった。加えてNVIDIA DLSS 4のマルチフレーム生成によるフレームレートの劇的な向上で、一段と緻密なグラフィックスで快適なゲーム体験を実現する。同時にAI性能の向上も図られ、増えつつあるアプリのAI機能やローカルAI処理の高速化の恩恵も受けられる。

省電力化することも可能
GeForce RTX 5080 Laptop GPUの動作モードを切り替えて、電力と性能のバランスを取ることができる

 ただ、高性能さの代償として、筐体サイズのコンパクトなノートPCではどうしても熱対策が課題になってくる。いくら瞬間的に高い性能を出せたとしても、冷却や排熱がうまくいかなければ、いわゆるサーマルスロットリングによって性能に制限がかかり、総合的にはハイパフォーマンスとは言えなくなってしまう。

 しかし、そこは長年ゲーミングノートを開発してきたASUS。 ROG Strix G16では今回のCPU・GPUに最適化したレイアウトを持つベイパーチャンバーを採用し、熱伝導性の高い独自の液体金属グリスを介して効率よく熱を移動、最終的に3つのファンによって送風・排熱を行なう構造としている。

効率的に熱を排出
ベイパーチャンバーによって送られた熱が、内部にレイアウトされた3つのファンによって効果的に排除

 ファンの取り付け箇所にはダストフィルタもセットされている。冷却・排熱効率を損なう原因となるファンへのホコリの付着を抑える工夫だ。このような設計によって、ROG Strix G16はハードウェア本来の性能を長時間に渡って安定して引き出せるようにしている。

ホコリをキャッチするフィルタを装備
底面カバー側の、ちょうどファンのある位置にセットされたダストフィルタによって、ファンへのホコリの付着を低減

 効果的な冷却を可能にしたことで、性能をさらに引き上げられる余裕まで備えた。たとえばCPUのパワフルさを示す数字としてProcessor Base Powerなどの電力値(W)もあり、Core Ultra 9 275HXは素で55Wとすでに十分に高い。が、 ROG Strix G16では動作モードを手動設定することで最大80W動作を可能にし、さらなるパワーが得られるのだ。

パワーもりもりにできる!
専用ユーティリティの「Armoury Crate」で動作モードを手動設定すると、最大限のパワーを引き出せる
ROG Strix G16 G615LWのスペック(型番: G615LW-U9R5080)
OSWindows 11 Home
CPUCore Ultra 9 275HX
(24コア24スレッド、最大5.4GHz、Processor Base Power 55W)
GPUGeForce RTX 5080 Laptop GPU
メモリ32GB(DDR5)
ストレージSSD 1TB
ディスプレイ16型液晶(1,920×1,200ドット、165Hz)
インターフェイスThunderbolt 5 2基、USB 3.2 Gen 2 3基、HDMI出力端子、ヘッドセット端子
通信機能Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4、2.5Gigabit Ethernet
スピーカーステレオスピーカー(Dolby Atmos対応)
カメラ207万画素
セキュリティWindows Hello顔認証
バッテリリチウムポリマー 90Wh
サイズ約354×268×22.8〜30.8mm
質量約2.65kg
価格49万9,800円

SSDの増設・交換が簡単、2つのThunderbolt 5で拡張性抜群

 続いてインターフェイス周りについて紹介していくが、 そもそもノートPCを選ぶ際の懸念要素として一番大きなものが、このインターフェイスを始めとする拡張性に関わる部分かもしれない。しかしながら、ROG Strix G16はそうした不安も払拭している。

 まずユニークな点として挙げられるのが、 NVMe M.2 SSD(PCIe 4.0接続)の増設・交換に対応していること。本体の底面カバーは容易に取り外すことができ、それだけで2つのM.2スロットに直接アクセスできるようになる。 1つは標準ストレージが装着済みだが、もう1つは空きとなっており、別途SSDを調達すればユーザー自身の手で増設可能だ。

驚くほど簡単な裏面カバーの外し方
本体裏面
裏面にあるスイッチを横にスライドさせることでロックが外れ、底面カバーを取り外せる
カバーを外すと、2つのM.2スロットがすぐに出現。片方はすでにシステムドライブで使われている

 もちろん装着済みのSSDも交換可能。両スロットともSSDを固定する仕組みとして、 「Q-Latchシステム」を採用しており、小さなネジやドライバーのような工具を扱わずに済む。底面カバー自体の脱着も含めすべてツールレスだ。 失敗のリスクがほとんどゼロというのもうれしい点と言える。

脱着はドライバーレス
Q-Latchシステムによりツールレスで簡単にSSDを脱着できる

 Q-Latchシステムのような仕組みは自作PCの最新マザーボードで採用され始めたばかり。その意味でROG Strix G16は自作派の欲求にも応えてくれるゲーミングノートと言えるかもしれない。

 一方、本体側面に備えている各種ポート類にも目を向けてみると、こちらもなかなかのマッチョ感だ。Thunderbolt 5を2つ装備しており、USB 3.2 Gen 2(10Gbps)も3つある。Thunderboltについては4ではなく5というのがポイントだろう。最大120Mbpsもの超高速データ転送が可能で、8K60Hzのような高解像度の外部モニター出力にも対応する。

ノートPCなのにポートが多い
左側面にあるUSB 3.2ポート1基(左)とThunderbolt 5ポート2基
右側面にはUSB 3.2ポート2基

 自作デスクトップPCでも、現在のところThunderbolt 5ポートを直接的に利用できるマザーボードはかなりのハイエンドモデルに限られている。つまり、ROG Strix G16は最新ハイエンドのデスクトップPCに匹敵する拡張性を備えているわけだ。

 Thunderbolt 5に対応するドッキングステーションも各社から登場してきており、それを組み合わせれば大量かつ高性能の外部インターフェイスを追加して、それこそデスクトップPCに限りなく近づく(もしくは超える)だろう。

LANとHDMIもしっかりある
2.5Gigabit EthernetのLANポートとHDMI出力も用意

 ほかには、最大2.5Gbps接続の有線LANポート、HDMI出力、ヘッドセット端子を備えており、無線LANは最新規格のWi-Fi 7だ。ゲーミングノートとして現時点で考えられうる理想的なスペックになっていると言えるのではないだろうか。

本体の充電はType-Cでもできる
付属ACアダプタは最大380Wの大きなもの。これを使用することでフルパワーを発揮できる
フルパワーが求められない作業内容なら最大100WのUSB PDに対応するThunderbolt 5ポートで給電するのもアリ。出先で使いたいときに、かさばるACアダプタを持ち運ばずに済む

盛りだくさんのゲーミングノートらしい性能や機能

 ROG Strix G16のゲーミングノートらしい装備としては、高リフレッシュレートモニターも挙げられる。今回の試用機は1,920×1,200ドットの16型液晶ディスプレイで、解像度について言えばスタンダードだが、リフレッシュレートは最大165Hz。GeForce RTX 5080のGPUパワーで多くの3Dゲームを100fps超で動かせられrうと考えられるため、それらをしっかりカバーする意味でも重要な点だ。

165Hzの高速表示に対応
試用機は解像度こそスタンダードだが、165Hzの高リフレッシュレートなモニターを採用。色味も綺麗だ

 ROG Strix G16のバリエーションモデルの中には、解像度2,560×1,600ドット、リフレッシュレート240Hz、DCI-P3の色空間100%カバーというさらにハイスペックなディスプレイを装備するものもある。リフレッシュレートを特に重視するFPS/TPS系のゲームを中心にプレイするユーザーや、高解像度・色再現性能を重視する本格的なクリエイティブ用途なら、そちらを選ぶのもおすすめだ。

 また、本体各所に設けられたLED機能もゲーミングらしい部分。キーボードのバックライトと、底面の外周に張り巡らされたライトをフルカラーで光らせることが可能だ。前者のキーボードバックライトについては、一部のキーがスケルトンになっていることでサイバーな雰囲気をかもし出しているのが目を引く。

キーボードはLEDで彩る
Aura Syncによるライティング機能でキーボードが光る
カッコイイスケルトン仕様
一部のキーはスケルトン状態になっている
底面を囲むようにLEDがある
底面の外周にもLEDが張り巡らされている
LEDのイルミネーション
LEDがデスクに反射し、ゲーミングシーンを楽しく演出

 LEDの制御は、プリインストールされている専用ユーティリティ「Armoury Crate」だけでなく、Windowsの標準機能である「動的ライティング」も利用できる。詳細な設定をしたいならArmoury Crateが必須だが、動的ライティングなら「とりあえず気分を変えたいな」と思ったときに気軽に光らせ方を変えられるのがいいところだ。

光らせ方を変更可能
「Armoury Crate」でライティングをカスタマイズ
Windowsの「動的ライティング」でもLEDをコントロールできる

 ちなみにキーボードは2,000万回以上の押下に耐える高耐久キースイッチを採用している。複数キーを同時認識するNキーロールオーバーにも対応しているので、ゲーミング用途において不足はない。タイプ時のノイズはかなり抑えられていて、長文入力で周囲の迷惑になることも、Web会議で相手に耳障りなノイズが伝わってしまうこともなさそうだ。

ゲーミングPCだがタイピングの感触はいい
タイプ時のノイズは抑えられており、ゲームで激しく操作するときも、長文タイプするときも、目立たない

 ところでこのArmoury Crateでは、LED制御のほか、先ほど紹介したROG Strix G16のパフォーマンスを引き上げる動作モードの設定、ハードウェアの動作状況の監視にも使える多機能なものだ。

Armoury Crateで状況をまとめて確認
ハードウェアの動作状況監視

 さらに、LEDの光らせ方や本体の動作モードなどいくつかの設定をプロファイルとして定義しておき、簡単に別のプロファイルに切り替えたり、特定のアプリ・ゲーム使用時に自動で特定のプロファイルを適用したりする「シナリオ プロファイル」機能、キーボード・マウス操作を自動化する「マクロ」機能もある。ゲームだけでなくさまざまな用途でROG Strix G16をフル活用するためにも、ぜひ使いこなしたい機能だ。

アプリやゲームによって動作モードを変更できる
「シナリオ プロファイル」の設定
キーボードやマウスの操作を自動化する「マクロ」機能
スピーカーはDolby Atmos対応。ゲームのサラウンドサウンドはもちろん、動画視聴・編集にも活躍する
Windows Helloの顔認証に対応したWebカメラ

ゲーミング性能をベンチマークでチェック

 最後にベンチマークテストを行なってみた。ROG Strixシリーズには「ROG Strix SCAR 16 G635LW」というフラグシップモデルがあるので、それとの性能差があるかどうかの確認も兼ねて、AAAタイトルのベンチマークテストを使った実力チェックだ。

 というのも、ROG Strix SCAR 16はROG Strix G16(型番: G615LW-U9R5080)より価格設定が10万円ほど上ではあるものの、違いは天板のアニメーションするLEDや高解像度ディスプレイを搭載しているかどうか、だけ。それ以外のハードウェアスペックはROG Strix G16とほとんど変わらない。実性能も同レベルであれば、お買い得なモデルということになるはずだからだ。

上位モデルとの性能差

 ベンチマークの基本的な設定条件は2機種で合わせ、DLSSフレーム生成をオフにした時(ROG Strix G16のみ)と、フレーム生成を有効にした時(ROG Strix G16およびROG Strix SCAR 16)の結果が以下のグラフ。ご覧の通り、ROG Strix G16が良好な結果を叩き出している。

「サイバーパンク 2077」のベンチマークテストの結果
「モンスターハンターワイルズ ベンチマーク」の結果

 ROG Strix SCAR 16については過去のテスト結果を元にしたもので、ROG Strix G16のリリースまでにハードウェアやドライバの最適化などが進んでいる可能性もある。なので、比較結果はあくまでも参考として捉えた方が良さそうだが、いずれにしてもROG Strix G16の実力が高いことは確かだ。

高負荷時の温度

「サイバーパンク 2077」を実行したときの10分間の温度推移(動作モード: 手動)

 また、サイバーパンク 2077の実行中に、CPUとGPUの10分間の温度推移を計測してみたところ、CPU温度については90℃後半、GPUは85℃前後で高止まりしているものの、そこからの温度上昇はなく安定している。

 もちろんゲームの動作にも影響はない。動作モードを手動にしている影響か、ROG Strix SCAR 16に比べると温度域は若干高めだが、パフォーマンスをしっかり出し切れるチューニングが施されていると感じる。

デスクトップ派も満足の最上位性能が割安で買える!

  ROG Strix G16は現時点で最もハイパフォーマンスなゲーミングノートの一角であり、最新ハイエンドデスクトップPCと比較しても遜色のない装備、拡張性の高さを持つ。「デスクトップ派」のゲーミングノートに対する不安を完全に払拭する1台となっている

 ベンチマーク結果も良好で、それでいて価格は33万9,800円から(試用機のGeForce RTX 5080搭載モデルは49万9,800円)。なので、LEDの派手さにはこだわらない、より広いデスクトップが必要になったときは外部モニターを使う、といったような考え方であれば、ROG Strix G16は圧倒的にコストパフォーマンスが高く感じられるはず。

 デスクトップPCに比べると圧倒的にスリムな筐体の中に、ムッキムキの筋肉をしまい込んだROG Strix G16。新しいゲーミングPCを探している人はもちろんのこと、サポート期限が近づくWindows 10マシンからの買い替えを検討している方にとっても、有力な選択肢になりそうだ。