トピック
マウス最強のクリエイター向けノートをメモリマシマシの128GB構成で借りて32GBと比較してみた
- 提供:
- 株式会社マウスコンピューター
2025年6月26日 06:30
マウスコンピューターのクリエイター向けブランド「DAIV」から、ワークステーションノートPC「DAIV N8-I9G90BK-A」がリリースされた。4K UHD+解像度の18型ディスプレイで、CPUがCore Ultra 9 275HX、GPUはNVIDIA GeForce RTX 5090 Laptop GPUという、ノートPCとして最強と言って差し支えないスペックだ。この製品からさまざまな魅力的コンテンツが生み出されることだろう。
さて、この製品をレビューするわけだが、標準構成では上記のスペック+32GBメモリと2TBのPCIe 4.0 x4 M.2 SSDを搭載している。今回はマウスコンピューターの協力のもと、メモリを最大容量である128GBにカスタマイズしたモデルをお借りした。
理由は2つあって、1つにはクリエイター用途だとメモリ容量は多いほど生産性が向上するが、はたして128GBを実際に使いこなせるのかを見てみたかったから。
もう1つは、128GBへのアップグレードがリーズナブルで、現実的な選択肢だからだ。32GBの標準構成の価格は71万6,800円。これに対して、128GBへのアップグレード差額は7万9,200円プラスの79万6,000円となっている。クリエイターに人気の他社製品では32GBから128GBへのアップグレード差額が18万円ほどするので、それと比較すると安価だし、約72万円のマシンに8万円プラスして最大スペックでそのポテンシャルを発揮させたいと考えるのはあり得るシナリオだろう。
モバイルワークステーションにふさわしい最新最強のCPU&GPUに優れた拡張性も
ではDAIV N8-I9G90BK-Aのスペックを紹介しよう。ディスプレイは18型で解像度は4K UHD+(3,840×2,400ドット)。ノートPCでは、13.3型から14型へ、15.6型から16型、17.3型から18型へとインチアップが進んでいる。本製品の場合、アスペクト比が16:10なので、16:9の17.3型と比べると横幅は対して変わっていない。
ノートPCとして最大級となる画面サイズなので、モバイルノートPCと比べると非常に広大であり、PCに向かう際は少し肩の力を抜いて作業ができる。解像度も高いので、動画編集ソフトを開いた際、タイムラインを増やしても見やすく、操作しやすいのが好印象だ。
また、クリエイター向けスペックという点では、DCI-P3 100%の色空間でDelta E≦2を満たす点も見逃せない。カラーマッチングという点でも、出荷前にキャリブレーションでカラープロファイルを作成しており、X-Riteのツールもバンドルされている。
インターフェイスは左右側面および背面の3面に搭載している。左側面にはUSB 3.2 Gen 2 2基、音声入出力端子、右側面にはThunderbolt 5 2基、microSDカードスロット(UHS-I対応)、背面には2.5Gigabit Ethernet 2基、HDMI、ACアダプタジャックといった具合だ。
USBはType-A/C合わせて4ポート(Thunderbolt含む)で、映像出力はHDMIと2基のThunderbolt 5を加えた3系統となる。ネットワークは2基の2.5Gigabit Ethernetに加えてWi-Fi 7(Bluetooth 5を統合)を装備。ネットワークチップは有線がKiller E3100X、無線がKiller BE1750x。複数系統のネットワーク接続を束ねて高速化するKiller DoubleShot Proも利用可能だ。
Thunderbolt 5は80Gbpsというデータ転送、映像出力に加えてUSB PD入力にも対応している。とはいえUSB PD給電でフルパワー駆動できるというわけではない。本体付属のACアダプタの定格出力は330W。USB PD駆動の目安は100W以上とされている。基本的に供給電力に応じた電力制御が行なわれるので非常用といったイメージになるだろう。
キーボードは10キーを備えた104キーの日本語配列で、キーピッチ19mm、キーストローク1.8mmと、スリムノートPC、スタンダードノートPCと比べて打鍵感のよいものとなっている。LEDバックライトも備えており、キー個別でライティングを設定できる。
DAIV N8-I9G90BK-Aのスペックは外観からも特徴が伝わるが、内部こそ真骨頂と言える。CPUとGPUについては先に触れた通りだが、改めて説明しよう。
CPUのCore Ultra 9 275HXはIntelのノート向けとして最新かつ最高性能で、Pコア8基、Eコア16基のトータル24コア24スレッド対応だ。ターボブースト時の最大クロックも5.4GHzと高い。
GPUのGeForce RTX 5090 Laptop GPUは、CUDAコア数が10,496基で、グラフィックスメモリはGDDR7で24GB搭載している。デスクトップ版GeForce RTX 5090とは異なるスペックだが、GeForce RTX 50シリーズのノート向けとして最上位モデルになる。なにより24GBのグラフィックスメモリは、ローカル生成AIにおいて、より大規模なLLMなどを使える点でも魅力的だ。
そして今回カスタマイズモデルを用意していただいたように、超大容量メモリを搭載可能なところもポイントになる。ノートPC全体を見渡すとオンボードメモリのみモデルも増え、メモリ搭載量をカスタマイズができるのは主にゲーミングノートPC以上というのが現実だ。そして、そのゲーミングノートPCも、売れ筋モデルは15.6あるいは16型であり、サイズ的にメモリスロットが2基というものが主流である。32GBモジュールを積むと64GBとなる。
これに対し本製品はメモリスロットを4基備えており、32GB×4で128GB構成が実現できる。
次にM.2スロット。一般的なノートPCなら1スロット、ゲーミングノートPCでも2スロットあるものもあるくらいだが、DAIV N8-I9G90BK-Aは4スロット搭載。8TBのM.2 SSD×4枚を搭載すればトータル32GBが可能だ。ここまで積むと本体がもう1台買えるほどの差額が発生するのだが、ローカルに8K動画を大量に保存したいというニーズにも応えられるのは心強い。
このほかBTOでは、OSやオフィススイートなどソフトウェアの追加、そして周辺機器や延長サポートなども選べる。
128GBメモリでどう変わる!?メモリの使われ方を映像で解説
ここからはパフォーマンス紹介になる。メモリ128GBにカスタマイズしたモデルをお借りしたので、そこから先にご覧いただこう。
今回128GBならではの比較を考えた。本来であれば同じモデルの標準構成32GB版と比較をすれば分かりやすいのだが、貸出機の分解ができなかったため、ラフな比較になるのは承知の上で、1世代前のミドルレンジ構成でデスクトップPCを1台組み、これのメモリを32GBとして比較をすることとした。ノートとデスクトップ、CPUやGPUもSSDも性能もまったく違うPCなのだが、参考にはなるはずだ。
- CPU: Ryzen 5 7600(6コア12スレッド)
- マザーボード: ASUS ROG CROSSHAIR X670E EXTREME(AMD X670E)
- メモリ: DDR5-5200メモリ 32GB(16GB×2枚)
- GPU: GeForce RTX 4060 8GB
- SSD: Crucial T500 CT1000T500SSD8JP(PCI Express 4.0 x4、1TB)
テスト1: Edgeでタブをいくつ開けるか選手権
ブラウザは一般的な使い方だとCPUやGPU負荷はそこまで高くないものの、タブを開けば開くほどメモリを消費していく。ネタ要素は強いものの、メモリ消費の様子が分かりやすいので検証してみた。ここではEdgeブラウザを用いて1秒に1タブのペースでWebサイトを開くようセッティングした。動画は8倍速で再生している。
計測タイミングによってインターネット回線速度が異なることもあり、表示レスポンスについてはあまり参考にならない。この映像で注目してほしいのはタスクマネージャーのメモリバーの伸び具合と、コミット済みの欄の「/」の右(物理メモリ+仮想メモリ合計サイズ)の増加タイミングだ。
比較対象のメモリ32GBだと、およそ70タブ付近で物理メモリ+仮想メモリを消費しつくし、以降はコミット済みの欄の右の値が拡大、つまり仮想メモリの確保を拡大していく(と同時に圧縮の値も増えていく)。この仕組みのためにメモリ不足でクラッシュするという最悪の事態をなんとか回避している。
対してメモリ128GBのDAIV N8-I9G90BK-Aについては、バーの進みもゆっくりで、コミット済みの欄の右の値が拡大し始めるのも235タブ目あたりからだ。物理メモリ使用量が120GB超になるのも288タブ目あたり。305タブ目あたりで物理メモリの残りが500MB以下の表示を見ることができた。
「メモリ32GBでもいけるじゃん」という感想をお持ちの方も多いかもしれない。OSががんばるという点ではその認識は正しい。ただし、仮想メモリをガンガン使うため、仮想メモリの実体であるSSDに十分な空き容量が必要となるし、クラッシュは回避できても性能は落ちる。本製品のようにクリエイティブ用途となると優先すべきはパフォーマンスなので、物理メモリ容量は重視すべきだ。
なお、メモリ(SODIMM)を4枚挿すとなるとクロックを落とさざるを得なく、DAIV N8-I9G90BK-Aは画面の通りDDR5-4000モード動作だ。メモリ容量よりも速度が重視されるアプリケーションでは、シングルランクのSODIMM 2枚の方が速いということも起こり得る。使っているアプリケーションが、メモリ速度重視のものが多ければSODIMM 2枚で、容量重視のものが多ければSODIMM 4枚で最大容量にするのがいいだろう。
映像編集でメモリ効果を試す
次はクリエイティブに寄って映像編集で128GBの効果を検証してみた。使ったソフトはDavinci Resolve 20だ。26GBほどある8Kの超高解像度映像ファイルを用い、そこにエフェクトとトランジションを大量に追加してデータをさらに肥大化させている。この状態でプレビュー再生時の挙動を録画した。
同じデータを使っているが、タスクマネージャー上のDavinci Resolveの「ワーキングセット」がDAIV N8-I9G90BK-Aと比較対象で異なることから、比較対象は仮想メモリを使用していると考えられる。その上で物理メモリと仮想メモリの合計であるコミットサイズも異なる。これについては、データをフルに読み込んでいるのか一部を読み込んでいるのか、一部を読み込むにしてもその量を調節しているためと考えられる。
HWiNFO 64のモニタリングになるが、各項目で最小と最大も表示させているのでこちらも見ていただきたい。物理メモリ使用率も仮想メモリ使用率も、メモリ128GBのDAIV N8-I9G90BK-Aの最小・最大の差は非常に小さいが、メモリ32GBの比較対象は最小・最大の差が50%以上ある。
結果としてプレビュー再生では、メモリ32GBの比較対象はメモリ128GBのDAIV N8-I9G90BK-Aに対して遅延がみられる。これについてはCPUやGPUを含む総合性能差もあるが、上で説明した仮想メモリへの依存度もあるだろう。8K RAW動画ファイルとなると、2分ほどで26GBにも達する。こういったファイルを複数トラックに並べて編集する場合、マシンスペックが高くても32GBメモリだとそのポテンシャルを発揮できない可能性が高いし、64GBでも足りなくなってくる可能性は十分にある。
AIおよび各種性能をベンチマーク測定
メモリ容量にフォーカスしたものはこのくらいとして次はAI性能を見る。クリエイティブアプリケーションでもAIを活用するシーンも増えており、ここのパフォーマンスを確認しておきたい。
1つ目は実際にユーザーが使うPhotoshopのニューラルフィルタをかける時間を比較してみた。今回使ったのはJPEGノイズ除去のフィルタで、これはクラウドではなくデバイス(ローカル)で処理される。元画像は8,256×5,504ピクセル。
どちらのPCもプログレスバーの予想時間は4分と表示されるが、実際のところDAIV N8-I9G90BK-Aは4分20秒、比較対象は4分40秒要した。圧倒的な差とまではいかなかったが、高いスペックの効果は現われている。
次はULのProcyonを用い、AI系ベンチマークを実行し数値で実力を見てみよう。
まずはAI Image Generation Benchmark。Stable Diffusion 1.5のINT8については比較的軽量で、このベンチマークに限れば比較対象の方が高スコアだった。要因はメインメモリのクロックではないかと予想する。FP16やXLのFP16については当然ながらDAIV N8-I9G90BK-Aが勝った。負荷が大きいXLについては差も広がっている。
注目は次のAI Text Generation Benchmark。LLM別にPHI 3.5とMISTRAL 7BについてはDAIV N8-I9G90BK-Aが比較対象に対して約2倍のスコアだった。加えて、比較対象ではLLAMA 3.1とLLAMA 2で計測不能だった。理由はシンプルにVRAM不足だ。GeForce RTX 4060は8GBしか搭載していない。24GB搭載しているDAIV N8-I9G90BK-Aは、性能が高いだけでなく、利用可能なLLMの選択肢も幅が広がるというわけだ。
AI以外の性能もベンチマークで確認しよう。GPUの3D性能は3DMarkで計測した。非レイトレーシングの4KテストSteel Nomadで5,000ポイントを超えるなど、GeForce RTX 5090 Laptop GPUの性能は高い。レイトレーシングを含むSpeed Wayも5,000ポイントを超える高スコア、Port Royalでは比較対象に対して2倍以上のスコアだった。
PCMark 10では意外にもそこまでスコアが伸びなかったが、これはPCMark 10のCPU、GPU負荷が強烈に高いというわけではなく、一方でメモリについては比較対象の32GBでもテストには十分足りているし、ストレージの速度も重要になるためだ。ホーム用途のEssentials、ビジネス用途のProductivityとも10,000ポイント前後なので性能的には十分快適だ。その上でクリエイティブ用途のDigital Content CreationはCPU、GPU負荷も高いため比較対象を上回っている。
CPU、GPU性能についてBlender Benchmarkで補足しておきたい。CPUとGPU、どちらのどのテストもDAIV N8-I9G90BK-Aが大幅に上回っている。
本製品はクリエイター向け製品だが、GPU性能を分かりやすく伝える意味でゲームベンチマークの結果もいくつか紹介しておこう。なお、グラフ上でフルHDは1,920×1,080ドット、WQHDは2,560×1,440ドットとドット表記としているが、1つだけ4KとしているのはDAIV N8-I9G90BK-Aではゲームによって3,840×2,160ドット表示が指定できず3,840×2,400ドットで計測しているためだ。
グラフィックス負荷が軽いものの例としてオーバーウォッチ2の結果を見てみよう。軽いとはいえ画質は最上のEPICとしている。
次にファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク。これも画質プリセットでは最上の最高品質で計測している。
GPU負荷が高めのタイトルの1つ目としてマーベル・ライバルズ。1,920×1,080ドットのみ比較対象の方が高fpsだった。これは、メインメモリの転送速度が影響したのだろうか。高解像度ではDAIV N8-I9G90BK-Aが上回っている。
続いてサイバーパンク2077。これはどの項目もDAIV N8-I9G90BK-Aが上回っている。ただし4KについてはDAIV N8-I9G90BK-Aでも60fpsを上回るには至らなかった。レイトレーシング: ウルトラでの検証なので、レイトレーシング: 中など設定を引き下げることで対応可能だ。
最後にモンスターハンターワイルズ。このタイトルの最高画質プリセットは「ウルトラ」だが、比較対象PCのGeForce RTX 4060では途中でエラーが出て計測できなかったため「高」で計測している。デフォルトのフレーム生成オンでの計測値だ。
比較対象は2,560×1,440ドットまではプレイ可能だが、4K(3,840×2,160ドット)でガクッとフレームレートが低下する。GPU性能不足もあるが、グラフィックスメモリの容量不足も影響している。一方でDAIV N8-I9G90BK-Aなら4K(3,840×2,400ドット)も100fpsを超えている。
パフォーマンスも価格も、そしてカスタマイズでもクリエイティブワークを支えるDAIV N8
DAIV N8-I9G90BK-Aは、強力なパフォーマンスのモバイルワークステーションだ。Core Ultra 9 275HXおよびDAIV N8-I9G90BK-Aの搭載するGeForce RTX 5090 Laptop GPUのパフォーマンスはご覧頂いた通り。
今回はそこにメモリをカスタマイズの最大まで搭載してみた。クリエイティブノートPCとってのメモリ容量はアプリケーションが求める容量を搭載するだけでは不十分な場合もあり、プロであればどのような条件下でも不足しにくい十分な容量を搭載するのがベターだ。最初からその製品の最大容量を選ぶという選択肢は検討に値する。
昨今、PCパーツ価格が全体的に高騰している。実際、ゲーミングノートPCだと、GeForce RTX 5090 Laptop GPU搭載モデルは100万円近い。さらにメモリスロットが2基、あるいはメモリの換装ができないモデルなどもある。それらと比較し、DAIV N8-I9G90BK-Aはメモリを128GBにしても80万円を切っている。絶対的な金額としては高価だが、コストパフォーマンスの観点では、プロクリエイターにとって必ずしも高すぎる買い物ではないと言えるだろう。