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デルの企業向け新ブランド「Dell Pro 13 Plus」は、多くの人のかゆいところにも手が届くモバイルノート

~新世代インテルCore Ultraプロセッサー(シリーズ2)搭載で性能、セキュリティ、利便性を実現

デル・テクノロジーズ「Dell Pro 13 Plus」

 デル・テクノロジーズ(以下、デル)は、2025年よりPCのブランドを刷新し、法人向けモデルを「Dell Pro」というブランドで新たに展開を開始した。今回紹介する「Dell Pro 13 Plus」は、Dell Proの中でも選択オプションが豊富で拡張性に優れるメインストリームモデル「Dell Pro Plus」に属する製品だ。

 主な特徴として、Intel vProプラットフォーム対応のインテルCore Ultra 200V/200Uシリーズ・プロセッサー搭載により、優れた処理能力、セキュリティ性、メンテナンス性はもちろん、Copilot+ PCが要求する高いAI性能も備えるビジネスモバイルPCに仕上がっている。中小企業から大企業まで、カバーできる柔軟なBTOメニューなども含め、全方位から本製品を紹介する。

ビジネスシーンに溶け込む上質なデザインと堅牢性を両立

 Dell Pro 13 Plusは、法人向けモデルではあるが、デザインにも随所にこだわりが見られる。大きなポイントは、天板とキーボード面に採用しているアルミニウム素材。表面はサンドブラスト処理調のマットな質感に仕上がっており、シンプルながら非常に上質な印象を与えている。どのようなオフィスでもスッと溶け込んで馴染むデザインでもあり、使っていてとても気持ちがいい。

 サイズは300×215×19.78~19.95mm、重量は最小構成で1.23kg。13.3型クラスのモバイルノートPCとしては、標準的なサイズかつ重量で、毎日通勤で持ち歩くとしても苦はない。

 一方、モバイルPCに不可欠な堅牢性についても、米国国防総省調達基準「MIL-STD-810H」準拠の堅牢性試験をクリア。実際にディスプレイを閉じて本体をひねったり天板を押してみても、不安を感じることはなく、しっかりとした堅牢性を備えていることが手に伝わってくる。

 こういった本体サイズや軽さ、申し分ない堅牢性は、PCを持ち運んで使うことの多いビジネスマンにうれしいポイントと言える。

Dell Pro 13 Plusは、どのようなビジネスシーンにも溶け込む、シンプルながら上質なデザインが魅力
天板とキーボード面にはアルミニウム素材を採用。MIL-STD-810H準拠の堅牢性試験もクリアしており、安心して持ち運べる
重量は最小構成で1.23kg。サイズも13.3型クラスのモバイルノートPCとして標準的で、軽快に持ち運べる

Intel vProプラットフォーム対応のインテルCore Ultra 200V/200Uシリーズ・プロセッサー搭載

Intel vProプラットフォーム対応のインテルCore Ultra プロセッサー(シリーズ2)を搭載

 Dell Pro 13 Plusでは、CPUとして最新のインテルCore Ultra 200V/200Uシリーズ・プロセッサーを採用。試用機はインテルCore Ultra 5プロセッサー236Vを搭載していた。

 本製品が採用するインテルCore Ultra プロセッサー(シリーズ2)は、「NPU(Neural Processing Unit)」と呼ばれるAI処理に特化したプロセッサ「インテル AI Boost」を内蔵しており、ローカルでも高速なAI処理が可能となる。

 実際に、UL LCCのベンチマークソフト「UL Procyon 2.10.1729」に含まれるAI Computer Vision Benchmarkを利用して、CPUとNPUのAI処理能力を比べてみたところ、CPUだとスコアが70だったのに対し、NPUを利用すると852と、実に12倍以上のスコア差となった。この結果からも、NPUのAI処理能力の高さがよく分かると思う。

AI Computer Vision BenchmarkをCPUで実行すると、スコアは51だった
AI Computer Vision BenchmarkをNPUで実行すると、852と12倍以上のスコアが得られた

 1年ほど前であれば、まだNPUを活用するアプリは少なく、利用シーンも限られていた。しかし、この1年の間にNPUを利用して各種AI関連処理を高速化するビジネスアプリが一気に増えている。具体的には、マルウェアやフィッシングなどの検出にもAI技術が実装されている。今後、AI対応の流れはより加速すると予想される。

 アプリがNPUを活用することで、AI関連処理を高速に処理できるようになるのはもちろん、CPUの処理能力を他の処理に回せるようになるため、システム全体のパフォーマンスも向上する。古いPCでは重くなりがちだったマルウェアのスキャンも、NPUの活用で重くなりにくいという具合だ。

 つまり、NPUの有無が作業効率を大きく左右する場面が増えており、ビジネスシーンでもNPUを内蔵するインテルCore Ultraプロセッサー搭載PCの選択は、もはや当たり前になったとすら言っていいだろう。

 前述の通り、インテルCore Ultra 200Vシリーズ・プロセッサーは、48~40TOPSの処理能力を誇るNPUを内蔵し、Microsoftが提唱するWindows向けのAI PC規格「Copilot+ PC」の要件もクリアしている。2025年に入ってから、Copilot+ PC向けの機能は日々追加されている。その観点からも、インテルCore Ultra 200Vシリーズ・プロセッサーの選択をお勧めしたい。

Intel vProプラットフォームの全体像
Intel vProプラットフォームのセキュリティ機能
Intel vProプラットフォームとインテルEMAにより柔軟なクライアント管理が可能。不測の事態からビジネスを守る運用機能も

 インテルCore Ultra 200Vシリーズ・プロセッサーについては、NPUだけでなく、Intel vProプラットフォームに対応する点も企業にとって重要なポイントだ。

 Intel vProプラットフォームは、インテルが提供するビジネスPC向けの統合プラットフォーム。Intel vProプラットフォームに準拠するPCは、業務を効率良くこなせる優れた「パフォーマンス」、OSより下層まで保護する高度な「セキュリティ」、電源が落ちているPCも含めて遠隔で制御・管理できる「メンテナンス機能」、仕事を止めることのない「安定性」の4つの柱に関して、高い機能性や水準を満たしていることが認定されている。

 特に企業にとって重要なのが、セキュリティ、メンテナンス機能、安定性だ。企業のPCをターゲットとしたさまざまな攻撃が顕著化している現在、PCを安全かつ安定利用するための管理体制は企業にとって欠かせなくなっているが、それには人員やコスト、手間がかかり、非常に頭の痛い問題となっている。

 しかし、従業員の利用するPCがIntel vProプラットフォームに対応していれば、そのPC自体が悪意のある攻撃を防ぐ優れたセキュリティ機能を搭載するだけでなく、遠隔でのアップデートやトラブル対応などによりIT管理者の省力化も実現できる。

 こういった観点からも、Dell Pro 13 Plusは、企業が導入するPCとして申し分ない仕様を実現していると言える。また、これらの機能は大企業だけでなく、中小企業のワンマン管理者にとっても非常に有用だ。下記の関連記事もぜひ参考にしていただきたい。

13.3型WUXGA液晶ディスプレイと静音なキーボードを搭載

 製品の紹介に戻ろう。

 ディスプレイは、アスペクト比16:10、1,920×1,200ドット(WUXGA)表示対応の13.3型液晶を搭載。パネルの種類はIPSで、視点を大きく移動させても明るさや色合いの変化はほとんど感じられない。

 パネル表面は非光沢処理のため、外光の映り込みはほぼ気にならない。オフィスでの利用時にも天井の照明が写り込むことがなく、快適に作業が可能だ。また、ディスプレイ部は180度水平まで開くため、対面のプレゼンなどで便利だ。色域はsRGB 100%をカバーし、輝度は400cd/平方mと十分な明るさ。ビジネスモバイルPCとして標準的な発色性能を備えている。

 オプションで、タッチ対応パネルも用意されているのも見逃せない。

アスペクト比16:10、1,920×1,200ドット表示対応の13.3型液晶を搭載
ディスプレイは180度水平まで開くため、対面でのプレゼンに便利

 キーボードは、アイソレーションタイプの日本語キーボードを搭載。主要キーのピッチは約18mm。Enterキー付近の一部キーはピッチがやや狭くなっているが、キー配列は標準的で、実際にタイピングしてみても大きな違和感なくタイピングできた。

 キーストロークは1.5mmほどで、固さは標準的。しっかりとしたクリック感があり、しっかり確実にタイピングできるという印象だ。

 個人的に気に入ったのは、打鍵音の静かさだ。よほど強くキーを叩かなければ、打鍵音はほぼ気にならないレベルなので、静かな場所での作業も安心だ。標準でキーボードバックライトを搭載する点も、暗い場所での作業を快適に行なえるという点で安心だ。

アイソレーションタイプの日本語キーボードは、標準的な日本語配列で扱いやすい。バックライトを搭載する点もうれしい
打鍵音が静かなので、静かな場所でも安心して作業できる
バックライトも装備

 ポインティングデバイスは、クリックボタン一体型のタッチパッドを搭載。タッチパッドの面積はかなり大きく、ジェスチャー操作も含めて非常に快適。オフィスでは外付けマウスを利用する場面が多いかもしれないが、タッチパッドだけでも十分快適な操作が可能と感じる。

クリックボタン一体型のタッチパッドは面積が広く、ジェスチャー操作も含めて快適に操作できる

用途に合わせて細かくカスタマイズ可能

 冒頭でも紹介したように、Dell Pro Plusシリーズは選択オプションが豊富で拡張性に優れるモデルとして位置付けられている。試用機の仕様は以下の表にまとめた通りだったが、細かく仕様をカスタマイズできる。

【表1】Dell Pro 13 Plus(試用機)の主な仕様
CPUインテルCore Ultra 5 236Vプロセッサー
メモリLPDDR5X 8533MT/s 16GB(CPU内蔵)
内蔵ストレージ256GB PCIe4.0 SSD
ディスプレイ13.3型1,920×1,200ドット非光沢液晶
無線LANIEEE 802.11be 2x2(Wi-Fi 7)
BluetoothBluetooth 5.4
キーボード日本語、キーピッチ約18mm、キーストローク約1.5mm、キーボードバックライト
カメラフルHD Webカメラ 、プライバシーシャッター搭載
生体認証電源ボタン一体型指紋認証センサー
インターフェイスThunderbolt 4 2基、USB 3.2 Gen 1 2基、HDMI、3.5mmオーディオジャック
OSWindows 11 Pro
サイズ/重量300×215×19.78~19.95mm/1.23kgから

 CPUは、先に紹介したようにインテルCore Ultra 5/7プロセッサー(シリーズ2)をラインナップしており、用途に合わせて選択できる。

 メモリは、インテルCore Ultra 200Vシリーズ・プロセッサー搭載モデルでは増設は不可能だが、最小でも16GB搭載しており必要十分。インテルCore Ultra 200Uシリーズ・プロセッサー選択時には8GB/16GB/32GBから搭載可能(※オンライン注文時。デル・テクノロジーズ窓口では64GBの見積もりも可能)。将来性を考えると、できれば16GB以上搭載するようにしたい。

 内蔵ストレージは、試用機では256GBのPCIe SSDを搭載。こちらも、最大1TBまで容量をカスタマイズ可能だ。

 無線機能は、試用機ではWi-Fi 7(IEEE 802.11be)準拠の無線LANとBluetooth 5.4を搭載していたが、カスタマイズでWi-Fi 6E(IEEE 802.11ax)準拠無線LANとBluetooth 5.3の組み合わせに変更可能。また、試用機では非搭載だが、4Gまたは5G対応のワイヤレスWANも搭載でき、場所を選ばずにオンライン作業ができる。

Wi-Fi 7対応の無線LANを搭載可能。近年オフィスはフリーアドレス化が進んだことで無線LANの利用率が高まっており、最新規格のWi-Fi 7に対応できる点は将来性という点でも安心だ

 生体認証機能は、Windows Hello対応の顔認証カメラと指紋認証センサーの一方、もしくは同時搭載が可能。試用機では指紋認証センサーのみ搭載していた。顔認証カメラは5MPのWebカメラとしても利用でき、顔認証カメラ非搭載時にはフルHD Webカメラが搭載される。

 生体認証機能は非搭載にもできるが、セキュリティ性と利便性を両立する意味で搭載が望ましい。そのほか、スマートカードリーダーやNFCリーダーも搭載可能で、企業のセキュリティ体制に合わせた柔軟なカスタマイズが可能なのがデル製品らしい。

試用機では顔認証非対応のフルHD Webカメラを搭載していたが、顔認証対応の5MPカメラも選択可能。カメラを覆うプライバシーシャッターはどちらも搭載する
キーボードの右上に電源ボタン一体型の指紋認証センサーを搭載。電源ボタンはかなり堅いので、タイピング中に触れて電源が切れる心配はない

 側面のポートは、左側面にHDMI、USB 3.2 Gen 1、Thunderbolt 4 2基を、右側面に3.5mmオーディオジャック、USB 3.2 Gen 1をそれぞれ配置。カスタマイズにより、左側面にスマートカードリーダー、右側面にSIMカードスロットなども追加される。

 Thunderbolt 4対応のUSB Type-Cポートは、Dellの法人向けPCとして初となるモジュラー型USB Type-Cポートを採用。これにより、従来のUSB Type-Cポートと比べてねじれへの耐久性が最大4倍、耐衝撃性が最大33倍に向上している。安心して利用できるのはもちろん、万が一の破損時でも容易に修理できる。PCの破損は業務の停滞を招くため、こういった点も安心な要素と言える。

左側面にはHDMI、USB 3.2 Gen 1、Thunderbolt 4 2基を配置。このうちThunderbolt 4のUSB Type-Cにはモジュラー型ポートを採用することで耐久性を高めている
右側面にはオーディオジャックとUSB 3.2 Gen 1を配置

試用機もパフォーマンスは良好だが、より高いパフォーマンスも目指せる

 最後に、簡単にベンチマークテストの結果を紹介する。利用したベンチマークソフトは、UL LLCの「PCMark 10 v2.2.2737」、「3DMark Professional Edition v2.31.8385」、Maxonの「CINEBENCH R23.200」の3種類だ。

PCMark 10の結果

 結果は、ビジネスPCとして申し分ない結果となっている。Office系アプリやWeb会議などの用途が中心であれば、この先も不満を感じることはないはずだが、動画の編集もしたいなど、より高い性能が必要なら、インテルCore Ultra 7プロセッサーを選択しよう。

 バッテリ駆動時間も検証した。試用機では容量45Whのバッテリを搭載しており、駆動時間は公称で18.5時間とされている。Windowsの省電力設定を「バランス」、バックライト輝度を50%、キーボードバックライトをオフに設定し、PCMark 10のBatteryテスト「PCMark 10 Battery Profile」の「Modern Office」で計測したところ、16時間32分を記録した。ベンチマークテストでこれだけの駆動時間なら、実利用でも充電せずに丸1日利用できるはずで、モバイルPCとして不安はないだろう。

 なお、容量55Whの大容量バッテリの搭載も可能なので、このあたりも用途に応じて選択すればいいだろう。

AI処理はもちろん、幅広い用途に柔軟に対応できるビジネスモバイルPC

 今回、Dell Pro 13 Plusを実際に試用してみたが、インテルCore Ultra プロセッサー(シリーズ2)を採用することによる優れたパフォーマンスに加えて、高性能なAI処理が可能なNPUも内蔵することで、これからビジネスシーンでも不可欠になってくるエッジAI処理へもしっかり対応できることが確認できた。

 AI PCはまだまだコストが高いこともあって、AIへの対応はまだ先でいいと考える人もいるかもしれない。しかし、すでにビジネスのさまざまな場面でAIが活用され始めていることや、AI関連サービスの進化の早さを考えても、今備えておかなければ取り残される可能性が高いと言える。将来を見据えた投資と考えるべきだ。

 同時に、Intel vProプラットフォーム対応による高度なセキュリティ性や管理機能を備える点も、企業が導入するPCとして心強い。Dell Pro 13 Plusは、今導入すべきビジネスモバイルPCとして最適な選択肢の1つと結論づけていいだろう。