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仕組みで理解するIPS液晶。進化し続けるその特性と性能を解説

 PC用モニター製品、ゲーミングモニター製品、そしてテレビ製品において、有機ELパネルの普及率は徐々に上がってきてはいるものの、いまだ液晶パネル製品の人気は衰えていない。その理由はなんと言ってもコストパフォーマンスの高さにある。映像を楽しむ上で、没入感を左右する「画面サイズ」、画質を左右する「高解像度」や「色再現性」、ゲーミング用途では特に重要視される「高リフレッシュレート性能」において、液晶パネルは、着実な進化を遂げてきており、今でもユーザーのニーズに応えているためだ。

 現在、薄型ディスプレイ製品に採用される液晶パネルは大別して、TN型、VA型、IPS型の3種類がある。この構造の違いをまずは復習し、現在市販されている各社の進化型IPSの特性を解説していく。

 また、それらIPSパネルを搭載したオススメの製品も紹介する。

TN型液晶の原理

 TN型液晶は、最も基本的な液晶パネルの実現様式だ。TNは「Twisted Nematic」の略称で、「ねじれたネマティック」の意になる。TN型液晶の液晶画素では液晶分子を、一定方向に微細な筋状の傷を付けた配向膜で挟み込んで「ネマティック液晶分子」を自然状態でねじれるように配向させている。だから「ねじれたネマティック」液晶と呼ばれるのだ。ちなみに、余談ながら補足すると、液晶分子にはSmectic液晶、Cholesteric液晶もある。

 TN型液晶パネルではこの液晶画素層を、位相が直交した(90度違う)偏光板で挟み込む。光は立体的な波の性質を持ち、偏光板を通すことで特定の方向の光の波を取り出すことができる。液晶パネルではバックライトからの光を、入射光側の偏光板にて、ある一方向だけの位相に精製し、これを液晶画素層に導く。

電圧OFF時。光は液晶分子に導かれて位相が回転して出口側の偏光フィルタを通り抜けられる。これが"明"表示
電圧ON時。液晶分子は立ち出して光の位相に影響を及ぼさない。そのため光は出口側の偏光フィルタでシャットアウトされてしまう。これが"暗"表示

 TN型液晶の液晶分子は自然状態(電圧ゼロ)でねじれて配列しているので、ここにやってきた光は液晶分子に衝突し、このねじれ配列に沿って光は進む(旋光現象)。この場合、光の偏向方向は液晶によって、最大角の90度までねじ曲げられると、出口側(表示側)の偏光板を通り抜けることができる。これが液晶画素の"明"表示となる。

 液晶画素相に電圧をかけてやると、ねじれていた液晶分子は立ち上がる方向に並びだし、ここにやってきた光は、旋光現象を生ずることなく、そのまま出口側の偏光板にたどり着いてしまう。出口側の偏光板は入射光側の偏光板と位相を変えてあるので、この光はここを通り抜けることができない。これが"暗"表示になる。

 電圧のレベルを変えれば液晶分子のねじれ具合を任意にコントロールでき、ひいては液晶画素の暗~明の具合をコントロールできることになる。明暗が作り出せればあとは、カラーフィルタを用いてフルカラー化することは簡単だ。これがTN型液晶画素の基本概念であり、他のすべてのタイプの液晶パネルの基本原理になっている。

VA型液晶の原理

VA液晶では、画素中の液晶分子は通常時直立しているが、電圧をかけていくとだんだんと寝ていく。寝れば寝るほど液晶分子に光が当たりやすくなり、複屈折も起こしやすくなり、多くの光が透過するようになる

 VA型液晶も基本原理はTN型と大きくは変わらない。VAのVertical Alignmentとは「垂直配向」の意味で、電圧オフ時に液晶分子が垂直に立って安定するように配置させることを意味している。

 一部の例外を除き、VA液晶でも偏向方向を90度ずらした2枚の偏光板で液晶分子を挟み込むのはTN液晶と同じだ。電圧オフ状態では液晶分子は垂直に立っているので光は液晶分子の投影面積の小さい部分に当たることになり、光の位相はほとんど変化しない。つまり、出口側の偏光板にたどり着くが、光は出てこられないので、電圧オフ時には黒色となる。ちなみに、こうした液晶を特に「ノーマリーブラック」特性と呼ぶことがある。

 一方、電圧を強めていくと立っていた液晶分子が徐々に寝るようになり、寝れば寝るほど光がよく液晶分子に当たるようになる。液晶分子に当たった光は複屈折という光学現象を起こし、光の位相を変化させ(楕円偏光状態になる)、その位相がずれた光は出口側の偏光板から出られるようになる。つまり電圧を強くすれば強くするほど明るい階調が作り出せるということになるのだ。

IPS型液晶の原理

 TN型やVA型では、液晶分子を透明電極で上下から挟み込み、この電極に電圧を与えて上下方向の電界を作り出して液晶分子の配向を制御する「縦電界駆動方式」方式を採用していた。

 これに対してIPS型液晶では、液晶分子の配向を制御する電極を横方向に配置し、横電界で駆動する「横電界駆動方式」を採用するのが特徴となっている。IPS型液晶のIPSとは、「1枚の面(Plane)上に配置された透明電極だけで制御する」の意味から採られた方式名となっている。

 この方式では、光の明暗を液晶分子で旋光させて作り出すのではなく、液晶分子が光の進行を「どれだけ邪魔するか」のようなイメージで実現される。偏光板については、2枚の偏光板で液晶分子を挟み込むのは方法式と同じだが、偏向方向を90度ずらす場合と、ずらさない場合(0度)の2タイプがある。

IPS型液晶の動作原理

 TN型やVA型では、表示面を斜めから見た時と、正面から見たときとで、液晶分子の見え方が変わるため、表示面側の偏光板からどうしても視線角度依存の迷光(漏れてきた光)を見てしまうことになる。これがTN型やVA型の液晶パネルの「視野角が狭い」「見る角度によって色が変わってくる」といった弱点となっていた。

 VA型液晶パネルでは、この弱点を克服するために、赤緑青の各サブピクセルをさらに細かく分割して(マルチドメイン化)、正面からずれた視線にも想定に近い出射光を出すように改善している。これがMVA(Multi-domain VA)型液晶パネルだ。

 これに対しIPS液晶は、その原理上、視野角に依存した迷光が少ないため、「視野角が広い」、「見る角度によって色が変わらない」という元来の長所を持つ。そして、この特性は、大画面との相性も良いとされる。というのも、大画面では、ユーザーが画面の中央、真ん前にいたとしても、画面の外周付近を見る時には視線が画面に対して斜めになるからだ。IPS型液晶では、他方式の液晶パネルと比べ、原理的に、画面の隅々まで安定した発色を行なうことが得意なのだ。

表示面を見た場合のTN液晶とIPS液晶の違い

各社が送り出す「進化型のIPS型液晶」(1)Nano IPS

 前述したように、IPS型液晶は、安定した発色が行なえる特徴を持つが、パネルメーカー各社は、IPS型液晶の性能をさらに高めるべく、各社独自の改良を適用している。

 近年の液晶パネルでは、その光源(バックライト)として白色LEDを採用することが多い。この白色LEDは、実は青色LEDからの青色光と黄色の蛍光体を組み合わせて、「青色+黄色=白色光」の図式で白色光を作り出している。この時、作り出される白色光は、当然のことながら黄色成分(波長にして570~590nm)が強い。

 カラー映像パネルでは、3原色と呼ばれる、赤(610~780nm)、緑(500~570nm)、青(460~500nm)の各色光を合成してさまざまな混合色を作り出すので、実際に欲しいのは純色の赤緑青の光だ。青色光は青色LEDからの光をそのまま使うのでいいとして、赤や緑は、蛍光体にぶつけて作り出した黄色から取ることになる。しかし、その光には、純色の赤と緑以外に黄色の成分が多い。このままだと、混色させたときに雑味が乗り、結果として、色域がやや狭くなる。

 この課題を克服するべく、LG Display(以下、LGD)社は、黄色を吸収する効果のある、粒径ナノメートルクラスの無機酸化物を織り交ぜた光学フィルタを白色LED光源に挟み込み、この余計な黄色を減退させる工夫をIPS型液晶パネルに適用した。これが「Nano IPS」パネルになる。発色のよいNano IPSパネルは、グラフィックスデザインや映像鑑賞用に向く。

各社が送り出す「進化型のIPS型液晶」(2)IPS Black

 IPS型液晶パネルは、その原理的特徴から、視野角依存の色調変移が少ないものの、黒色画素における迷光成分の多さに課題があった。具体的には、黒がグレーに近い見た目となってしまう「黒浮き」を伴ってしまう傾向にあったのだ。

 この課題を解決すべく、LGDは、黒表示時の液晶分子の回転精度と、偏光板の透過/遮光精度を上げることで、黒表示や暗部階調性能を向上させた。それが「IPS Black」パネルだ。

 ネイティブコントラストは約2,000:1とされ、一般的なIPS型液晶の約1,000:1と比べて2倍に向上することになる。黒の締まりがよく暗部階調にも優れるIPS Blackパネルも、グラフィックスデザインや映像鑑賞用に向く。

各社が送り出す「進化型のIPS型液晶」(3)Fast IPS、RAPID IPS

 TN型液晶やVA型液晶の液晶分子は、電圧をかけた際に発生する配向変位の動きは、「傾きを変える」ような挙動になる。対して、IPS型液晶の液晶分子は、回転するような挙動となるため移動量が多い。このあたりが大きく影響して、IPS型液晶の応答速度は、TN型やVA型と比べると遅めと言われてきた。

 しかし、応答速度の向上が以前よりも増して求められるようになったことから、IPS型液晶パネルを製造するLGDやAUOは、この部分の改良に取り組んだ。

 まず、IPS型液晶に用いられる液晶分子の粘性を下げて、回転運動をしやすく改善した。さらに、隣接する液晶分子同士が、互いの初動の運動をもたつかせる特性を改善すべく、初期駆動時の初期電圧を高めとする駆動に改善(実質的にはオーバードライブ駆動に相当)した。その結果、TN型やVA型に引けを取らない1ms(中間色)の応答時間を達成できたとされる。

 この改善を取り入れたIPS型液晶を「Fast IPS」とブランディングしているのがAUOになる。LGDは、同様の改善を取り入れた、Nano IPSパネルを製造している。

 「RAPID IPS」というものもあり、これはMSIが、モニター製品に採用したFast IPSパネルやNano IPSパネルに対し独自のチューニングを施し、さらに独自のマーケティングブランドを与えたものになる。

 最近ではリフレッシュレート240Hzを上回るFast IPSパネルが登場しており、IPS型液晶パネルにも関わらず、ゲーミング用途にも強く訴求されるようになってきている。

各社が送り出す「進化型のIPS型液晶」(4)その他の進化系IPS型液晶たち

 IPS型液晶は元々、1990年代初頭に日立製作所が実用化したものだった。なお、最初期は、日立自身も「IPS型液晶」とは呼ばず、「スーパーTFT液晶」として訴求していた。

 その後、LGD設立前のLG本体が、日立からIPS型液晶技術のライセンスを1996年に取得した。そのため、今ではIPS型液晶パネルと言えばLGDのブランドイメージが強くなったが、最初期のIPS型液晶の進化は日立が実践している。

 1998年には、視野角と色調変移低減を目的として、IPS型液晶の赤緑青サブピクセル内の液晶分子を、左回転駆動タイプと右回転駆動タイプの両方を用い、さらに、これをMVA型液晶のようなマルチドメイン化の改良を施した。画素の顕微鏡写真で「<<<」のように見えるサブピクセル構造のIPS型液晶パネルはこの系統になる。

 日立はこのタイプのIPS型液晶パネルを「S-IPS」(Super IPS)と呼び、これをさらに高透過率に改善したものを「AS-IPS」(Advanced Super IPS)として2002年に、その後、コントラストを高めた改良版の「IPS-PRO」を2004年に発表している。

 LGDも、IPS型液晶を独自に進化させてきており、日立が行なってきたような、改良型のIPS型液晶パネルをリリースしてきた。2010年登場した「AH-IPS」パネルは画質面と消費電力を改善し、特に製造コストを削減したコストパフォーマンス重視のIPS型液晶パネルとして、IPS型液晶を多くのユーザーに浸透させた。

 同じLGD製のIPS Nanoパネルは、2017年に登場しているが、これはAH-IPSを置き換えるものではなく、上位の後継モデルと言う位置づけとなっている。

IPS型液晶をさらに進化させる技術

 IPS型液晶パネル専用と言うわけでもないのだが、液晶素子そのものの改善ではなく、補助デバイスの搭載で、液晶パネルの表示性能をさらに上げようとする技術も続々と誕生しているので紹介しよう。

 1つは新しいバックライト技術の登場だ。代表的なものとして、今では、ハイエンドクラスの液晶モニター製品や液晶テレビ製品に広く採用されるようになった「直下型LEDバックライトシステム」がある。

 具体的には、液晶パネルの直下に、2次元配列状に多数配置したLED光源を映像の明暗分布とリアルタイム連動させて、輝度を変化させるメカニズムとなっている。映像中の明るい箇所に対応するLED光源は明るく焚き、暗い箇所では暗く焚くわけだ。この局所的な明暗制御技術は「ローカルディミング」や「エリア駆動」などと呼ばれる。

 ネイティブコントラストが約4,000:1はあるVA型液晶に比べて、暗部再現性能が高められたIPS Blackパネルであっても、ネイティブコントラストは2,000:1程度。しかし、このローカルディミングのメカニズムを応用すれば、IPS型液晶の原理的な課題である「暗部階調や黒の締まり」や「コントラスト性能」を劇的に向上させることが可能となるのだ。

 近年では、直下型LEDバックライトシステムに用いるLED光源を極小化した進化型を「ミニLED液晶パネル」と呼んだりする。元々発色性能が優秀なIPS型液晶パネルに、ミニLEDバックライトシステムを組み合わせた製品は、高画質液晶映像機器の理想形と言われることが多い。

最初期の直下型白色LEDバックライトは、このくらいの実装密度で実現されていた
最初期のミニLEDバックライト。当時でもLEDの実装密度は段違い

 2つ目は、発色性能を向上させる周辺技術だ。代表的なものとしては「量子ドット技術」(Quantum Dot:QD)がある。量子ドットとは、カドミウム、亜鉛、セレン、硫黄などを組み合わせた、粒径数nmサイズの微粒子のこと。これに光を当てると、その量子ドットのレシピに応じて光の波長を変調できる。つまり、光の色を変換することができるのだ。液晶パネル製品では、青色LED(青色のミニLEDの場合も多い)を実体光源とし、赤量子ドットと緑量子ドットを組み合わせて、赤緑青の光を作り出すことが多い。

一般的な白色LEDを使った液晶モニターの白色光のスペクトラム。白色LEDの実体光源は青色LEDなので、青色光のスペクトラムは鋭く分離感も良好だが、赤と緑のスペクトラムはピークが低く、分離感も曖昧。理由は、黄色蛍光体から発せられる黄色成分が残るため
量子ドット技術を適用した液晶モニターの白色光のスペクトラム。各スペクトラムがきっちり分離しており、そのピークも鋭い。その混色時の色域も広くなることが多い

 似たような効果をもたらすものに、既存液晶パネルにも広く使われている「カラーフィルタ」があるが、これは入射光から特定の色だけを取り出す役割を果たすため、捨てられる光のエネルギーの方が大きい。一方、量子ドットの場合は、衝突させた光の波長を変えて出射できるので、明るさを維持したまま色を変えられる特長がある。

 なお、量子ドット素材は、量子ドットフィルム(Quantum Dot Enhancement Film: QDEF)として、液晶パネルとバックライトLED光源との間に挟み込まれるケースが主流となっており、そうしたバックライトシステムを使った液晶映像機器を「QLED」と呼ぶこともある。

 IPS型液晶パネルに対して「ミニLED」と「量子ドット」の両方組み合わせた「究極の全部入りIPS型液晶製品」も存在するが、価格はそれなりに高い。

一般的な白色LEDを採用した液晶パネルの色度図
青色ミニLEDと量子ドット技術を組み合わせた液晶パネルの色度図

Fast IPS 採用のTVS REGZA「RM-G276N」。27型でWQHD/240Hz/1ms/HDRの充実スペック

TVS REGZA「RM-G276N」。実売価格4万6,000円前後

 レグザと言えば、テレビのイメージが強いが最近ではゲーミングモニターにも力を入れている。27型サイズでワンランク上の充実したスペックを備えたものを求めているなら注目したいのが、モンスターハンターワイルズ推奨高画質にも認定されている「RM-G276N」だ。

 まずポイントになるのが、高速応答かつ広色域のFast IPSパネルを採用していること。応答速度は1ms(中間色)と高速なほか、色域はDCI-P3カバー率90%、sRGBカバー率99%と広く、色の再現性に優れている。輝度は標準で340cd/平方mだが、PC向けHDR規格のDisplayHDR 400認証を取得しており、ピーク時の輝度はもっと高くなると見られる。

 2W+2Wのステレオスピーカーも内蔵しており、ゲームだけではなく手軽に映像コンテンツを楽しむのにも向いている1台だ。解像度はWQHD(2,560×1,440ドット)となっている。

高速応答と広色域を両立するFast IPSパネルを採用。狭額縁なのでスッキリして見える
スタンドは上下のチルトだけとシンプルだ

 最大リフレッシュレートは240Hzと非常に高く、VRRとしてAdaptiveSyncに対応。暗部の視認性を向上させる「ブラックゲイン」、画面の中央に照準を表示する「クロスヘア」の機能もある。

 また、テレビ開発で培ってきた高画質化のノウハウを取り入れ、FPS、RTS/RPG、MOBA、レーシング、映画、スポーツ、標準とゲームや目的にマッチした画質や応答速度に設定するモードを用意。たとえば、FPSなら暗部を見やすくし、残像感を軽減する設定が適用され、一般コンテンツでは明るい部屋でもメリハリのある美しい映像を楽しめる。

 このほか、ブレを軽減するMPRTも搭載する(VRRと排他利用)。

リフレッシュレートは240Hz、DisplayHDR 400もサポート
電子顕微鏡60倍で拡大した画面。サブピクセルはIPSパネル特有のくの字型だ

 映像入力はDisplayPort 1基、HDMI 2基の3系統を用意。PlayStation 5ではWQHD表示、120Hz駆動、VRR、HDRに対応。家庭用ゲーム機でも楽しみたいという人にも向いている。

インターフェイスは、DisplayPort 1基、HDMI 2基、ヘッドフォン出力を用意。電源はACアダプタだ
PlayStation 5では、WQHD/120Hz/VRR/HDRにフル対応

 VESA75に対応しているのでモニターアームの取り付けも可能。また、標準スタンドはVESAマウントホールを占有しないので、ミニPCの固定や収納ラックなどを導入しやすいのもうれしいところだ。

RAPID IPS採用のMSI「G255PF E2」180Hz/1msの高速表示で24型サイズと競技性の高いゲーム向け!

MSI「G255PF E2」。実売価格2万5,000円前後

 画面全体を視野に入れやすく、競技性の高いゲームで主流となっている24型サイズであり、手頃な価格のモデルを求めているなら注目したいのがエムエスアイコンピュータージャパン(MSI)の「G255PF E2」だ。

 RAPID IPSパネルを採用したことで1ms(中間色)の高速な応答速度を実現。24.5型サイズで、解像度はフルHD(1,920×1,080ドット)、色域はDCI-P3 78%、sRGB 93%。輝度は300cd/平方mでHDRには対応していない。

 MSIのゲーミングモニターとして初めてスピーカー(2W+2W)を搭載したのもポイント。カジュアルに遊んだり、動画を見るときは耳を塞ぎたくないという人には手軽に使える内蔵スピーカーがあるとありがたいはずだ。

IPSパネルの弱点だった応答速度の遅さを改善し、1msを実現したRAPID IPSパネルを採用
スタンドはコンパクトでキーボードやマウスを配置しやすい。チルト、スイベル、高さ調整、ピボットにも対応する高機能タイプだ

 リフレッシュレートは180Hz、VRRとしてAdaptive-Syncに対応。ゲーム内の暗部を見やすくする「ナイトビジョン」、画面の中央に照準を表示してFPS/TPSで敵を狙いやすくする「Screen Assistance」といったゲーミングモニターの定番機能も備わっている。

 目に見えない速度で赤色を挿入して液晶特有のブレを軽減するMPRTも用意されているが、VRRとは排他仕様だ。どちらを使うかはタイトルや好みで選ぶとよいだろう。

リフレッシュレートは180Hz、HDRには対応していない
電子顕微鏡60倍で拡大した画面。サブピクセルはIPSパネル特有のくの字型になっている

 映像入力はDisplayPort 1.2a 1基、HDMI 2.0b 2基の3系統を用意。どちらの接続でも180Hzのリフレッシュレートを設定が可能だ。PlayStation 5では120Hz駆動が可能。

インターフェイスは、DisplayPort 1.2a 1基、HDMI 2.0b 2基、ヘッドフォン出力を用意。電源は内蔵型でACアダプタではない点はよいところ
PlayStation 5では120Hz動作が可能

 VESA100にも対応しているのでモニターアームの取り付けも可能だ。また、Windows上で動作するアプリとして「Display Kit」も用意されており、解像度やリフレッシュレート、カラー設定、ウィンドウ配列といった機能が利用できる。ゲーミング系の設定はOSDメニューを使う。

IPS採用のViewSonic「VA2708-2K-MHD」。仕事にもゲームにも使いやすいお手頃価格の27型WQHDモニター

ViewSonic「VA2708-2K-MHD」。実売価格2万3,000円前後

 27型、WQHD解像度で高リフレッシュレートがほしいが、予算は抑えたいという条件でモニターを探しているならチェックしてほしいのがビューソニックジャパン(ViewSonic)の「VA2708-2K-MHD」だ。軽量で設置しやすく、仕事にもゲームにも映像視聴にも使いやすい1台となっている。

 「VA2708-2K-MHD」は、27型で解像度がWQHD(2,560×1,440ドット)のモニターだ。どの角度から見ても高い色の再現性を持つSuperClear IPSパネルを採用しているのが大きな見どころ。

 なお、SuperClear IPSは、パネルの方式自体は通常のIPSだが、どの角度からも均一な色を再現し高視野角を実現、色空間を拡張によるより高い色性能、パネルの中間階調を改善し滑らかな表示を実現するViewSonic独自の画像補正技術であるSuperClearを追加したものとなる。

 上下左右とも178度の視野角を備えている。それでいて応答速度は1ms(MPRT、オーバードライブ時)と高速で、ブレのない映像を楽しむことが可能だ。最大輝度は300cd/平方mで、HDR10もサポートしている。2.5W+2.5Wのステレオスピーカーも搭載。

色性能が高いSuperClear IPSパネルを採用。狭額縁なのでスッキリして見える
スタンドは上下のチルトだけとシンプルだ。台座がフラットなのでキーボードなどを置きやすいのは便利

 リフレッシュレートは100Hzと一般的な60Hzよりも高いため、滑らかな表示が可能。画質のプリセットとして、標準、FPS、RTS、MOBA、映画、ウェブ、テキスト、MAC、モノクロの9種類を用意。各シーンにマッチしたガンマ曲線、色温度、コントラスト、明るさに調整される。

 このほか、ちらつきが発生しないフリッカーフリー技術やブルーライトフィルタなどアイケアのための「Eye ProTech」技術も導入されており、目に優しいため仕事にも最適だ。

リフレッシュレートは100Hz、HDRにも対応している
電子顕微鏡60倍で拡大した画面。サブピクセルはこちらもIPSパネル特有のくの字型だ

 映像入力はDisplayPort 1.4 1基、HDMI 2.0 2基の3系統を用意。PlayStation 5ではWQHD、HDR表示が可能だ。

インターフェイスは、DisplayPort 1.4 1基、HDMI 2.0 2基、ヘッドフォン出力を用意。電源にはACアダプタを使用する
PlayStation 5ではWQHD/HDRに対応

 VESA75のマウントホールが用意されているので、モニターアームの取り付けも可能だ。モニターが非常に薄く、スタンドもシンプルなのもあり、約4.1kgと軽いのもポイントだ。設置のしやすさを重視するなら注目しておきたい。