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仕事でデュアルモニターはもうやめだ。最強はウルトラワイドモニター、顔認証まで使えるEIZO「FlexScan EV3450XC」がベストオブベストなわけ

EIZO「FlexScan EV3450XC」。34.1型のウルトラワイド曲面モニターで、解像度は3,440×1,440ドット(アスペクト比21:9)

 ビジネスモニターと言えばアスペクト比16:9が定番、そんなふうに考えていた時期が筆者にもありました。そして広いデスクトップ環境が欲しいときは同じモニターを追加してマルチモニター化……なんてのも実はもう古い。 それは近頃ではマルチモニターの代わりに、1台の横長な「ウルトラワイドモニター」を利用するユーザーが増えてきているから。

 ただ、ゲームなどのエンタメ用途で注目され始めたウルトラワイドモニターだけに、導入しようにも大きすぎたりしてジャストフィットする製品が少ないのが悩ましいところ。そんなところへ、業界の雄EIZOが“本気”のウルトラワイド曲面モニター「FlexScan EV3450XC」を投入してきた。

  34.1型の大きすぎず小さすぎずなちょうどいいサイズ感に加えて、Webカメラとマイクまで内蔵。EIZOらしくデザインも含めてスタイリッシュにまとめ上げられているのが大きな特長。

 ここでは、6月28日に発売されたばかりの最新モデル「FlexScan EV3450XC」を、じっくり細部までチェックしてみたい。EIZOダイレクトでの直販価格は16万2,800円(税込)だ。

なぜビジネスにウルトラワイドが最適なのか? 16:9モニターとの決定的な違い

正面から見ても曲面の違和感はない
画面はユーザーを包むように若干湾曲しているのだが、正面から見てもまったく違和感がないのが分かる

 EIZOから新登場したFlexScan EV3450XC(以下、EV3450XC)は、34.1型、アスペクト比21:9のウルトラワイド曲面モニター。一般的な16:9のモニターよりも横に長く、そのぶん解像度も3,440×1,440ドットと高いのが特徴だ。

ケーブル類を隠せるすっきりデザイン
映像入力などのインターフェイスは背面のカバーに隠されており、デザイン性が重視されている。上部のスリットは本機を持ち上げたりする際に持ち手として役立つ

 そもそも、こうしたウルトラワイド曲面モニターがビジネスの現場でも人気が高まってきているのはなぜだろうか。理由はいくつか挙げられるが、中でも大きなポイントと言えるのが設置スペースを考慮したときのサイズ感と、解像度のバランスの良さだ。

 たいていのオフィスは1人分の作業スペースが決まっているはずで、デスク上に際限なくモノを置けるわけではない。40型クラスの巨大なモニターは設置しにくいものが多く、実用的なサイズのモニターであっても2台並べてマルチモニター環境にすると、それだけでデスクスペースの大半が占有されてしまう。

 仮に24型クラスの16:9モニターを2台横並びにしたとすれば、合計幅は1m超。横方向に画面を広く使えるのはメリットとはいえ、デスクの横幅が120cmなら残りは20cmに満たない。実質的に両サイドには数cmの余裕しかないことになるから、書類を立てておくようなスペースすら取りにくいし、かなりの圧迫感だろう。

 生産性アップのためにマルチモニターにしたはずなのに、これでは作業に支障が出かねない。

24型モニター2台だと1mを超える
24型クラスの16:9モニターは幅が50cm以上あるので、横に並べると1mを超えてしまう

  それに対して34.1型ウルトラワイドのEV3450XCは、横幅が約82cm。24型モニターを2台並べるよりも圧倒的にコンパクトに収まる。 そのぶんデスクを広々と使えるうえに、縦方向の解像度がアップしてWebブラウザやチャットなど縦スクロールするアプリケーションの使い勝手も高まるのだ。

34.1型モニターなら80cm程度で縦にも広い
EV3450XCは幅約82cmで、デスクスペースに余裕ができる

  また、もう1つ重要なウルトラワイド曲面モニターのメリットとして、全画面をシームレスに使えることも挙げられる。

 たとえばノートPCと外部モニター1台という構成を考えたとき、ベゼルや隙間によって“境界”がはっきり分かれ、多くの場合は画面サイズも異なるため、2つの画面を一体的に使うのが難しい。

24型モニターと14型ノートは画面サイズが合わない
16:9の外部モニターとノートPCの組み合わせでは“境界”があり、サイズも異なるため2画面を一体的に使いにくい

 デスクトップPCなどで同一サイズのモニター2台を使うとしても“境界”ができることは避けられず、そこをまたぐ形でアプリケーションを利用することは基本的に考えられない。

どうしても気になるモニターの境界
モニター2台を並べて使おうとしても“境界”ができてしまうことは避けられず、アプリケーションがそれをまたぐと使いにくい

 必然的にどちらかのモニターをメインとして使い、もう1台をサブ的に使うようなスタイルになってしまう。モニターに向かう姿勢はどちらかに偏るし、単純に横幅が広いので首を振ったり視線移動したりすることも増える。

 1画面1アプリケーションのような使い方になりやすいことを考えれば、マルチモニターにしたからと言って必ずしも効率的に作業できるとは言えないわけだ。

首を動かさざるを得ないデュアルモニター
マルチモニター環境では一方のモニターをメインに使うスタイルになりがち。別のモニターに目線を送る場合も首を振る必要が出てくる

そこでウルトラワイド曲面モニターですよ!

  ウルトラワイド曲面モニターのEV3450XCなら、そうした“境界”による制約から解放される。 複数のアプリケーションウィンドウを自由なサイズ・ポジションに配置して使えるし、Windows 11のスナップ機能を併用することで広いデスクトップをより一層活用しやすくなる。画面中央に向かって常にまっすぐの姿勢で作業できるので、健康面でも利点がありそうだ。

デュアルモニターよりも断然すっきり
EV3450XCにすると真正面に座って使える。アプリケーションの配置も自在。しかも情報量は多いまま。デュアルモニターと違い、首を回さなくても目線だけで画面端を見ることができる

  そして、湾曲型のパネルであることも有利に働く。モニターの左右が手前側に反っており、正面に座ったときの目から画面までの距離は、中央と左右端とで最小限の差に抑えられる。 隅から隅まで視点移動しても焦点距離はある程度一定になるため、目の疲労軽減にもつながるだろう。

この曲面が画面への没入感を生む
曲面モニターのため、中央付近と左右端とで目から画面までの距離差は最小限に

  以上をまとめると、34.1型ウルトラワイド曲面モニターのEV3450XCは、横幅が意外とコンパクトで、限られたスペースでも設置しやすいのが強み。縦の解像度が1,440ドットとフルHDモニターよりも広く、視界を邪魔する“境界”がないためアプリケ―ションの使い勝手が高まる。さらには画面の視認性を高める湾曲形状により、疲労軽減にも貢献するのだ。

内蔵Webカメラは高画質、かつ顔認証にも対応

ぱっと見では分からない内蔵式Webカメラ
Webカメラとマイクがベゼル内に完全に収まったスタイリッシュな見た目
Webカメラはプライバシーシャッターも備える

  EV3450XCはただウルトラワイドなモニターではない。ほかにはあまりないユニークな特徴がある。それは、Webカメラとマイクをベゼル部分にすっきり内蔵していること。

 Webカメラやマイクを内蔵したモニターは、ほかのメーカーからもいくつか販売されている。しかし、モニターのベゼルに目立たない形で実装しているものとなると限られる。ポップアップ式で普段は筐体内に格納されていても、使用時には後付けしたかのようにカメラやマイク部分だけがベゼルから飛び出して、不自然に目立ってしまっているものがほとんどだ。

 一方、EV3450XCの場合、Webカメラが使用中かそうでないかに関わらず、上方向にも正面方向にも飛び出すことは一切ない。 離れたところから見ると、Webカメラがあるとは気付けないほどさりげない感じで埋め込まれている。 それでいて500万画素(2,592×1,944ドット)という高画質を実現しているのだ。

 実際の画質がどれほどのものなのか、標準的な性能を持つノートPCのWebカメラ(1,920×1,080ドット)と比較してみた。

 下記のスクリーンショットを見ると、ノートPCのWebカメラは、ディティールがぼやけて全体的に判然としないのが分かる。ブロックノイズが目立っている部分もあるし、全体の色合いは少し青みがかっている。また、ノートPCのWebカメラを使ったときに避けられない“ユーザーを見上げる構図”になってしまっている。

200万画素のノートPC内蔵Webカメラ
ノートPCのWebカメラ。画素数は200万画素だが、ディティールがぼやけた感じになっている

 それに対してEV3450XCのWebカメラは、細部までキリッとした輪郭を保っている。髪の毛1本1本が判別できそうだし、肌の質感も分かるほどの高精細さだ。色合いも自然かつ忠実に再現していると感じられる。そして、ノイズキャンセリング機能とエコーキャンセリング機能を持つマイクにより円滑な会話をサポートしてくれる。

500万画素のEV3450XC内蔵Webカメラ
EV3450XCの内蔵Webカメラの映像。隅々まで高精細に映し出している。顔もノートPCよりも対面した感じの構図になる
正面を向いた自然な感じで会話
Web会議ツールで使用中のイメージ。正面を捉えつつ会話ができている
スタンドの自由度も高いので微調整しやすい
チルトは上35度~下5度
昇降幅は19.5cm

  さらにEV3450XCのWebカメラはWindows Helloの顔認証に対応している。 ノートPCでは利用できる機種も多いので、ビジネスユーザーの中には顔認証がないと不便に感じてしまう人もいるのではないだろうか。その点、EV3450XCなら既存のノートPCと同じようにデスクトップPCでも顔認証でき、いつもと変わりない手順で仕事を始められる。

Windows Helloの顔認証が使える
内蔵WebカメラはWindows Helloの顔認証にも対応している

 これはEV3450XCをノートPCの外部モニターとして使いたいときにも有効な機能と言える。ノートPCを閉じた状態で、外部モニターと外付けキーボード・マウスを使って仕事するようなとき、従来は最初に顔認証するときだけノートPCを開かなければならなかった。

 しかし、EV3450XCであれば終始ノートPCを閉じたままでも顔認証OK。あるいは顔認証に対応していないノートPCであっても顔認証に対応し、セキュリティを向上させられるのだ。

ノートPCをクラムシェルモードにしても顔認証可能
ノートPCがクラムシェルの状態のままでも顔認証でログオンし、使い始められる

省スペースをさらに推し進める内蔵ドッキングステーションとPbyP機能

 34.1型という比較的コンパクトなサイズ感によって、大画面ながらもデスクの占有スペースを最小限にしつつ扱いやすさを高めているEV3450XC。それを機能的な側面からも後押ししているところにEIZOが本製品にかける“本気”が垣間見える。

  その1つとして注目したいのが、ユーザーの日常的な使い勝手もきちんと考慮した内蔵ドッキングステーション機能。 モニター背面にアップストリームポート(USB Type-CとType-B各1つ)が用意されており、ここにPCから接続することで、モニターが備えるLANポートや、ダウンストリームポート(USB Type-CとType-A×2)につないだ周辺機器を利用できるというものだ。

ドック機能を兼ねたインターフェイス
ポート類は横位置で配置されている。一般的な下向きのものより視認しやすく、ケーブルの抜き差しが容易だ
ダウンストリームポートは本体の左側面にあり、こちらもアクセスしやすい

 たとえばノートPCのUSB Type-CまたはThunderbolt 4ポートからアップストリーム接続すると、EV3450XCに映像出力すると同時にノートPCに給電(USB PD最大94W)され、しかもモニターに接続している有線キーボードやマウスをノートPCの操作に利用できる。もちろんネットワークスイッチなどからモニターのLANポートに有線接続すれば、安定したインターネット通信が可能だ。

1本のType-Cで画面出力&給電ができる
Type-Cケーブルを1本つなぐだけでモニター出力、給電、周辺機器利用が可能に
195mmの昇降幅を持つスタンドで、ノートPCをモニター下に開いて使用するスタイルもOK

  この内蔵ドッキングステーションにはKVM(Keyboard Video Mouse)機能も含まれているため、2台のPCから接続した状態で、モニター側の映像入力の切り替えに合わせてモニターに接続しているUSBデバイスの操作元も切り替えられる。

 1組のキーボードとマウスで2台のPCを制御できれば、そのぶんデスクスペースにも余裕ができるはず。

ノートPCとデスクトップPCでデバイスを共有
KVM機能により、1組のキーボード・マウスで2台のPCを制御できる

  加えて、2つの入力映像を1画面に同時表示する「PbyP(Picture by Picture)」機能も搭載されている。もちろんこれもデスクスペースの有効活用につながる機能だ。

 たとえば2台のPCを扱う場合、先ほどのKVM機能で画面を切り替えながら使うのもいいけれど、両方の画面を一度に見られるようにしたいときもある。そこでPbyP機能を利用すれば、2台のPCの画面を同時に映し出し、必要な情報を効率よく得られるというわけ。

PbyPのレイアウトは3パターン
OSDからPbyPのレイアウトや映像入力の指定が可能

 特にEV3450XCのようなウルトラワイド曲面モニターでは、PbyP機能の利便性が一段と増すことになる。画面が横長のため、PbyPで画面を2等分した場合でも実用的な縦横比で表示できるし、一方を小さく表示するとしてもメイン画面の邪魔になりにくいからだ。

PbyPで左右等分して表示
ウルトラワイドのおかげで、PbyPで左右2等分しても実用的な広さのデスクトップを確保できる

 その上、EV3450XCでは、EIZOモニター専用ユーティリティ「Screen InStyle」(Windows、macOS対応)で、新たにホットキーによるPbyPのオン/オフ切り替えが可能になり、さらに活用しやすくなった。

PbyPはキーボードのショートカットで切替可能
「Screen InStyle」を使うとPbyPの切り替えなどがキーボードショートカットで行なえる

 モニターのOSDを操作することなく、手元のキーボードショートカットでサクサク切り替えられるのはかなり快適。映像入力やカラーモードもホットキーで切り替え可能なので、複数台のPCを扱うときはもちろん、コンテンツの色調を頻繁に確認することのあるデザイン業務でも活躍するだろう。

見た目の良さだけでなく実用性、環境にも配慮したウルトラワイドの決定版

最近人気のホワイト基調のカラーリング
いつもシンプルでかっこいいデザインにこだわりが見られるEIZOのモニター

 EIZOのモニターと言えばデザイン性の高さも魅力だ。今回試用したモデルはEIZOのトレードマークとも言えるホワイト基調のボディカラーで、清潔感のある見た目。

 ただし、視界に入りやすいベゼルの上部と左右はブラックとすることで没入感を高め、目の前の作業に集中できるようになっている(よりビジネスチックなブラックモデルもラインナップする)。

背面のスリットに手を入れて持ち運べる
背面側のあしらいは見た目の良さだけでなく、運搬時の持ち手として機能する実用性も兼ねたもの
スタンドは物を置ける空間が設けられている
スタンドはコの字になり、モニター下に物を置きやすくなった

 Webカメラと同じようにステレオスピーカーも下部のベゼルにさりげなく埋め込まれている。4+4Wと比較的高出力なスピーカーはWeb会議の音声をクリアに再生してくれるだけでなく、音域全体を元気よく鳴らしてくれるので、動画コンテンツの視聴にも十分に役立ってくれるだろう。

4Wと出力の大きいスピーカー
4+4Wのステレオスピーカーも目立たないようにベゼルに内蔵。1WクラスのノートPCのスピーカーとは段違いの音量だ

 ちなみにこのEV3450XCの筐体は、再生プラスチックを約80%以上使用しており、梱包材も大部分がプラスチックを含まない素材となっている。「Auto EcoView」や「EcoView Optimizer 2」といった、環境光と表示画像をもとに自動で最適な明るさに調整する機能によって消費電力低減も図っており、さまざまな面で環境に優しい製品でもあるのだ。

環境に配慮したパッケージや機能
EV3450XCの梱包材。大部分が紙素材で、プラスチックの使用は最小限となっている
EcoView機能により、消費電力を低減しつつ常に最適な明るさで画面表示してくれる

  購入後5年間のメーカー保証(使用時間が3万時間以内なら無償修理)に加え、6カ月以内の無輝点保証が付帯しており、安心して導入できるのもEIZO製品ならでは。 最大限の効率でデスクワークをこなしていきたい企業・個人にとって、ウルトラワイド曲面モニターのEV3450XCはもはや不可欠な1台と言っていいのではないだろうか。

[モデル: 奥村 茉実(浅井企画)]