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iiyamaモニターは「5年保証×24時間365日サポート」。でも、ドット落ちとか品質ってどうなの? 気になる点をズバリ聞いてきた

 iiyamaのモニターといえば、世界に誇る日本発のモニターとして長い歴史を持つ、老舗と言える存在だ。現在はマウスコンピューターの傘下で数多くの製品を販売している同ブランドのモニターは、その品質の高さはもちろんのこと、5年という長い保証期間(要ユーザー登録)、さらに24時間365日体制の手厚いサポート体制が大きな特徴だ。

 そんなiiyamaのモニターは、設計や生産、出荷に至るまでどのようなプロセスで品質面のチェックを行なっているのだろうか。また「5年保証×24時間365日サポート」(要ユーザー登録)という類を見ない手厚いアフターフォローはどのように誕生したのだろうか。今回はそれらについて、iiyama事業部品質管理室の久住光央氏と、同じくiiyama開発室の嶋田亜紀氏に話を聞いた。

ドット落ちや画質の一貫性、耐久性。品質管理の実情に迫る

 「iiyamaのモニターは設計段階で30種類以上の信頼性試験を行なっております。その中で耐久性の評価も実施し、信頼性を確保しております」と胸を張るのは、iiyamaでモニター製品の品質管理を担当する久住氏だ。具体的にどのようなチェックを行なっているのか?

マウスコンピューターiiyama事業部品質管理室の久住光央氏

 まず最初は、モニターならではのチェックポイントである「ドット落ち」について。新しくモニターを購入するにあたって、常時輝点、黒点、いわゆるドット落ちに対するユーザーの不安は大きく、最も気になる点と言っても過言ではないだろう。

 「弊社では設計段階において、画欠(ドット落ち)の品質に関し、グレードの高いパネルを採用するようにしています。また製造工程でも全数画欠の検査を行ない、基準以下の製品を出荷しないように徹底管理しております」(久住氏)。完成品のチェックはもちろん、部材を選定する設計の段階で品質の高いパネルを選ぶことで、画欠を防いでいるというわけだ。

 続いて画質の一貫性だ。同じ製品であってもモニター毎に色味や明るさが一貫していないようでは、信頼が置ける製品とは到底言えない。特に法人ユースで複数台を購入する場合は重要だが、その点はどうだろうか。

 「モニターに搭載されている液晶パネルは、メーカーでのパネル特性及び使用部品や製造ロットによる個体差があり、それらにより色合いにバラツキが生じてしまいます。当社では製造工程において一定のパフォーマンスになるよう、色味や明るさの基準を設定し、全数調整及び検査を行なって、画面品質の一貫性を保てるようにしております」(久住氏)。

6月に発売されたProLite XUB2492HSN-5

 そして耐久性。どれだけ高性能なモニターでも、頻繁に故障したり、期待した寿命よりも早く性能が落ちるようなことがあれば、安心して使い続けることはできない。これらをチェックするのが前述の30種類以上におよぶ信頼性試験で、モニターが突然消える、フリーズする、また表示がちらつくなどの問題が発生しないことが確認される。

 これらの信頼性試験では、高温での動作チェックも行なわれる。近年は夏季の平均気温の上昇により、最高気温がデバイスの対応温度を上回ってしまうこともしばしばで、ユーザーにとって不安に感じるところだが、実態はどうなのだろうか?

 「当社のモニターが使われているのは、個人や企業などのお客様のご家庭やオフィス、さらに工場などさまざまですが、実際に市場データを見ても、暑さによる不具合は見たことがありません。ただし、人間もPCもモニターも今年の猛暑のような40℃近くなるような環境下では、とてもいられませんので空調の効いた環境で快適にご使用されることをお勧めします」(久住氏)。

市場の反応を受けてのフィードバックも欠かさない

 また、こうした出荷以前のチェックだけでなく、市場で発生している問題を受けてのフィードバックも日々行なわれている。これら実際のサポートを通じて得られる知見も、製品をより充実させていくには欠かせない要素だ。サポートと協力してこれらの問題解決に日々奔走している久住氏は、こうした実情をよく知るスタッフの一人でもある。

 「市場より返却された製品を解析する中で過電流による故障事例を確認しております、アースを設置することで、これらの故障の多くが救われるものと考えています」(久住氏)。

 久住氏によると、電源ケーブルのアースの設置で問題が解決する事例は少なくないという。「白物家電と同様にPCとモニターをアース接地することで外来ノイズの影響の低減し、雷サージによる過電流からの故障を回避するという意味でアースの接地をお勧めします。」(久住氏)。

 こうしたサポート事例や、コールセンターに寄せられた声を受けて、取扱説明書を改訂したり、書き方を工夫するケースも少なくないという。取扱説明書やクイックスタートガイドなどの作成を通じて、これらの反映を行なっているのが開発室の嶋田氏だ。

マウスコンピューターiiyama開発室の嶋田亜紀氏

 「誰もがPC初心者だったはるか昔とは異なり、現在は多くの方がPCやモニターについての知識があり、取説を見なくてもある程度の情報はお持ちというケースが増えています。その一方で、コールセンターに寄せられるご質問から、作成者として気づかされることもあります。

 たとえば、壁に大型モニターを取り付けるにあたり、壁にぴったり寄せられるのかどうか、というお問い合わせを頂いたことがありました。こうした作成時には気付けなかった配慮を、ガイドや取説にきちんと反映させたり、次のモデルに生かすべく検討することで、改善につなげていくケースもあります。

 昔のような紙の分厚い取説はユーザーからは敬遠され、紙類の削減化も進み、電子データにほぼ移行している時代ではありますが、製品の製造元として、お客様により弊社の製品を理解していただき、よりよい環境で安全に使用していただきたい、というのが私たちの変わらない願いです。

 そのためにガイドや取説は大切な役割を担っていると思っています。“製品を説明するWeb取説も、製品に付随する箱/ラベル/ガイドなどの印刷物も、品質の一部である”という意識を常に持って日々努力しています」(嶋田氏)。

5年保証×24時間365日サポートを支える「iiyamaイズム」

 さて、同社のモニターの最大の特徴とも言えるのが、冒頭にも述べた5年という長い保証期間、そして24時間365日体制の手厚いサポート体制だ。

 もともとマウスコンピューターのPCは、2023年4月以降、3年という長期の標準保証を提供している。その中でモニターについては、ユーザー登録を行なうことで期間がさらに2年延長され、合計で5年もの保証を受けることが可能になる。iiyamaブランド液晶は2021年6月より5年延長が可能だった。

 「長期の保証を実現する上では、設計品質、製造品質、市場品質というまず大きな3つの柱があります」と久住氏は言う。

 「まず設計品質については、品質の高い部品を採用するなど、設計段階から長期保証を意識した設計を心掛けています。開発過程において施策を行ない、その後パイロット欄を経て初回生産へと進む過程において、各過程の試験をパスすることで製品の完成度及び信頼性の向上を図っています。

 次に製造品質ですが、製造工程上で全数1台1台チェックし、そのロットに対して品室管理部門による抜取検査(出荷検査)を実施し、品質を確保した上で出荷するようにしております。

 最後に市場品質ですが、問題が起こった際に速やかに対応できる体制を整えておくことが重要です。修理や交換に至った場合のサービスパーツも充実させるのはもちろん、スタッフのスキルも含め、どのような事態にも対応できるサービス体制を整えています」(久住氏)。

 このように、同社の強みは、設計品質、製造品質、市場品質という3つの柱がしっかりしていることに加えて、過去の経験をきちんと管理しフィードバックしてきたiiyamaとしての長い歴史の存在がある。これらが合わさって初めて、5年という長期保証を実現できているというわけだ。

抜き取り検査の様子も見せてくれた。本体はもちろん、端子やケーブルに傷などないかまで細かくチェックしていく

 久住氏は「5年というのはやはり大きい」と胸を張る。「5年保証は、保守パーツ確保などの問題もあり、現実的にはなかなか難しいのですが、そこをクリアしていることは、大きな強みだと思っております。」(久住氏)。

 また、5年標準保証の陰に隠れがちだが、24時間365日サポートについて、久住氏は「非常に価値があると思います」と自信を見せる。

 「元旦であれ大晦日であれ、日を問わず対応できるのはもちろん、それが2時や3時といった夜間であっても対応できるのは、大きな安心感だと思うんですね。5年保証と24時間365日のサポートという合わせ技は、非常に大きなアピールポイントだと個人的には思っています」(久住氏)。

 久住氏と嶋田氏の言葉には、設計段階に遡っての長期保証を意識した部品選定に始まり、市場出荷後のサポート、製品だけでなく取扱説明書などへのフィードバックに至るまで、長い歴史に裏打ちされた「iiyamaイズム」の存在を強く感じることができる。「iiyamaのモニタを選んでおけば間違いない」と思わせるのに十分なこの説得力、ユーザーの側から見ても実に心強い存在と言えそうだ。