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【2023年版】デュアルモニター環境の作り方。2つあればいいってわけじゃないんです。デュアル対応アームも紹介!

デル・テクノロジーズの4Kモニター「U2723QE」とデュアル対応アーム「MDA20」

 PC作業の生産性を高める有効な手段として鉄板とも言えるデュアルモニター。とはいえ、単純にモニターを2台用意しただけでは、思ったほど生産性が高まらないことも多い。今回は、デル・テクノロジーズ(以下、デル)のデジタルハイエンドシリーズモニター「U2723QE」を例に、生産性を高めるデュアルモニター環境を構築するためのモニターの使い方を紹介したい。

なぜデュアルモニター環境がPC作業の生産性を高めるのか

作業内容を問わず作業効率を圧倒的に引き上げてくれるデュアルモニター環境

 会社での作業をフルHDモニター1台でこなしている人は少なくないだろう。確かに、ExcelやWord、PowerPointなどのアプリをそれぞれ単体で利用するだけであれば、それでもほぼ不満なく作業は行なえるだろう。

 だが、実際の作業では、それらアプリを単体で利用することは少なく、Webブラウザで情報収集したり、メールを確認したり、それらのアプリを同時に利用して作業を行なう場面がほとんどだ。

 また、ハイブリッドワークが一般的となった現在では、Web会議アプリも同時に利用する場合も多い。フルHDモニター1台では、複数のアプリを同時に利用するのに十分な広さの表示領域を確保できず、各アプリの表示サイズを小さくしたり、表示が重なったアプリを切り替えながら作業を行なう必要があり、情報閲覧性や作業効率が低下してしまう。

 そういった問題を改善する有効な手段が、モニターを複数台利用したマルチモニター環境だ。複数のモニターを同時に利用すると、より多くの情報を1度に表示できるようになるのはもちろん、複数アプリを同時に利用する場合でも、それぞれのアプリを別のモニターに分けて表示することで、同時に見られるようになる。これによって、情報閲覧性が高まり、作業効率も向上するというわけだ。

スタンドで縦画面にできるかどうかもチェックポイント

HDR対応IPSパネルで映像も美しいU2723QE
デュアルでセットしたところ

 マルチモニター環境として最も広く活用されているのが、モニターを2台利用するデュアルモニター環境だ。もちろん台数が多ければその分閲覧性は増すが、置き場やコストを考えると2台が現実的だろう。ここからは、デュアルモニター環境に最適なモニターの選び方をチェックしていこう。

 まずスタンドの機能。モニタースタンドには、画面の上下の角度や高さを調節する機能や、左右の角度を調節するスイーベル機構を備えるものがある。高機能な製品では、画面を横位置だけでなく縦位置でも利用可能なピボット機構を備えるものもある。そしてこのピボット機構は、デュアルモニター環境を構築する上でかなり重要な機能だ。

U2723QEのスタンド
最も低くしたところ
最も高くしたところ
左に振ったところ
右に振ったところ
側面
下に向けたところ
上に向けたところ

 プログラミング作業など、作業内容によっては画面を縦位置にして縦方向の情報をより多く表示しながら行なった方が作業効率が高まる場合がある。しかし、モニター1台のみだと、横画面での利用時以上に複数のアプリを同時利用しにくくなる。

 デュアルモニター環境なら、1台を横画面、もう1台を縦画面で利用すれば、縦画面で快適な作業環境を確保しつつ、別のアプリは横画面で利用し、効率も高められる。

 一般事務作業においても、Excelを利用する場合など縦の情報量を増やせられたり、Webページの閲覧性も大きく高まるため、一方を縦画面にすることで生産性を高められる。

横画面と縦画面のセットという組み合わせも便利

 今回紹介しているU2723QEに付属するスタンドは、ピボット機構を備えている。それも、右回転、左回転のどちらでも縦画面にできるようになっている。これも大きなポイントで、左右のモニターのいずれか、または双方とも縦画面にする場合でも、背面の接続ケーブルの取り回しが楽で、非常に扱いやすい。ピボットの構造の点でもデュアルモニターに向き不向きがあるのだ。

縦画面にしたところ。本製品は左右両回転に対応するのがポイント
ケーブルをまとめておくための機構もある

デュアルモニタースタンドなら設置面積を節約でき利便性も大きく向上

「Dellデュアル モニター アーム – MDA20」

 便利ではあるが、デュアルモニター環境を構築する上で問題となる得るのが、設置するスペースの確保だ。デスクには、モニター以外にもキーボードやマウスはもちろん、仕事で利用する資料などを置く必要がある。そういった場合に活躍するのが、デルのデュアルモニター対応アーム「Dellデュアル モニター アーム – MDA20」(以下、MDA20)だ。

 モニターアームという製品を知っている人はある程度いると思うが、デュアルモニター対応品を知っている人は少ないかもしれない。MDA20には、モニターを取り付けるアームが2本備わっており、アームでデュアルモニター環境を構築できる。

 デスクの後方などにクランプで固定して利用し、クランプ部分は一般的なモニターのスタンド1台分よりも設置面積が小さい。つまり、通常のモニター1台分以下の設置スペースで2台のモニターを設置して利用でき、モニター下部のスペースをより有効活用できるわけだ。

クランプ部分。設置面積はモニタースタンド1つ(左)よりも小さい

 デル製品ということで、アームの先にはモニター付属スタンドと同じロック機構が備わっており、U2723QEをワンタッチで取り付けられる。

 また、アームには26.6cmの範囲の高さ調節、180度のパン調節、-35~80度の上下角度調節、左右90度ずつのスイベル機構、左右最大90度ずつのアーム根本の回転機構があり、高さ、チルト角度、前後の位置、縦横、旋回と自由自在にモニター位置を調節できる。これは、標準のモニタースタンドには真似のできない自由度の高さで、作業内容に応じて2つのモニターを最も扱いやすい場所に調節して利用できるため、作業効率を大きく高めてくれる。比較的軽い力でモニターの位置調節が可能なので、思い通りの位置に簡単に調節可能だ。

使い方にあわせて、自由にモニターの位置を調整できる

 スタンド位置はクランプでしっかり固定されるため、モニターの位置を調節する際にスタンドがずれる心配もない。モニターの角度調節をしようとしてスタンド自体が移動して思うように調節できないということがなく、その点でも扱いやすさが大きく高まる。

 こういった利点から、デュアルモニター環境を構築するならデュアルモニターアームの利用も検討したい。

デュアルモニター用は狭額縁の製品が基本

額縁が狭いU2723QE

 デュアルモニター環境に利用するモニターとしては、画面周囲の額縁がなるべく狭いものを選択するようにしたい。モニターを2台並べて利用する場合には、どうしてもモニターの額縁で表示が切り離されることになる。世代の古いモニターでは、額縁の広い製品も少なくないが、そのような額縁の広いモニターを並べると、双方の表示領域の間に大きな隙間ができてしまう。

 2台のモニターにまたがってアプリを表示し利用することはないかもしれないが、各モニターの表示領域が大きく隔たってしまうことで画面の一体感がなくなり、見づらいと感じてしまうのだ。そうならないためにも、デュアルモニター環境用のモニターには可能な限り額縁の狭い製品を選択したい。また、額縁が狭いほど横幅が短くなり、設置幅が少なくすむ。この点でも大きな利点となる。

 U2723QEは、画面周囲の額縁が上下左右の4辺とも極限まで狭められており、この条件にぴったり当てはまる。実際にU2723QEを2台横に並べて使ってみても、その隙間は非常に狭く、双方の表示領域の一体感は非常に優れていることが強く実感できる。

 また、旧来の額縁の広いモニターと組み合わせて利用する場合でも、U2723QEなら隙間を可能な限り狭くできるので、この点でも大きな魅力となるだろう。

もちろんこのように、従来のモニターと新しいU2723QEを組み合わせてもいい

U2723QEならノートPCとUSB Type-Cケーブル1本で接続可能

 ハイブリッドワークが一般的となった現在、ノートPCを使う人がさらに増えている。デスクワーク時には外部モニターを接続して快適に作業を行ないつつ、外出時にはノートPCだけを持ち出す、という光景も一般的になったと言っていいだろう。

 そういった場合に面倒なのが、ケーブル類の着脱だ。ノートPCを持ち出したり、外出から戻ってデスクワークに戻るたびに電源ケーブル、LANケーブル、モニターケーブル、キーボードやマウスなどのケーブルを着脱するのは思った以上に手間がかかる。

 その点についてもU2723QEなら、映像入力端子として最大90Wの電源供給に対応したUSB Type-Cを用意。そのため、映像出力(DisplayPort ALT Mode)に対応し、電力供給(USB PD)にも対応するノートPCなら、USB Type-Cケーブル1本を接続するだけでU2723QEへの映像出力とノートPCへの電力供給が可能となる。

 加えてU2723QEには、Gigabit Ethernet対応の有線LANポートや、USB Type-C/Type-Aのハブ機能があり、そちらも映像入力用のUSB Type-C経由で利用可能。

 さらに、U2723QEはモニターのデイジーチェーン接続に対応。2台のU2723QEをDisplayPortケーブルで接続しておけば、一方のU2723QEとノートPCをUSB Type-Cケーブルで接続するだけで、2台のU2723QEに映像を表示できるのだ。

ここではデスクトップを利用しているが、モニター同士はDisplayPortでデイジーチェーンができる

 つまり、U2723QEの2台をDisplayPortケーブルで接続するとともに、LANケーブルやキーボード、マウスなどのUSB周辺機器も接続しておけば、ノートPCは、USB Type-Cケーブル1本を接続するだけで2台のU2723QEへの映像出力、ノートPCへの電力供給、有線LAN、USB周辺機器が利用可能となる。もちろん、ノートPCを持ち出すときもUSB Type-Cケーブルを1本抜くだけでいい。

 1度この利便性を体験すると、もう昔の環境には移れないほど。この点でもU2723QEはマルチモニター環境に好適なモニターと言える。

OSがWindows 11なら「スナップ」機能でデュアルモニター環境をより便利

 ハードウェアだけでなく、ソフトウェアでもデュアルモニター環境を便利に活用できる機能がある。それは、Windows 11に用意されている「スナップ」機能だ。

Windows 11のスナップ機能。ウィンドウの最大化ボタンにマウスカーソルを持って行くと、レイアウトのパターンが表示されるので、画面をきれいに整列できる

 スナップは、モニターの表示領域を2分割や4分割し、そのレイアウトに合わせてアプリなどを整理して表示できる機能だ。ウィンドウを選択した状態で画面上部に移動させたり、ウィンドウの最大化ボタンにマウスカーソルを合わせると、画面分割のレイアウトが表示され、そのレイアウトに合わせて簡単にウィンドウを整頓できる。

 U2723QEは解像度が4K(3,840×2,160ドット)なので、100%に近いスケーリングで使っている場合は、その広大な領域を有効活用するにあたり、スナップ機能はとても重宝する。

4K解像度を生かし、横3列に画面を並べたり……
縦に並べたりもできる

 スナップの整列機能は同一モニター内に限られるが、マルチモニター環境でもショートカットキーが便利に活用できる。ショートカットキーは「Windowsボタン」+「Shift」+「矢印(←または→)」の同時押しで、これによって選択中のウィンドウを別のモニターに簡単に移動できる。マウスでウィンドウを掴んで別のモニターまで移動させるといった手間をかけずにモニター間でウィンドウを移動できるため、マルチモニター環境を活用する場合には必ず覚えておきたい機能だ。

 そのうえで、ウィンドウのレイアウト機能と併用すれば、デュアルモニター環境をより便利に使いこなせるようになるはずだ。

U2723QEを活用して快適なデュアルモニター環境を

 ここまで見てきたように、デルのU2723QEはデュアルモニター環境を構築するうえで必要となる項目をしっかりと満たしており、デュアルモニター環境構築用モニターとして最適な製品と言える。また、デュアルモニターアームのMDA20を利用すれば、さらに利便性を高められることになる。今回は2台のU2723QEとMDA20を利用してデュアルモニター環境を構築したが、実際に使ってみてもこれらは最強の組み合わせだと実感できた。PC作業の生産性を高めたいなら、間違いなくお勧めだ。

 なお、今回は27型のU2723QEを例にデュアルモニター環境の構築について紹介したが、設置場所の制約から27型モニターを2台設置するのは難しいという場合には、より省スペースで利用できる24型モニター2台を利用してもいい。そして、その場合でも今回紹介したチェック項目に沿ってモニターを選択すれば、満足度の高いデュアルモニター環境を構築できるはずなので、ぜひとも参考にしてもらいたい。