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これだけ抑えればOK!顔出しはもちろん、Vtuberにも大事なカメラと周辺機材の選び方

今回利用したAVerMediaの配信関連製品

 顔出し配信や動画作成において、よいカメラを使うのが大事だと言うことは、配信をしたことがない人でもすぐに理解できるだろう。だが、いわゆるVtuberの配信や動画作成においても、カメラ選びは重要となることはあまり意識されていないかもしれない。

 「え? Vtuberもカメラがいるの?」と思う人も中にはいるだろう。VtuberがCGキャラクターを動かすのに当たって使うソフトは人それぞれだが、どのようなソフトを使うにせよ、キャラクターが顔を動かしたり、目を閉じたり、口を開けたりするといった動作は、中の人がそのようにするのをカメラが捉え、その動きを読み取っているのであり、Vtuberを画面に出すのにはカメラが必要なのだ。

 では、実際にどのようなカメラやそれに付随する機材が必要なのか? 多種多様な製品があるが、ここだけ抑えれば大丈夫という要点を紹介していこう。顔出しとVtuberでかなり変わってくるので、それぞれに分けて説明していく。

顔出し配信に必要な機材

最高レベルの画質を狙いたいなら、やはりカメラはミラーレスや一眼レフが必要となる

 顔出し配信のカメラとしてもっとも手っ取り早いのはWebカメラだ。価格は数千円からで購入しやすく、USBでPCにつなげば配信ソフトなどですぐに顔が映し出される。ひとまず配信を始めたいという人はWebカメラでいいだろう。

 ただ、高画質な映像を望むのであれば、必要な機材が変わってくる。まず、カメラについてはWebカメラではなく、ミラーレスや一眼レフなどのレンズ交換式カメラを使いたい。使ったことがない人でもこれらのカメラが高画質だと言うことは知っているだろう。ネックなのは価格で、新品だと安くても本体が10万円前後、レンズが3万円以上くらいはかかる。

 いきなりそこまでの投資はできないという人は、コンパクトデジカメやハンディカム、アクションカメラを使うという選択肢もあるのは意外と知られていないようだ。数万円で手に入り、これでもWebカメラとは一線を画す画質を得られるのでお勧めだ。ただ、これらのカメラは精細さや色彩の観点から言うと、一眼レフ/ミラーレスカメラに近いものがあるが、ほとんどの製品で背景がボケないので、やや奥行き感がなく、いわゆるプロっぽい感じにはなりにくい。

 それぞれ一長一短なので、予算や自分の求めるレベルに応じて選ぼう。

 カメラの種類によってどれくらい画質が変わるのか? 今回、ミラーレスカメラ(α6600+SIGMA 16mm F1.4 DC DN | Contemporary)、ハンディカム、Webカメラ(AVerMediaの「PW315」)で撮影を行なってみた。照明は同じものを使っているが、カメラに合わせて輝度は変えている。

ミラーレスカメラ、ハンディカム、Webカメラの映像比較
ミラーレスカメラで撮影した動画の1コマ
ハンディカムで撮影した動画の1コマ
Webカメラで撮影した動画の1コマ

 映像を見てもらえば分かる通り、最近のWebカメラは進化したとは言えども、一眼レフなどと比べるとどうしてもダイナミックレンジや彩度、解像感が低い映像になる。ハンディカムは解像感や色の再現性は、だいぶ高くなる。そしてミラーレスとなると、レンズに依存するが、背景がボケることでプロっぽい映像に仕上がる。

 なお、カメラだけで満足してはいけない。撮影用の照明が必要になる。どんなに高級なカメラを使ったとしても、適切に被写体を照らさないと、のっぺりとしたノイズまみれの映像になってしまうからだ。最近は、LEDを使うことでコンパクト化し、個人宅にも気軽に設置できる製品が増えている。

 今回使った照明は、FalconEyesの「SO-48TDX」で3~4万円ほどするが、ここまでのものは必要なく、2万円ほどで買える「Yongnuo YN-600 LED」とソフトボックスくらいでも十分だ。プロゲーマーのガチくんもこの照明を使っている。照明を設置するにあたっては、顔の真正面に置かず、左右どちらか45度で、顔より少し高い位置に来るように設置しよう。これで、顔に適度な陰影ができ、立体感が生まれる。

動画用照明。LED式なので、ディフューザー込みでここまで薄い

カメラ映像にお勧めのキャプチャユニット。AVerMediaの「Live Streamer CAP 4K - BU113」

AVerMediaのキャプチャユニット「Live Streamer CAP 4K - BU113」

 さて、一眼レフ/ミラーレスカメラやハンディカム、アクションカメラなど、Webカメラ以外の一般的なカメラの映像をPCに映し出すにはキャプチャユニットが必要になる。PCへのつなげ方はPCI Expressでの内蔵やThunderboltのものもあるが、USBのものが使いやすく種類も豊富だ。

 今回はキャプチャユニットとしてAVerMediaの「Live Streamer CAP 4K - BU113」を利用した。AVerMediaと言えばキャプチャ製品界の雄。多くのユーザーが同社のキャプチャ製品を使っている。ラインナップも幅広いが、Live Streamer CAP 4Kは、カメラのキャプチャに特化した製品となる。

 同社が「ゲームキャプチャー」と分類している、家庭用ゲーム機などのキャプチャを行なう製品は、パススルーHDMI出力を備えており、キャプチャユニットに入力した映像をキャプチャしつつ、モニター出力もできる。

 一方、カメラのキャプチャにおいては基本的にパススルーは不要だ。Live Streamer CAP 4Kを始めとした、同社が「ビデオキャプチャー」と分類する製品は、パススルーを省略し、その分、ゲームキャプチャー製品が2~3万円するのに対し、Live Streamer CAP 4Kは1万3千円ほどと安価になっている。また、製品がよりコンパクトで設置もしやすく、専用ドライバ不要のプラグアンドプレイで動作するので導入も楽だ。

キャプチャユニットとしてかなりコンパクトな筐体
HDMIは1系統の入力のみ
接続インターフェイスはUSB 3.0 Type-C

 最近のカメラはUSB直結でキャプチャできるものもあるが、この場合、解像度は720p程度でフレームレートは30fps程度に制限される。フレームレートはともかく、一眼レフなどを使ってこの解像度は寂しすぎるので、Live Streamer CAP 4Kのようなキャプチャユニットを導入しよう。

 主な仕様としては、インターフェイスがUSB 3.0 Type-C。UVCに対応し、専用ドライバをインストールしなくても動作する。入力端子はHDMI 2.0で、最大入力解像度は3,840×2,160/60fps。エンコード方式はソフトウェアとなっており、PC側の性能が十分なら、低遅延で高画質なキャプチャが可能となる。

 最大録画解像度は3,840×2,160ドット/30fps、あるいは1,920×1,080ドット/60fpsとなる。4K対応カメラを使っているユーザーからすると、4Kでも60fpsで録画できるとうれしかったが、ワイプとして縮小するなら4KとフルHDの違いはほとんど分からないので、フレームレート優先ならフルHDで問題ない。

 あるいは、ワイプではなく全画面でYouTube動画などを録画する場合でも、映画と同じ24fpsで記録しているYouTuberも多く、実写映像なら24fpsや30fpsでも支障はない。ゲーム配信でも、配信全体はゲームに合わせて60fpsにするが、ワイプ部分は24fpsにしても違和感はない。むしろ、24fpsにした方がプロっぽさも出る。

OBSで実際にゲーム画面とワイプをレイアウトしたイメージ
OBSでゲーム画面とワイプをレイアウトした例

 録画方式は基本的にはH.264だが、AVerMedia独自の録画ソフト「RECentral」を使うとH.265でも録画できる。さらにユニークなのは、独自のスマホアプリ「Live Streamer」を使うと、スマホに一眼レフカメラなどの映像を取り込んでライブ配信ができるようになる。もちろんイマドキはスマホ単体でライブ配信できるが、より高画質、あるいはズームレンズを活用した配信など、Live Streamer CAP 4Kがあると、映像の幅が広がる。

 基本的には、一眼レフ/ミラーレスカメラの映像をLive Streamer CAP 4Kで取り込めば、美しい映像が得られるが、さらに上の画質を目指したい人はLUTを適用してみよう。LUTというのは、分かりやすく言うとInstagramなどのフィルタと同じようなもの。細かい説明は割愛するが、フィルタと同じように適用するだけで映像のイメージががらりと変わり、さらにプロっぽく仕上げられる。

 しっかりしたLUTは有償のものが多いが、ネットで探せば無償のものもある。筆者のお勧めの1つは、こちらの「Sagami Free Cinematic LUT」だ。

 今回の作例では、まずカメラをLogモードにして映像を取り込み、LUTを使ってBT.709という一般的な色調にすることで、普通に撮るより明暗のダイナミックレンジを広げている。そこから、Sagami Free Cinematic LUTを適用している。映画のような色調になったのが分かるだろう。Live Streamer CAP 4Kと一眼レフ/ミラーレスカメラを使うと、こういう映像での配信/収録ができるようになる。

 OBSでのLUTの適用の仕方だが、映像キャプチャデバイスの「フィルタ」を開き、「エフェクトフィルタ」から「LUTを適用」を選んで、実際のLUTのファイルを選択する。OBSはLUTファイルとしてはCUBEファイルとPNGファイルを扱える。

LUTを適用していない素の状態
Sagami Free Cinematic LUTを適用すると、映画のような色調になる
キャプチャした映像にLUTを適用した例
Amazonで購入

Vtuber配信に必要な機材

 Vtuberの場合は、どういった点を考慮してカメラを選ぶべきか? まず、顔出し配信と違って、基本的に画質を気にする必要があまりない。具体的には、解像度は1,280×720ドットでもいいし、フレームレートは30fpsでもいい。つまり、Webカメラで十分と言うことだ。

 画質より気にしたいのは、製品のメジャー度や設置のしやすさといった点だ。まず、メジャー度。つまり、どれだけ利用者が多いかということだ。Vtuberに限らず、配信ではとかくトラブルが起きがちだ。しかし、トラブルが起きたときでも、メジャーな製品を使っていれば、Webなどで対策や解決策を得られやすい。製品選びでは見逃しがちだが、重要な点だ。

 設置のしやすさについて、ほとんどのWebカメラは台座がクリップ式になっており、モニター上部に挟んで固定できる。しかし、モニター上部が必ずしもWebカメラの設置場所として最適とは限らない。モニターが小さいと、カメラも低くなって下からあおる形になるし、形状的な理由でそもそもモニターの上に取り付けられないこともあるだろう。

 そういった理由から、台座か本体に三脚用のネジ穴がついているものがお勧めだ。ネジ穴があれば三脚やアームなどを使ってどこにでも設置できるようになる。

 それから細かい点だが、物理シャッターがあるものもお勧めだ。配信を終えたつもりが終了できておらず、かつVtuberソフトの方を切ってしまったがために、顔が出てしまうことは避けたい。物理的なシャッターを閉じてしまえば、どのようなトラブルが起きても、映像が記録されることはなくなる。

 照明については、Vtuberの場合は不要だ。

Vtuberにお勧めのWebカメラ。AVerMediaの「PW315」

 そういった条件を満たす製品の1つがAVerMediaの「PW315」だ。AVerMediaはキャプチャ製品だけでなく、Webカメラでも定評がある。そして、本製品はネジ穴付きクリップ式台座と物理シャッターを備えている。

AVerMediaの「PW315」
物理シャッターを装備
台座の裏面に三脚用のネジ穴を装備
台座はクリップ式で、モニター上部に挟んで固定できる

 カメラの性能としては、解像度が1,920×1,080ドットで、フレームレートが60fps。先ほど示した必要スペックを上回る。この点について、60fpsで写せると、当然キャラクターの動きも滑らかになる。実写と違って、Vtuberのキャラクターはスムーズに動いていた方がより洗練されて見える。30fpsでも大きな支障はないが、60fpsの方がお勧めとなる。解像度はオーバースペックだが、あって困るものではない。

 また、PW315では、CamEngineというAVerMediaの独自ソフトが使えるのもメリットだ。このソフトは、カメラ映像に対して画質設定、ノイズ低減、顔追跡、バーチャル背景、ARエフェクトなどがかけられる(カメラによって利用できる機能は異なる)。どちらかと言うと、顔を写す時に便利な機能が多いが、画質調整はVtuberにも役立つ。

 先に、Vtuberでは照明は不要と書いたが、室内の照明環境があまりにも悪いと、Vtuberソフトでの顔認識に影響が出る可能性はある。あるいは、着る服の色が白系か黒系かで映像全体の明るさ(露出)が変化し、顔が白飛びしたり、黒つぶれするといった事を経験した事がある人もいるだろう。

 OBSでは、Webカメラの映像に対して露出やホワイトバランスなどの調節をかけられるが、これはOBSを終了するごとにリセットされるのだ。それに対し、CamEngineを使うと、各種パラメータを保存してくれるので、毎回調節する手間が省けるのだ。

 なお、CamEngine経由でカメラ映像をOBSに出すには、OBSの映像キャプチャデバイスとしてカメラ自体を選ぶのではなく、「AVerMedia CamEngine Virtual Camera」を選ぶ。

画質調整やエフェクト機能などを備えるCamEngine

 今回、PW315を用いて、普通に顔を撮影した場合と、「FaceRig」を使ってVtuberとなった場合の映像を撮影したので、出力イメージの参考にしてもらいたい。PW315の映像は、ほんのりと彩度が高めで、肌色がきれいに出るイメージだ。そして60fps対応なので、スムーズな映像を捉えられる。

PW315で撮影した映像の1コマ
FaceRigで顔認識させたところ
FaceRigの背景をOBSのクロマキー処理で削除し、ゲーム画面に重ねて表示させたところ
PW315で撮影した映像にFaceRigを適用しているところ
FaceRigの背景をOBSのクロマキー処理で削除し、ゲーム画面に重ねて表示させたところ
Amazonで購入

マイクやインターフェイスも手がけるAVerMedia

 今回は映像入力デバイスの選び方、使い方にフォーカスを当てて説明したが、実は配信では映像より音声の方が重要とも言われている。多少映像が低解像度だったりノイズ交じりだったとしても致命的ではないが、マイクがノイズだらけだったりプツプツ途切れたりしていると、視聴者がうんざりしてしまう。

 マイク選びもそこそこノウハウがいるのだが、1つ言えることはダイナミックマイクの方がお勧めと言うことだ。マイクには大きく、ダイナミック型とコンデンサー型がある。コンデンサー型はダイナミックレンジが広く、レコーディングなどで重宝されるが、一般家庭では、むしろエアコンなどの環境ノイズを拾いすぎてしまうからだ。

 その観点からお勧めマイクの1つがAVerMediaの「Live Streamer MIC 330 AM330」だ。今回作成した動画の音声はすべてこのマイクで収録している。洗練された見た目同様、クリアで高品位な音声録音が可能となる。

 本製品はXLR接続となり、PCには直接つながらないのでオーディオインターフェイスが必要となる。これについても、AVerMediaは「Live Streamer AX310」という製品を展開している。本製品はXLR端子を備えたオーディオインターフェイスだが、配信での音声制御や配信ソフトのショートカット/マクロ機能も搭載する非常に多機能な製品だ。

 これら両製品については、過去別記事で詳しく紹介しているので関連記事を参考にしてほしい。

 また、マイク利用を下支えするマイクアーム「Live Streamer ARM - BA311」も抜群に使い勝手がいい製品だ。マイクだけでなくカメラや照明のアームとしても使いやすい。

ダイナミックマイク「Live Streamer MIC 330 AM330」とマイクアーム「Live Streamer ARM - BA311」
オーディオインターフェイス「Live Streamer AX310」
今回の検証では利用していないが、4K60p HDRパススルーに対応するゲームキャプチャユニット「Live Gamer ULTRA」

 このように、キャプチャ製品で評価の高いAVerMediaは、それ以外にも全方位で配信向け機材を展開している。先に、製品のメジャー度が高いと、万が一トラブルが発生しても解決情報が得られやすいと書いたが、メーカーサポートに頼る際、機材メーカーがそろっていると、より細やかなサポートが得られるという点も見逃せない。

 そういう点から、まずWebカメラだけ、あるいはマイクだけ買いたいという場合も、AVerMediaのような定番メーカーの製品を選ぶと、製品の品質だけでなく、後々の活用でも安心できるのだ。

 また、今回紹介した製品は、東京ゲームショウ2022(9月15~18日)のAVerMediaブースにて体験可能となっている。実際に試したり、購入前にメーカー関係者に聞いてみたいことがある人には絶好の機会だろう。

 今すぐにでも購入して試したいという人は、AmazonにAVerMediaの特集ページが用意されているので、こちらから注文するといいだろう。

[モデル: 奥村 茉実(浅井企画)]