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軽~重量級まで人気16ゲームを一挙ベンチ!AMD RyzenはRadeonとの黄金コンビで最大性能を発揮する仕組み、知ってましたか?

~ASUS「ROG Zephyrus G14 GA402」をレビュー

ASUSのゲーミングノート「ROG Zephyrus G14 GA402」。価格は22万9,800円~

 ASUSから発表された「ROG Zephyrus G14 GA402」は実に見どころの多いゲーミングノートPCだ。AMDの最新アーキテクチャを採用した「Ryzen 9 6900HS プロセッサー」と「Radeon RX 6800S グラフィックス」を搭載。14型ながら2,560×1,600ドットの高解像度かつ120Hzの高リフレッシュレートを実現。このハイスペックで最薄部19.5mmの薄さと、約1.72kgの軽量さとなっており、ゲーミングノートながらすこぶる持ち運びしやすい。

 さらに以下の動画にあるように、天板にアニメーションギミックを備えているなど、見た目にもおもしろい。

 今回はRyzen 9 6900HS プロセッサー & Radeon RX 6800S グラフィックスの組み合わせがどこまでゲームで快適なのか、16タイトルでの徹底チェックを中心に、ROG Zephyrus G14 GA402の使い勝手にも迫っていきたい。

最新のRyzen 6000 シリーズ・プロセッサーとRadeon RX 6000S シリーズとは?

Zen3+アーキテクチャ
Zen3+アーキテクチャを使用して電力あたりの性能を向上させた「Ryzen 6000」シリーズ

 ベンチマークの前に、本機の強力なCPUとGPUについて触れておこう。CPUの「Ryzen 6000 シリーズ・プロセッサー」には、プロセスルールを従来の7nmから6nmに微細化したZen3+アーキテクチャが採用されており、電力あたりの性能が向上。これによって前世代となるRyzen 5000 シリーズ モバイル・プロセッサーのZen 3アーキテクチャに比べて、最大1.3倍の性能向上があるとしている。

 加えて、今回使用したROG Zephyrus G14 GA402に搭載されているのは、 薄型高性能マシン向けの「Ryzen 9 6900HS プロセッサー」だ。TDPは35Wながら、8コア16スレッドでブースト時の最大クロックは4.9GHzに達する。マルチスレッド、シングルスレッドの両方に強いCPUと言えるだろう。 メモリはDDR5-4800およびLPDDR5-6400に対応し、本機にはDDR5-4800が32GB搭載されている。

Ryzen 9 6900HS プロセッサーを搭載
今回のROG Zephyrus G14 GA402の試用機にはRyzen 9 6900HS プロセッサーが搭載されていた。Ryzen 7 6800HS プロセッサーを載せている下位モデルもある(こちらのリンクからラインナップを確認可能)

 GPUの「Radeon RX 6000S」シリーズは、アーキテクチャとしてAMD最新世代のRDNA 2を採用。高性能ながら、20mm以下の厚み、2kg以下の重量のゲーミングノートが設計できるとしている。

ゲーミングノート向けRadeon
薄型かつ高性能なゲーミングノートPCの設計を可能する「Radeon RX 6000S」シリーズ

 なお、Radeon RX 6000S シリーズには複数のモデル存在しているが、今回の試用機では 最上位の「Radeon RX 6800S グラフィックス」を採用。演算ユニットが32基、ストリーミングプロセッサーが2,048基、Infinity Cacheが32MB、ゲーム周波数が1,975MHzでメモリはGDDR6が8GBとなる。 実際にゲームでどこまでフレームレートが出るのか、楽しみになるスペックの高さだ。

Radeon RX 6800S グラフィックスを搭載
Radeon RX 6800S グラフィックスのGPU-Zでの表示。PCI Express 4.0 x8で接続されている

高性能を支えるAMDの「SmartShift MAX」と「Smart Access Memory」

 本機の本体サイズは、312×227×19.5~22.61(幅×奥行き×高さ)で重量は約1.72kgと、ゲーミングノートとしては薄型で軽量だ。それでいて高い性能を発揮しているのは驚きである。

 ノートPCの冷却システムが優秀ということはもちろんあるが、近年のゲーミングノートは消費電力の増大によって発熱と合わせて電力面で性能が頭打ちになることがある。たとえば、200WのACアダプタならば当然ながら、CPUとGPU合わせて200W以内の電力しか使えないからだ。

SmartShift MAX

 そこで、AMDではRyzen 6000 シリーズ・プロセッサーとRaden RX 6000M/Sシリーズの組み合わせにおいて、 熱設計消費電力の枠をCPUとGPUで分け合う「SmartShift MAX」という技術を導入している。

SmartShift MAX
CPUとGPUで熱設計消費電力の枠を分け合う「SmartShift MAX」

  SmartShift MAXは、ノートPCという電力が限られている環境で、動画のエンコードやCGレンダリングなどCPUパワーが必要な状況ではCPUに電力を回し、ゲームなどGPUパワーが快適度に直結する状況では、CPUよりもGPUに電力を多く回すというもの。 これによってアプリのパフォーマンスを向上させているのだ。

 ちなみに、この技術は自動的に動作するのでユーザーが特に意識する必要はないが、動作状況はユーティリティの「AMD Software Adrenalin Edition」で確認可能だ。

SmartShift MAXの動作状況を確認
動作状況はユーティリティで確認できる

Smart Access Memory

 もう1つ、 グラフィックにおけるパフォーマンス向上に貢献しているのが「Smart Access Memory」だ。

 通称SAMと呼ばれているもので、 従来はCPUからGPUのグラフィックメモリ(VRAM)のアクセスにおいて、一度に256MB分しか扱えなかったが、その制限をなくし、すべてのグラフィックメモリ領域にアクセス可能にしたというもの。 Smart Access Memoryにより、データ転送の効率がよくなり、ゲームのパフォーマンスが向上する(一部変化しないゲームもある)。

Smart Access Memory
Smart Access Graphicsは一部ゲームで平均15%パフォーマンスがアップするという

 さらに、 CPU内蔵のGPUからディスプレイに情報を転送させず、外部GPU(本機ならRadeon RX 6800S グラフィックス)が直接制御することで、一部のゲームでパフォーマンスアップする「Smart Access Graphics」という技術も導入されている。

 以上のように、 Ryzen 6000 シリーズ・プロセッサーとRaden RX 6000シリーズのコンビでは、AMDならではの技術が利用できるようになっており、ゲーム性能を後押ししているのだ。

 そのほか、試用機のROG Zephyrus G14 GA402のスペックは以下の通りだ。型番はGA402RK-R96RX6800SGLで、最上位スペックのモデルとなる。別のモデルについては、こちらのリンクからラインナップを確認されたい。

【表】使用したROG Zephyrus G14 GA402のスペック
型番GA402RK-R96RX6800SGL
CPURyzen 9 6900HS プロセッサー
(8コア/16スレッド、3.3GHz~4.9GHz)
メモリDDR5-4800 32GB
ストレージ1TB NVMe SSD
GPURadeon RX 6800S グラフィックス
液晶14型、2,560×1,600ドット、リフレッシュレート120Hz
OSWindows 11 Home
インターフェイスUSB 3.2 Gen2 Type-C(DisplayPort・USB PD対応) 、USB 3.2 Gen2 Type-C(DisplayPort対応)、USB 3.2 Gen 2×2、HDMI、microSDカードリーダ、92万画素Webカメラ(顔認証対応)、クアッドスピーカー、音声入出力端子
無線Wi-Fi 6、Bluetooth 5.1
本体サイズ312×227×19.5~22.61mm(幅×奥行き×高さ)
重量約1.72kg

軽量級からレイトレ対応の重量級まで16タイトルでテスト!

 ここからはROG Zephyrus G14 GA402を使い、ゲームでどこまでフレームレートが出るのか試していこう。本機は動作モードとしてサイレント、パフォーマンス、Turboが用意されているが、今回はもっとも性能が出るTurboモードにしてテストを実行している。なお、Turboモードを利用するには電源を接続する必要がある。

Turboモードで最高性能を発揮
ROG Armoury Crateアプリの動作モードは「Turbo」に設定

 テストしたゲームとテスト方法は以下の通りだ。

  1. VALORANT
    射撃場の一定コースを移動した際のフレームレートをCapFrameXで計測
  2. レインボーシックス シージ
    ゲーム内のベンチマーク機能を使用
  3. レインボーシックス エクストラクション
    ゲーム内のベンチマーク機能を使用
  4. Apex Legends
    トレーニングモードの一定コースを移動した際のフレームレートをCapFrameXで計測
  5. フォートナイト
    ソロモードのリプレイデータを再生した際のフレームレートをCapFrameXで計測
  6. モンスターハンターライズ
    集会所の一定コースを移動した際のフレームレートをCapFrameXで測定
  7. Forza Horizon 5
    ゲーム内のベンチマーク機能を使用
  8. アサシンクリード ヴァルハラ
    ゲーム内のベンチマーク機能を使用
  9. ファークライ6
    ゲーム内のベンチマーク機能を使用
  10. DEATH STRANDING DIRECTOR'S CUT
    マップ内の一定コースを移動した際のフレームレートをCapFrameXで測定
  11. God of War
    マップ内の一定コースを移動した際のフレームレートをCapFrameXで測定
  12. Microsoft FlightSimulator
    スカイツリー周辺を3分間飛行した際のフレームレートをCapFrameXで測定
  13. Sniper Elite 5
    サバイバルのソロモードをプレイした際のフレームレートをCapFrameXで測定
  14. エルデンリング
    リムグレイブ周辺の一定コースを移動した際のフレームレートをCapFrameXで測定
  15. サイバーパンク2077
    ゲーム内のベンチマーク機能を使用
  16. Ghostwire:Tokyo
    マップ内の一定コースを移動した際のフレームレートをCapFrameXで測定

軽量級ゲーム

 まずは、軽めのFPS「VALORANT」と「レインボーシックス シージ」の結果から見ていこう。どちらも最高画質かつ2,560×1,600ドットの高解像度でも120fpsを超えるフレームレートが出ている。滑らかな描画と高解像度による緻密な表示で“勝ち”にこだわれるプレイができるのはうれしいところだ。

中量級ゲーム

 次は中量級と言える「レインボーシックス エクストラクション」、「Apex Legends」、「フォートナイト」、「モンスターハンターライズ」を試す。

 レインボーシックス エクストラクションは1,920×1,200ドットなら120Hzを生かせる平均フレームレートが出せる。Apex Legendsなら2,560×1,600ドットでも平均117.3fpsと高解像度でも高リフレッシュレートが生かせるのが素晴らしいところ。フォートナイトは高フレームレートを出すには、もう少し画質設定を下げた方がよいだろう。モンスターハンターライズは2,560×1,600ドットかつ最高画質でも快適にプレイが可能だ。

重量級ゲーム

 ここからは重量級ゲームに移ろう。一気に「Forza Horizon 5」、「アサシンクリード ヴァルハラ」、「ファークライ6」、「DEATH STRANDING DIRECTOR'S CUT」、「God of War」を見ていく。

 AMD系でフレームレートが出やすいアサシンクリード ヴァルハラのほか、DEATH STRANDING DIRECTOR'S CUT、God of Warは2,560×1,600ドットでも快適なゲームプレイの目安である60fpsにほぼ到達。美麗なグラフィックを高解像度で堪能できる。Forza Horizon 5、ファークライ6は1,920×1,200ドットならほぼ快適にプレイが可能だ。解像度を変えれば、重量級を最高画質で遊べるのはうれしいところ。

 続いて、同じく重量級と言える「Microsoft Flight Simulator」、「Sniper Elite 5」、「エルデンリング」だ。

 Microsoft Flight Simulatorと、発売されたばかりのSniper Elite 5は非常に重く、快適にプレイするにはもう少し画質を落とした方がよいだろう。エルデンリングは最大60fpsまでしか出ないゲーム。2,560×1,600ドットでも十分プレイできるが、フレームレートの落ち込みを減らしたいなら最小でも52.2fps出ている1,920×1,200ドットの方でプレイした方がよいだろう。

 「Ghostwire:Tokyo」と「サイバーパンク2077」は最高画質(レイトレーシングは無効)およびレイトレーシング&アップスケーラー有効時の2パターンで計測している。

 レイトレーシングを使わなければ、どちらも1,920×1,200ドットなら最高画質で平均60fpsオーバーと快適なプレイが可能だ。その一方で、レイトレーシングを有効にするとアップスケーラーで描画負荷を軽減しても1,920×1,200ドットで平均60fpsに届かない。なんとかプレイすることはできるというレベルだ。

CPU内蔵のRadeon 680Mでもテスト

 RyzenのCPU内蔵グラフィックは長らくVegaベースだったが、Ryzen 6000 シリーズ・プロセッサーは最新のRDNA 2ベースを採用し、性能が大きく向上している。

 ここでは、Ryzen 9 6900HS プロセッサーに内蔵されている「Radeon 680M」で、どの程度までゲームが楽しめるかテストしておきたい。テスト条件は上記と同じだ。軽めの「VALORANT」、「レインボーシックス シージ」、「Apex Legends」で試している。

 1,920×1,200ドットならどのゲームでも最高画質で平均60fpsオーバーと快適にプレイできるだけのフレームレートを出している。画質を少し下げれば120Hzのリフレッシュレートを生かすことが可能だ。もちろん、本機ならあえて内蔵GPUを使うようなことはないだろう。Ryzen 9 6900HS プロセッサー(および内蔵のRadeon 680M)の性能を見る上での参考としてほしい。

実はビジネス向けモバイルノートとしても通用してしまう堅実な作り

 性能チェックが終わったところで、本機のデザインやインターフェイスを見ていこう。ボディカラーにはエクリプスグレーとムーンライトホワイトの2色があり、ゲーミングノートではあるが、シンプルで落ち着きのあるデザインなので仕事や学業でも使いやすい。

ボディはオシャレな2色展開
本体カラーとしてエクリプスグレーとムーンライトホワイトを用意

 冒頭の動画でも見せたとおり、 ROG Zephyrus G14 GA402には、天板のユニークなアニメーション機能「AniMe Matrix」が装備されている(非搭載のモデルもある)。1,449個のミニLEDで構成されるドットディスプレイで、ROG Armoury Crateアプリを使うことで好みのアニメーションや文字などを表示できる。 まさに“映える”機能だ。

天板にはさまざまな情報を出せる
天面にアニメーションや文字、バッテリ状況などを表示できる「AniMe Matrix」。天板を閉じた状態でも表示させるように設定可能

 バッテリ状況やメールの通知を表示したり、再生している音楽に合わせてビジュアライザーを表示したりとさまざまなパターンを選べる。ROG Armoury Crateアプリを通じて公開されているアニメーションパターンをダウンロードすることも可能。LANパーティなどで個性的なPCを演出できる。

専用アプリでカスタマイズ自由自在
ROG Armoury Crateアプリで設定やアニメーションのダウンロードなどが行なえる

 もちろん天板のアニメーションは非表示にでき、オフにしてしまえば、 その薄さやコンパクトさも相まって、まるで普通のビジネスノートのように見えてしまう点も特筆すべきところだ。ゲーミングノートを仕事用に持ち運んでもまったく違和感がないというのはうれしいし、このサイズ感でクリエイター向けノート顔負けの高性能を実現できているのは大きなメリットとなる。

まるでビジネスノートのような見た目
14型ビジネスノート(写真奥)と並べてみると、筐体が薄型でゴテゴテした意匠もないため、同じようなビジネスノートのように見えてくる

 ディスプレイ上部にはWebカメラ、マイクも搭載。インターフェイスは左側面にHDMI出力、USB 3.2 Gen2 Type-C(DisplayPort・USB PD対応)、ヘッドセット端子、右側面にUSB 3.2 Gen1×2、USB 3.2 Gen2 Type-C(DisplayPort対応)、microSDカードスロットを備えている。無線LANはWi-Fi 6対応で有線LANは備えていない。

ゲーミングノートとは思えない実用装備
ディスプレイは14型で解像度は2,560×1,600ドット。リフレッシュレートは120Hzと高い
USB 3.2 Gen2 Type-CポートはUSB PDを使っての給電が可能だった。ただし、ゲームをプレイする場合はUSB PDだと電力が不足するので、必ずACアダプタを使用したい
上部にはWebカメラとマイクも搭載。Webカメラは顔認証対応
ディスプレイは180度開くのでプレゼンにも使いやすい
左側面にHDMI出力、USB 3.2 Gen2 Type-C(DisplayPort出力、USB PD対応) 、ヘッドセット端子
右側面にUSB 3.2 Gen 1×2、USB 3.2 Gen2 Type-C(DisplayPort出力)、microSDカードスロット

 キーボードはゲーミングノートらしく、 キーの浅い押し込みで入力を認識するオーバーストローク技術で高速なレスポインスを実現。ディスプレイを開くと、エルゴリフトデザインによって本体の後方部分が持ち上がり、キーボードが斜めになるためタイピングしやすいのもよいところ。

キーボードは日本語配列。バックライトも搭載されている。ROG Armoury Crateアプリでライティングの調整で、完全に消すこともできる
ACアダプタは240W出力
ACアダプタは240Wと大出力なのでサイズが大きく重量も筆者実測で748gと重め

薄型軽量ゲーミングノートの限界を突破する1台

 ROG Zephyrus G14 GA402は、軽めのFPSやTPSなら高フレームレートで動作し、重量級ゲームもプレイできる性能がありながら、19.5~22.61mmの薄さと1.72kgの軽さを実現。ディスプレイは2,560×1,600ドットと高解像度なので、クリエイティブな用途にも対応しやすい。ゲーマーだけではなく、幅広い層にオススメできる。

  ROG Zephyrus G14 GA402は、ゲーム性能は妥協したくないけど、仕事や学業にも使いやすいデザインとサイズ、重さがよい……というワガママなニーズに対して完ぺきなまでに応えてくれる最良の1台だ。


 ROG Zephyrus G14 GA402には、ディスプレイが15.6型とワンサイズ大きな「ROG Zephyrus G15 GA503」も用意されている。こちらも同じくRyzen 9 6900HS プロセッサーを搭載しているが、GPUはGeForce系という違いがある。

ROG Zephyrus G15 GA503
ROG Zephyrus G15 GA503(22万9,800円~)

 また、ヒンジが360度回転する2in1タイプの13.4型ゲーミングノート「ROG Flow X13 GV301」もあり、こちらはRadeon RX 6850M XT グラフィックスを搭載する別売の外付けGPUボックス「ROG XG Mobile GC32L」(12万9,800円)が利用できるなど、非常にユニークな製品となっている。

ROG Flow X13 GV301
ROG Flow X13 GV301(22万9,800円~)