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“Arm版Windowsノート”のスゴさ知ってますか?スマホの手軽さとPCのパワーが同居する「HP Elite Folio」
- 提供:
- 株式会社日本HP
2021年11月17日 06:55
現在のモバイルノートに求められる要素は、「パワフルな性能」、「長時間のバッテリ駆動」、「5G/4G LTE回線による外出先での常時インターネット接続」、「テレワークでの使いやすさ」といったところ。各社がこれを実現するために工夫を凝らしている中、HPから非常にアグレッシブな仕様の13.5型2in1ノート「HP Elite Folio」が登場した。
どれくらい攻めているのかと言えば、PCの心臓部であるCPUがスマホでお馴染みのQualcommのSnapdragonブランドのものなのである。それでいてWindowsが動作する。もちろんWordやExcelといったアプリも動作する。ユニークなギミックで実現する変形スタイルも相まって、ビジネスパーソンの新しいワークスタイル、ライフスタイルに適した1台になっている。
Arm系CPUでもWindowsが動く!その実力は?
Intel/AMD系のCPUには32bit(x86)/64bit(x64)アーキテクチャが採用されており、ほとんどのWindows PCはこのアーキテクチャのCPUを採用している。それとはまったく異なるArmアーキテクチャを採用するCPUがあることは知っている人も多いだろう。Arm系CPUは主にスマホで使用されているが、Arm向けに設計されたWindowsも存在している。
初代Arm版Windowsは2012年4月発売と歴史はそれなりにあるのだが、x86/x64系のアプリが動作せず、使用できるアプリに限りがあることから注目度はあまり高くはなかった。
しかし、Arm版Windows 10では32bit(x86)アプリの動作を実現。Arm系CPUの性能向上に加え、高い省電力性を備えていることから搭載PCの数がじわじわと増えている。ここで紹介するHPの「HP Elite Folio」もその一つ。ここでは、HP Elite Folioを使ってArm版Windows 10の実力を試していきたい。
なお、HP Elite Folioは直販向けではメモリとストレージの容量が異なる2モデルが用意されているが、今回はメモリ8GB、ストレージ256GB版を試用している。そのほかスペックは下記の表で確認してほしい。
【表1】HP Elite Folioの仕様 | ||
---|---|---|
CPU | Qualcomm® Snapdragon™ 8cx Gen2(3GHz) | |
メモリ | LPDDR4X 8GB | LPDDR4X 16GB |
ストレージ | 256GB NVMe SSD | 512GB NVMe SSD |
液晶 | 1,920×1,280ドット表示対応13.5型 | |
OS | Arm版Windows 10 Pro | |
インターフェイス | USB 3.0 Type-C×2、Webカメラ、クアッドスピーカー、音声入出力端子 | |
無線 | Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)、Bluetooth | |
WWAN | Qualcomm® Snapdragon™ X55 5G | |
本体サイズ | 298.6×229.6×16.1mm(幅×奥行き×高さ) | |
重量 | 約1.33kg | |
直販価格 | 18万4,580円※ | 19万7,780円※ |
※キャンペーン価格
HP Elite Folioに搭載されているCPU(厳密にはPCの各種機能が集約されたSoC)は「Qualcomm Snapdragon 8cx Gen2」。Snapdragonと言えば、スマホでは定番のArm系CPUだが、この“8cx Gen 2”はPC用に設計された高性能モデル。8コア8スレッドで動作クロックは最大3GHzに達しながらTDPはわずかに7Wと、低消費電力を実現しているのが最大の特徴だろう。
Arm版Windows 10が通常のx86/x64版Windows 10と大きく異なる点は、64bit(x64)アプリが動かないこと。そして32bit(x86)アプリは動作するが、エミュレーション動作になること。x86とはアーキテクチャが異なるので、Armで動作できるように変換する必要があるというわけだ。
その一方で、Armアーキテクチャに最適化されたネイティブアプリ(Arm64/Arm32)もある。代表的なものとしては、MicrosoftのWebブラウザ「Edge」や「Teams」、Adobeの「Lightroom」「Photoshop」「Acrobat DC」などだ。
Microsoft Officeはx86版を使うことになるが、Arm64版のベータテストが始まっている。Armネイティブアプリの数はまだ少ないものの、着実に増えつつある。Armネイティブアプリはx86のような変換が不要なので、より高いパフォーマンスが発揮でき、消費電力も少なくて済むという。
なお、ビジネスにおいて必須と言えるZoomやSlackなどコミュニケーション系のアプリは32bit(x86)版やArm版が用意されていることが多いので、仕事で使う上でアプリ不足で困ることはないだろう。
さらに64bit(x64)アプリに関しても現在Windows 10ではInsider Previewでエミュレーション動作するバージョンが公開されているのに加え、Arm版Windows 11では標準で動作をサポート。HP Elite FolioはWindows 11へのアップグレードも予定されており、64bit(x64)アプリが動かない問題は時間が解決してくれる。
Armは遅い? もうそんな時代じゃないんです!
実際のパフォーマンスをチェックしてみよう。買い換え時の参考になるように、第7世代Coreプロセッサに属するCore i5-7200U(最大3.1GHz、TDP 15W)を搭載するノートPCを用意した。
性能測定には、Microsoft Officeを実際に使用してその処理性能を測るベンチマークソフトを2種類用意した。1つはPCMark 10 Applications、もう1つはUL Procyon Office Productivity Benchmarkだ。さらに、Adobe LightroomでRAWデータ50枚を寸法フルサイズ、画質80%、シャープ出力スクリーン設定でJPEGとして出力するのにかかった時間を測定した。
HP Elite FolioのMicrosoft Officeは32bit(x86)版のエミュレーション動作、Adobe Lightroomはネイティブ動作だ。Core i5-7200U搭載ノートはMicrosoft Office、Adobe Lightroomとも64bit(x64)版。エミュレーション動作がパフォーマンスに影響あるのか、ネイティブ動作の威力はどれほどのものか目安にはなるだろう。
HP Elite Folioはエミュレーション動作ながら、PCMark 10、UL Procyonともに総合スコアだけではなく、多くの処理でCore i5-7200Uを上回った。これだけのスコアが出れば処理で不満を感じることはないだろう。さらにArmネイティブ版のMicrosoft Officeの正式版が登場すれば、その差はさらに大きくなるのは確実だ。
Lightroomでは約1.7倍ものスピードで処理を終えた。Core i5-7200Uは2コア4スレットなので、CPU自体とネイティブ動作の両方の強みが出たと言えるだろう。
もう1つ素晴らしいのはQualcomm Snapdragon 8cx Gen2はTDP 7Wと低発熱、低消費電力なので、ファンレス駆動を実現していること。これだけのパフォーマンスを持ちながら、カフェや図書館など静かな場所で仕事をしてもファンの音を気にしなくてよいのはモバイルノートPCにとっては大きな強みだ。
5G/4G LTE対応で出先でも常時高速通信。900Mbps超を確認!
HP Elite Folioはスマホ感覚で使えることを特徴としているが、それを象徴する1つがネットワーク対応だ。無線LANはQualcomm QCA6390によるWi-Fi 6とBluetooth 5をサポート。加えて、モバイルネットワークの通信モジュールとしてQualcomm Snapdragon X55 5Gを搭載しており、5G/4G LTEに対応している。eSIMとNano SIMを利用可能で、対応バンドは以下の通りだ。
【表2】HP Elite Folioの対応バンド | |
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4G LTE | 1/2/3/8/18/19/26/28/41 |
5G NR Sub6 | n77/n78/n79 |
5Gは速度に優れるミリ波は非サポートだが、それでも理論値で受信最大4Gbps、送信最大600Mbpsを実現している。試しに楽天モバイルで通信速度を測定してみた。
5G(Sub6)圏内で基地局に近いと見られる楽天クリムゾンハウス付近ではダウンロード967.91Mbps、アップロード114.07Mbpsとかなりの速度を出した。二子玉川駅では同じ5G接続でもダウンロード329.54Mbps、アップロード63.04Mbpsまで落ちたがそれでも十分高速だ。
5G圏内ならば外出先で大容量ファイルを扱うことになってもストレスになることはないだろう。5Gによる高速通信によって、公園のようなWi-Fiが使えない場所、フリーWi-Fiが遅いカフェなどでも高い業務パフォーマンスを維持できるというメリットは大きい。もちろん、対応エリアの広い4G LTEにも対応しているので、5Gが使えなくても接続性は問題ない。
ノートPCの使い方を変える実測16時間超のバッテリ駆動
スマホ感覚の実現でもう1つ欠かせないのが長大なバッテリ駆動時間だ。公称で約21.1時間を実現しており、これならばカフェや移動中の社内などでPCを使っても日中の充電は不要と言える。駆動時間を気にすることなく仕事ができるし、充電器を持ち運ぶ必要もない。寝るときに充電すれば十分というのは、まさにスマホと同じだ。
実際、PCMark 10のBattery(Applications)のテスト(輝度は50%に設定)では、バッテリ残り5%で16時間8分を記録。Microsoft Officeは32bit(x86)版なのでエミュレーション駆動だ。Armネイティブ版のMicrosoft Officeが出れば、駆動時間はもっと延びるだろう。
また、テレワークでの利用を想定してPowerPointでスライド作成15分、Wordで文章作成15分、ZoomでWeb会議15分、Webブラウザ(Edge)でサイト巡回を15分の合計1時間の利用でバッテリの消費は7%だった。単純計算ではあるが、この使い方なら約14時間30分はバッテリが持つことになる。実に心強い。
また、ストレージにはPCI Express 3.0 x4接続のNVMe SSDが採用されており、これも動作のレスポンスのよさに繋がっている。
3つの変形スタイルとペンを使いこなす
ここからは本体をチェックしていこう。スペックだけではなく、本体の機能やギミックもビジネスからプライベートまで快適にこなせる設計になっている。
まず注目したいのは、文具のようなデザインだ。天板と底面には人工的に革の繊維構造を再現したヴィーガンレザーを採用。その見た目と触り心地はまさに革で、高級な手帳を彷彿とさせる。
また、ボディの90%はリサイクルされたマグネシウム素材、キートップにはDVDからリサイクルされた素材を50%を使用するなど、サステイナブルな構成になっているのも特徴だ。
HP Elite FolioはノートPCとしてもタブレットとしても使える2in1デバイスだが、その変形機構が非常にユニーク。一般的な2in1は、ディスプレイを360度回転させてタブレットモードに変形する。しかし、それではキーボード側が底面になってしまうのが一番気になるところ。
HP Elite Folioは、ディスプレイの下半分が天面から離れる作りにすることで、「ノートPCモード」から、タッチパッドの手前でディスプレイを固定して動画の視聴に便利な「メディアモード」、キーボードの上部にディスプレイを完全にかぶせる「タブレットモード」の3モードへの変形を実現。しかも、それを本体を置いたまま行なえるのが非常に便利だ。
13.5型のディスプレイはタッチ仕様で指による操作に加えて、専用ペンの利用にも対応。「ノートPCモード」では、キーボードとタッチパッドでじっくりと仕事に取り組める。
一見ビジネス色が強そうに見えるHP Elite Folioだが、タッチ操作前提の「メディアモード」でお手軽に動画などを再生でき、Bang&Olfusen監修による高品質スピーカーの効果も相まって、エンタメを存分に堪能することもできる。電子書籍もスマホよりはるかに大きな画面で楽しめる。PCとタブレットを一緒に持ち歩くのは厳しいという方は多いはず。本機はありがたい仕様だろう
そして「タブレットモード」では、専用ペンを使って手書きでメモを取るなど、シチュエーションに合わせて、モードと入力方法を素早く切り換えられる。
専用ペンはキーボード上部にスリット状の格納スペースが用意されており、ディスプレイを閉じれば移動時に落下させてしまう恐れがない。心配がないのに加えて、同時に充電も行なわれるのでペンがバッテリ切れで使えなくなる不安もない。テレワークでのデジタル書類へのサインなど、デジタルスタイラスペンの活用は増えており、HP Elite Folioのメリットを存分に活かせる。
3:2のアスペクト比で画面は広々
画面が解像度1,920×1,280ドットの3:2比率を採用しているのも見逃せない。従来の16:9(1,920×1,080ドット)のディスプレイに比べて、縦方向に長いためWebサイトや書類が見やすく、仕事での使い勝手に優れる。16:9の比率は動画を見るのにはよいが、全画面でWebサイトや書類を見ると左右に無駄なスペースが生まれやすいからだ。
インターフェイスはType-C
キーボードはクセのない日本語配列でキーピッチは18.4×18.4mm(幅×奥行き)と正方形で入力しやすくキーストロークは1.3mmとやや浅めだが、クリック感があるので実際に使うと浅いという印象はまったくなかった。バックライトもあるので暗い場所でも使いやすい。タッチパッドは実測で110×65mm(同)とモバイルノートとしては大きいサイズが確保されている。
インターフェイスは最小限だ。左右の側面にDisplayPort出力とUSB PDに対応するUSB 3.0(USB 3.2 Gen 1、転送速度5Gbps)のType-Cポートが1基ずつ。右側面にヘッドセット端子があるだけだ。マウスやUSB接続のヘッドセットを使いたい場合は別途USBハブを用意したほうがよいだろう。
テレワークを意識した装備も充実している。ディスプレイの上部には視野角77度のワイドアングルWebカメラ(720p)とノイズキャンセル機能に対応したデュアルマイクを内蔵。カメラにはスライド式のシャッターを備え、物理的にカメラを隠せるとセキュリティ対策もバッチリだ。
キーボードの左右と側面の4カ所にBang&Olfusen監修スピーカーを内蔵しており、ヘッドセットがなくても快適にWeb会議が行なえる。
また、持ち運び時に気になる耐久性も万全だ。米軍規格のMIL-STD 810Hの過酷な検査19項目に準拠しており、移動中や屋外でも安心して使用できる。
スマホと手軽にデータをやり取りできるのも便利だ。AndroidとiOS向けにHP QuickDropというアプリが用意されており、QRコードでHP Elite Folioとペアリングするだけでデータの送受信が可能になる。スマホでダウンロードしたファイルや撮影した画像や動画、メモしたテキストなどをHP Elite Folioに送信でき、その逆も可能だ。
バッテリの残量の心配から解放される喜び
Arm版Windows 10ということで動作アプリの問題が一番気になるところだろうが、32bit(x86)版アプリが動き、Armネイティブアプリも増えつつあるので現状仕事で困ることはあまりない(x64版がほとんどのゲームのプレイは難しいが)。Windows 11へのアップグレードが可能になれば、64bit(x64)アプリも動くのでいよいよ心配は不要だ。
何よりファンレスで十分なパフォーマンスがあり、バッテリの残量を気にせず1日使えるのは何より心強い。カフェで仕事する際にコンセントが使えるか調べる必要もないし、会議や打ち合わせでもバッテリが保つか心配することもなくなるので、ACアダプタを持ち歩く必要もない。
まだまだ数は少ないが、圧倒的な低消費電力を持つArm系CPU搭載ノートPCは、新たなビジネススタイルを生み出す可能性を十分持っていると、今回HP Elite Folioを試用することで実感できた。