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クリエイターはもうこれ1台でいい。Core i7-11800H+RTX 3080+4K有機ELを2kgに収めた「GIGABYTE AERO 15 OLED」の高性能
~メモリ64GB化にも挑戦
- 提供:
- 日本ギガバイト株式会社
2021年6月25日 06:55
GIGABYTEのAERO 15 OLED(第11世代Intel Core i7 プロセッサー)はプロクリエイター向けをうたう薄型軽量の高性能ノートPCだ。先進のTiger Lakeベースの8コアCPUとNVIDIA GeForce RTXを搭載する高性能、正確な色再現ができる有機EL(OLED)ディスプレイ、高速なデータ転送ができる接続性など、クリエイターの装備を約2kgのスリムで堅牢な筐体に収めている。実際のクリエイティブでの性能、使い勝手はどうか。じっくりと検証してみた。
AERO 15 OLEDの最新世代モデルは5種類のモデルをラインナップ。評価機「YD-73JP624SP」は上位から2番目にあたるハイグレードモデルだ。
AERO 15 OLED YD-73JP624SP | |
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CPU | Intel Core i7-11800H(8コア16スレッド) |
CPU周波数 | 2.3GHz(最大4.6GHz) |
メモリ | 16GB(PC4-25600 8GB×2) |
ストレージ | 1TB SSD(PCI Express 4.0x4、NVMe) |
グラフィックス機能 | NVIDIA GeForce RTX 3080(8GB) |
ディスプレイ | 15.6型有機ELディスプレイ、DCI-P3比120%、DisplayHDR 400 |
表示解像度 | 3,840×2,160ドット |
カメラ | HD Webカメラ |
インターフェイス | Thunderbolt 4、USB 3.2 Gen 1(Type-A)×3、HDMI、MiniDisplayPort、ヘッドフォン/マイク兼用、SDメモリーカードスロット(SDXC対応) |
通信機能 | 2.5Gigabit Ethernet、Wi-Fi 6対応無線LAN(2.4Gbps)、Bluetooth 5.2 |
バッテリー駆動時間 | 約8時間 |
サイズ | 356×250×19.9mm |
重量 | 約2kg |
OS | Windows 10 Pro (64ビット) |
市場想定価格 | 35万1,780円 |
ビルドクオリティの高い薄型軽量筐体
手に持つと、カッチリとタイトに組まれた剛性感の高さ伝わってくる。アルミニウム合金をCNC切削加工で成形し、AEROの特徴的なロゴを中心にしたシンプルなデザインながら、ディテールまでこだわりを感じる意匠で、さりげない上質感を演出している。
ベゼル幅約3mmという超スリムベゼルデザインも特徴。15.6型ながら、従来の14型クラスのフットプリントを実現しており、スペックから連想するクリエイターPC/ゲーミングPCのイメージからするとかなりコンパクトに感じる。
電源ボタンを押した直後に分かる超品質画面
AERO 15 OLEDの大きなセールスポイントの1つが画面。15.6型のOLED=有機ELディスプレイを搭載していることだが、そのクオリティの高さはすぐに実感できる。
電源ボタンを押した直後に表示されるGIGABYTEロゴの表示からして黒のクッキリ感が違う。Windows 10のデスクトップ画面に並ぶアイコン、テキストの見栄えも精細で上品。スタートメニューに並ぶアイコンも発色鮮やかで、メールの返信、書類の確認などのいつもの作業もとても気持ちいい。こうした普段使い環境の上質感もクリエイティブ作業のモチベーションアップにつながるはずだ。
画面の精細さは、解像度が4K UHD(3,840×2,160ドット)であることが大きい。一般的なフルHDの4倍の画素を同じ15.6型の画面に詰め込んでいるため、近くで見てもドットを見分けられない。OS/ソフトウェア的にも、拡大表示(標準で250%表示)時にはアイコンもテキストも高解像度のデータが使われるので、フォントの曲線のなめらかさが違う。高解像度の写真や映像を表示すればそのなめらかさ、精細さはさらに際立つ。
黒のクッキリ感、発色の鮮やかさは、OLEDの原理的なアドバンテージの賜物だ。OLEDでは画素を構成している有機EL素子自体が発光するため、画素1つ1つを直接操作できるため、高速かつ緻密に制御できる。
液晶ディスプレイでは電圧をかけると向きが変わる液晶分子をバックライトのシャッターとして使うため応答速度は限界があり、黒を表示しているときでもバックライトは原則点灯している。結果として、わずかな黒浮きは避けられない。液晶ディスプレイでもエリアごとにバックライトの光量を変えるなどさまざまな工夫をしている製品もあるが、OLEDの原理的な優位は絶大だ。
本製品が採用するSamsung製のAMOLED(Active Matrix OLED)は、最大輝度が400cd/平方mと高いだけでなく、最低輝度0.0005cd/平方mまで表現可能。コントラスト比は100,000:1と、通常のIPS液晶ディスプレイの約100倍にも上る。黒をより黒く、そして階調もなめらかに表現できる。VESAのDisplayHDR 400 True Black(HDR適性のある有機ELディスプレイであることを示すために色域や輝度/黒点輝度などの要件を既定した仕様)の基準も満たしており、HDR映像の極端な明部と暗部が混在するような場面ではとくに威力を発揮する。
DCI-P3を120%カバーする超広色域、正確な色を再現できるPANTONE認証
クリエイティブ作業では色域、色再現性が重要になるが、こちらにもこだわっている。映像業界の標準であるDCI-P3を120%カバーする超広色域に対応。この広色域が実現できるのもOLEDの特性の恩恵だろう。
さらに、X-Rite PantoneのPANTONE認証システムで全品を工場で色校正を行なってから出荷することで、色差(色の微妙な違い)を示す指標である「デルタE」も「1以下」に抑えており、きわめて正確な色再現性を誇る。
写真のRAW現像や動画のカラーグレーディングなどは自分好みの色に調整する作業であるから、基準となる色をしっかり表示できなければ見当違いの調整をしてしまうことになりかねない。
こうした作業をするには最低でもsRGB約100%カバーとカラーキャリブレーションは必須と言えるが、sRGBをはるかに超えるDCI-P3の色域を120%カバーし、出荷時点で色校正を行なって出荷されている本製品はプロユースの基準を満たしており、安心してクリエイティブに没頭できるだろう。
先進の8コアCPU、Tiger Lake-Hを搭載
CPUには第11世代CoreシリーズのCore i7-11800Hを搭載する。4コア8スレッドのモバイルPC向けが先行して製品化されていた「Tiger Lake(開発コードネーム)」の8コア16スレッド高性能版、いわゆる“Tiger Lake-H”だ。
前世代からマイクロアーキテクチャがWillow Coveに代わって周波数あたりの性能が向上しており、さらにプロセスルールも14nmから10nm SuperFinへと進化している。4コア版のTiger Lakeは前世代(Comet Lake)の6コアモデルにマルチスレッド性能で迫り、シングルスレッド性能では凌駕するという革新的な存在だけに、その8コア版には大きな期待がかかる。
ノートPC最高峰のGeForce RTX 3080 Laptopを搭載
外部GPUとしては、NVIDIAのコンシューマノートPC向けGPUとして最高峰に位置するGeForce RTX 3080 Laptop(8GB)を搭載している。
GeForce RTXシリーズは、レイトレーシング専用のRTコア、機械学習に最適化したTensorコアを統合しているため、GeForce GTXシリーズに対するアドバンテージが大きい。
とくに最新世代のGeForce RTX 30シリーズでは、8nmプロセスルールの導入もあり、先代のRTX 20シリーズに比べて電力効率、絶対性能ともに大きく向上し、魅力が高まっている。
ゲームにおいては、DXR(DirectX Raytracing)/リアルタイムレイトレーシングに対応した先進タイトルやAIを活用した高画質化機能「DLSS(Deep Learning Super-Sampling)/DLSS 2.0」に対応したタイトルを高画質で快適にプレイできる。
クリエイティブでも、RTコアによるレイトレーシング高速化を含むGPUレンダリング、Tensorコアの機械学習性能を活用した超解像技術やリフレーム機能、特殊加工など、GTXではなくRTXシリーズを搭載していること、そしてRTXの中でも高性能なGeForce RTX 3080 Laptopを搭載していることの恩恵を得られる場面は少なくない。
また、NVIDIA自身も、RTXシリーズの機能を活かしてノイズ除去やバーチャル背景、自動フレーミングなどができる「NVIDIA Broadcast」という配信ツールを配布している。この機能は、ビデオ会議ソフトのZoomやOBS Studioなどでも利用でき、RTXの恩恵を受けられる。
PCI Express 4.0x4対応の爆速SSDを搭載
メモリはPC4-25600(DDR4-3200)を採用しており、標準容量は16GB(8GB×2)だ。ストレージはPCI Express 4.0x4(NVMe)に対応した高速SSDを1TB搭載している。
クリエイティブアプリは、ストレージを仮想記憶装置(キャッシュ)として利用するだけに高性能なSSDの搭載は歓迎だ。
ただ、キャッシュの性能が気になるほどに本格的にクリエイティブに取り組むならば、メモリもストレージも標準仕様の容量では十分とは言い難いのが正直なところ。本製品に限ったことではないが、クリエイターPCを謳いながら標準のメモリ/ストレージ容量が少ない製品が多いことに歯がゆさを感じているクリエイターは少なくないと思われる。
この点は少々残念ではあるが、本製品ではそのフォロー策が取られている。ハードウェア的な拡張性が高く確保されており、メモリスロットは2基あり、最大容量は64GBまで対応していることが明記されている。また、M.2スロットも合計2基装備しており、1基は空いている。インターフェイスはNVMe、Serial ATA両対応であることがこちらも公式に明記されている。背面カバーの構造も比較的簡素で、自分で増設を考えている方にとっては増設しやすくなっているのはよい材料だろう。
通常、自分でメモリなどを増設するとメーカー保証は失効してしまうが、GIGABYTEのノートPCは、「秋葉原のPC専門店」パソコンショップアーク(以下 アーク)が公認カスタマイズショップとなっており、保証が有効なままメモリやストレージをカスタマイズしてのオーダーが可能だ。保証を有効にしたままカスタマイズしたい方は、アークでの購入を検討するといだろう。
Thunderbolt 4をはじめ、先進の高速通信/高速インターフェイスに対応
通信機能は2.5Gigabit Ethernet、Wi-Fi 6対応無線LAN、Bluetooth 5.2に対応する。
最大40Gbpsのデータ転送、4Kディスプレイ出力などマルチに使えるThunderbolt 4を搭載。クリエイティブのプロユースで普及しているThunderbolt 3対応ストレージもフル性能で利用できる。最近では省かれがちなSDカードスロットも用意されている。フルサイズで、さらに高速規格のUHS-IIに対応しているのがうれしい。
本格的なクリエイティブユースではデータの大型化は避けられないため、最大2基の内蔵ストレージだけですべてをまかなうのは事実上不可能。外付けSSDやNASなどを活用することが多いだけに、有線LAN無線LANとも高速で、プロユースの高速ストレージで普及しているThunderbolt 3の上位互換であるThunderbolt 4を搭載している点は心強い。
定番ベンチマークテストでスキのない高性能を実証
ベンチマークテストの結果を見よう。評価機のスペックは、CPUがCore i7-11800H、メモリが16GB、グラフィックス機能がGeForce RTX 3080(8GB)、データストレージ1TB SSD(PCI Express 4.0x4/NVMe)、OSがWindows 10 Pro 64bitという内容だ。
比較対象として、筆者が2019年に購入した旧世代ゲーミングノートPCのスコアも掲載する。まだまだ現役で通用するスペックだ。
AERO 15 OLED YD-73JP624SP | 旧世代PC | |
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CPU | Core i7-11800H(8コア16スレッド) | Core i7-9750H(6コア12スレッド) |
メモリ | PC4-25600 8GB×2/PC4-25600 32GB×2 | PC4-21300 16GB×2 |
ストレージ | 1TB SSD(PCI Express 4.0x4) | 2TB SSD(PCI Express 3.0x4) |
グラフィックス機能 | GeForce RTX 3080(8GB) | GeForce GTX 1650(4GB) |
OS | Windows 10 Pro 64bit(20H2) | Windows 10 Home 64bit(20H2) |
マルチスレッド性能の目安になるCINEBENCH R23のスコアは12,085。8コア16スレッドならではのスコアがきっちりでている。クリエイティブではとくにマルチスレッド性能が重要なだけに、これは大きい。旧世代のCore i7-9750H搭載機に比べてCPUスコアで約1.9倍、シングルスレッドのCPU(シングルコア)でも1.37倍と大幅なアップだ。
ちなみに、編集部が過去に測定したAMDのハイパフォーマンスノート向けCPU Ryzen 9 5800H(8コア/16スレッド)のスコアは、マルチコア11,207、シングルコア1,405だった。ノートPCごとに異なる電源や冷却回りの設定により大きく変動するため参考までにとどめておいていただきたいが、性能面で高い評価を得ている競合を上回るスコアを叩き出した点は注目に値する。
PCMark 10の総合スコアは比較用PCの1.44倍、クリエイティブアプリを使ったテストであるDigital Content Creationでは約2.12倍ととくに大差を付けている。
3DMarkのスコアもご覧の通り。GeForce RTX 3080 Laptopを搭載しているだけに、GeForce GTX 1650を搭載した旧世代PCと比べても圧倒的だ。
PCMark 10 MODERN OFFICE BATTERY LIFE | GIGABYTE AERO 15 OLED(Core i7-11800H GeForce RTX 3080 メモリ16GB) |
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SCORE | 2時間25分 |
Battery Life Performance | 6,192 |
Lightroom、Premiere、DaVinch Resolveでのテストでも圧倒的な強さ
クリエイター向けPCということで、実際のクリエイティブアプリを利用したテストも試してみた。ここではメモリを64GBへ増やした場合のテストも追加で実施している。
Lightroom Classic CCでは、ソニーのα7RIIIのRAWデータ(4,240万画素)を100枚を使用。そのデータに現像パラメータのプリセットを適用して長辺3,000ドットのJPEGファイル書き出す時間を計測した。標準でも旧世代PCよりも47秒速かったが、メモリを64GBに増やした環境ではさらに57秒速くなった。
また、30枚のRAWデータを「スーパー解像度」機能で強化DNGファイルへ変換する作業も試してみた。この作業はAIを活用しているため、GPU性能の影響が大きく、とくにRTXシリーズを利用すると高速化するとされているが、やはり優位は大きく、メモリ64GBでは旧世代PCの4分の1以下の所要時間で完了した。
Premiere Pro CCでは、シンプルなプロジェクトと少し凝った処理を含むプロジェクトの2種類のメディア出力(MP4、H.264)にかかる時間を計測した。
前者は、7枚の4Kビデオクリップをトランジションエフェクトでつなぎ、BGMを追加した約3分ほどの内容だ。
後者は、8本のビデオクリップと8本のオーディオクリップ(BGM用)をそれぞれ適切な長さにカットしてタイムラインに挿入した約5分ほどの内容。各ビデオクリップにはカラーグレーディング(プリセット3D LUTの適用)を行ない、各ビデオクリップの先頭に動きのあるテロップを挿入し、ビデオクリップとオーディオクリップはそれぞれトランジションエフェクトを使ってつなげている。
旧世代PCからの差は凝ったプロジェクトのほうが差は大きく、メモリサイズの差も大きかった。メモリ64GBの場合は旧世代PCの半分以下の時間で書き出しを終えた。
実際に編集の作業も一通りしてみたが、メモリ16GBではエフェクトのプレビュー時に画面や音声が乱れることがあったが、64GBでは終始快適に作業できた。
DaVinch Resolve 17では、ソニーのα7RIIIで撮影した4K解像度のS-Log3データ5本(合計4分15秒)に対し、プリセットの3D LUTを適用するカラーグレーディングを行ない、MP4ファイル(H.264)で保存する処理にかかった時間を計測した。このソフトはGPUを積極活用しており、GeForce GTX 1650を搭載する旧世代PCの62%の所用時間、時間にして238秒も速く処理を終えた。
カスタマイズすればクリエイティブPCとして理想的な構成に
ベンチマークテストで実証したように、AERO 15 OLEDのクリエイティブにおけるパフォーマンスはきわめて優秀だ。これからますますクリエイティブでの活用が進みそうなGeForce RTXの搭載、高精細で色再現性にも優れた有機ELディスプレイ、高速インターフェイスも含め、クリエイティブ適性は抜群。仕事場のメインマシンとする場合は、大型4Kディスプレイやプリンタ、NASなどをつないでより快適にすることもできる上に、本機だけを収録現場や打ち合わせ先、コワーキングスペースなどに持ちだして作業することもできる。
今回レビューした評価機(YD-73JP624SP)の市場想定価格は35万1,780円。カスタマイズオーダーが可能なアークでも標準構成では同じ価格で販売されている(現在入荷待ち)。標準の保証期間が2年間と言うのも、高価な製品だけにとても心強く、大きなアドバンテージの1つだろう。
アークでメモリを64GBに変更すると価格は40万4,390円、さらに1TB SSD(Samsung 970 Evo)を追加すると42万4,000円になる。保証が有効なままクリエイティブ向けとして理想的とも言える内容となるだけに、決して割高ではないだろう。